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コメント数 3878
性別 男性
年齢 53歳

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  怒りの葡萄 新天地カリフォルニアを目指し、ポンコツトラックに乗り込む一家の姿。その苦難の姿をただ卑屈に描くのではなく、むしろ一家をはじめとする登場人物たち各々が、活き活きと描かれ、また数々の印象的なエピソードが積み重ねられていくことによって、多層的なドラマが展開されます。見事と言う他ありません。舞台は大恐慌の時代、むかしむかしのオハナシな訳ですが、活き活きとした描写が古さを感じさせない・・・のみならず、むしろ今この時代に繋がる点が多々ありそうなのが、コワかったりもします。ある人たちは言う、太平洋戦争が勃発したのは、日本が戦争を起こすように仕向けられたからだ、と。この映画で描かれているアメリカの姿を見ていると、「そりゃそうだろ、そうせざるを得んだろ」という気がしてきます。どの国も苦しく、どの国も外へと活路を見出すしかなかった時代。国が矛盾を抱え、国民が飢え、国内に危機が巻き起こったならば、もはや「外敵」を設定するしかない。・・・で、現代、今。まさに、そういう時代、ですよね???  この映画のヒューマニズムこそ、今もっとも必要とされているものではないか、と。[CS・衛星(字幕)] 10点(2011-11-17 00:13:29)

2.  陰謀のセオリー これは面白いですね~メチャクチャですが。 あまりの言動の破綻ぶりに、とうとうリーサルウェポン署をクビになったリッグス刑事が、今度はトラヴィス魂を注入されてタクシー運転手をやってる、というオナハシ。しかもタチが悪いことに、オカルトまがいの「陰謀論」にすっかり染まっちゃってる。 しかし、ウソ八百だらけの陰謀論を吹聴しまくってるうちに、何か触れてはいけない「図星」をついてしまっていたとしたら・・・ という話なのかどうかは見てのお楽しみ。主人公がメチャクチャなもんで、ただでも先が読めないストーリーがさらにねじれていって、ホントにワクワクさせられます。車椅子での逃走とか、花火の仕掛けられた家とか、派手なアクションよりもヒネリの効いた(というかもはや支離滅裂の)アクションが、意表をついてきます。あの暗躍するヘリコプターもカッコいいですね、なんだかMIBを思い起こしたりして。←←←あ、映画のMIBではなくって、実際にあった事件の方です。って、なんだ、私も陰謀論の信者かよ(笑)。 ラスト近く、ジュリア・ロバーツも一緒に付き添いでヘリに乗りそうなものを、なぜ乗らなかったのか。と思ったら、それがちゃんとラストに繋がる。お後がよろしいようで。[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-04-21 10:15:25)《改行有》

3.  イースター・パレード 冒頭からアステアのダンス。粋なんです。もうホント、ダンスがそのまんま服着て歩いているかのような。ここでは小道具が活きていて、それと同時に、アステアは予想もつかない動きを次々に繰り出す。ホント、瞬きしてる暇もありません。 アステアが活きなら、ジュディ・ガーランドはなんともかわいらしくって。ん?このころの彼女って、私生活は結構ヤバい状態なんでしたっけ? でもそんなことは微塵も感じさせません。なんとも魅力的。 印象的なのが、アステアのダンスのスローモーション。バックダンサーの通常スピードのダンスを背景に、アステアだけがスローモーションの動きを見せる。背景が非現実で、そこに現実が重ねられる、という合成映像ならともかく、その逆パターンなもんで、とにかく印象的。しかもアステアのダンスは、スロー映像にも耐える素晴らしさ。 物語は、他愛のない三角関係モドキですけど、そこにしっかりとダンスシーンを絡めて、実に楽しく仕上げてます、ああまさにこれは、アクション映画。[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-08-08 21:41:30)(良:1票) 《改行有》

