みんなのシネマレビュー

この世界の片隅に(2016)

In This Corner of the World
2016年【日】 上映時間:129分
ドラマコメディ戦争ものアニメ漫画の映画化
[コノセカイノカタスミニ]
新規登録(2016-10-20)【ユーカラ】さん
タイトル情報更新(2024-01-27)【Cinecdocke】さん
公開開始日(2016-11-12)
公開終了日(2017-09-15)


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監督片渕須直
演出新谷真弓(広島弁監修)
のん北條すず
細谷佳正北條周作
小野大輔水原哲
潘めぐみ浦野すみ
牛山茂北條円太郎
新谷真弓北條サン
小山剛志浦野十郎
京田尚子森田イト
佐々木望小林の伯父
塩田朋子小林の伯母
三宅健太ばけもん
喜安浩平
原作こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)(双葉社 週刊漫画アクション 2007年‐2009年連載)
脚本片渕須直
音楽コトリンゴ
佐々木史朗〔音楽・アニメ製作〕(音楽プロデューサー)
作詞コトリンゴ「たんぽぽ」
こうの史代「みぎてのうた」
片渕須直「みぎてのうた」
サトウ・ハチロー「悲しくてやりきれない」
作曲コトリンゴ「みぎてのうた」/「たんぽぽ」
加藤和彦「悲しくてやりきれない」
飯田信夫「隣組」
編曲コトリンゴ「みぎてのうた」/「たんぽぽ」「悲しくてやりきれない」/「隣組」
主題歌コトリンゴ「みぎてのうた」/「たんぽぽ」/「悲しくてやりきれない」
挿入曲コトリンゴ「隣組」
製作朝日新聞社(「この世界の片隅に」製作委員会)
東京テアトル(「この世界の片隅に」製作委員会)
東北新社(「この世界の片隅に」製作委員会)
バンダイビジュアル(「この世界の片隅に」製作委員会)
双葉社(「この世界の片隅に」製作委員会)
MAPPA(「この世界の片隅に」製作委員会)
Cygames(「この世界の片隅に」製作委員会)
企画丸山正雄
プロデューサー真木太郎
制作MAPPA(アニメーション制作)
配給東京テアトル
作画松原秀典(キャラクターデザイン・作画監督)
美術こうの史代(劇中画)
男鹿和雄(背景)
武重洋二(背景)
録音柴崎憲治(音響効果)
片渕須直(音響監督)
東北新社(音響制作)
その他本郷みつる(クラウドファンディングで支援してくださった皆様)
小林靖子(クラウドファンディングで支援してくださった皆様)
あらすじ
広島に暮らす18歳のすずに、ある日突然縁談話が持ち上がり、彼女は戸惑いながらも軍港の町、呉に嫁ぐ。折しも太平洋戦争は激化、呉の町への空襲も日に日に激しくなる中、周囲の人々に温かく支えられながら、彼女は気丈に生きる。しかし、ついにその日はやって来た…。こうの史代の漫画をアニメーション化。すずの声を女優のんが熱演。

タコ太(ぺいぺい)】さん(2017-08-13)
全てのをあらすじ参照する

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未見の方は注意です!




【クチコミ・感想】

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51.《ネタバレ》 アニメを映画館で見るなんて、子供の頃以外は記憶にないが、「君の名は。」とこの作品だけは見る気になった。
見てみると評判通りの佳作。日本昔話に出てきそうな朴訥でほんわかした雰囲気。
そんな中で絶対幸せになるしかないと思える主人公が、戦争で悲惨な目に遭う衝撃。
ほんわかした声や画柄と、シリアスなストーリーのミスマッチにやられた。
それでいて陰惨に終わるのではなく、最後に救いもあるので後味は良い。
ただ、そこまで深く感情移入はできなかった。 飛鳥さん [映画館(邦画)] 7点(2017-03-01 21:09:09)

50.《ネタバレ》 ネットでとてつもない高評価。絶賛の嵐!
さぞ凄い映画かと思い原作未読予備知識ゼロで見に行きました。見た正直な感想…ガッカリです。
ハードル上げすぎました。言うなれば「雰囲気良作」と言った所でしょうか。
まずはマイナス点から。私にはのん(能年玲奈)がアニメに馴染んでいないように思えた。
感情表現の場面で力不足、すずのキャラクターを超えてのんが顔を出す。広島弁も残念。

