みんなのシネマレビュー

ボクたちはみんな大人になれなかった

2021年【日】 上映時間:124分
ドラマラブストーリー青春ものロマンス小説の映画化ネットもの配信もの
[ボクタチハミンナオトナニナレナカッタ]
新規登録(2021-12-21)【鉄腕麗人】さん
タイトル情報更新(2021-12-30)【イニシャルK】さん
公開開始日(2021-11-05)


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キャスト森山未來(男優)佐藤誠
伊藤沙莉(女優)加藤かおり
東出昌大(男優)関口健太
SUMIRE(女優)スー
平岳大(男優)佐内慶一郎
篠原篤(男優)七瀬俊彦
高嶋政伸(男優)恩田隆行
ラサール石井(男優)大黒光夫
片山萌美(女優)いわい彩花
大島優子(女優)石田恵
萩原聖人(男優)三好英明
岡山天音(男優)
奥野瑛太(男優)
吉岡睦雄(男優)
徳永えり(女優)
原日出子(女優)
秋月三佳(女優)
脚本高田亮
配給ビターズ・エンド
ネットフリックス
美術林田裕至
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【クチコミ・感想】

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3.昨年(2021年)暮れにティザームービーを観た時点で、“予感”はあった。
ただそれ故になかなか観られず、Netflixのマイリストに入ったまま数ヶ月。ようやく鑑賞。
結論として、“予感”の通りに、少なくとも自分にとっては「特別」にならざるを得ない映画だった。

40代半ばの主人公が辿ってきた二十数年間を遡ってつぶさに描き出された映画世界は、同じ年代、同じ時代を過ごしてきた者として、まさにタイムスリップしたような感覚に包み込まれる。
僕自身は、東京という街でずっと暮らしてきたわけでもなく、二十歳前後の数年間をあの街で過ごしただけだけれど、それでも、この映画の主人公と同じ時代にあの場所で感じた空気感を思い出し、希望、欲望、羨望、絶望、あらゆる感情をひっくるめた感覚が蘇ってくるようだった。

実際は、「絶望」なんて感じるよりも前に、僕は夢半ばであの場所から去ってしまったが、「もし」あのまま憧れと願望にしがみつき、留まっていたならば……と考えると、主人公が辿った人生模様とどこか重なるようで、正直心が乱れて落ち着かなかった。

映画を彩る環境や美術や衣装、小道具に至るまで、映し出される画面のディティールを追っていくだけでも懐かしく、感慨深い。
安いラブホテルを探した夜、シネマライズの行列、「スワロウテイル」のポスター、浅野忠信が表紙の雑誌「H」、“グリコ”の娘の娼婦役と歌声、野猿、BiSH……、この映画世界の「時代」に散りばめられたすべてが、堪らなくエモーショナルだった。


つらつらと懐古的なことを並べると、世代的にドンピシャの40代のおじさんがノスタルジーに浸るだけの映画のようにも聞こえてしまいそうだが、そうではない。(と思う)
本作は、「普通の人生」という普遍的な概念の中で、思い悩み、時にもがき、時に抗うすべての人間のための映画だったと思う。

人間誰しも「フツー」というフレーズに少なからず拒否感や嫌悪感を覚える時期があるものだ。
「自分は他人とは違う」「何かができるはず」「こんなはずじゃなかった」と、焦りや後悔は、人生を通じて常に付き纏う。
でも、結果的に、ほぼすべての人は、フツーに人生を送り、フツーにその終着を迎える。
そこには、諦めもあれば、妥協もあるだろう。そして、悲劇にもなろうし、幸福でもあろうと思う。
それが即ち「人生」だ。

