みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
75.《ネタバレ》 ソビエト連邦の映画である。戦艦の名前は日本人には変に聞こえるが(淀川長治氏も言っていたが)、もとが人名なので変だといっても仕方ない。皇帝エカチェリーナ2世の寵臣としてロシア帝国の南下政策に深く関わった人物なので、黒海艦隊の軍艦にはふさわしい名前かも知れない。 見たのはいわゆるショスタコーヴィチ版のようで、わかる範囲でいえば背景音楽の多くを交響曲第11番から採っていたようだった。これはまさにこのロシア第一革命を描写した曲であり、日本でも知られた「同志は倒れぬ」とか「ワルシャワ労働歌」といった革命歌のメロディが使われているので世代によっては懐かしいかも知れない。ほかに第5番の最初と最後を映画の最初と最後で使っており、途中で第2・3楽章も出ていた。うまく合わせていたとは思うが、場面によっては曲の方に映像を付けたようにも感じられたのは、映画を見る上でかえって邪魔になっていると思うべきか。 ストーリーとしては別に史実に忠実なようでもなく、当時の体制に都合のいい展開を適宜に作った国策映画である。ただし今どき革命の勝利を讃えようとする人々も多くないだろうから、政治色など現代ではほとんど無意味化しているともいえる。この映画では最後をバンザイで盛り上げていたが、歴史的経過としてはこの後まだ続きがあるわけなので、これより上記11番の終わり方が正しいかと思った。なお唐突にユダヤ人に関する台詞(字幕)が出ていたのは、この時期に起きていた反ユダヤの動き(オデッサ・ポグロムなど)と関係あるかと思われる。ここは多民族の集まる都市のためユダヤ人もかなり多かったらしい。 映画史的には先駆的な表現で知られた名画とのことで、有名な階段の動的な映像などには目を引かれる。戦艦が劇場を砲撃した場面では、主砲でなく副砲を撃った、などということばかり見ていて、寝ていたライオンさんがびっくりして起きた場面を見過ごしてしまい、映画の後でネット上の世評を読んで初めてなるほどと思わされた。こういう映画はちゃんと映像を見ていなければ駄目だ(反省)。 ほかに個別の場面では、港で死者の傍らを犬が通り過ぎたり、釣り人の側にネコが控えていたりするのが少し和ませる。全体的に深刻な雰囲気の中で、ヨットの場面の爽やかさは際立っていた。また階段の場面で両足のない男が身軽で逃げ足が速かったのは、走る技能と体力が半端でないようで感心させられた。 【かっぱ堰】さん [DVD(字幕)] 5点(2022-03-26 09:25:21) 74.演出の力が凄まじく、今の映画と比べても全く引けをとらない映画であることは間違いないけど、面白いとは思えない。 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 4点(2016-04-30 20:58:10) 73.《ネタバレ》 これ何が凄いって全部本物な所。水兵達の機敏な動き、ピタリとそろう衛兵やコサック、地の果てまで続く群衆、それが一斉に悲しみ、怒り、喜びを爆発させ、激高する。逃げ惑うシーンが迫真なのはこの時代の人々が本物の死の恐怖を知っていたからだろう。今ではいくら金を積んでもこの映像は作れまい。生まれたての理想に燃えた全体主義国家の、それも超大国が全力で作った映画。イデオロギーが気になる人もいるかもしれませんが、エイゼンシュテインはこの後スターリンに静かに抵抗する気骨の人でもあります。欲を言えばオデッサ劇場は(もちろん)模型でいいから吹っ飛ばして欲しかった。代わりに驚いて悲鳴を上げているように見えるライオン像のカットインが素晴らしい(笑)。 【tubird】さん [インターネット(字幕)] 6点(2015-10-14 02:23:07) 72.《ネタバレ》 実際に起きた反乱を元に描かれる本作。 今でこそ「モンタージュ技法なんて使い古されて新鮮味なんか無いよ」と言うかもしれない。 ただコイツを見たらそんな事は言えなくなる。 この映画のモンタージュは新鮮味ではなく驚きと興奮のモンタージュだからだ。 冒頭数分の単調さが、兵士の怒りの声が挙がるあたりから面白くなる。 ウジが湧いて腐った肉を、これほどまでに生々しく描写する。 腹が減っては戦はできぬ。 飢えた軍隊は勝てない。 軍の底を支える兵士の扱いの不当さ、上層部の傲慢への怒り。 