みんなのシネマレビュー

鰯雲

1958年【日】 上映時間:130分
ドラマ小説の映画化
[イワシグモ]
新規登録(2005-10-31)【放浪紳士チャーリー】さん
タイトル情報更新(2014-09-07)【S&S】さん
公開開始日(1958-09-02)


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監督成瀬巳喜男
助監督須川栄三
森谷司郎
キャスト淡島千景(女優)八重
新珠三千代(女優)千枝
小林桂樹(男優)初治
加東大介(男優)村役場の助役
中村鴈治郎(二代目)(男優)和助
木村功(男優)大川
司葉子(女優)みち子
杉村春子(女優)とよ
清川虹子(女優)タネ
水野久美(女優)浜子
織田政雄(男優)大次郎
賀原夏子(女優)やすえ
本間文子(女優)
佐田豊(男優)
毒蝮三太夫(男優)(クレジット「石井伊吉」)
大塚国夫(男優)順三
太刀川寛(男優)信次
見明凡太朗(男優)白瀬
長岡輝子(女優)半原の宿の女将
山内賢(男優)
飯田蝶子(女優)ヒデ
伊東隆(男優)四郎
三田照子(女優)「千登世」の女中
脚本橋本忍
音楽斎藤一郎
撮影玉井正夫
製作藤本真澄
東宝
配給東宝
特撮東宝技術部(特殊技術)
美術中古智
編集大井英史
録音藤好昌生
宮崎正信(整音)
照明石井長四郎
その他東京現像所(現像)
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2.成瀬のフィルモグラフィーにはときどき変種が紛れ込んでいて、おやっとさせられる。戦前にはプロレタリア作家徳永直の『はたらく一家』を映画化しており、その「おやっ」という違和感を成瀬の世界にしていく面白さがあった。ときに「合わないだろう」という脚本家と平気で組んで(会社の方針には逆らわない主義なのか)、菊島隆三脚本の『女が階段を上がるとき』を代表作にしてしまう。あと「合わないだろう」は、本作と『コタンの口笛』の橋本忍だ。どちらも原作ものだが、こっちは農民文学の人。都市の近郊農家の難しさとか、若い世代の農業離れの問題とか、成瀬的とは言えないテーマである。そのなかから「滅ぶものの唄」を引き出していく。鴈治郎が淡島千景に「みんなあんたの言ったとおりになる」とぼやくあたり、農民文学のなかから成瀬的なものが匂いたつ。土地の相続の問題、土地を平等に子どもに分割していったら、農業ってものが成り立たなくなっていってしまう、というけっこうシビアな問題も見据えている。「自分の生き方が現代と合わなくなってきている、でもそういう生きるしか道がない」というこの時代の農業従事者の苦衷が、成瀬的に、ということは半分諦めながら、しみじみと伝わってくるのだ。 なんのかんのさん [映画館(邦画)] 7点(2012-11-18 09:21:46)

1.成瀬監督の演出に精彩を欠くといった印象もあるんですが、何より、この題材は素晴らしい。昔ながらの封建的ともいえる掟に従い頑なに守ってきた地主が、戦後の農地改革によって変貌していく、いかざろう得ない。
家長の葛藤、対する各人の意思を尊重すべし子供達との対立がスクリーンから静かに感じられる。脚本・原作がとても素晴らしい。成瀬独特の<背景⇒人⇒台詞>の流れるカットは狭い日本家屋において絶大なる効果を発揮するが、広い民家が舞台ではどうか。
そのせいか、かなり淡々と演出が続く。

それでも、家長である中村鴈治郎の頑固ぶりにはじめは「敵・反体制」のようなイメージを持ってしまうが、次第に、まさに「鰯雲」のような寂しさのようなものを植えつけさせられた(ワイドカラーでの鰯雲はとても素晴らしい)。
そもそも、あまり自分から動かして作るといった印象のない成瀬監督の演出を考えると、やはり巧いんだなあと思った。
この情感は、これまでの成瀬作品では表現でき得なかった物だと思う。
サーファローザさん [映画館(邦画)] 7点(2008-09-23 23:11:52)

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【点数情報】

Review人数 7人
平均点数 5.86点
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