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未来世紀ブラジル のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 未来世紀ブラジル
製作国米,英
上映時間132分
劇場公開日 1986-10-10
ジャンルドラマ,SF,ラブストーリー,コメディ,アドベンチャー,ファンタジー
レビュー情報
《ネタバレ》 たとえば、拷問の記録をタイプにとっているところ。担当のオバサンが打ってるタイプを主人公がちらっとのぞくと「HELP!」と悲鳴が並んでいる。話しかけてオバサンがイヤホン外すとじかに悲鳴がもれてくる。あるいは食事の場でのテロ爆弾の炸裂、それでもせっせと食事を続ける人たち。ドンパチやってる脇で掃除を続けるオバサン。デ・ニーロが情報用紙に絡みつかれていく脇をゆく通行人。なにか切迫した大音声の世界と、静寂の事務的な世界がつながっている。事務の静まりのほうが大音声を圧倒し包み込んでいく。これは単にギャグと言うだけでなく、現代社会そのものといった納得を感じた。そういった大音声への無関心を導く社会の果てに、ラストの「ブラジル」を口ずさむ呆けた夢の世界が待っているのだろう。そしてこれはスクリーンを観ている私たちを皮肉っているのか、という気にもなってくる。カフカ的な暗い未来社会もの、って映画はほかにもあるが、とりわけこれは笑いと戦慄の振幅が大きくて好き。オタフクの笑顔もそうとう気味悪い。この後に観たフランス映画の『デリカテッセン』てのでもラテン音楽が暗い未来社会に流れていた。一番「自由」を感じさせる音楽なので皮肉に響くのか、あるいは世界が北方的に陰鬱になってしまったので皮肉に響くのか。ラテン音楽が皮肉に響くようになったら、その社会は要注意ってことだ。
なんのかんのさん [映画館(字幕)] 9点(2010-07-19 10:57:20)(良:2票)
その他情報
作品のレビュー数 203件
作品の平均点 6.84点
作品の点数分布
010.49%
183.94%
241.97%
3136.40%
4104.93%
5146.90%
62612.81%
73316.26%
83718.23%
93014.78%
102713.30%
作品の標準偏差 2.44
このレビューの偏差値 53.62
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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