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プロフィール
コメント数 3878
性別 男性
年齢 53歳

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録 我々を熱狂させる芸術作品は、作者も熱狂のうちにそれを作り上げたと思いがちだけど、実際は冷静な推敲作業のもとにそれは作り上げられるのだ、とかいう意味の文章をどこかで読んだ気がします。その意味では、最たるものの一つが「映画製作」で、到底、一人の人間が勢いだけで作れるものではなく、一種のプロジェクト運営の側面がある訳で。 ところがこのドキュメンタリを見ていると、大勢の人間と莫大な投資が関わるが故に、「うまくいかなくなった映画製作」ほどオソロしいものは無い、ということがよくわかります。熱狂、というより、底なしの狂気。まさに、闇の奥。 ってか、コッポラというヒトに映画作らせるのが、そもそも危険、ということで。この危険人物が、周囲を巻き込んで(あるいは周囲に巻き込まれて)危険領域に足を踏み込んでいく様が、この作品に捉えらえています。最近はともかく、この頃のコッポラというと、映画で一発当ててはそれをつぎ込んだ次の作品で興行的に大コケして経済的に追い詰められる、ってなイメージがありましたが(?)、そりゃこんなコトばっかりやってたら、そうなるわなあ、と。 『地獄の黙示録』という作品が何ゆえ、魅力があるのかは、このドキュメンタリを見てもよくわからないけれど、何ゆえああいうイビツな作品になってしまったかは、感じ取ることができます。作品の魅力と完成度とは、必ずしも正比例しないんですね。このドキュメンタリが作られた段階ではまだ『特別完全版』は公開されておらず、本編には無かった「はず」のシーンが幾つも登場します。その『特別完全版』は盛り込まれたエピソードの多さ、羅列感がカフカの作品を思わせ、本来は、カフカの長編小説同様に「終わることのない迷宮」だったんじゃないか、とも思えてくる。しかし、事業としての映画は、「完成」はともかく「完結」させないといけない中、もつれたアリアドネの糸をほどくのではなく、その迷宮にスタッフ、役者ともども、入り込んでいってしまう。 ベトナムでの撮影はできないということで、選ばれた撮影場所が、フィリピン。軍隊の協力は取り付けたものの、内戦状態なもんで、撮影に使うヘリが出動してしまう。『地獄の黙示録』という映画自体はフィクションとは言え、登場するヘリは、まさに現在進行形で「戦争中」のもの、なんですね。オープンセットは作り物であっても、台風による破壊は、本物。カーツ大佐の規格外ぶりも本物で、誰の云う事も聞かないマーロン・ブランドは、まさに「企画外」の存在、制御不能。 そして、現場に広がるドラッグの使用。そりゃ、あかんでしょ。 当時を振り返るインタビューに登場するジョン・ミリアス、ジョージ・ルーカス、そしてコッポラ本人。前者2人の余裕(「闇の奥」に足を踏み入れる前に引き返せた余裕?)と比べ、コッポラには未だに「あかん人」のニオイがプンプンと。 この人を先頭に、迷宮に足を踏み入れ、制御不能の一歩寸前か、もしかしたら絶賛制御不能中、という中で、完成と言っちゃってよいかどうかはともかく一応の完結をみた『地獄の黙示録』。結局、この作品の魅力が何だったのかと言うと、もはや「闇鍋の魅力」としか言いようが無い気もしますが、鍋に入れてみたいもの、不本意ながら入ってしまったものが、ゴッタ煮となって、それでもなぜか食えるものに仕上げられている、という奇跡。こんな奇蹟は二度と起きないんじゃないか、という、まさに究極の闇鍋の一杯、ですよ、これは。 このドキュメンタリ映画の元になっているフィルムは、ロケに同行したコッポラの妻が撮りためた記録映像が使われている、ということで、もし最初からドキュメンタリ映画を撮るつもりだったら、また別の撮り方があったのかも知れませんが、とは言え、これ、面白い。映画の裏側ってのはやっぱり気になるし、それが特にこの奇妙な作品の裏側だとなお一層。それを90分あまりにまとめ、テンポよく見せてくれて、興味が尽きません。 たぶん、このドキュメンタリは、コッポラ自身には作れないと思う![インターネット(字幕)] 7点(2024-04-21 08:32:36)《改行有》

