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《ネタバレ》 山崎豊子作品の中でも屈指のドロドロ劇だけあって、この映画もまさに超絶ブラックな『細雪』と呼ぶに相応しいストーリーでした。船場老舗の三姉妹、京マチ子・鳳八千代・高田美和のとても血を分けた姉妹とは思えない仲の悪さに加え、三人にそれぞれ愛人・婿・叔母といった後見人というか参謀がついて世間知らずの姉妹を操ろうとするわけです。一見は実直そうな大番頭=中村鴈治郎が遺言執行人であるが、実はこいつが先代存命中から背任横領で私腹を肥しており、そこに先代の愛人=若尾文子が名乗り出てくるという序盤から最悪の展開です。お嬢さん育ちで遊び好きな三女は多少可愛げがあるキャラだが、長女と次女の強欲さと性格の悪さは思わず引いてしまうぐらいです。医者を呼んで若尾文子の妊娠状況を無理やり調べさせるところには、ほんとドン引きさせられますよ。踊りの師匠なのに妙に不動産やら山林に詳しい愛人=田宮二郎もうさん臭さしかないですね。若尾文子だって「私は先代の子供を生んで無事に育てたいだけ、遺産なんていりません!」と言いながらのラストの大逆転、まあ演じているのが若尾様ですからこのままで済むわけないとは判っちゃいますがね(笑)。しかしなんといってもこの映画でいちばん光っていたのは、ちょっと愉しんでるのかな?、と感じるぐらい色々と策略をめぐらす中村鴈治郎の悪番頭ぶりで、名優の力量を感じさせてくれました。まあラストの展開を観れば判る通り、このストーリーは“婿養子の復讐劇”だったというわけですね。
【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2025-05-06 21:40:42)(良:1票)
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