肝心の物語の方は、あの時代にすずのように暢気で居る事を回り(時代)が
許容するかと言うツッコミはさておき。
この映画は物語要素が少なく仮想的事実の羅列のため具体的評価が難しい。
絶賛されているが具体性のない抽象論が目立つのは物語として褒める事も難しいからだ。
中身の無い実話やドキュメンタリーを善し悪しで語るのが難しいのと似ていて
「戦争・広島」の手前、批判はしづらいが、あえて物語の部分だけを抽出すると
中途半端で煮え切らない恋物語に危機感を持たず生きていたせいで吹き飛ばされた手。
主人公は子供を授からず似た境遇の孤児を受け入れた、そういう事が薄く表現されているだけ。
原作を紐解けばこの映画がなぜ薄いか理由が見える。

例えば遊女、白木リンとの話がほぼ全カットされている。
周作は白木リンを好きで居ながらも遊女との恋より母を安心させるためにすずと結婚した。
それを悟ったすずは周作に心を許し切れて居ない。その前提が全く描かれて居ないので、
突然幼なじみの男を別の納屋で二人で寝かせるような理解不能な描写になってしまう。
「ありがとう。この世界の片隅にうちを見つけてくれて」 と言うセリフも
互いに違う相手を思いながら結婚を選んだ周作とすずが戦争や様々な出来事と
長い時間を経て本当の意味での夫婦になっていったからこそ重みのあるセリフであろう。
ある程度カットなら脳内補完も可能だっただろうが全カットされてる時点で
ただ、暢気に生きたすずと一途な周作と言う薄っぺらな話になってしまっている。

原作物を映画するとき、限られた時間の中で伝えたいメッセージやテーマを絞って
何を伝えるかが監督や脚本の腕の見せ所でありそれが映画の評価だろう。
この映画は、原作の描きにくい部分、汚い部分はカットし無難で表現しやすい部分だけを
時間の枠に目一杯詰め込んだだけの映画でしかなく結果それが深みを失い薄っぺらく
何を表現したいのか、見る側の感性に丸投げにしている感が否めない。
これ自体を映画として最良としてしまうと否定も肯定も出来ないこのような映画は
舞台と設定をちょっと変えれば、いくらでも話が作れる気がします。
他の作家や脚本家が観客を楽しませるアイデアを必死で絞り出したような作品こそ私は評価したい。

またクラウドファンドの出資者は映画の最後に名が刻まれる訳で贔屓目で作品を広める事でしょう。
この映画を否定される事は自分が否定されるような気持ちにすらなると思う。
事実、無名だったこの映画はSNS、口コミで拡がったと評判だけど
その実態はクラウドファンド出資者が結成した応援団だ。
お金を出して貰った上に応援団にし宣伝させてしまう、このシステム。
AKBのCDの販売数を伸ばす商法を思い出し複雑な思いが残る。
資金難で苦しむ作り手の救世主となるべき物だが名前まで出すのはいかがな物か。

あと、この映画の山場すずが玉音放送により終戦をしり慟哭の理由は
力によって朝鮮等から搾取していた日本が力によって米国に屈した事実を知って泣いている。
もちろん涙の理由はそれだけの単純な物ではないだろうが、ちょっとしらける。
敗戦直後の太極旗はカットでよかった。原作とセリフを変えたのもカットしなかったのも
政治的意図を取り除きたかったらしいが…せっかく極力政治色を排除しているのでね。
この映画に被害者意識も加害者意識も似合わない。

最後に良い点。事実と異なる事があるとしても内容が反戦であるとか戦争賛美と言うのが
戦争映画には評価としてつき物ですが、この映画にそのメッセージがあまり感じられません。
戦争の悲惨さを強く打ち出すような事はせず、かといって身内が戦地で特攻し涙を誘う訳でも無い。
戦争で広島と言えばどうしても外国人には色眼鏡でみられがちですが
政治的色を消す事により見て貰いやすい仕上がりになっている。
プロパガンダ色が強くないこの作品だからこそ、広島の話の入り口として
諸外国の人に見て貰いたい映画なのかと思いました
そういう点を考慮して前レビュー投稿では点数を甘めで投稿していたのですが
色々見つめ直した結果、皆が高評価なので気を遣うこと無く素直に思う点数に下方修正しました。 デミトリさん [映画館(邦画)] 3点(2017-02-23 13:05:12)