2.  バリー・シール/アメリカをはめた男 実在の人物に取材した映画、ってことなんですが、まあどうにも、胡散臭い、ウソ臭い。当時の社会情勢などが作中にそのまま取り入れられ、何ならもっとリアリティを感じても良さそうなところが、かえってそれが胡散臭かったりして。しかしこうやって見ると、当時の情勢そのものが、いかにも胡散臭い時代だったんだな、と。 この作品、なんとなく、お伽噺のテイストですね。一種のホラ吹き男爵譚。これを、演じてる本人も、見ている我々も、違和感なく演じられるのは、やっぱりこの人しかいないでしょう。と言う訳で、「トム・クルーズ/アメリカがハマってしまった男」。これはバリー・シールなる人物を描いた作品なのか、それともバリー・シールを楽しそうに演じるトム・クルーズを描いた映画なのか。見てると、パイロット役が演じられるだけでもうどんな役でもOK、楽しくて仕方なかったのでは?と思えてきます。 という軽いノリ。 そういう、ウソかホントかよくわからんエピソードが次々に並べられて(大筋ではホントなんだろうけど・・・もはやどっちでもいい)、まとまったストーリーらしいものもなく、それが短いショットの連続で紙芝居のように描かれます。テンポがいい、のは確かですが、味気無くもあったりして、「今のシーンはあともう少しだけ、カメラを長く回してもらえたら」などとも思っちゃう。だけど、満足する前に敢えて止める、というのも、一つの節度、とは言えるのかも。 とか言うようなことを、これといって考えていなさそうに「見える」ところが、この作品の特徴でしょうか。 クルマが爆発するシーンとか、あるいは爆発しないシーンとか。いいですよね。[インターネット(字幕)] 6点(2023-11-25 06:08:20)《改行有》

3.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》 映画に出てくるヒーローというものは、ヒーローらしくあって欲しいし、ヒーローってのはどこか陰があった方がいい。しかしこれを突き詰めていくと、いっそ陰があり過ぎてアンチヒーロー化した、要はダメ男の映画ってのもたまには見たくなってくる。 さてそのダメ男を演じるのがクリス・プラットでよいのかと言うと、いや、もっと見るからにダメダメであってもらえたら、さらにはそのダメ男が最終的にヒロインを、そして我々を惹きこんでくれたら、とは思うのですが、これは製作サイドとしても大きなリスクがある訳で。最悪、多くの人には嫌悪感しか残さない可能性も出てくる。だもんで、クリス・プラット。一種の保険ですね。多少はグダグダになって見せるけれど、好感度はそれなりに保ち、安心感はあります。その分、予定調和的となり、作品の意外性や迫力が低下することは否めませんが、安全第一、安心第一、ってところでしょうか。 トラブルにより、宇宙旅行の人工冬眠から、一人の男が目覚めてしまう。目的地までのあと90年、クルーも他の乗客も起きてこない、だだっ広い最新鋭の宇宙船の中で一人ぼっちの状態。まさに、アレですね、明日から大変な仕事が待ってるのにどういう訳か夜中に目が覚めてしまい、家族はみなスヤスヤ眠ってるのに自分はちっとも眠れず気が焦るばかり、朝はまだまだ来ないし・・・というあの状態を、壮大なSF映画に。 こういう状態に置かれると、精神的な危機を迎えてオカしくなってしまう、というのは、シャイニングを見てもわかる通り。いや、ジャック・ニコルソンは最初からオカしい奴だろ、とスティーブン・キングが怒るのだけど、とにかく、クリス・プラットですら参ってしまう。シャイニングがガランとしたホテルを描き出したように、この作品でも、未来的で豪華、だけど空虚な宇宙船内部のしっかりと描き出して見せます。限られた空間が舞台となっていながら、見てて飽きることはありません。 で、よりによってこのダメ男が、眠れるオーロラ姫を起こしちまう。なるほど、主演二人がそもそも好感度高いので、ラブラブになってくれたらそれはそれで良し、安定感がある分、その後に待ち受ける破局のインパクトが大きくなる、という効果はあるかも知れません。 閉鎖空間で、一人で起きてるのもツラいけど、起きてる二人の間が険悪なのは、もっとツラい。そりゃそうだ。ははは。際立つ閉塞感が、たまらない。 で、その後、宇宙船の異常が進み、クルーの一人が起きてきたりして、物語が加速し始める。クライマックスの危機が、ごめん、何か大変そうな状況なのはわかるけど、宇宙船のどこがどういう状態で何がボーボー燃えているのやら、もうひとつよくわからない。勢いだけで見せられている気がしてきますが、盛り上がることは盛り上がります。 最後、使える冬眠ポッドは一名分。ヒロインを眠りにつかせ、主人公は孤独に残る、というのが綺麗な終わり方だけど、たぶん、この人、1年後にはまた彼女を起こしちゃって続編映画が始まってしまうので、まったく解決にならないのでしょう。 この作品は、それとは別の幕引きをしてみせる。人生ってのは外因的なものに左右されそれは時に不本意かもしれないけれど、重要なのはその人生をどう生きて何を残すかだ、というメッセージ。 ラストシーンは明らかに、そんなのあり得ないでしょ、という光景がそこに現れます。あくまでファンタジー、ということですね。あるいはお伽噺と言っていいかもしれない。理屈ではない、フワッとした浮遊感みたいなものが、後に残ります。 ところで、この作品に登場する二人の男女には、金銭的にはやはり「男<女」の格差があって、こういう部分から宇宙版タイタニックとか言われたりするんでしょうが、そんな事言われたら、もしかして氷山がタイタニックにぶつかるように仕向けたのは、実はジャックの仕業だったのか?とか思っちゃったり。[インターネット(字幕)] 7点(2023-10-01 07:40:18)(良:1票) 《改行有》