気が付けば46歳になっていた主人公が、コロナ禍で静まり返る深夜の東京の街で、ふと昔を振り返り、そして気づいたことは、「フツー」であることを、無意識的に恐れ、拒絶し、ないがしろにし続けてきた反面、実は知らず識らずの内に受け入れてしまっていた「現実」と、見過ごしていたその「真価」だったのだろう。
ラストシーンで主人公が発する「ホント、フツーだわ」という言葉には、過ぎ去ってしまった時間に対する後悔、「フツー」を直視することを避け続けてしまったことへの悔恨、そして、それらと同時に確実に存在していた自らの“フツーの人生”の“フツーの輝き”を愛おしむ思いに溢れていた。


「ホント、フツーだなあと思って」と悲しげに背を向けた最後の夜の彼女。
「うれしい時、悲しい気持ちになる」と涙を浮かべた最初の夜の彼女。
そこに、主人公が若かりし日に汲み取りきれなかった何かがあったのかもしれないし、無かったのかもしれない。

ボクたちはみんな大人に“なれなかった”のか、“ならなかった”のか、“なってしまった”のか、それとも……。鑑賞者一人ひとりの人生とその時の心情によって、その末尾は変わり続ける。 鉄腕麗人さん [インターネット(邦画)] 10点(2022-05-10 12:39:45)(良:1票)

2.《ネタバレ》 TV局で番組にテロップや動画を作って提供する製作会社に勤める佐藤くんにスポットを当て、彼のそれまでの人生を時間を遡って見ていく映画でした。

個人的にはそういった見せ方が全然はまりませんでした。ただただ佐藤くんの振り返りメモリーを見せられているだけで、当然のことながら鑑賞前に彼がどう言う人物かもわからない、何の思い入れもないイチ鑑賞者としてはそんな人の過去の映像を見せられても別に面白いもなんともないわけで・・・。
TVの製作現場を実際に見たことがあるわけではないのですが、まあ一昔前の1990年代くらいならあれくらいの現場は充分ありそうですね。佐藤くんの私生活にしても、よくある、とまでは言いませんがそこそこ誰でも経験がありそうな話。わざわざ映画にしてみせる必要がある話なの?というのが率直な感想です。あらすじに惹かれて鑑賞することにした映画ですが、確かにあらすじ通りのお話で、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。

この映画では何をもって、「大人になった」ということなんでしょうね。タイトルどおりであるなら、この映画の中には「大人」はいなかったということなのか、それとも社会的に成功した関口氏のようになれば「大人」ということなのか。少なくとも佐藤くんは違ったと言うことなのでしょうが、そのあたりが曖昧模糊としたままで、ただのエピソード鑑賞会になってしまいました。

まあ私自身自分が「大人になった」なんてきちんと確信して毎日を生きているわけではありません。上手に生きることは難しい、と言う意味をこの映画で確認することは出来ました。 TANTOさん [インターネット(邦画)] 3点(2022-02-14 20:15:05)

1.《ネタバレ》 本当にタイムスリップしたかのような時代背景の丁寧な作り込みがとても素晴らしく、原作以上にみっちりと詰め込まれた小沢健二要素の活かし方も秀逸。「過去があるから今がある」というありきたりな主題ではあるものの、ありきたりだからこそオッサンには色々と刺さるものがあり、深く共感出来るものがあります。

呪縛に囚われていた主人公のバックグラウンドについて、どんどん時間を遡っていくかたちで紐解いていくという、ある種の謎解きのようなストーリー運びはとても面白かったです。終盤のラジオから小沢健二の「彗星」が流れ、呪縛から開放されていく展開も本当に良く出来ています 。このあたりの流れやフェイスブックの絡みは、リアル過ぎる原作よりも映画らしくて好きです。そして何の違和感もなく95年まで連れて行ってくれる森山未來さんと伊藤沙莉ちゃんの演技力も圧巻です。

同世代みんなに見てほしいほどの好きな映画です。もっともっと評価されるべき作品だと思っています。 Fukkyさん [インターネット(邦画)] 9点(2022-02-14 02:32:46)

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【点数情報】

Review人数 3人
平均点数 7.33点
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