49.《ネタバレ》 辛い現実に何度も直面し遂には実家に帰ろうとしていたすずが「この家に居させて下さい」と言ったあたりから何故か涙が止まらなくなった。戦時中と現代では全く状況が違うが、誰でも自分が今置かれている生活圏の中で精いっぱい頑張らないといけないということは今も昔も同じなんだと思わされた。お涙頂戴ではなく、悲しみの先にある明るさがほんのり見えるラストに救われた。 mickeyさん [映画館(邦画)] 10点(2017-02-19 22:47:27)

48.あの日はこの作品の一つの出来事でしかない。すずという一人の女性を通して、あの時代の生活、空気感というものが伝わってきた。あの時代を生き抜いてきたからこそ今があるという事を忘れていけないと思った。 Yoshiさん [映画館(邦画)] 6点(2017-02-15 20:08:29)

47.《ネタバレ》 戦時中の広島・呉の片田舎を舞台にしたホームドラマ、アニメ。前半は戦争を主題にせずフツーの日常を描くが、ほのぼのしすぎて冗長。空襲が激化するにつれて徐々に引き込まれていく。失った右手と義姉の娘。戦火にて愛を再確認するフタリ。良作の域ではあるが、評判ほどではねえな。 獅子-平常心さん [映画館(邦画)] 7点(2017-02-12 04:35:02)

46.《ネタバレ》 原作漫画は未読で年末に観に行った。観終わった後すぐに原作を注文していた。年が明けてから近くの劇場に監督が舞台挨拶に来ると知りまた観に行ってしまった。舞台挨拶なんて地方に住んでいる自分にとっては初めての経験だった。まさかパンフレットにサインまでもらってしまうことになるとは思いもしなかった…。

淡々と紡がれていく日常。しかしテンポは異常な程に良い。すずという少女の虜になった観客は食い入るようにスクリーンを見ることになるだろう。この作品は完成まで7年を要したという。資金不足という面もあっただろうがそれだけの膨大で緻密な調査が行われている。すずという女性をリアルに身近にいるように描くにはどうすればいいか。この一点に監督の力が注がれている。一人の女性の日常をそのように描くことができればその日常を歪にしていく戦争をも描き出すことができる。その信念や姿勢が作品から伝わってくる。

タンポポのように流されるがまま生きてきたすず。絵を描くことが好きで得意の彼女は言葉ではあまり語らず絵で想いを発しているように思える。しかし、戦禍で右手を失った彼女は次第に言葉を紡ぎ始める。そして多くの葛藤の末に自分の居場所を確認する。「やっぱりここへ居らして貰えますか…。」その直前の義姉との和解の瞬間、訪れる閃光に息を吞む。直接的な惨状は描かないが強い印象を残す。「治るよ。治らんとおかしいよ。」妹の腕にできたしみ。それだけで我々には伝わる。終戦の日のすずの怒り。自分たちがいつの間にかなんとか適応してしまっていた戦争が、たった一つのラジオ放送で終わりを告げるようなものだったことを知り憤る。放送が終わった時には涼しい顔をしていた義姉の径子が隠れて失った娘の名を呼び慟哭する姿はとても堪えた。戦争が終わっても日常は続く。白い米が見えんと灯火管制の布をはがした時本当の日常が戻ってくる。たったこれだけの当たり前のことができないのが戦争というもの。日常を丹念に描くことで戦争というものを浮かび上がらせ突きつけてくるのだ。何度も。

この作品を見終わった後に感じたもの。反戦、何気ない日常の大切さはもちろん感じる。だがそれ以上に感じたのは人間というものがなんとも健気で、したたかでしぶとく、そして愛おしいものか。何か知らない行列に並び占領軍の残飯雑炊をすすり「うま~」と思わず口に出してしまうシーンは庶民のたくましさと愛らしさが同居しているシーンだ。その人間たちに命を吹き込んだ声優陣も素晴らしかった。コトリンゴが紡ぎ出す音楽、歌もこれ以上にないくらいこの作品に寄り添っている。彼女の歌とともに描かれるラストの孤児のエピソードに圧倒された。戦争によって失った右手が引き寄せる新たな縁。「どこにでも宿る愛-。」新たな居場所を見つけ出した少女が北條家に何をもたらすか。観客は希望を持ってそれを想像するに違いない。

