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多桑/父さん のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 多桑/父さん
製作国台湾
レビュー情報
《ネタバレ》 おそらくこの16歳まで日本人だった「父さん」にとって「日本」とは、自分の不遇・不運の対極として天上にキラキラと輝く天国だったのだろう。戦後の経済成長、それに取り残されていく鉱山で働く父さんの、置き去りにされていく感覚。それを彼は、ここが日本でなくなった、ということで受け入れようとする。昔の「平等に貧しかった」日本統治時代のほうが、世界のありようとして受け入れやすいのだ。哀切なのはバスケットボールのシーン、日本が台湾に負けてしまうこの場でさえ、彼は日本の側に立とうとする。自分の不遇の代償のように、台湾は日本にコテンパンに敗れ去ってほしかったのだ。自分だけを残して繁栄し力を付けていく台湾、そんな父さんの頭上で「日本」は、より純粋なイメージになっていく。日本が「美智子さんの旦那さん」の時代になって、しかし初雪の皇居の画面も見せずに映画は閉じる。もうそれは現実の日本からははるかに離れた無垢のものになり過ぎてしまい、画面にはならないのだろう。画づくりは師の侯孝賢の影響大で、ロングの多用、電灯の下の人々、など。
なんのかんのさん [映画館(字幕)] 7点(2010-02-28 12:02:38)
その他情報
作品のレビュー数 3件
作品の平均点 5.67点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 3.40
このレビューの偏差値 51.15
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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