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この子を残して

1983年【日】 上映時間:128分
ドラマ戦争もの医学もの歴史もの実話もの伝記もの小説の映画化
[コノコヲノコシテ]
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2021-04-13)【イニシャルK】さん


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監督木下恵介
キャスト加藤剛(男優)永井隆
十朱幸代(女優)永井緑
淡島千景(女優)ツモ
山口崇(男優)永井誠一(現在)
大竹しのぶ(女優)三岸昌子
神崎愛(女優)三岸静子
麻丘めぐみ(女優)山崎敏江
今福将雄(男優)平田重造
杉山とく子(女優)平田マツ
浜田寅彦(男優)青木信太郎
福田豊土(男優)佐川先生
野々村潔(男優)国民学校老教師
山本亘(男優)山本卯太郎
ひし美ゆり子(女優)誠一の妻
光映子(女優)
小森英明(男優)
原作永井隆「この子を残して」
脚本木下恵介
山田太一
音楽木下忠司
作詞峠三吉「にんげんをかえせ~水ヲ下サイ」
作曲木下忠司「にんげんをかえせ~水ヲ下サイ」
撮影岡崎宏三
製作笹井英男
松竹
ホリプロ
配給松竹
美術芳野尹孝
衣装松竹衣裳株式会社
編集杉原よ志
録音松本隆司(調音)
照明佐久間丈彦
その他IMAGICA(現像)
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【クチコミ・感想】

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5.《ネタバレ》 長崎原爆で被爆した放射線医師 永井隆の随筆を元にした木下恵介監督の反戦映画。木下監督の原爆への怒りや、永井博士に対する思いがじゅうぶんすぎるほどストレートに伝わってくる映画である。しかし、原爆が投下されるまでを描いた前半はいいのだが、被爆した永井博士のその後の人生を追う後半になると、主人公である永井博士がいかにも偉人といったような描き方がされているためか、さして感情移入が出来ぬまま進んでいった感があり、はっきり言って退屈してしまった。それに、木下監督といえば、映画にメッセージ性を込めた作品も多いが、本作ではそのメッセージ性が強すぎてなにか居心地の悪さを感じたのも事実で、永井博士がカトリックなのを強調するかのように精悍でどこか宗教的な感じがするのも個人的にはちょっと押しつけがましい。それでも前半の原爆投下までのシーンは、それまでの人々の生活が丹念に描かれている分、その生活が一発の原爆によって一瞬で破壊されることを思うとやっぱり切なくなる。本作では原爆投下シーンは永井博士の息子が遠くに光を目撃することで表現され、原爆の威力を見せつけるシーンもそれほど映像的には生々しさは感じないが、逆に原爆投下後の長崎の惨状を想像させていてこれはうまいと思った。でも、そうして見る人の想像に委ねていたと思われた原爆投下直後の長崎の惨状シーンを最後にあえて見せてしまうのはどうかと思うし、意図もよく分からず、構成としてもあまり感心はしない。結局見せるならもったいぶらずに前半で見せてしまえば良かったのにとつい思ってしまった。 イニシャルKさん [DVD(邦画)] 4点(2014-07-26 18:07:51)

4.かすかに黄色がかった色調。回想の懐かしさに、沈んだ落ち着きを与えて格調高い。長回しやゆっくりとした移動で、けっこうのどかだった戦時中の地方都市が丹念に描かれていく。この懐かしいのどかさを奪われたということが木下の怒りの原点だろうから、ここは大事。おそらく作者にとって一番思い入れが深かっただろう淡島千景の祖母を、後ろに控えさせて隠し味的にしている慎み深さもいい。この主人公にはさして共感湧かなかったが、米兵に黙って写真撮られるところなど良かった。しかし原爆映画はつくづく難しい。この大量殺戮兵器に対して、もう怒りとか憎しみとか普通の神経では計れないのだ。限度を越えた愚劣さに対しては哄笑で答えるしかないと思えてしまうのだが、それは無力な自嘲として終わってしまいがちなものでもある。そしてその無力感がまた原爆を育ててしまう。原爆が具体的に私たちの生活から何を奪っていったのかを、丁寧に想像する作品が作られねばならない。木下はそれをやろうとしたのだろう。ネックになるのが被爆シーンをどう撮るかだ。演出困難なのである。本作も木下としてはずいぶん思い切って汚れた画面を作ったと思うが、やはりちょっとしたガス爆発事故という感じ。遺体がまだ美しすぎる。記録写真にはある、人間の尊厳に対する陵辱が感じられない。フィクションで原爆映画を作る難しさはここなのだ。いくらむごたらしい遺体を造形できても、たぶん方向が違うんだろう。こしらえものが現実の歴史と拮抗する新たな地点を、劇映画作家はさらに探し続けなければならない。 なんのかんのさん [映画館(邦画)] 6点(2012-09-30 09:29:56)

3.《ネタバレ》 長崎の被爆2世の私にとっては大変貴重な映画であり、命をかけて放射線研究と治療にあたられた永井博士の生き様を描いたものである。
長年にわたり放射線を浴びたことから、脾臓と肝臓は腫れ上がり、余命幾ばくもない病床の傍ら、有名な「長崎の鐘」ほか「ロザリオの鎖」「この子を残して」など多くの書物(随筆)を書かれた。それらは妻の緑さんを原爆でなくし残された二人の子どもへの遺言ともいうべきものであった。
医師であり熱心なクリスチャンであった永井博士の平和への思いは、映画の中でも随所に見られる。そして映画の圧巻はラスト、原爆の炎に焼かれる人々の壮絶なシーンに、峠三吉の「人間を返せ」と原民喜の「水ヲ下サイ」の合唱が鳴り響く。
なお瓦礫の中を彷徨うシーンは、今年東日本を襲った大震災と重なって痛々しい。 ESPERANZAさん [映画館(邦画)] 8点(2011-08-09 17:48:42)(良:1票)

2.本来、点数などはつけられない作品。原爆被災下の人々の生活を丹念に描くだけでなく、そこからの復興によって示される人間の限りない可能性と、どんな状況下でも決して前を向いて進むことを止めない永井隆博士の強い意志の力をきっちりと映像化しているのが素晴らしい。だからこそ、最後に提示される永井博士の一言は、重い迫力をもって普遍的に我々全員に突きつけられるのである。この作品は、悲惨な被害状況を再現しただけのものでは断じてありません。その後で我々がどのように考えるべきなのか、何をすべきなのか、ということをきちんと考えさせてくれる、受け手を信頼した作品なのです。 Oliasさん [DVD(邦画)] 8点(2005-06-12 01:39:35)

1.内容が真面目で固すぎて、映画という媒体には不向き。話の持っていき方次第で映画史に残る大傑作になったろうと思われる。惜しい。 死亀隆信さん 6点(2002-12-14 13:39:10)

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【点数情報】

Review人数 5人
平均点数 6.40点
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