当時のソ連社会への怒りを、食料を通じて描くその生々しさ! それを巡って反乱が起き、その波は民衆にまで流れていく。 そして血で血を争う戦い・虐殺。 「ストライキ」を超えたカタルシス。 母親に抱きかかえられた子供。 手当をしても何をしても助からない。 命の軽さと重さ。 一体民衆が何をした。 ロシア革命から続く理不尽な市民の虐殺。 その怒りを、惨たらしく死んで行く人々の叫びで訴えかける強烈な映像! それをここまで残酷かつ力強く映していく。 画面に映る男も女も、みんな時代の波にさらされながら、力強く抗い生き残ってきたという鍛えられた表情をしている。 それだけに説得力も段違いだ。 よくもこんな凄い映画を検閲だのなんだのでカットしたり焼き捨てるなんて馬鹿みてえな事が出来たもんだ。 スターリンが悪いんじゃない。 そんな理不尽なやり方を実践できる「人の心」が腐っているのだから。 ふざけやがって・・・。 この映画は「面白さ」を楽しむ映画じゃない。 戦争に対する怒りを感じられるか感じられないか。 それを個々の視点で感じて欲しい映画である。 シベリアの雪の大地を踏み歩くロシア人の力強さを・・・! そしてこの映画を探し出し、再びこの世の中に蘇らせてくれたスタッフに感謝したい。 音楽的には「マイゼル版」がオススメかな。 あの旗を染めた「赤」の色のように、いつまでも鮮やかに輝く映画だ。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-04-14 20:03:01) 71.《ネタバレ》 いまから80年以上前に作られた映画だから、ここに出ている人は皆この世にいないんだよな。。。と郷愁を覚えながら頑張って見た。当時の人が受けた印象と、手法も技術も一回りしてお腹いっぱいの我々が感じ取る印象はだいぶ違うんでしょうね。 蛆は焼けば。。。確かに。。。食べれるかな。。。うむむ。 ショスタコーヴィチとオデッサの階段が脳裏に焼き付く。オデッサ行ってみたい。 【のりもちあつあつ】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-10-14 19:20:36) 70.《ネタバレ》 底の浅い、革命思想プロパガンダ映画で、人間の尊厳や生命の尊重等は置き去りにされている。戦艦で肉に蛆が湧いた。腐った肉にかまけて、水兵達は日頃の不平、不満をぶちまける。艦医にとって、肉に蛆がわいたといって大騒ぎする水兵達は蛆虫だ。 水兵達にとって、蛆のわいた肉を洗って食えという艦医は蛆虫だ。神父にとって、神を恐れず反乱する水夫達は蛆虫だ。 革命指導者にとって、神を持ち出して革命を妨げる神父は蛆虫だ。艦長にとって、食事などに文句ばかり垂れて、ろくに仕事しない部下達は蛆虫だ。水兵達にとって、反抗したからといって部下を射殺しようとする艦長や上官達は蛆虫だ。政府にとって、政府を批判し、政府転覆を試みる大衆は蛆虫だ。大衆にとって、無抵抗の人民に銃を発砲する政府軍は蛆虫だ。ポチョムキンの水兵達にとって、鎮圧にくる艦隊の連中は蛆虫だ。一人はみんなのために みんなは一人のために、蛆虫は死ね。けれども味方になれば話は違う。やれ兄弟だ、仲間だ、同志だ、赤旗だ、革命万歳だ。「戦争の中で革命だけが真に偉大な正義だ。(レーニン)」敵を蛆虫と思えば戦争を正当化できる。多場面を多カットでつなぐ高速モンタージュ手法は緊張感を高めるのに役立ち、随所で効果的に使われている。加えて、パン、ズーム、移動カメラを駆使すればもっと緊張感は高まっただろう。冷静に観ると、分らない部分が多い。上官に反抗したくらいで銃殺刑は厳しすぎる。反乱を扇動主導した水兵の遺体が港の天幕に安置されると、大勢の民衆が弔意に訪れるが、一戦艦の反乱、武装蜂起にしては大袈裟すぎる。しかもきっかけはスープである。圧政に苦しむ民衆の様子が描かれていないので奇異に感じた。撃たれて重体の子供の母親が、子供を避難もさせず、手当もせず、子供を抱いて兵に抗議する不自然さ。乳母車を押して示威行動に参加する無鉄砲さ。階段落ちの乳母車が最後にどうなったかを見せない。転覆しそうになる場面で終る。鎮圧のため派遣された艦隊が何故反乱軍に同調したのか?無線電信機を使わず、手旗信号とはこれいかに。結局、大衆と艦隊は分離したまま、ちぐはぐに終了。ポチョムキンという名にはユーモアがある。崖の上のポチョムキン、ポチョムキン肉マン。ポチョ無菌室。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-09-19 03:08:01) 69.