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【クチコミ・感想(9点検索)】
2.或る深夜。寝室から愛娘の泣き声が聞こえる。夜毎の夜泣きは楽ではないが、それは彼女が“生きている”ということの一つの「証明」のようにも思えて、とても安心する。
自分に子供が生まれ、明確な「恐怖」として感じるようになったことがある。
それは、幼い命が育たないということに対する恐怖だ。
日々のニュースの中では、毎日のように、何らかの理由であまりに短い“生”の時間を終えなければならなかった幼い命に関する事故や事件が伝えられる。
その度に、悲しみや憤りとともに、恐怖を感じる。
幼い生命が育たないということは、人類にとって、いや生物全体にとって、最大の恐怖なのだと思う。
このSF映画は、そういう人類という生物が直面するかもしれない絶対的な恐怖を壮絶に映し出している。
18年間、新生児が誕生していない近未来。
映画は、クライヴ・オーウェン演じる主人公が立ち寄ったコーヒーショップから出た直後に突如爆破されるシーンから始まる。
このファーストカットが驚くべきロングテイク(長回し)で映し出され、一気にこの映画の世界観の中に放り込まれた。
この映画ではとにかくロングテイクが多用されており、壮絶な襲撃や市街戦を描いたアクションシーンまでもが目を見まがう程の完璧なロングテイクで徹底的に描き出されている。
それにより観ている側は、この悲劇的な未来世界の中で問答無用に息づかせられ、荒涼とした世界の空気感と荒んだ人間たちの感情までもがひしひしと伝わってくる。
ストーリーの設定や展開は、よくある近未来世界を描いたその他の映画と変わりはない。
しかし、突き詰められた映像構造と、生命とそれが育つことの価値に対する真摯なスタンスにより、他にはないリアリティを生み出している。
一つの小さな生命を救うために数多くの生命が犠牲になっていくこと。それが何故正しいのか?
この映画では何事においても明確な理由や答えは最後まで示されはしないが、現在の人類が今一度立ち返るべき根本的な価値観と在り方、それを考えるべき機会が示されていると思う。
幼い生命が育つという本来当たり前であるべき事象。それが成立するための条件が、「平和」ということだというのならば、やはりそれを願わずにはいられない。
「シャンティ シャンティ シャンティ」 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-04-30 10:21:19)(良:2票)
1.人類の滅亡が、子供が生まれなくなることによって生じるという、この映画の最大の強みが最後まで映画全体を牽引し、見事な感動SF巨編に仕上がったと思う。SF巨編といっても、アルマゲドンなどのようにお粗末な作り方がされていないのは、やはり秀逸な長回しのカメラワークによるところが大きいような気がする。確かに、長回しを多用し、リアルタイムに主人公の視点を追うという試みには、物語の細部において消化不良というか説明不足な点が多々出現する。しかし、その部分が脆弱になっていないのは、カメラの息づかいに主人公と我々観客の息づかいが呼応して生まれる、ある種の臨場感によるところが大きいと思う。そうした臨場感によって我々は状況がよく飲み込めないにもかかわらず、いきなり戦場に放り出された主人公に思わず自分を重ね合わせてしまう。つまるところ、この映画の秀逸なカメラワークにはマイナス面を払拭し、SF的な世界へと我々を引き込む力があり、それに加えてセットなどの美術面でのこだわりがより一層この映画の世界観の構築に強度をもたらしているのである。また、この映画の設定のシンプルさと意外性は、全人類に問題を突きつけるとともに、新しい命の尊さを実感させると言う効果を発揮している。よって、テーマ的には非常に奥が深いものの、それが前述したように、カメラワークと伴い、スピーディにリアルに、そして実にSF的に描かれている。とにかく、物語設定と技術面において非常に高度な次元での融合が成し遂げられている恐るべき映画である。 【ジャザガダ~ン】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-04-22 05:28:05)
マーク説明 |
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【点数情報】
Review人数 |
138人 |
平均点数 |
6.25点 |
0 | 2 | 1.45% |
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1 | 3 | 2.17% |
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2 | 5 | 3.62% |
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3 | 12 | 8.70% |
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4 | 12 | 8.70% |
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5 | 11 | 7.97% |
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6 | 22 | 15.94% |
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7 | 27 | 19.57% |
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8 | 20 | 14.49% |
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9 | 11 | 7.97% |
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10 | 13 | 9.42% |
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【その他点数情報】
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