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《ネタバレ》 まずは警備員をクビになって勤め先の博物館にショットガンを持って怒鳴りこんでくるジョン・トラボルタが、彼としてはなかなかの好演です。なんかこのキャラを見ていると、『サタデー・ナイト・フィーバー』のトニー・マネロが15年後に警備員になっていたという感じがするんだよな。なんで館長に抗議するのに銃とダイナマイトを持って来たのかまず意味不明、これじゃあ抗議というより脅迫じゃないですか。なんかもう自分でも何をしたいのか判らなくなっているちょっとおつむの弱い男という感じ、こういうキャラはなんかトラボルタの演技パターンに凄くマッチしているんじゃないかな。この映画の凄いというか呆れるのは、この事件に関係してくるマスコミや警察関係者がみなろくでなしばっかりだというところです。地方に左遷された大手ネットワークの報道記者であるダスティン・ホフマンも、この事件現場に偶然居合わせたのを僥倖と捉えて、ちょっと足りないトラボルタを操ろうとしてきます。ところどころでトラボルタに同情して助けようとするが、自分のネタをコントロールしようとする記者本能には抗えない。またマスコミにコントロールされている様な軽薄な大衆にも反吐が出そう。米国の大衆は事件や犯罪が起こると、自分たちに危害がないならお祭り騒ぎをしたがる傾向が先進国ではもっとも強いんじゃないですか。こういう民度の低さをこのストーリーは強烈に皮肉っています。解決まで何日費やしたのかは判りにくいが、ホフマンと初期に解放された二人以外はみんな博物館に閉じ込められていたのに、人質たちに疲労困憊の風がほとんどなかったのはちょっと不自然かな。ずっと人質の小学生が、異様に高いテンションだったのには笑ってしまったけどね。でも現実なら、あれだけ隙だらけのトラボルタならさっさと射殺しちゃうのがリアルな米国なんじゃないかな、そこは話を引っ張るためのちょっとムリがある脚本のような気がしました。 恐ろしいのはインタビューでトラボルタとは無関係な人を知人のように語らせたり、インタビュー自体を切り貼りして印象操作するマスコミの手口というか常套手段を見せつけてくれるところです。これは日本の地上波放送でもよく聞く話で、やっぱ昔親に言われていた「TVばっかり観てるとバカになるよ」は、真実だったんだな。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2025-06-15 21:18:13)
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