もちろん原作漫画が傑作であったのは大きかったと思う。しかし、それに惚れ込んで長い時間をかけ作品を育てていった監督やスタッフには敬意払わずにはいられない。アニメーションだからこそ作り出せた人間賛歌。堪能させていただきました。 さん [映画館(邦画)] 10点(2017-02-11 03:28:18)(良:4票)

45.《ネタバレ》 淡い色彩、素朴な人物画、正確に緻密に描き込まれた戦前の広島の街並。大変美しいアニメである。柔らかく耳に響く広島弁も心地良かった。
最も美しいのは、すずや周囲の普通の人たち。朝には出勤し、かまどで炊飯し、洗濯をして畑の世話をする。生活のための仕事を当然のようにせっせとこなす普通の営みが、戦時下においてはとても輝かしく尊く感じられる。
細やかにユーモアを交えて描かれる人間関係。スパイを疑われるすず、このご時世であるから緊迫の北條家かと思いきや「憲兵さんは何もわかってないのよ」と皆でネタにして大笑い。つられて笑った。生活感のリアリティは気温まで伝えてくる。冬には手がかじかみ、夏はうだるような暑さ。「今日も暑いわねえ」20年の8月、あの日も暑かった。
この美しい人たちを破壊した戦争という「暴力」を憎まない人間がいるとは思えない。エンドロールが流れる中、席を立てずにただ鎮魂を祈っていたのは私一人では決してないだろう。声高に叫ばないが、強く強く心に反戦を訴える力のある映画だ。

私は声優という職業はプロの領域だと思っているので、役者であってもあまり歓迎しないのだが、本作のヒロインの声を担ったのんはすずに魂を吹き込む見事な演技をした。ぴったりだった。 tottokoさん [映画館(邦画)] 9点(2017-02-09 00:51:55)(良:1票)

44.公開から約3ヶ月遅れで地元の映画館でも上映された。
前半は「昭和嫁入り物語」みたいな感じで気楽に観られるのだが、戦争・原爆を意識せざるをえないため、
どうしても緊張するよね。
矛盾してるけど、笑いながらも悲しいみたいなのがずっと続く感じ。
後半になって戦火が激しくなっても淡々と日常が描かれる。
観て良かったなあと思えるし、延々と反芻できる映画です。 おとばんさん [映画館(邦画)] 9点(2017-02-06 22:42:11)

43.《ネタバレ》 「また見たくなる映画」という類の映画では無いが、稀有のクオリティ、バランス。絵、アニメーション、テンポ、脚本、演出、音楽、声優、それらが全て調和していた。戦争は舞台であって、描いたのは主人公の人生と、人の在り方だったように思う。でも、それが見たければ原作を読めば良いだけのこと。この映画では、ただただ、能年玲奈の演技に圧倒された。彼女は琵琶法師の如く、自分を無にして物語を伝える力を持つが故、意図されたパワーが減衰せずにダイレクトで響く。いや、増強すらされている気もする。現代にクラウドファインディングがあって良かった。拍手。
コトリンゴの「悲しくてやりきれない」も、他のアーティストに劣らないとても良いカバーだった。バークリー音楽院卒だからというわけではなく、彼女の才能なのだろうと思う。

【追加】原作を読み直したが、いくつかの場面でアニメは原作を上回っていると感じた。もしかしたらこの監督は…すごい監督なのかも知れない… よこやまゆうきさん [映画館(邦画)] 10点(2017-01-28 18:21:08)(良:1票)

42.家族みんなで観れる良作です。戦争映画にありがちなバッドエンドでないのがいいです。
死んだ私の曾祖母などの話では、現実的には『火垂るの墓』とか『キャタピーラー』、『はだしのゲン』が近いのでしょうが。
すずさんは右手を失ったとはいえ、家族が比較的みんないい人でほのぼのして、こんなんで戦時中をよく生きていたなと思います。
まあ、戦争映画にありがちなドロドロ感、グロテスクさ、救いようのなさがあまりないのはこの作品の特徴です。
前向きで元気にになれる最近では珍しい作品です。 SHOGOさん [映画館(邦画)] 9点(2017-01-22 15:48:11)

