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ガタカ のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ガタカ
製作国
上映時間106分
劇場公開日 1998-05-02
ジャンルドラマ,サスペンス,SF
レビュー情報
《ネタバレ》 偽装の手法などについては、他のレビュアーさんも指摘の通り、ツッコミどころ満載と思うが、これはそういった“SF”主眼の映画ではないだろう。
人の「生」についてのすぐれて倫理的な問いをふくんだ映画だと思う。

印象的なのが、遺伝子設計されて生まれてきた弟と、自然出産の兄(主人公)との、遠泳競争シーン。遠くまで、はるか遠くまで、泳いでいけたほうが勝ち。
この受精の際の精子の競争の象徴シーンで、初めて勝ちを収めた時に主人公は転身を遂げる。そして後での兄弟対決のときにも同じシーンが繰り返される。

ひとは「優れていたから」ではなく、「どうしても生きたい(行きたい)」と思ったがゆえに、卵子へまでたどりつき、この世に生をうけたのではないだろうか?
そんなことを暗示するシーンだと思う。

そして、「母なる」宇宙への道もまた、「優れているゆえに」ではなく、「どうしても行きたい(生きたい)」と心から思う者に開かれていて、いいはずだろう。

「宇宙飛行士になりたい」という主人公の切なる思いはラストで報われ、宇宙という海へと泳ぎ出していく(ロケット打ち上げも、遠い卵子を目指してゆく精子の旅の暗喩か)。
人は生きる。切なる願いを果たすために。

けれどその同じ時、主人公とコインの裏表の関係のような「適格者」ジェロームは、主人公と同じく「遠い旅」に出る。自死する。主人公の切なる願いを守るために。
でもそれは、誰に設計されたわけでもない、彼自身の心から生まれた願いだった。

人が生まれてくること、生きることについて、たくさん考えさせられた。素晴らしい作品だったとおもう。

せいさん [DVD(吹替)] 8点(2011-01-10 03:13:39)(良:4票)
その他情報
作品のレビュー数 426件
作品の平均点 7.75点
作品の点数分布
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210.23%
330.70%
4122.82%
5317.28%
6388.92%
78519.95%
810925.59%
97918.54%
106815.96%
作品の標準偏差 1.64
このレビューの偏差値 50.95
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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