みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
26.舞台は昭和三十一年の大阪。わざとのモノクロが実に良い味を出している。 戦争を生き延び、貧困を生き延びてきた、大人たちの陰影。裏切りや罪の過去と、泣けるほどのやさしさ。 子供たちは子どもたちで、誰もが通り過ぎる、理屈抜きのともだち、仄かな憧れ、格差(隔たり)の感覚、引け目や罪の意識、そういった微妙な経験を重ねていく。 出てくる俳優は皆すばらしい。子役たちも昨今の無闇な美形主義でなく自然であどけない表情をしていて、なおかつ演技がうまい。 観客が年齢を重ねてはじめて味わいがわかってくる、そんな胸にのこる映画だった。 【せい】さん [インターネット(邦画)] 8点(2020-08-12 02:02:09) 25.終戦から10年が経った大阪の、子供達の交流と、彼らを見守る貧しい大人達の心情を丁寧に描いた作品。正直、この映画を見るまで当時の大阪の(おそらく底辺の)庶民が、こんなに貧しく厳しい生活を送っていたということを知らなかった。このため感想を言葉にしづらいが、悲しさは伝わって来て胸が締め付けられる。田村高廣の優しい笑顔は、父親である「王将」や「無法松の一生」の阪東妻三郎を思い出させる。 【wayfarer】さん [インターネット(邦画)] 8点(2020-06-14 02:25:01) 24.公開数年後くらいにTVで観ていて印象が良かったのですが、最近単体でDVDが発売されたので、久々に再見しました。 筆者の加齢に伴い、若いころは気づかなかった登場人物達の心情が諸々身にしみ、とても感動しました。 子役三人、田村高廣、藤田弓子、加賀まりこらの素晴らしい演技、モノクロ映像に1950年台頃の映画のような抑えた演出で、かつてのこの国の市井の人々の生活、その中のそれぞれの悲しみを見事に描き出していると思います。 【クリプトポネ】さん [DVD(邦画)] 10点(2017-08-04 19:42:02) 23.温かさと切なさ、余韻が残る映画です。みんな貧しかったんですね。 【東京ロッキー】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2016-12-01 17:25:22) 22.宮本輝さんの小説を読んだことがあったので何気に鑑賞しました。 何気に鑑賞したはずなのにどんどん引き込まれて一気に休憩も入れずに最後まで観てしまいました。 すべての役者さんが登場人物になりきっててよかったです。 子役3人とも凄いです。あれ本当に監督の演出でやってる演技だろうか? これぞ映画という気がします。観客をいい意味でだましてくれる映画。 本当にリアルな世界を作り出しています。 このような映画にまた出会いたいです。だから映画っていいんですよね。 【キャメル】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-11-03 13:11:22) 21. 好きなんだけれど、なぜ好きだかわからない奇妙な映画だったんですが、最近やっと好きな理由がわかりました。 小学校の低学年の時の、少し年上のお姉さんってものすごく年上に感じられて憧れの対象になるんです。ある意味、未だ第二次性徴の前って人生の中で一番純粋な気持ちを異性に持てる時期かもしれません。 そういった、気持ちを思い出すことができました 【rhforever】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-07-04 07:01:07) 20.戦争の傷跡を残している時代を背景に、人と人との結びつきを描いた人情ドラマだが、 家族の絆や子供同士の友情をさりげなく描いた内容が、静かな感動を与えてくれる。 原作をまとめあげた監督さんの手腕は賞讃に値するが、惜しむらくは画面が異様に暗いこと。 ベタに塗り潰されたようなシーンや役者さんの表情がよくわからないのは残念だった。 父親役の田村高廣の好演が光る逸品。 【MAHITO】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2012-04-30 05:49:42) 19.戦後10年後の大阪、復興の影に隠れた貧しさを取り巻く人間模様。何気に見出したらじっくり観入ってしまった。姉弟がせつない。何度も観ないだろうけど印象は強い。役者も子役含めて皆いい。 【movie海馬】さん [地上波(邦画)] 8点(2012-04-15 03:20:12) 18.2012.02/06 鑑賞。赤胴鈴乃助の主題歌、栃若戦実況中継、など私の時代のリアルタイム。 私の生活はもうちょっと良かったかなあ? 