41.《ネタバレ》 ​一番その世界から離れていそうな人がふとした瞬間から世の中の不条理や理不尽に嫌でも向き合わなきゃいけなくなる。
前半まるでなにか明るいバリアに守られているような気がするが、そんなものは無い。ただただ「ふとした瞬間」どうしようもない理不尽がやってくるのだ。
その残酷さが、その後に残った間がとにかく心に刺さる。
それでも毎日は続く。泣いてばかりもいけないし、落ち込んでもいられない。
とにかく笑って生きていかなきゃいけない。生きていかなきゃいけないのだ。 えすえふさん [映画館(字幕)] 8点(2017-01-20 18:17:00)

40.このような人間が現実に存在するだろうかと思えるほど、すずの性格は柔和で温厚だ。
決して裕福な暮らしではないが、彼女が感じているのは幸福感しかないように思える。
映画の中ではあるが、すずさんに出会えてよかった。

原作未読でもあり、テンポの速さに時折「???」となるところはあった。リンとの出会いのシーンもやや唐突さを感じる。
すずの描いた絵が背景とオーバーラップしたりする表現手法は単調になりがちな田舎の光景をドラマティックに変化させる。
必要以上に書き過ぎず原作の雰囲気を壊さぬまま映画化したというのは実はとても大変な仕事ではなかったか。

戦争を体験してない世代が言っても説得力はないが、平和であり物質的に恵まれている現代の人々が当時の人々より幸せであると言い切れるだろうか。
すずの笑顔を見るたびそのような思いに駆られる。
  banzさん [映画館(邦画)] 8点(2017-01-17 21:45:06)

39.《ネタバレ》 あの時あの人と結婚していれば、繋いだ手が反対だったら、8月6日もう少し早く広島に帰っていれば...。
問題の大きさや深さは比べ物にはならない。
でもそれは現代の日本に生きる自分と何も変わらない、尽きる事のない後悔と良かったの連続。そしてそのどちらとも割り切れない感情。
あの時違う学校に入っていれば、告白していれば、あの会社に就職していれば。
それが「自分で選んだ道の結果=径子」であるか、「流されて辿りついた場所=すず」であるかは分からない。
結果がどうであるにしろ、2017年私は今いる場所で今ある現実を生きていく。
人生に対する普遍的なメッセージもさることながら、それを語る語り口も鋭くスマート。
同一アングルのショットを経時的に映すことで、街並みの変化を捉え、食事の内容や食卓を囲む人々の変化を通して、戦況、社会情勢を語る。
そしてその食事を摂るという行為が、そのままどんな状況であっても「生きる」という強烈なメッセージをも提示している。それは、他の日常生活動作を通じても伝えられる。荷物を持ち上げ運ぶ、歩く、走る、話す、洗濯をする。そして自然である草、木、空、水、虫、鳥。
それら全てが細やかに身体性を伴い実在感を持って描かれる為、生の尊さがより際立つ。
そして主人公すずの魅力。すずにとっての絵を書くという辛い現実を和らげる行為、生きていく術。それは周り(周作や晴美や水原)をも動かし癒していく。それを為す右手は失くしても、頭の中で自由に絵を描いていくその姿はあまりにも強くたくましく、優しかった。 ちゃじじさん [映画館(邦画)] 10点(2017-01-17 02:48:05)(良:2票)

38.すずさんに流れる時間が本当に心地よいし、掛け替えのない登場人物たちの魅力に尽きます。昔の人は本当にあんな暮らしをしていたのだろうなぁと今までにないリアリティを持って思いを馳せてしまいました。人間なんてきっと、全ては振り返れば、の範疇で生きているのかも知れませんね。当事者は今が酷い戦争の只中なんだ、バブルなんだ、不況なんだと気付かずに今をひたすら一所懸命に生きているのでしょう。
一般に言われる「泣ける映画」ではありません。テンポが良過ぎて泣く暇がありませんでした。でも素晴らしい作品ですよ、本当に。鑑賞後、戦艦武蔵のドキュメンタリーが放送されていたので見入ってしまいましたが今までに無い程胸が痛みました。 Kの紅茶さん [映画館(邦画)] 9点(2017-01-15 00:10:49)