4.  イージー・ライダー 《ネタバレ》 若い頃に初めて観た時には、LSDラリラリ映像(実際はミスによりフィルムを変色させてしまったもの)にギョッとしつつ、うーんカッコいいようなよくわからんような映画だなーと思った記憶があるのだけど・・・今みたら、なーんだか、さみしい映画だなあ、と。ひたすら寂しい気分になったのは、何なんですかね、やっぱり、アメリカという国の“大きさ”が、変わってきたんですかね。この映画における主人公のヒッピーの存在は、「強くて大きいアメリカ」があってこそ、スタイリッシュかつ鮮烈であったものが、今となっては・・・。何だか、ミジメ。それも、本来なら自分が彼らに感じることのなかったハズの親近感を、つい感じてしまうような、そういう、ミジメさの共有。物語が物語として作られているのは「2人のヒッピーがある男(ジャック・ニコルソン)と知り合う」という点だけで、あとは即興的なやりとりと、憎悪、リンチ。そんな中で、男の死後、2人がちょっと贅沢な食事をとる場面が、やたらジーンときました。つかの間の幸せ。有名なラスト、デニス・ホッパーが銃撃に倒れ、助けを呼びにバイクを走らせるピーター・フォンダの背中が、これまた何ともチッポケな存在に見えて、哀しい。多分、本来この映画に対して持つべき感想ではないのかもしれないけれど、久しぶりに観て、ひたすら寂しい気持ちになったのでした。 <ところで、ヒョロリとしたピーター・フォンダと、ズングリして長髪にヒゲのデニス・ホッパーとが並んでいるのを観ると、ふと“笑い飯”を思い出した。どうでもいいけど>[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-11-24 22:40:13)(良:1票)

5.  イングロリアス・バスターズ ダラダラした会話をここまで魅力的に描き切った作品ってのも、(過去のタランティーの作品すらも含めて)なかなか無いんじゃあ、なかろうか。すべてが印象的、すべてが面白い。これまで、マカロニウェスタン風であったり、日本ヤクザ映画風であったり、カンフー映画風であったり、アメリカの底辺を彩る三流映画風であったり、と、世界の映画を漫遊してきたタランティーノが、ついに往年のハリウッドすなわち映画のド真ん中にやってきた、どこかそんな香りのする映画。でもやっぱり残酷~。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2010-08-17 23:08:25)(良:1票)

6.  犬の生活 《ネタバレ》 ギャグ満載、ホロリとさせられ、何と言ってもテンポが良いのが大の魅力。浮浪者に扮したチャップリン、彼の寝床である空地の塀の傍。「塀のアチラとコチラ」を場面が行ったり来たりするギャグの後には、「カメラが引いたら警官が」というオチ。この「行ったり来たり」が映画の基調になっているようで、物語は、寝床から、屋台を経て酒場へ、あるいはまた寝床へ、という「行ったり来たり」。警官の目もそこに絡んでくるスリル。そして「目を盗んで早食い」「犬の尻尾」「秘儀:二人羽織」などのギャグが、次から次へと盛り込まれる。中でも「滝のような涙」は、フライングハイの“大汗”シーンを思い出しちゃうぞ。文句無しに楽しめる作品。[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-10-05 20:54:31)

7.  イコライザー 《ネタバレ》 ガッツ石松は10人近いコワモテに取り囲まれるも全員を叩きのめし、警察で調書にサインしろと言われて「ガッツ石松」と書いた、という伝説がありますが、そのガッツと同じくらい強いこの主人公を、デンゼル・ワシントンが演じてます。さあ、それだけの動きができるか、といったところですが、本作ではむしろ彼の、堂々とした姿、動じない態度が、この主人公の強さを印象づけてます。 普段はホームセンターの従業員で、いわば彼の昼の顔。しかし彼にはガッツ並みに強いという別の顔、夜の顔がある。そのはざまの、黄昏時に佇む彼の姿が印象的。 彼が知り合った娼婦(クロエ・グレース・モレッツ)も、夜の世界の存在なんですけれども、ラストで彼女は昼の姿を、彼に、そして我々に見せる。ものすごーくホッとするシーンなんですね。そして主人公も、昼の世界へと消え去っていく。[CS・衛星(吹替)] 8点(2019-06-30 16:58:21)《改行有》

8.  イーグル・アイ カーチェイスがゴチャゴチャしててわかりにくかったり(迫力はスゴイけど)、この荒唐無稽な物語に少しでも説得力を持たせようとしたらしい後半、ちょっともたついた野暮な感じもするのですが、そういったことを差し引いてもなお、楽しくてたまらない、活きのいいサスペンス・アクション。かつてドリームワークスが『ピースメーカー』を引っさげて我々の前に登場した時のワクワク感を、思い出させます。 それに、荒唐無稽と言ったって、こういうオハナシ、あと何十年かするうちに、結構、「あり得る話」になってるかも。ま、色々といわゆる「ツッコミどころ」ってのもあるでしょうが、こういう大胆さと厚かましさが、いいじゃないですか。巻き込まれ型サスペンス、主人公をイジメるためなら、大抵のコトは許されるってもんです。謎また謎、そしてアクション。空港での追跡劇なんか、まさに出色のオモシロさ。 背景には、「何が正義か、何がテロか、なんて、所詮は相対的なものに過ぎない」という皮肉があって。でもそれでもって社会批判をしてやろうとかいう大それたことは考えず、そういう皮肉もあくまで事件の「謎」なりサスペンスなりに貢献するためにこそ存在している、というこの娯楽志向が、うれしいではないですか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-01-04 20:17:21)(良:2票) 《改行有》