4.  ハッピー・デス・デイ 2U 《ネタバレ》 冒頭のユニバーサルのロゴ、前作ではタイムリープをイメージした仕掛けになっていたので、今回も何かやらなきゃー、っていうことなんでしょう、どうやら並行宇宙をイメージしたようなデザイン。いや~、いろいろ気を遣ってるんですねえ。 その後、物語が開始すると、ん? 一瞬、一作目と同じ「誕生日(18日の月曜)の朝」が舞台か、と思っちゃったんですが、ツリー(主人公)が、「一作目が解決した」という意識を持ってこの朝を迎えている訳がない。要するにコレ、一作目の「ラストシーン」と完全に対応しているんですね。つまり、翌日。皆、月曜の朝と同じ服装だから紛らわしいんですが、そう言われてみりゃ、ツリーは前の晩、自宅に帰らずカーター(主人公の彼氏)の寮に泊まったし、ライアン(パツキン野郎)も寮の部屋に帰れずクルマの中で寝たので(2作目の冒頭)、着替えられなかったワケ。まあ、もともと、すでに1作目で、冒頭の月曜とラストの火曜のシーンをシンクロさせた面白さが演出されていたのでした。 しかし、さすがにこれは、1作目を直前に見ておかないと、なかなかついていけません・・・。 もっとも、この2作目では、まるで、1作目なんて改めて見直さなくてもいいよと言わんばかりに、主人公の1作目のあらすじを惜しげも無く早口で語らせたりしていて、この思い切りの良さ、ちょっと笑ってしまいました。 さてさて、そもそも前作は前作で一発アイデアとして完結しており、続編なんて無理だし不要でしょ、と思っちゃう。そう思っちゃうけれど、それでも現に2作目が存在する以上、気にはなる。そう思いながら見る以上、「ほら、やっぱり続編作るなんて無理があった」で片づけるのもさすがに芸がないかな、とも思っちゃう。思っちゃうけど。 やっぱりある程度、苦しい感じ、あります。考え過ぎ、というヤツかもしれません。また事件があって、フーダニットの興味を取り入れて。いいんだけど、多少ごちゃごちゃしていて、強引な印象も。 だけど、それでも本作、続編として(それも、いかにも作りづらそうな続編としては)、最良の部類に入るんじゃないかと思います。 さまざまにアイデアが凝らされていて。前作を踏襲しつつも、しっかり変化球。しかも、バカ映画のくせにお涙頂戴路線に挑戦、という厚かましさ。こういうエモーショナルな部分も演出のアイデアで意外に盛り上げます。が、やや「頭で考えた」感、無きにしもあらずで、感動にまでは至りませんが。。。 それよりも、ここで一緒に事態を解決しようと奔走する仲間たち、主人公以外は時間を繰り返している訳ではないので本人にとっては何が何やら、のはずなんだけど、それでも一生懸命なその姿。こちらの方が、感動的と言えるかもしれません。 ライアンの分身が現れたりする映画最初の方のエピソードは、必要だか何なんだか、よくわからんけれど、あのナゾの装置に「昨夜、何かエネルギー的にスゴいことが起きたらしい」ってのが実は伏線になっていて、映画のクライマックスともリンクしている。 正直、1作目と比較してしまうと1作目の方に軍配を上げたいところですが、2作目は2作目で心憎い作品になっていて、別に無理に点数差をつけることもないかな、と。[インターネット(字幕)] 7点(2023-09-16 06:37:58)《改行有》

