みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★4.《ネタバレ》 透明人間など今の感覚ではありきたりの題材のようだが、特撮映画としては円谷英二の参加もあり、大映最初の特撮??とされる「虹男」(1949)と同年の公開である。技術的には後の円谷特撮全盛期からすると普通だが、それよりネコが室内をうろつくとか犬が反応するなど撮り方での表現が見られる。無人のサイドカーが神戸の中心街を抜けて「須磨街道」を走って行くのを追う映像は面白かった。 物語としては、謎解きという面での面白味は特にない。人間ドラマは所長令嬢と所員①②の三角関係的な構図になっていて、うち本命は所員①だったが所員②も細面のイケメンで、副作用がなければ真面目な男だったろうから選択肢として遜色なく見える。この所員②がいる場所で、令嬢からあからさまな好意を寄せられた所員①が困ってしまって狼狽気味だったのは笑った。 社会的なメッセージとしては、科学に善悪はなく、使う者により善にも悪にもなる、という意味の文章が二回出る。「ゴジラ」(1954)に先立ち警鐘を鳴らした形だが、それはそうとして個人的な感覚でいえば、現代では科学という言葉自体に胡散臭さがあり、中立で無私な存在とはとても思えなくなっているので懐疑が必要と思われる。 以下個別事項: ・神戸が舞台で「元町」「三宮」「須磨」といった地名が出る。大映京都の制作とのことで、外部情報によれば実際に神戸で撮影されたらしい。「深道閣/闊天洞」と書かれた隧道は現在もあってストリートビューで見られる。なお関西弁の登場人物は1人だけだった。 ・戦後4年目の映画だが、「タカラ歌劇団」なるものの公演に「ファン少女」(配役名)が集まるなど、都会的で上流寄りの華やかな雰囲気がある。「火垂るの墓」の終盤に出た良家の子女の世界のようだが、偽の透明人間が殺された瓦礫のある場所は戦災跡地の表現かと思った。高価な宝飾品を売却するのも戦後の混乱の関係か。 ・「花くらべ狸御殿」とは何のことかと思ったが、大映映画で狸御殿シリーズというものがあったらしい。「狸御殿」という言葉は「この世界の片隅に」にも出ていたので戦中時点から知名度があったと思われる。 ・登場人物について、所員②の妹がショートヘアの歌劇団員なのは演者本人そのままのイメージと思われる。所長令嬢(妹)は女学生の屈託なさが印象的だった。所員①にはこれから超低反射素材を地道に開発してもらいたい。 【かっぱ堰】さん [インターネット(邦画)] 5点(2025-07-19 14:52:40) 3.現れないのが透明人間、と、かのピンク・レディーもおっしゃってる訳ですが(いや、阿久悠か)、その「現れないもの」をどうやって表現するか、が映画の見どころ、見せどころ。 そりゃまあ、今の映画がコレと同じことをやっても厳しいものがあって、透明人間が服を脱いでいく場面の、これでもかという合成映像感など、ちょっと目のやり場に困ってしまいます。しかしこれ、昭和24年の作品。映画のクラシカルな雰囲気の中では、こういう手作り感も悪くないもんです。それよりも、戦後早くもこんな特撮映画に取り組んでいることにも驚かされるし、単に「チャチだ」と笑っていられないような、手の込んだ特殊効果にも驚かされます。 透明猫をカメラが追いかける。何もない空間を追いかけてるだけなんですけどね。しかしいかにも、ソレっぽい。姿は見えなくとも、ピアノの鍵盤が押され、モノが倒される。何もいないかと思いきや、足跡だけが点々とついていき、それをカメラが追いかけていく、摩訶不思議な感覚とスピード感。畳みかける演出が、見えないものを見せる。いや、「見せる」以上の、臨場感。 透明人間がタバコを吸えば、周囲に煙が充満し---あれ、そしたら煙が気道の形に浮かび上がるんじゃなかったっけ?(by H.G.ウェルズ)---とにかく、「姿が見えないからこその存在感」みたいなものがあるんですね。 透明人間がモノを持ち上げ、振り回す。ヒモで吊り下げて撮影しているんだろう、とは思うものの、とてもそうは見えない俊敏な動き。いったいどうやって撮影したのか? そういう、見えないものをどうやって表現するか、に対する拘りが、結果的にこの作品を「見せる映画」にしていて、どこかサイレント映画の雰囲気を漂わせています。透明人間が登場していないシーンにすら、そういう雰囲気があって。 どういう訳か、あの隠し戸棚みたいなヤツが、妙に印象的でした。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 8点(2024-03-24 07:03:52) 2.《ネタバレ》 猫を元に戻しちゃれ 話はそれからだ 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2011-03-23 22:24:47) 1.《ネタバレ》 本作が日本で初めての「透明人間もの」映画みたいですが、出来はひどいものです。公職追放に引っかかって東宝を離れていた円谷英二が特撮を担当したことでも知られていますが、大映は本作を最後に円谷との契約を切ったので、円谷英二最後の大映特撮映画となりました。監督・スタッフや出演俳優陣は時代劇の人たちが多く、どうも脚本からして現代劇らしくないところがあります。主演は時代劇の大スター月形龍之介で、私は現代劇に彼が出演しているのを始めてみた様な気がします。もっとも龍之介以下出てくる俳優がみなセリフが時代劇調で芝居をするので、なんかいい歳した大人の学芸会を見せられてる様な気分になりました。そして意外な(?)活躍を見せるのが水の江滝子(つうか、彼女のことを知ってる人いまどれだけいるでしょうか、ましてNHKの『ジェスチャー』なんて)で、人気スターである自分のセルフパロディの様な役がらです。案外本作は水の江滝子の人気を当てにしたアイドル映画として企画されてたかもしれません(演技ははっきり言って素人並みですが)。原案には推理作家の高木彬光が関わっているのでストーリーはミステリー風にはなっていますが、「誰が透明人間になったのか」と言うトリックが映画としてのルール違反を平気で犯しちゃってるのには呆れてしまいました。 まあ考えてみれば、もし大映が円谷英二をそのまま専属にしていれば、日本の、いや世界の映画の歴史が変わってしまっただろうな。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2010-11-05 01:00:18)(良:1票)
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