37.キネマ旬報で第一位となったらしい。興行成績でいえばあちらのアニメやこちらの怪獣映画の足元にもおよばない(注:2017年1月現在)この映画に。やるね、キネ旬も。 la_spagnaさん [映画館(邦画)] 9点(2017-01-14 12:32:28)(良:1票)

36.《ネタバレ》 居住する鹿児島での公開は12月ということで、実家がある福岡にて帰省がてら観賞。戦争の悲惨さを描いた映画や小説は数多くあるが、戦争中のほのぼのした日常を描いたこの映画は新鮮だった。平和で和やかな日々に静かに少しずつ忍び寄る戦争を丁寧に描き、そんななかでも力強く前向きに生きていく登場人物たちには生きる喜びにみちみちていて、観賞後は爽やかな感動がある。後半にガツンとくる描写もあるがそのバランスが絶妙でしっかりと喜怒哀楽をまんべんなく描いている。「火垂るの墓」の一方でこういった日常もあったのだと思った。
冒頭のコトリンゴが歌う「悲しくてやりきれない」ですでに泣きそうになってしまい、そして映画の後半、すずが感情を吐き出し慟哭するシーンが激しく胸に突き刺さった。
とにかく多くの人が観るべき作品であり、観てほしい作品。
それにしてもこのようなすばらしい原作のアニメ映画化が、クラウドファウンディングでしか資金集めできないという状況の日本映画界、まずくないか?商業目的のアイドルを起用した実写映画化ばかりやってる場合じゃないぞ全く。

(2017/1/14 追記)
観賞後にもじわじわ感動が広がっていき、日常生活を送るなかでこの映画を思い出すことが多くなった。鹿児島での公開も始まったので二度目の観賞。
本当に素晴らしい映画。
この映画は現代を生きる私たちと地続きになっている。 eurekaさん [映画館(邦画)] 10点(2017-01-14 09:42:18)(良:1票)

35.《ネタバレ》 原作が好きで、アニメ化されることが分かったときは「また余計なことを」と思ったのですが監督、スタッフの皆様すいませんでした。
久しぶりに好きなアニメ映画ができました。
なによりいかにもな声優声がないのが私としては非常にとっつきやすかった。
のんって名前には違和感はありましたが、すずさんにマッチしてました。
アニメの声を役者があてると非難されがちですがいいじゃないですか。
しかし能年玲奈なのにすず。
いや別にいいんですが。
レトロに見せかけて表現や演出で今まで観たことのないような試みがなされているのも良かった。
今風のアニメとは違うまた別の新しいアニメの形を観せてくれました。
今風のアニメはそれはそれでいいと思うのですがこの映画のような流れがもっとあっていいと思うし、私は観たいです。 CBパークビューさん [映画館(邦画)] 9点(2017-01-14 01:30:06)(良:1票)

34.《ネタバレ》 それは、川を流れる船の「片隅」から見上げた光景から始まる。
雲が流れ続け無限に拡がる青い空。果てしなく続くその姿は最初から最後まで「誰か」を刺激し、「誰か」が描く絵、絵、絵で語り続ける映画だ。

心の中で繰り返される「誰か」の感情と想いは、夥しくため込まれ爆発する時を待つ。

橋の上で放り込まれた先での出会い、夜になったらおやすみ、夢のような一時、スイカが繋ぐ出会い。

紙も板切れもノートも地面も何でもキャンバスにし、水平線を引き描いて描いて描きまくり記録されていく風景、顔、月日、年、思い出。

彼女が描く絵は生き物のように動き出し、白波が海を走れば波は兎になって海原を駆けて行く。

思わずクスクス笑ってしまう微笑ましい光景の数々、いくらドジをやっても笑ってくれた平和な日々、結婚しても後退と接近を繰り返す恋愛が少女を大人の女性に変えていく、愛のある拳骨、思わず申し訳なさそうに目をつぶり笑ってごまかす反応、絶対に笑ってはいけないクソ憲兵との“にらめっこ”戦時下の人々に光をさす闇市、幼い頃の記憶が蘇る再会、紙に溢れる甘いもの、夢や希望。

どんなに世界と人が変わろうが、女たちは“抗う”ことをやめない。
風呂に浸かり、汗を流し、飯を喰らい腹に詰め込み、服を仕立て直し、水の入ったバケツを担ぎ上げ、紙を奪われたら新しい紙を貰い続け、手を握り、引き連れ、腕を振り回し、歩いて、歩いて、歩き続ける。