9.  1941 スピルバーグという人は、80年代に入ると、いかにもアカデミー賞欲しい欲しい的な作品を監督するようになりましたが、結局、90年代まで取れませんでした。多分、その前にこの『1941』なるアホバカ映画を撮ってしまったので、映画の神様の逆鱗に触れ、バチが当たったのでしょう。 面白いのにね。 いや、もう、まともにストーリーらしいものはなくって、ひたすら変な人たちが現れ、ひたすらドタバタを繰り広げるだけ。なんですが、ラストに向けてそれらがちゃんと収束していき、盛り上がっていく、その楽しさたるや、もうこれはスピルバーグの最高傑作ではないか。とは思いませんが、でも実に楽しいのです。 それに、ジョーズのパロディから始まる本作ですが、むしろ、後の作品を彷彿とさせる先取りのような作品にも思われて。インディ・ジョーンズシリーズを思い起こさせるシーンが散見されますし、クライマックスの観覧車、こりゃA.I.か。それに、本作と太陽の帝国、監督作で2度も日本軍を題材に取り上げるなんて、まあ物好きというか何というか、変わってますねえ。 という訳で、本作はもしかして、「スピルバーグが映画の中でやってみたかったこと」が最も豊富に詰め込まれた作品なのではないか、と。しかし自分のやりたいことを詰め込むのでは誰にも相手にされないので、以降の作品では、一応みんなが喜びそうな物語を提供したうえで、その中に描きたいものを盛り込んでいくようになったんでしょう。 ただし、本作におけるこのアホバカの流れは別途、ユーズドカーへと繋がり、バックトゥザフューチャーとして結実していくことになります。[CS・衛星(吹替)] 8点(2016-11-05 03:55:38)《改行有》

10.  今そこにある危機 公開当時、姉が「しょうもない。映画館で寝てしまったのは初めてや」と大変立腹していた作品です。だとすればさぞかし傑作なのだろうと(笑)、後に私も観て、やっぱり眠くなった……ということはなくて、面白かったです、ハイ。監督・主演がなかなか固定されないジャック・ライアンシリーズの中で、今作は前作から続くP・ノイスとH・フォードのコンビ。ハン・ソロとダースベイダーとの会話も楽しめるキャスティングになってます。さて、このシリーズ、殆ど読んでないので(唯一読んだのがよりによって「日米開戦」というのが…)、何が売りなのかよくわかっておらず、「その時々のハイテクを駆使した作戦を描く軍事ウンチク作品」なんだろう、と勝手に解釈して、別名“今そこにある機器”シリーズだと思っていたのですが。この解釈でよろしいでしょうか。それはともかく、本作、前半はアクションが断片的で確かにサスペンスが続かない、あくまで「遠くの出来事」といった感じ。それが、後半、ライアン自身が「危機」の中に身をおくようになると、アクションもまたサスペンスを伴う執拗なものへとなっていく。そしてまた、あくまで事件は遠い外国で起こっている、麻薬組織との局地的な戦いであって、現地の「危機」は、国内にまでは全く及んでいないのだけど、その一方で、現地の「理不尽さ」は国内に根深く存在する「理不尽さ」と強く結び付いていて、それが同時進行的に描かれる。そりゃ、盛り上がろうともいうもの。前半で寝てちゃ、損しますよ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-25 08:27:05)

