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《ネタバレ》 いきなり銀行強盗シーンから始まって、2千万円握りしめてなぜか霊柩車に乗って逃げる藤竜也。彼は稼業が葬儀屋なので霊柩車は商売道具だったと判るが、けっきょく逃げおおせて月日は過ぎて10年の時効を迎える。10年目の時効成立の日に、無人となっていた実家に葬儀を行うために四人の子供たちが集まって一緒に失踪した母親も含めての葬儀を行うが、本当の目的は実家を整理して遺産を分割することだった。この兄妹の長男が草彅剛、彼の演技を久しぶりに自分は観たけど、実にいい俳優になりましたね。この仲の悪い兄妹の中でも突出して性格の悪い男を好演しています。彼のせいで遺産分割交渉は決裂、弟と妹はさっさと帰ろうとするが、家から出ようとすると謎の来訪者や新しい揉め事が起こって解散することができない。ここら辺を見ていると不条理劇的なシュールなストーリーなのかと思ったが、そういう展開にはなりませんでしたね。この映画は中盤からバラバラになっていた兄妹家族の絆の修復というありがちなストーリーテリングになってゆくのですが、そうなってくるとシュールっぽいストーリーなら目立たなかった荒唐無稽な伏線などの粗がどうしても気になってくるのです。例えば遅れてやってきた末弟が実は隠しカメラを仕込んでネットで生中継していたというシークエンスなんかも、これって伏線としては面白いけどこの映画のストーリー自体には何の関係もないんじゃない?という感想になってしまうんですよね。まあこれは、前半と後半では全然違うジャンルのストーリーになっちゃったという、最近の日本映画でありがちな傾向じゃないでしょうか。 この映画は、次弟役の新井浩文がやらかしたせいで危うくお蔵入りになりかけた作品でしたね。新井浩文は脇役専門ながらけっこう存在感を感じさせる役者だったので意識していましたが、本作が実質的に引退作となってしまいましたね。まあ彼は実刑判決くらって収監されてしまったんだから芸能界追放は致し方ないとは思うけど、出演作までとばっちりを受けてしまうのはどうしたもんでしょうか。こういうのって、ほんと日本映画業界の悪習だと思いますよ。
【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2025-06-18 22:32:25)《新規》
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