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河内山宗俊 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 河内山宗俊
製作国
上映時間82分
ジャンル時代劇,モノクロ映画
レビュー情報
たまたま時代の設定が過去だったというだけで、会話だけ取り出せば昭和の現代劇の様相。かえって戦後の時代劇のほうが様式性が強くなってしまっているのかも知れない。直次郎はここではそこらにいるグレかけた気弱な少年だし、三千歳とはミッちゃんと呼びあっている。金子市の中村翫右衛門が傑作で、永年留年して大学に居着いてしまっているような雰囲気のある男、しかし実は死に場所を探していた余計もののニヒリズムも持っている、というあの時代の若者像をくっきりと代表している。“市井”という言葉がこんなにも似合うセットはそうそうなく、その中の住人としては雪の舞う世界などうっとりと見惚れていられるが、余計ものの目を通すと、唯一どぶだけが奥への逃げ路として続いている圧迫も感じられる、という素晴らしい造形。古女房のやきもちという、どちらかというと喜劇の要素を転換点に、ドラマが悲劇性を帯びていくのも、時代の影か。松江邸のニセ僧道海は、設定だけが歌舞伎と同じで、全然違うドラマに仕立てて読み換えの面白さになっている。見事な傑作だが、ただ音楽がうるさく、ラストの立ち回りで「ロミオとジュリエット」が流れ出すと、やはりのけぞる。
なんのかんのさん [映画館(邦画)] 8点(2009-10-14 12:00:58)
その他情報
作品のレビュー数 33件
作品の平均点 7.61点
作品の点数分布
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313.03%
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639.09%
7721.21%
8927.27%
91030.30%
1013.03%
作品の標準偏差 1.54
このレビューの偏差値 51.67
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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