5.  花嫁の父 《ネタバレ》 娘を嫁に送り出す父の姿。と言っても小津作品とは違い、ややコミカルにデフォルメされて描かれてますが、さだまさしの「親父の一番長い日」ほど極端ではありません。 ところどころでクスリと失笑まじりの笑いを引きおこす親父の姿、しかしあの悪夢にうなされる場面なんてのは、笑えるシーンではあるのですが、なかなかの恐怖も味わわせてくれます。かなり、コワいです。 やがて結婚式となり、人々が集まってきて、群衆シーンと言う程では無いにしても、画面に動きが出てくる。で、式が終わってみんないなくなり、しみじみ。 ってのは、いつの時代もどこの国でも、同じなんですねえ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-06-24 06:43:31)《改行有》

6.  パラサイト 《ネタバレ》 要するにこの映画が何を言っているかというと、生徒から見たら学校の先生ってのはホント、得体の知れない人たちだ、ということでして。何せ学校の先生ってのは、いつ何をキッカケに怒り出すやら、訳がわからんもんね。どうやら先生たちのみに通じる価値観みたいなものがあるらしい。いやあくまで「生徒から見たら」、って事ですけれども。 特に体育教師ってのは、得体が知れない。ましてやその教師がターミネーターそっくりだったりなんかしたら、もう。。。 不良生徒からすれば、先生たちは勿論の事、他の生徒たちだって充分、得体が知れない。信用できるのは、一緒にヤクをやる、仲間だけ。この映画、そういうオハナシ。 しかしさらに映画の先を見ていくと、一緒にヤクをやってる連中だって結局、信用できないことがわかってくる。よくできたオハナシです。いや、映画の製作者にそういう意図があったかどうかは知りませんが、よくできた映画は結果的によくできたオハナシになる、ということですね。 走って逃げろと教師に言われたイライジャ・ウッドは、クライマックスにおいて走って逃げることになる。「攻撃は最大の防御」か、それとも「防御は最大の攻撃」か。 『スクリーム』みたいな一種のパロディというか(同じ脚本家ですしね)、作品自身のジャンルに対する自己言及が取り入れられていて、「盗まれた町」が再三、言及されるのですが、登場人物たちは『遊星からの物体X』のことをもっと気にしなくてよいのだろうか?と心配になってくる。案の定、クライマックスには『物体X』的な危機が待ち受けるのですが、ああいうハリボテではなく、ちゃんと動くヤツが襲ってくるのが嬉しいではありませんか。クライマックスにおけるプールを舞台とした一連のシーンは、出色だと思います。この作品、前回観たのはずいぶん前ですが、このシーンは強く印象に残ってて、また嬉しくなっちゃいました。[インターネット(字幕)] 8点(2023-03-19 17:30:32)《改行有》

7.  パリは燃えているか 乱暴な感想ですが、こういう映画、やっぱりこの「約3時間」という長さが、いいなあ、と思っちゃいます。描いても描いても描き切れない、という、この長さ。 で、また、この「市街戦」というやつに、惹かれてしまう。日常であるはずの街の風景が、戦場と化す。大規模な破壊シーンなどは出てきませんけど、パリでのロケ撮影をこれだけやったのだから、やっぱり大したもの。かつて戦場となったこの街、あわや灰燼となり果てかねなかったこの街で、その戦いを描いて見せる。街の歴史、歴史を抱えた街。その歴史があってこそ、今の街がある。 不足を言えばキリがないだろうけれど、充分に堪能させられる、約3時間でした。 とは言えやっぱり、セリフは各国語でやって欲しかったなあ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-01-29 20:40:04)《改行有》