当時の写真に伯母さんからのプレゼントの野球ユニフォーム姿と破れた運動靴を履いて嬉しそうなバット姿がある。そのほか貧しい割りに楽しい出来事がたくさん思い出される。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-02-29 17:20:22) 17.お父さんの演技がよかった。親子のやり取りをみて、心が温まるいい映画だった。 【ホットチョコレート】さん [地上波(邦画)] 8点(2011-09-21 21:08:24) 16.原作者にとっても監督にとっても1950年代は少年時代に当たるが、懐古ではなく貧困の悲しみを描いている。そして少年が好むと好まざるとにかかわらず世の中の影の一部分を知り、成長していくという事だろうか。何ともいえない余韻を残す…。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-09-20 20:30:17) 15.一番ジーンとしたシーンは、姉弟が初めてうどん屋を訪れたとこ。大人は子どもたちを・姉は弟を・招いた者は招かれた者を・招かれた者は招いた者を、それぞれ見守っている。いたわっている。弱者同士が肩寄せ合って生きていく、っていうとクサくなってしまうのだが、そういう高揚した感じはなく、実に礼儀正しくいたわり合うのだ、まるで自明の作法があるように。決して水臭いというのではない。「カスのように生きてきた者」にとってのルールなのだろう。こちらからは傷つけないから、そちらも傷つけないでくれ、っていう。この帰り道、送っていくと橋の下を舟が通り抜けていく、ここらへんの正確さがたまらない。少年が初めて加賀まりこの部屋を訪れる場面もいい。ここにあるのも礼儀正しさだ。女の溢れるばかりの感謝の気持ちを、じっと静かに保たせている緊張がいい。「おばさんもおいでよ」「りこうな子やね」。礼儀正しさが頂点を極めるのはラストであり、子どもの呼びかけに絶対人影を見せない舟の姿である。我々はその舟の中でじっと一つの恥を中心に肩を寄せ合っている家族の姿を想像し、その腹立たしいまでの礼儀正しさに感銘を受けるのである。 /(蛇足)田村高広と池部良の俳優歴って似てる。デビューはズレるがどちらも戦後民主主義の時代を体現する若者として登場し、役柄は「まじめ」。が東京オリンピックに向けた経済成長期になると、そのまじめさが俳優としての幅を狭めてしまい、影が薄れた。ところがオリンピック後の1965年に、どちらもプログラムピクチャーの脇役を得る。田村は『兵隊やくざ』、池部は『昭和残侠伝』、勝新太郎と高倉健という戦後民主主義を「体現しない」主役との戦中戦前を背景にした作品で新境地を開き、その後の渋いバイプレイヤーの地位を確定する。なんかこの二人の俳優歴に、戦後史そのものが重なって見えてくるよう。だから田村のデビューごろの時代を描いた本作で、彼は自分の俳優生活の総括をしたようにも思われるんだ。(11年9.29) 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-12-29 12:07:26)(良:1票) 14.名優、田村高廣がつい最近亡くなった。この映画、初めて観ましたが、田村高廣と父、阪東妻三郎、本当によく似てる。この作品の中に出てくる男の子、2人、食堂の息子、信雄と廓舟に住む幼い姉弟の弟の喜一と三人で手品をして遊ぶ時のあの何とも言えない優しそう表情など父、阪東妻三郎にそっくりだ!そんな田村高廣のこれぞいかにも日本人って雰囲気の良き父親の顔、演技がとても良い印象を残します。幼い子供3人の視線と大人達の子供達への愛情豊に見つめる視線、小栗康平監督は実に優しく描いていて好感が持てます。それにしてもこの映画、本当に子供達の演技が抜群に上手い。テーマそのものは暗いけれど、親と子の関係が美しく描かれている為、暗さというものを感じることなく見せる演出の素晴らしさ、日本人で良かった。いかにも日本的、こういう映画こそ今の世の中に必要な映画だと思いました。 【青観】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-05-29 22:17:35)(良:1票) 13.生も死も、大人も、人間の業も、かつてはこんなに子供の近くにあったんですね。大人はそれらをなるべく子供から遠ざけようとしますが、隠し切れない、ぎりぎり漏れて伝わってくる大人の価値観を、ひとつずつ小さな頭で消化しながら人間を形作っていくものです。だから、大人が考えるより子供は大人なんですよ。50年前にこれほど身近にあった死生観は、今や電話の陰に、テレビの奥に、PCの向こうに追いやられてしまいました。