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十二人の怒れる男(1957) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 十二人の怒れる男(1957)
製作国
上映時間96分
劇場公開日 1959-08-01
ジャンルドラマ,サスペンス,法廷もの,モノクロ映画,TVの映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 名作と名高い本作、私もやっと見ることができました。結論から申しましたら本当に素晴らしい映画でした!狭い部屋の中で12人のオッサンがグダグダと議論しているだけの映画でこれほど面白いものは他にありません。ただし脚本に関しては、後出しじゃんけんのように徐々に核心を突く情報が出てくるので、いかようにも転ばせられるズルさは感じました。それでもそれを差し引いて余りある構成力とプロットの素晴らしさだったと思います。
ウマいのは私たち観客側に与えるファーストインプレッション。「ナイフが得意なスラムの若者」「折り合いが悪い父の胸にはナイフ」「複数の目撃者がいる」こうなると観客も明らかに有罪だと感じる訳ですが、証言を一つ一つ細かく分析していくと途端に粗が見えてくる流れが本当に素晴らしいです。しかし前述の通り、仮に全ての情報が最初から提示されていたとすれば、私たち観客も推定無罪の方向に傾くのが妥当で、そういった意味ではかなり危うい脚本であったのもまた事実です。

本作は12人の男たちが見せる多様な価値観も見どころの一つで、複数回鑑賞すれば奥深さが増す素晴らしい作風になっています。一見すると8番の正義感は文句のつけようがないように感じますが、彼はかなりズルいテクニックを多用します。最初に「たった5分で人の死を決めてしまっていいのか」というド正論でブレーキを掛けますが、実はこれは無罪かどうかには全く関係ない論点ずらしテクの典型です。またそれに続く流れも「有罪の証明は検察側にあり、合理的な疑いがある限りは推定無罪であるべき」を貫きますが、これも無罪の証明には全くなっておらず、8番のズル賢さ(というか強引さ)が垣間見えたりします。8番はこれらの詭弁を堂々かつ平常心で語っており、これが彼の上手さでもありました。

それにしても非常に面白い作品であったことは疑いようのない事実です。理屈っぽい方は是非一度お試しください!
アラジン2014さん [DVD(吹替)] 9点(2025-04-29 17:54:59)
その他情報
作品のレビュー数 505件
作品の平均点 8.60点
作品の点数分布
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210.20%
330.59%
420.40%
5183.56%
6163.17%
7499.70%
810320.40%
915731.09%
1015630.89%
作品の標準偏差 1.42
このレビューの偏差値 51.97
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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