みんなのシネマレビュー

一年の九日

Nine Days of One Year
(9 dney odnogo goda)
1961年【ソ連】 上映時間:108分
ドラマモノクロ映画
[イチネンノココノカ]
新規登録(2005-03-08)【あまみ】さん

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監督ミハイル・ロンム
キャストアレクセイ・バターロフ(男優)
インノケンティ・スモクトゥノフスキー(男優)
脚本ダニール・フラブロビツキー
ミハイル・ロンム
音楽ジャン・テル=タテヴォシャン
撮影ゲルマン・ラブロフ
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【クチコミ・感想】

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2.『野獣たちのバラード』の監督。原子物理学者が放射線に汚染されつつ戦う姿に感動せよ、というのがおそらく当時のソ連の公式の見方。それを越えた味わいとして、興奮の瞬間とそのあとの倦怠、ってのがある。実験の高揚、秒読みとオシログラフ、しかしそれも繰り返されていくうちに、日常の背景音になってしまう。ラジオを聞きつつ、タバコをくゆらしつつ。結婚もそう。放射線を浴びてることを知って、ある種の献身的高揚から結婚するリョーリャ。その高揚も、しだいに日常の中に溶けていってしまう。どんな興奮も倦怠に移ろっていってしまう。あっさりとしたセットの空白が印象的。研究所と対比されるのが、いかにもロシア的な田舎で雲がすごい。ラスト近く、病みながら研究所へ歩き出すシーン、ここにあるのは倦怠の対極の充実。驚いて立ち止まる仲間たちを、後退移動で眺めつつカメラは上昇していく。科学における悲観論と楽観論の戦い、と見るか。あるいは大衆論もあるか(「馬鹿は間違わない」でしたっけ?)。とにかくソ連の映画は言いたいことを率直に言えない環境で作られてるから、味わいも複雑になる。これを観たときは「チェルノブイリを知ってから見ると複雑」とノートしているが、フクシマを知った今、見直してみたい。 なんのかんのさん [映画館(字幕)] 7点(2011-08-12 09:51:06)(良:1票)


1.《ネタバレ》 ダンスシーン以外ほとんど音楽的要素を排した静謐な緊張感と、主に幾何学的な建築物のラインに取り囲まれた深い構図の中、三角関係となる男女の機微が滲み出る。
その有機的なショットの連なりが素晴らしい。

モノローグによって献身と無力感の葛藤が雄弁に綴られるヒロインと、業務によって放射線被曝した男(アレクセイ・バターロフ)の寡黙と抑制との対比が、ラストのメモの切なさを増幅する。

映画の後半、夫婦となった二人は男の田舎へ帰郷する。
画面一杯の空と並木。開放的なロケーションに唯一心が安らぐ場面だ。

実家で会食中、被曝の苦痛で震える夫の手に重ね合わさる妻の手のアップ。温もりある木材の壁を背景に、別室でそれぞれベッドに横臥しながら、男の独白を聞く彼女。

そして、父親との別れのシーンの情景も忘れ難い。1本の線路上に立つ家族のロングショット。絶妙な雲の表情。列車が離れると共にトラックダウンして小さくなっていく父親の姿。
その哀惜の構図が、永遠の別離を予感させる切ないショットだ。
ユーカラさん [DVD(字幕)] 10点(2005-03-11 23:02:58)

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【点数情報】

Review人数 2人
平均点数 8.50点
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