《ネタバレ》 「一人はみんなのために みんなは一人のために」この言葉、なにかにつけよく聞くなと思っていたのですが、この映画で連呼されるとは・・・。『三銃士』に出てくる言葉なんだそうですね。もともと良い言葉だろうし、素直な善人ばかりの小さなグループならば通用する誓いかもしれないけれど、価値観が多様化し過ぎて何が正しいことなのかもハッキリ分かりづらい社会においては、乗り切れない言葉だなーと思います。ただ映画の発端自体は、ウジのわいた腐った肉のスープに満足の意を強要される理不尽にあるので、こういうことにはきちんと怒ることが出来るのが正常だと思います。日本では怒りを表現すると正当な怒りでも「大人げない」なんて言われかねないですが・・・。水兵たちの当然の怒りが民衆に通じて良かったですが、現代社会でまじめに考えると「水兵たちの主張は事実なのか?」という第三者の冷静な疑問の余地や、「私なら文句言わずに働きますぜ」と仕事にあぶれた人々が混ぜくったりや、新聞やテレビの思惑忍ばせた記事に簡単に誘導されちゃう人々や、デマを流したりそれを鵜呑みにする人々などで、この映画のような単純構造には落ち着かないんだろうなーと、そんな冷めた気持ちで鑑賞していました。今や民衆そのものが「勝ち組」「負け組」「格差社会」とかに踊らされ一体化できない時代だし・・・たしか『蟹工船』の紹介でこの映画が取り上げられた記憶が・・・。けれどオデッサの階段の逃げ惑う人々に添って流れるカメラワークにかなり引き込まれました。作られた時代を考えると、あのシーンの演出はかなりスゴイと感じます。 【だみお】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-05-03 00:54:19) 68.《ネタバレ》 1925年にこれほどの物を撮っているソ連。恐るべし。 そして連呼したくなる。ポチョムキン。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-03-20 18:25:03) 67.政治的背景の強い作品なので、内容に関しては賛否両論あるだろうが、 映画としての完成度の高さを素直に評価したい。映像演出の技法はもちろん、 サイレント映画でこれだけの迫力を出せるとは、少なからずショックを受けた。 特に「オデッサの階段」のシーンは、強烈な印象として記憶に残っている。 名作や名画という表現は適切ではないかもしれないが、その後の映画作品に与えた影響、 先駆的という点で歴史的な作品かと思う。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-03-20 06:16:09) 66.評判の高い映画らしいが私には合わない。有名な「オデッサの階段」のシーンだけは見るべきものがあったが、あとはまったくおもしろくない。それにウジ虫が出てくるなんて生理的に嫌だ。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 4点(2012-01-22 16:23:26) 65.最後の応援船がくるあたりは、まるで西部劇でした。 【Snowbug】さん [DVD(字幕)] 10点(2011-05-06 02:24:46) 64.凄い。ただただ凄い。作品としては70年以上も前のものなんですが、その迫力といい、テンポのいい編集といい、時代の流れを全く感じさせず、映画の何たるかがここにはあります。 【クリムゾン・キング】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-03-10 05:00:32) 63.《ネタバレ》 オデッサの階段での虐殺が有名過ぎる作品。アンタッチャブルのシカゴ駅での銃撃戦の元ネタが観れたことでも十分満足なのですが、矢張り凄いなと思ったのはモンタージュ技法による多々の演出でした。甲板で戦友を射殺する時のカットと、ポチョムキンがオデッサ劇場を砲撃する時のカットが印象的。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-01-30 10:15:02) 62.《ネタバレ》 オデッサの階段を見るためだけに観ましたが、前半だけでウジ虫気持ちわるー、とかワクリンチュクの「兄弟、誰を撃つつもりか」からの劇的な展開とか、モノクロの中真っ赤な旗だけが上がっていくシーンとか、見所はすごく多かったです。