日常的に隠されているものだから、いざというとき、大人も死生観について子供にどう伝えてよいのか、全くわからなくなってしまったのではないでしょうか。最近の子供は何を考えているかわからないというようなことを平気で言ってのける無責任な大人は、その想像力を欠いた固い頭をこの映画に粉砕されるでしょう。信雄も喜一も銀子も、大人と同じように強く、同じようにもろいんです。作品を重ねる度に難解さが深まっていった小栗康平の、僕にとっては最高傑作です。 【アクシス】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-07 01:58:35)(良:1票) 12.望んだわけでもないのに苛酷な家庭状況の中で生きていくしかない少年と,まるでちゃぶ台のようにこぢんまりとした,しかし暖かな家庭で育った少年。束の間の出会いが2人の影を交差させ,やがて別れが訪れる。幼くつたない彼らには,友情という大人の言葉はさして意味を持たないかもしれない。それでもあの別れの日,「きっちゃん!きっちゃん!」と叫びながら,去っていく廓船をどこまでも追ったあの日の記憶を信雄は忘れることはないだろう。それらはいずれ色あせていくが,決して消えることはない。それにしても痛切な別離を知るには,彼はあまりにも子供だった。そんな彼のために観客である私にできることといえば,彼とともに涙を流すことだけである。 【Roxy】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-11-02 07:45:33) 11.だんだん薄らいでいく昭和の匂いが、この映画の中ではぷんぷんしている。3人の子供たちの名演技。大人たちの演技も、まるでそのものの人生を歩んできたかのようだ。ある友情が、ひとりの少年を大人にしていった。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-07-07 09:32:09) 10.主人公の子供達と同年代のオジサンです。映画と思い出を重ね合わせながら、心の奥の宝物をとり戻した感じ。当時の暮らしが懐かしく蘇り、胸を熱くしました。こうした特別な事情のある家庭は多かった。そしてそれを温かく見守り蔭で支えてくれる親切な人が確かに存在した…。 うちの近所の同級生の家族も、みんな貧しかったけど、とても優しく親切にしてくださった。小さな出来事でも、みんなで共有し喜ぶことができた。映画は昭和31年の風景を、昭和56年の時点で見事に描いているのにも感心。加賀まり子は、はっとするほど妖艶だった。 【ちくわ】さん [地上波(字幕)] 9点(2005-06-28 14:54:02) 9.原作が好きなのでちょっと点数低めです。映画なので仕方ないのでしょうが、所々大袈裟というかくどいな…と感じるところがありました。音楽のせいかもしれませんが。あとモノクロにしてしまったのも文芸作品と意識しているようで鼻についてしまった…。でも人にすすめられる良い作品なのは間違いないと思います。 【へっぽこ】さん 7点(2004-12-15 02:34:42) 8.宮本文学全般に漂う「死生観」を上手く掬い取って視覚化した名作です。当時加賀まりこばかりが絶賛された記憶が有るが、他の出演者の方、特に田村高廣がふとした拍子にみせる、人生の残酷な部分を知ってしまった男の疲れた表情は素晴らしいと思う。藤田弓子のお母さんが子供たちに注ぐ眼差しの暖かさも良し!別れのシーンも含め忘れ難い箇所は幾つもあるが舟べりで子供達が蟹を焼き殺す場面は秀逸。 【放浪紳士チャーリー】さん [地上波(邦画)] 10点(2004-08-29 10:41:37) 7.昭和31年の大阪。戦後10年以上たっても戦争の記憶はまだ生々しく暮らしも貧しい。 学校にも通えず廓船で暮らす姉弟の悲しさは胸に迫るし、うどん屋のノブちゃんとの友情、のぶちゃんの父母のやさしさなどしみじみとした情感を感じる。 愛情に恵まれ貧しいながら幸せだったノブちゃん以外は皆それぞれ胸の奥に悲しみを持っている。そのノブちゃんにもいろんな出来事が起こって小さな悲しみを知ることになるが、作品にはそんなみんなを包み込むような暖かさがある。 自転車の車軸回しの遊びや着ている服、赤銅鈴ノ介のラジオ番組、出回り始めたばかりのテレビの相撲などなど、そこかしこに当時の様子が描かれていてノスタルジック。これがまたモノクロゆえに一層効果的。 子供たち(特にきっちゃんの面構えがいい)はじめ田村、藤田の夫婦などの出演者もとてもよかった。 【キリコ】さん 8点(2004-08-18 21:14:41)
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