8.  パージ:エクスペリメント 《ネタバレ》 どういう作品かよく知らずに見始めて、またこれまで同様にパージが描かれるシリーズの一本か、ぐらいに思ってたらそうではなくって、時代は遡ってパージ制度導入の頃が描かれてます。社会の分断が人々を自衛に走らせ、過度な自衛がまた社会を分断する、というこのシリーズ、未来のディストピアを描いたつもりが、予想以上に早く、現在の現実社会が映画に追いついてきてしまったので、映画の方から時間を巻き戻して現実社会への批判を正面衝突させよう、ってことなんでしょうか。 もはやパージでも何でもなく、ただの殺し合い。殺し合う人々と、それをモニタ越しに観察する人々との間の分断は、もはやひとつのシステムとなり、分断は結束に繋がることなく、新たな分断を呼び起こす。 しかしこの作品の前日譚たる設定、なんだか作品の枷となってしまってて、批判臭こそ漂えど、作品の限界を感じさせもします。いっそシリーズから独立した別作品にしちゃった方がよかったのでは。後のシリーズに繋がる内容、つまりパージ法がこの後導入されることは作品の縛りになってて、ラストでは絶対に「革命」なんか起きっこないことが、わかっちゃってるもんね。いや、実際にラストで「革命」が起きるかどうかではなく、起きるかも、と思わせるだけで充分。希望があればこそ絶望があり、絶望があるからこそ希望がある。 それはそれとして、無法状態の一夜、それがおしなべて暗い画面の中に、時に光を交えながら描かれます。雰囲気はいい、かもしれない。でも、この暗さの中で、アクションはいささかゴチャゴチャし過ぎ、ちと見にくい。終盤の階段での乱闘は、ちょっと良かったけど。 登場人物の配置なんかも魅力的な部分はあるのですが、やや消化不良かと。[インターネット(字幕)] 5点(2022-11-20 20:59:01)《改行有》

9.  パシフィック・リム:アップライジング なんか、「レジェンダリーピクチャーズは中国資本に買収されました」というのが、ひしひしと伝わってくる作品ですね。一応は東京とか富士山とかも出てくるけれど、ロケ撮影する気なんてサラサラ無し、書き割りCG。中国からしたら、日本なんて所詮、商売道具の一つでしかないんですなあ。 日本には富士山以外にも素晴らしい山々が存在するにも関わらず、それをアピールできずにステレオタイプ化させてしまったのは、日本人の責任かもしれない。。。 もっとも、中国を含め東アジア圏の市場を意識しつつも、中国に対する面従腹背的なものを作品の中に感じてしまうのは、気のせいかどうか? それはともかく。前作はそれなりにヒドかった(ただし苦笑して済ませられるレベル)のが、続編ではいくらか修正されるかと思ったら、なかなかそうもいかないようで。冒頭、格差社会の問題でも絡めてくるのかと思ったらそうでもなく、その点は理屈っぽくならなくて良かったとも言えるけど、少女を主人公にして過去の因縁を絡めるのかと思ったら、これすらも不発、そもそも彼女の存在感自体がこんなに低いままで、いいんだろうか。 クライマックスでは東京の街を舞台に大騒動をやらかすにしても、一連の事件はというと、なんだかエラく小粒で、さっぱり興が乗りません。危機感が無いにもほどがある。 主人公をロボットに乗せて操縦させればそれでいい、ってもんではなくって、例えばその戦いを外部から見つめる視点、危機感を含めた感情を受け持つ視点、ってのがあってもよいような気が。[インターネット(字幕)] 3点(2022-07-30 17:52:00)《改行有》

10.  バトルフィールド・アース 体も態度もデカいパワハラ管理職に、非力そうな新入社員が立ち向かう、ってな感じの作品。 ラジー賞と言えばコレ、まさにキング・オブ・ラジーとも言うべき作品なもんで、余程ハジけた作品なんじゃないか、と別の期待をしてしまうのですが、さすがにそこまでの作品じゃあない、かなあ、と。 宇宙人はちゃんとワルそうだし、強そうだし、アタマ悪そうだし、基本は押さえてます。地球人より出番が多いような気がする点は、ちょっと変わってますかね。いや、だいぶ変わってますかね。 この荒唐無稽さを、最後まで貫き通したのは、多少呆れはするものの、痛快でもあります。 ただ、宇宙人がデカいのはいいけれど、それならそれで、もう少しちゃんとデカさを印象づける撮り方って、できなかったもんなんでしょうか。スターウォーズを見れば誰だって、チューバッカ=デカい、という印象を持つと思うのですが、この作品を見終わっても、ああトラボルタでかかったな、という印象は残らない・・・[インターネット(字幕)] 6点(2022-05-29 20:38:17)《改行有》

