Menu
 > 作品
 > ウ行
 > 浮雲(1955)
 > なんのかんのさんのレビュー
浮雲(1955) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 浮雲(1955)
製作国
上映時間124分
劇場公開日 1955-01-15
ジャンルドラマ,ラブストーリー,モノクロ映画,小説の映画化
レビュー情報
戦時下の仏印というニセモノの極楽で出会ってしまった二人が、戦後の現実と折り合いをつけられないまま日本中を漂い流れ、また南へと下っていく、と要約できる話だ。ずっと不貞腐れていた高峰秀子が、屋久島へ連れていって下さいと、泣いて哀願する迫力が見事で、あの渡航のシーンで終わってもいいんじゃないか、と思ってしまう。不貞腐れる、ってのは、とても非建設的な行動で、現状への不満は表明するが何ら積極的な働きかけはしない、ってこと。戦後の映画はもっぱら建設的なアピールをしていたが、ひとり成瀬は、不貞腐れる高峰を信念を持って撮り続けた。みんな一緒にスローガンのもとで調子に乗るのに比べれば、不貞腐れるって行為は、個人が取れる精一杯の批評だったんじゃないだろうか。彼女はいい加減に不貞腐れていたのではなく、一生懸命に不貞腐れていた、必死で不貞腐れていた。そしてついに不貞腐れるのをやめたのは、建設の側に回るためではなく、全否定の側に回るためだった。すごい映画である。ただ成瀬の本領は、いろいろあっても市井に留まり続ける普通の人たちを描いた作品のほうで、より発揮されてるんじゃないかなあ。
なんのかんのさん [映画館(邦画)] 7点(2008-11-21 12:11:58)
その他情報
作品のレビュー数 55件
作品の平均点 7.40点
作品の点数分布
000.00%
111.82%
200.00%
300.00%
423.64%
559.09%
6610.91%
71221.82%
81527.27%
9712.73%
10712.73%
作品の標準偏差 1.79
このレビューの偏差値 48.76
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
浮雲(1955)のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS