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【クチコミ・感想】
2.これは彼の演出法がいちいち納得できた作品ということで、私にとっては記念すべき一本。室内で俯瞰にするのは人物(おもに男)の弱さや卑小さを強調し、また運命といった視点も導入できる。いさかいなどのシーンは、一つ奥の部屋でしていることが多い。一部屋遠くから撮る。俯瞰と同じような効果もあるが、さらに表情を隠す効果もある。剥き出しの表情を消せる。表情が急変するところをドラマチックに見せたくないという慎み深さ、そういうところを近づいて捉えては失礼だという意識もあったか。あるいは逆に、その人物にとっては大事件でも世間には大して関係ないよ、といった客観視とも取れる。芸人たちの小屋へ貰い子に出していた赤ん坊が帰ってくるところ、ワーッと仲間たちが囲んで、母と子の姿をカメラから隠してしまう。次にカメラが脇から捉えるときは、最初の出会いの瞬間の剥き出しの喜びは消え、穏やかな慈愛の表情になっている。こういう礼儀正しさが彼の演出法にはあるんではないか。しかしインテリ男に対する作者の目の厳しさは隠さない。都会に出りゃ何とかなると出てきて、しかし何も出来ないで、女のほうがしっかりしてて、けっきょく家長に絶対服従の駄目男。男に対する厳しさは剥き出しで描いているな。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-09-29 10:02:31)
1.前年の『浪華悲歌』『祇園の姉妹』と比べるとかなりおとなしい印象がありますが、たぶんヒロインのキャラからくるのでしょう。女が弱者である社会というのは変わりませんが、山田五十鈴がそのことに憤り反発し強がるのに対し、この作品の山路ふみ子は強がるのではなく本当に強くなってゆくのだ。溝口は女を描くのが巧いとか言われるが、その多くは女を通して社会を描いているところがある。もちろんその中で女優を輝かせ、その仕草や眼差しをしっかりと映し出しているからそう言われているわけですが、本当に女を描いているのはむしろちょっとインパクトに欠けるこの『愛怨峡』なのだと思う。私は2年か3年ほど前に映画館で観たのですが、【小菊】さんのおっしゃるようにフィルムの状態は最悪でした。物語の把握にはなんの問題もありませんでしたが、やっぱり美しく撮られているはずの女の顔に線が入ったりぼやけたりというのは残念でしかたないです。それでも紛失されたフィルムも多々あることを思えば、今この作品に出会え、美しい画面を想像しながら観ることが出来ることを素直に喜びたい。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-04-17 13:23:57)
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【点数情報】
Review人数 |
6人 |
平均点数 |
7.83点 |
0 | 0 | 0.00% |
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1 | 0 | 0.00% |
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2 | 0 | 0.00% |
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3 | 0 | 0.00% |
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4 | 1 | 16.67% |
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5 | 0 | 0.00% |
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6 | 0 | 0.00% |
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7 | 1 | 16.67% |
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8 | 1 | 16.67% |
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9 | 2 | 33.33% |
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10 | 1 | 16.67% |
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【その他点数情報】
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