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アポロンの地獄 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 アポロンの地獄
製作国
上映時間105分
劇場公開日 1969-03-08
ジャンルドラマ,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
かつて名画座という文化があったころ、イタリア映画の最後の黄金期に立ち会え、フェリーニ・ヴィスコンティ・パゾリーニ三羽烏の追っかけを随分した。フェリーニの幻想、ヴィスコンティの風格に対して、パ氏の粗削りな現代彫刻のような手触り。本作の、オイディプスがテーバイにたどり着くまでが、とにかく好きだった。パゾリーニの映画によく出てくるニヤニヤ笑いをする民衆、ってのが、王を巡る物語だけにとりわけ効いている。荒涼とした風景に不意に雅楽の笛の音が流れてきて、トントンと太鼓(?)が刻み出すと、“運命”が世界を覆ってしまう。こんなにも民族音楽が効果を持った例は少ない(『王女メディア』では三味線が聞こえたが、これは日本人には四畳半的に響いて失敗だった)。しかもこの“運命”はあきらかに悪意を持っており、託宣によって積極的に主人公を不幸に導いていくのだ、そもそも赤子を“不憫”と思う気持ちに乗じて、運命はことを始めたのだし。もっともこの映画、古典悲劇の分析よりも、一つの世界の提示として強烈で、どこかの名画座に掛かっていると、好きな音楽を繰り返し聴きたくなる心境で、ついフラフラ行ってしまう麻薬のような力があった。非道な運命に対抗する荒ぶる王をやったフランコ・チッティ、パ氏の常連となったが、監督の没後はどこをさすらっているかと思っていたら、『ゴッドファーザーPARTⅢ』にチョイ役で出てきたのにはグッとさせられた。
なんのかんのさん [映画館(字幕)] 10点(2010-04-20 12:05:16)
その他情報
作品のレビュー数 16件
作品の平均点 6.88点
作品の点数分布
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6212.50%
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916.25%
1016.25%
作品の標準偏差 1.58
このレビューの偏差値 62.58
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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