11.  インビクタス/負けざる者たち 人種の垣根を越え、新生南アフリカ共和国を纏め上げる事に情熱を傾けるマンデラ大統領。人種間のわだかまりを抱えつつも大統領警護という同じ目的に向かって協力する警護官たち。ワールドカップでの勝利を目指しつつ、マンデラという人に思いを致さずにはいられないラグビー主将。さらにはワールドカップが始まり、スタジアムを埋め尽くす人たち、スタジアムの外の人たち、あらゆる人々の間に「絆」が生まれていく。それを象徴するように再三にわたり登場する「握手」のシーン。ってな訳で、多層的に仕組まれ、キモチいいくらい色んな工夫が凝らされた作品な訳でして。でも、題材が記憶にも新しい、95年南ア初出場・初優勝のあの大会。この映画のライバルは、他の映画などではなく、「実際の試合の方が感動的なんじゃないの?」ってこと。実際、映画でラグビーの試合を楽しもうなんて考えちゃうと、そりゃま、ちと物足りない。「ラグビーを楽しむ」映画じゃなくて、「ラグビーをとりまく人々」を楽しむ映画だねこれは。おそらくはラグビーにしか関心の無かった主将ピナールは、マンデラとの交流を通じ、「許し」という事を考えずにはいられない。その一方、ここで描かれるマンデラにとっては、ある種の“計算”の上での「許し」でもある。ただそれは、国をまとめあげるという情熱に基づいた打算であり、その情熱は、彼が休まずに走り続けていることで(警護官が音を上げることで)示される。良心だとか正義だとか、そんなんじゃなくて、あくまで一人の男の「情熱」が、周りを変え、ワールドカップ優勝を呼び、ついには国そのものを変えていく。このエゲツ無さがやっぱりイーストウッド作品、なのかな。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-29 22:52:34)(良:1票)

12.  硫黄島の砂 海兵隊のプロパガンダ映画的な側面のある映画ですが、そんなことを忘れるくらい、なかなか渋い作品であります。何しろタイトルからして『硫黄島の砂』。要するに、戦略的にはいかに重要な拠点であろうと、この「砂」しか無いような島を奪取するために、多くの兵士たちが血を流し斃れていく、という、やるせないオハナシ、なもんですから。ジョン・ウェイン演じるストライカー軍曹(鬼軍曹でありながら、どこか翳を感じさせる)を始め、それぞれに一癖ある登場人物たちの描き分けも活き活きとしており、単に「戦争のヒーローを描く」タイプの映画とは、趣きを大きく異にしております。実写を交えた戦闘シーンの凄まじさも、見ごたえあり、です。[DVD(字幕)] 8点(2011-03-26 17:32:52)

13.  イヤー・オブ・ザ・ドラゴン 表面的には、ギャングに立ち向かう刑事アクション映画。チャイナタウンの中国人社会を色眼鏡で見ているということで、抗議も受けたらしい。だが、そのような観方をするには、あまりにもジョン・ローンの側の描写に重点が置かれすぎているのである。これは、ミッキー・ローク演じる刑事と、中国系マフィアの中でのし上がろうとする青年の、二人の物語だ。二人の対比。ベトナム帰りのコンプレックスにさいなまれる刑事は、妻との間も破綻寸前、周囲ともうまくいっていない。映画の中では、彼は常に、フラフラ歩き回る姿で描かれ、寄る辺無い姿が強調される。一方の中国系マフィアの青年の颯爽とした姿と、その野心。二人は対象的でありながら、社会の中ではどちらもマイノリティであり、どちらも、米国社会の中であがき続ける存在である。その二人のクライマックスにおける対決に満ち溢れる苦味。そこには悶えるような苦しみがあり、「橋の向こう」に見える「光」には、決して手に届くことがない。それだけに、映画のラストにおけるハンパな希望には、妥協を感じざるを得ない。葬儀のシーンとラストで流れるマーラーの「復活」。陳腐だと思う(まー正直言って、この曲自体が好きになれないんですけどねー、えへへ)。[ビデオ(字幕)] 8点(2008-04-13 09:55:45)(良:1票)

14.  硫黄島からの手紙 《ネタバレ》 観ている間も戦闘シーンに圧倒されるのだけど、観終わってから、何となくジワッとくる映画ですなあ。ジャニーズのネズミ男こと二宮クン、彼は本当は、何が何でも生き残って妻の元へ帰らなきゃならない、それなのにそれなのに、彼は最後、栗林中将のため、命がけで米兵にくってかかるのよね。いや多分、“栗林中将のため”というのは当たらない。理由はともかく、そこではただ、闘う人間の哀しみ、闘わざるを得ない人間の哀しみだけが、描かれています。戦争の悲惨さを訴えるのに、「誰それが悪いからこの戦争が起こったのだ」なんぞと言ってみたところで何になるだろう。悪人がいるから戦争が起こるのか? では、人類の歴史では無数の争いが繰り返されてきたというのに、そのすべての「犯人」をいちいち指摘でもしていくというのだろうか? この映画が胸を打つのは、戦争を善悪というわかりやすい軸に投影して批判するのではなく、ただただ、あらゆる時代にあらゆる人々が闘ってきた、そして今後も何らかの形で闘い続けざるを得ないであろう、その哀しみが、描かれているからではないでしょうか。[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-02-09 17:47:45)(良:1票)