モンタージュモンタージュが少ししつこかったけど、意識していたんでしょうね。なんか今まで観てきたいろんな映画がこれのオマージュだったんだなーって気付きました。ウジ虫とかオデッサとか特に。肝心のオデッサの階段は、「へぇー」って感じでした。阿鼻叫喚には少し足りないかなぁ。顔のカットは迫力があったけれど。まぁでも乳母車の演出は今観ても斬新ですね。歴史的映画だと思います。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-08-24 20:26:09) 61.むかし京橋のフィルムセンターにて鑑賞しました。通路まで観客が座り込むほど、ごった返していました。本を読み、モンタージュ理論を勉強して懸命に見たものです。観賞後、友達と熱く語り合ったのも懐かしいです。わくわくするような面白さを感じることは今日ないと思いますが、史的価値が薄らぐことはないでしょう。フィルムセンターはその後、火災にあい、多くの貴重なフィルムを失いました。本当に惜しまれることです。 【ジャッカルの目】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-08-15 01:22:45) 60.オデッサの階段を逃げ惑う人々を追うカメラワークは確かに迫力がある。でもあの虐殺へ至った経緯が唐突過ぎる。あの赤ちゃんどうなったのだろう・・・当時の戦艦の様子が興味深く、印象的な映像も多々あるが、ストーリーとしては面白いものではなかった。 【きーとん】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-08-01 22:08:47) 59.プロパガンダにしてはよくできていますね。今見ても非凡なものを感じます。 【色鉛筆】さん [地上波(字幕)] 5点(2010-04-28 21:30:42) 58.某作品の階段シーンが大好きなのですが、その元となった作品があるということで気になって鑑賞しました。非常に短い映画ですので苦痛なく見れますたし、バックの音楽が気に入りました。というよりこの音楽あってこそ苦痛なく観れた感じです。例の階段シーンにかなり期待を集中させていたため、最初は「こんなものか~」という印象でしたが、考えてみれば、あの場面であのシーンを持ってくることのアイディアがすばらしいですね。全体として、どうしても「80年以上前の作品であることを思えば・・・」というフィルターを通して評価しなければならないと思いますが、その辺は、もっと映画に精通した方にお任せしたいと思います。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-04-16 09:40:55) 57.オデッサの階段のシーンはすばらしく、文字通り絵だけで魅せられました。話の中身関係なしに、映画全体から熱を感じました。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 5点(2009-12-05 02:04:38) 56.随所で強烈な印象を残す、波間に揺れる光。亡くなった水兵を葬送するランチの場面に始まり、夕刻から翌朝にかけて推移していくオデッサ湾内の霞に煙る水面への光の反射と小船の影を映し出した画面はまさに印象派画家クロード・モネの『印象・日の出』そのままの美しさであり、「散り行く花」冒頭の霞がかった港湾のショットにも通じる美観である。また注目すべきは、戦艦を歓迎する市民のヨットの群れが水面をすべる爽快感。岸へと集まっていく群衆のロングショットの壮観。戦艦の砲撃による爆煙の迫力等〃。数え上げればきりのない画面の充実ぶりであり、「教養」以前に純粋な活劇として何度観ても面白い。滑落する乳母車の図に緊張してしまうのは、技法以前に単純に画面に漲る気迫とサスペンス感からだ。「一人は皆の為に、皆は一人の為に」これは映画の政治宣伝的主題のみならず、個々のショットと作品全体の関係をも表した台詞といっていいだろう。それだけの強度を湛えた画面が全編に満ちている。 【ユーカラ】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-10-13 19:08:36)
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