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《ネタバレ》 【Patton】《パットン》シンプルですね。第二次大戦をモチーフにした多くの戦争映画が創られましたが、多くの場合、ノルマンディとかバルジとか、作戦の勝敗にスポットを当てたものだったと思います。その中で作戦ではなくイチ将軍を主役とした本作。まるで歴史上の偉人の伝記映画のようです。
初めて観たのは学生の頃、テレビの深夜映画だったかと思います。オープニングの巨大な星条旗を背負ってのスピーチがとても印象的で、映画としてのスケールの大きさを感じさせれ、一気に引き込まれました。また戦場のシーンも特撮やカット割りで誤魔化すのではなく、実際の戦車や飛行機が、歩兵の走り回る戦場を蹂躙する感じ、パットン将軍の目線で戦場を俯瞰する感じが、当時の戦争映画としては大規模な映画だなぁ。と、学生の私の目には映りました。 改めて観ると、戦闘シーンは少なめですね。スポットを当てているのがパットンの英雄的活躍以上に、彼のパワハラ気質と失言というのが何とも異質です。もともと口の悪いパットンが、病院施設で精神を病んだ兵士を怒鳴りつけたことがキッカケとなり、連合国の中心的英雄から、左遷状態で戦場の脇役へと追いやられる描写がリアルです。そんな連合国の内情を知らないドイツ軍は、パットンへの警戒心を欠かさないのが面白いですね。戦闘シーンは少ないけれど、パワハラや失言が取りざたされた際、パットン本人がどう捉えたかを観るのは面白かったです。そしてソ連のカトゥコフ将軍との通訳を介した笑顔の罵り合いは見どころ満点。 役割上、英雄としての“お膳立て”をされている、連合国ごり押しのモンゴメリー将軍との対比。地味だけど実直で、言い換えると扱いやすいブラッドレー将軍との対比。戦っている相手が独裁者ヒトラーということもあり、いくら実力があってもパットンは扱いにくかったことでしょう。そしてチャンスを与えても失言で勝手に評判を落とす。戦争が大好きで、過去の幾多の戦場で活躍した兵士の生まれ変わりだと自称するパットン。近代民主主義国家では活かしきれない個性です。 交通事故の後遺症でアッサリ亡くなったパットン。映画の最後の荷馬車の事故シーンは敢えて入れたんでしょう。アメリカが見放したパットンの危機を、アメリカが選んだブラッドレー将軍が助ける構図。当時のソ連との関係性から暗殺説も出たくらいだから、そんな陰謀論の火消しの意味もあったと思われます。 【K&K】さん [地上波(吹替)] 7点(2025-06-21 09:29:23)《新規》
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