15.  インサイダー タバコはダメだけど、シシャモはいいのか!? 何のこっちゃ。ラッセル・クロウ、ごクロウさまです。堂々たるイジメラレっぷりが見事に映画を支えてます。そう、この映画、文句なしに好感持てる理想的「ヒーロー」っていないのよね。アル・パチーノなんて、かき回すだけかき回しといて、上役から「休暇とれ」って追い出されたらサッサとどっかのリゾート地に行っちゃうしさ。クロウ人ラッセルに至っては、もうミジメ、ミジメの連続(小松政夫・・・)、部屋でボーゼンとしてるシーンなんて、「ガーン。このヒト自殺しちゃったよ」と一瞬勘違いしちゃいましたよ(そういや、途中の、ゴルフ打ちっ放しにおけるシーンが、よく効いています。このヒト、本当にどこにでもいるひとりの弱い男、なんだよね)。でも、そんな人たちが、まあそれなりに世間を動かしちゃう。そういう、地味~な感動が、なんとなく親近感も相俟って胸に迫る、いい味出してる作品であります。8点(2005-01-27 23:03:59)

16.  インデペンデンス・デイ すぐそばの三番街シネマは1800円なのに北野劇場は2000円、さてどうしよう。結局北野で観て正解、大スクリーン上で雲の切れ目から宇宙船が初めて姿を現すシーンは鳥肌立ちまくり。まれに見るカッチョいいシーンです。7月2日だけみれば、抜群に面白い映画だと思います(だから大好き)。続く空中戦も一度ではすべてを観切れないほど緻密。というかゴチャゴチャしてるというか。さらに話はだんだん妙な展開に。クリーンルーム内で防塵服着てないどころか白衣のボタンも留めないなんて非常識だぞ!って怒る程の事でもないけどさ。ロズウェル事件で回収されたUFO(未だに信じてる人いるのか?)、動かし方が判らず困ってたけど、母艦が近づいたら動き始めた。え?ロズウェル事件の時にもこのUFOが飛んでたということは、当時も母艦が来てたのか?ムム、難解な映画だなあ。「なんで宇宙人がマッキントッシュと同じOS使ってるんだ?」「あと、略してID4と呼んでるけどさ、IDはわかるけど4って何?」「わかった、この4というのはエピソード4ということなんじゃない」「ナルホド、後でID1とかID2とか作られて、OSの件を含めて、この映画の矛盾点がすべて解き明かされていくわけやね」かつて交したそんなバカ会話が懐かしい。8点(2003-09-20 00:26:56)

17.  生きてこそ やっぱり例によって、実話だと言われると弱いなあ。実話じゃないと思うと退屈なシーンでも、実話だと思うと重みのあるシーンに見えるから不思議(って私が単純なだけか)。山中でのサバイバルが、淡々と、エンドレスに続いて、最後は助かるんだと知ってても、やっぱり絶望的な気分になってきます。それだけにラストは、感動的です。ほんとよく助かったねえ。8点(2003-08-30 23:53:24)(笑:1票) (良:1票)

18.  イコライザー2 1作目みたいな夜の雰囲気というか、あるいは黄昏の雰囲気、そういうのはあんまり無くって、そういう意味じゃ特徴が薄れた作品になったように、前半は思ってしまうのですが、クライマックスは嵐の中の死闘となって、俄然、盛り上がります。わざわざこんな嵐の中で戦わなくても、と思えば思うほど、盛り上がるもんです。 あと、今回の作品で重要なテーマとなるのが、知り合いの若者との交流。こういう、主人公が強すぎる映画は、代わりに危機に陥ってくる人間がどうしても必要になるのですが、その人物を魅力的に描いてくれると(その人物自身が魅力的かどうかはともかく、主人公との交流を魅力的に描いてくれると)、物語も魅力的になるもんです。 最後に残された、壁面の絵。ちょっとやり過ぎじゃないかね~と思いつつ、やり過ぎくらいが、ちょうどいい。[CS・衛星(吹替)] 7点(2020-10-21 21:51:46)《改行有》