着物を被り隠す黒髪、誰かに何かを打ち明けたくても言えないものを背負い込むうなじ、白く輝き日に焼けたりもする細腕、脚、口紅をさす唇、おしろいを塗りたくったり引っ張られたりする頬、顔。

料理くらい誰かに教える気分で、楽器でも弾くように楽しく作りたい、二人きりになったらキスくらいしたい。身を寄せ口づけを求めるのは、好きなのかどうか確認するため。両腕を布団にぶつけながら吐き出される複雑な想い。

やがて訪れる地面を曇らせる飛行機の影、戦争の音、警報が鳴る/鳴らないで変わってしまう警戒心。
死が迫り来る状況でも見つめ続けようとする絵描きの性(さが)。爆撃機が鳥の大群のように空を覆いつくし、炸裂する砲撃や爆弾の煙さえ、彼女にとっては格好の題材になってしまうのだろう。

男たちはそんな女たちに覆いかぶさり、抱きしめ守ろうとする。破片や機銃掃射が雨のように降り注ごうとも。頼まれなくたって生きて欲しいから。

終盤まで、空襲で焼かれた遺体といったものは徹底的に描かれない。あえて「見せない」方がかえって想像してしまい恐ろしいのだから。
波間を漂う帽子、“鬼”の石ころ、血まみれの服、ぽっかり空いた穴が誘う“死”、届かぬ声、閃光、振動、木に引っ掛かる飛んできたもの、座り込んだ「あの人」は誰だったのだろう。

暗闇で輝き散っていく白い花火、ひらひら舞っていく繋がった腕、花畑まで駆け込み微笑んで欲しかった“もしも”、もっと描きたかったもの、撫でてやりたかったもの。

布で覆い被してまで見せなかったものを「見せる」のは、戦争の悲惨さを伝えるためではない。どんなに傷つこうとも最後の最期まで抗おうとする人間の姿を「描く」ためだ。

生きる意思を放棄したはずの者が、燃え盛る焔を見た瞬間に無我夢中で叫び、逃げ続けるのを止め、何度もつぶってきた眼を見開き、布団を投げ飛ばし、体を投げ出すように火に飛び込み、倒れても這い上がり、バケツに入れぶちまけられる感情の爆発!!
心の溝を埋め距離を縮める歩みより、手助け、会話、髪を切る決意を語る瞳、「何処までも飛んでいけ」と追いかけ突っ走り、耐え続ける“理由”が無くなった途端に溢れ出る怒り、悔しさ、涙。

その姿は、幼い心にも焼き付いて離れないものとなって蘇る。
片腕が吹き飛びガラス片が幾つも突き刺さろうが手を握り、引き続け歩き続けようとした姿、座り込んでも…いや死してなおも庇うように。
子供も眠っているだけかも知れない、まだ生きているかも知れない、あるいは認めたくないからこそ必死になって群がる蠅を払い続ける。それを受け入れざる負えない流れ出る“死”。

失ったものを求めてさまよって、歩いて、歩き疲れた先でたどり着き、“見つけた”者と“探し続けた”者が地面に転がった飯の塊で結びつく。
女は黙って腕にすがりつく子供に隣を許し、暖かく迎え入れてしまう。

何も無くなったというなら、空で輝き続ける星の海を見つければいい、灯りを灯して暗闇を照らしなおせばいい。
居場所が無ければ探し、見つからないなら見つけ、作ってやればいい。
「なくなった」はずのものが釜を抑えながら飯をこさえ、「いなくなってしまった」ものを描き続ける。それは、こうの史代の想いでもあるのだろう。 すかあふえいすさん [映画館(邦画)] 9点(2017-01-12 00:47:05)(良:4票)