19.  依頼人(1994) 《ネタバレ》 少年が森の中で、今にも自殺しようとしているオッサンと出くわし、マフィアが上院議員を殺してその死体をどこに隠したかを聞いてしまう。この冒頭のサスペンスとヤな感じに満ちた演出で、いきなり、我々を映画に引きこんでくれます。このシーンに限らず、子供の視点が、映画にうまく生かされています。 で、少年が死体のありかを知っているらしい事にFBIが気づき、何とか少年に喋らせようとするものの、話せば家族にマフィアの魔の手が及ぶ恐れがあり、少年は女性弁護士の元を訪れる。 なんでこんなにFBIが悪役にされて邪険にされなきゃいかんのか、ってなトコロでもあるのですが、なにせそれを演じているのがトミー・リー・ジョーンズとかJ・T・ウォルシュとか、いかにもコワそうなオジサンたちで、そのコワそうなオジサンたちが和気あいあい捜査をしているのを見ると、さらにコワそうに見える。もうこれだけで、邪険にされるには充分でしょう。 スーザン・サランドン演じる弁護士も、優秀さ一点張りではなく、彼女なりの暗い過去を持っていたりして少年とのやりとりにドラマをもたせ、彼女と少年、なかなか絶妙の凸凹コンビぶり。 死体を探しに少年がボートハウスに侵入すると、どういうワケかドアの内側に南京錠が掛かっていて、オイオイ何のためのカギだよ、誰がどうやってこのカギをかけたんだよ、ってなトコロでもあるのですが、これ以上に「内側から鍵がかかっていること」を一目瞭然に我々にわからせる演出は無いワケで、だからきっと、これで、いいんです。 ラストもちょっと粋で、いいですね。[CS・衛星(吹替)] 7点(2020-10-03 17:51:24)《改行有》

20.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 映画のラストでは、チューリングの悲劇的な死は直接描かれず、書類を燃やす映像に重ねられるテロップでのみ示されます。 勿論、書類が焼かれているのは、直接的な理由としては「用済みの極秘書類だから」ではあるのですが、それにとどまらず、このシーンには独特の楽しさと果敢無さが漂っています。一つの大きな仕事を成し遂げた後の、ひっそりとした有終の美。「個人的なお祭り」とでもいいますか、ちょっとキャンプファイヤーみたいなイメージから来る楽しさ。しかしその一方で、この映像にはナチスの焚書のようなイメージも感じられて。後にチューリングが同性愛を理由として社会的に抹殺されたように、ここでは彼の業績が、燃え盛る炎の中で消されていく、という果敢無さと哀しみ。 アラン・チューリング個人をコンピュータの始祖みたいに言うのが適切なのかどうかはちょっとわかりませんけれども、チューリングと言うと、ゲーデルの不完全性定理の「後日談」的に紹介される、チューリングマシンの停止問題(ゲーデルが因数分解の一意性を用いてあらゆる命題をゲーデル数に置き換え、対角線論法によって不完全性定理を証明したように、チューリングは対角線論法により、計算機が計算を完了しうるか否かを完璧に判定することはできない、ということを示した・・・超曖昧でテキトーな理解です、間違ってたらゴメンナサイ)、あるいは、AIの注目度が高まってる昨今では、チューリング・テストなどによって、名前を耳にする機会がありますが、我々庶民からすると、浮世離れしてて、どうもピンと来ない。 しかし実は、浮世離れどころか、我々の今があるのももしかしたら、彼の抹殺され(かけ)た業績、戦時中の暗号解読のお陰かもしれないのだよ、というオハナシ。これとは別途、暗号解読されまくって大勢の命が失われた日本の立場からすると、複雑な気持ちも無いでは無いけれど、それはともかく。 主人公を無闇に美化したり逆に過度にエキセントリックに描いたりすることなく、ちょっと風変わりで周囲になかなか溶け込めない人物の、いわば「居場所探し」みたいな物語として、映画は彼を描いています。しかし、戦時中に自分の居場所を見つけた彼、社会もまたその才能に多くを負ったはずの彼を、戦後、社会の一方的な価値観が追い詰めることになる、という皮肉。 映画は、子供時代、戦時中、戦後の時間軸を行き来して描いており、見てて混乱するという程ではないにしても、戦時中と戦後とはもう少しうまく描き分けて欲しかった気もするんですけどね。しかしこの構成自体は対比として効果を上げており、見応えのある力作、であることは確かだと思います。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-14 09:19:52)(良:1票) 《改行有》

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