33.《ネタバレ》 例えば「2人分の芋ご飯」。語らずとも、伝わることはあえて触れない流儀が徹底されています。観客の考える力を信用している証拠。イチから十まで説明されたり、監督の主張を一方的にまくし立てられたりすると正直げんなりしますが、本作では監督と観客が同じ目線で共に在り、信頼関係を築けている感覚がありました。それゆえ、気構える必要がなく、水に砂糖が溶けるが如く(!)、心にお話がすっと入ってきた気がします。食事、兄妹の上下関係、家のお手伝い。天井の木目に手を伸ばした幼き日。日々の暮らしを丁寧に描いてくれたことも感情移入を助けました。すずの日常は、私たちのそれと同じだと素直に思えたのです。ですから「戦争」も決して昔話や特別な出来事ではなく、人生で起こりうる「災難」と捉えることができた気がします。言うなれば自然災害、事件、事故、病気と同じ。「反戦映画」でありながら説教臭さが微塵も感じられない理由はここにあると考えます(戦争の悲惨さに焦点を当て、観客を思考停止状態にして反戦を訴える手法とは真逆のアプローチです)。嬉しいコト、楽しいコト、辛いコト、どうにもならないコト、悔やまれるコト、死にたくなるコト、いろんな思いを抱えて、私たちは、この世界の片隅で生きている。いや、生かされている。愛し、愛されながら、命を減らしていくのです。こんな当たり前のこと(反戦も含めて)、上から目線で力説されても、素直に耳を傾けることなんでできません。だって生まれながらに(恥ずかしながら)あまのじゃくですから。でも、アニメで、あの画で、のんさんの声で、嫌みなく語られたら、心に響かないはずありません。人生がいとおしくなる映画でした。私は子供の頃、父から『十ニ人の怒れる男』を教えてもらい、世の中にこんな面白い映画があるのかと驚きました。そして父になった私は、3人の娘に本作を見せてあげたいと思います。この映画には、私が子供たちに伝えたい大切なことが詰まっているからです。 目隠シストさん [映画館(邦画)] 10点(2017-01-11 06:47:06)(良:5票)

32.《ネタバレ》  2016年は本当に良い映画に出会えた年であった。「シン・ゴジラ」を見たときに、庵野秀明監督の素晴らしい実写作品に今年はこれで決まりと思ったのも束の間、今なお記録を塗り替えている新海誠監督の「君の名は。」が素晴らしい作品で思わず2回見ることになった。◆しかしこの2作品すら霞ませる作品が姿を見せた。「この世界の片隅に」という控えめなタイトルと水彩画のような淡く上品な絵柄をまとうこの作品、しかしその中身は見る人の心を揺さぶる傑作である。◆舞台は第二次世界大戦中の広島。この設定だけで身構える人がいるだろうが、その必要は全くない。主人公であるすずとその周りの人たちは、配給が少なくなろうと、空襲が来ようと、憲兵にいびられようと、日々の暮らしを淡々と過ごしていく。時に慌てながら、そして笑いも交えながら。たとえ戦中でも、人々の営みは何ら変わらないし、変えられないのだ。ある日不意に訪れる不幸。でも、すずはただ、前を向いて歩んでゆく。ただ、それだけのお話。◆見た後に残る思いは人それぞれだろう。自分の場合は、家族4人が毎日無事に一つ屋根のもと過ごせることの幸せを改めて実感させてくれた。そして、震災や災害の後、悲しみに耐えながらも歩み続ける人々の思いを代弁してくれているようにも思えた。◆大きな災害が起こる度に、海外の方から日本人が賞賛されるのだが、自分自身なぜそうなのか正直理由は分からなかった。しかし、この映画に、答えがあるような気がするのだ。守りたいのは、国のメンツでも、海外からのイメージでもない。日々の暮らしと、大切な家族、それだけなのだ。そして、このことは、この世に生を受けた者すべての想いのではないだろうか。◆国内のみならず、多くの国の方に見て欲しい、そして、世界の片隅で日々紡がれる生活が壊れないように考えるきっかけになれば良いなと思う。今まで見た映画の中で、ベストと言って良い作品。 ばびぃさん [映画館(邦画)] 10点(2017-01-10 02:11:00)(良:3票)

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【点数情報】

Review人数 151人
平均点数 8.20点
010.66% line
100.00% line
200.00% line
310.66% line
442.65% line
595.96% line
695.96% line
72113.91% line
82516.56% line
93724.50% line
104429.14% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.46点 Review13人
2 ストーリー評価 9.26点 Review19人
3 鑑賞後の後味 9.05点 Review20人
4 音楽評価 8.81点 Review16人
5 感泣評価 9.12点 Review16人

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