11.  バグド 昨日はドン・ドーラーのそれはそれはヒドい作品を見てしまったので、ちょっと口直しに。 って、それで見るのがコレでは、全然口直しにならないみたいですが、そこはそれ、昔から「トロマをもってトロマを制す」「トロマを喰らわば皿まで」とか言うじゃないですか。トロマムシ三太夫。なんちゃって。 (・・・・・・。) まあ、これも相当に安い、有り体に言えばヒドい、作品なんですけれど、昨日見た作品と違って、ちゃんと映画を感じさせるシーンってのが、あるのです(というか、最初から最後まで何一つ映画を感じさせない、という方が実は驚くべき事なのかも知れないけれど)。 自分の体で人体実験みたいな事をして、体に変調をきたしてしまった博士が、話しをしてるんだけど薄暗くて顔がよく見えない、なんて場面とか。こういうの、ちょっと『ザ・フライ』っぽいじゃないですか。「っぽい」と言っても程度がイロイロありますけどね。 コレ、数十センチに巨大化したコオロギが襲ってくる、というオハナシですが、なにせコオロギと言えば昆虫界最強、とも言われている生物ですからね(?)。だんだん騒ぎが大きくなっていき、最終的には籠城モノへと発展していく過程などは、1970年代あたりのパニック映画の語法。充分、嬉しくなっちゃいます。昆虫のデカさを競うコンテストの前フリがちゃんと物語に活かされてるのが、これまたアホらしくも感心させられたり。 ラストは微妙にヘンな欲を出してヘンな終わり方になっちゃったのが、イマイチ締まらない感じで残念、お陰でここで我に返りましたが(笑)、これでラストをうまく締めてくれてたら、もういくらでも褒め言葉を差し上げたくなっちゃうような作品(ホントに褒めるかどうかはともかく、気持ちの上では)でした。[インターネット(字幕)] 6点(2022-05-15 16:16:45)《改行有》

12.  ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー スターウォーズってのはシリーズというよりも一種のブランドで、このブランドを傷つけない範囲でありさえすれば、中身はどうでもいい、という側面があるように思うのですが、「ブランドを傷つけない」ってのが意外に難しい。 ハン・ソロってのは、ハリソン・フォードと不可分なので、彼以外の俳優がこれを演じる、ってのがすでに、キナ臭いものを感じさせます。だけど若き日を描く、となると、その点は目をつぶらざるを得なくなります。 ま。そもそも、ハン・ソロの若き日なんて多分、もともとは誰も興味ないし、チューバッカとどうやって知り合ったかなんてのも、どうでもいいわけで。 そのどうでもいい題材を、何の意外性もなく、しかし極力、ブランドを傷付けない形て、娯楽作として仕上げてます。いかにもソレっぽいけど、何が印象に残ったかと問われると答えに窮し、しかしイヤな印象だけは残らなかったことに、何となく安心してしまう。 このネタで映画撮るとしたら、こんな感じ、なんですかねえ。[地上波(吹替)] 6点(2022-05-06 22:50:10)《改行有》

13.  ハッピー・デス・デイ 歳食ってくるとだんだん、そんなこと考えるのが面倒くさくなってくるとは言え、それでもふと、思いをめぐらせてしまうのは、死んだら自分はどうなるのだろう、そして自分のいないこの世界はどうなるのだろう、ってコトでして。 誰かに生まれ変わる、などというのはあまりに根拠がなく楽天的過ぎる気がする。と言って、「この世界の唯一無二の観測者」である自分、その自分が存在しない世界だなんて、そんなものが存在しうるんだろうか? などと考えていると、行き着く先の結論としては、「きっと、死んだらまた、自分が生まれた日に舞い戻って、同じ人物として一生を送り直すんだろう」と。アホらしいようですが、これが一番、合理的な考えのような気もしてます。「自分」という特殊な存在の周りに無限に積み重ねられていく、多次元宇宙。。。 そんなことはこの映画には関係ないんですけどね。発想的には少しだけカスってるかと。殺されるたびに同じ誕生日の朝に舞い戻る主人公、という、タイムリープもの。 基本的にはこういう可逆性みたいなものは、あまり映画で描くのには向いてないネタのようにも思ってたんですが、本作の面白いところは、その「繰り返される同じ日」ってのが、「無為に送っている日常」の比喩のように描かれてることで。主人公は、最初はイヤな感じの女性として描かれていて、おそらくはこれという生き甲斐もなく、ムダに日常を送ってる。そりゃ、タイムリープにも陥るってもの。 その主人公の成長物語、というと大袈裟だけど、紆余曲折の末、主人公はその日を「かけがえのない、大事な日」として送る心境になり、その姿は見てて清々しい・・・と素朴に喜んでられないのが、ホラーのホラーたる所以、サービス精神でもありますが、とにかく。 説教臭くならず、ホラーの体裁もしっかり保ちながらなお、そういう素朴なドラマ要素を入れ込んでくるのは、なかなか心憎いんじゃないでしょうか。[インターネット(字幕)] 7点(2022-04-24 22:09:20)(良:2票) 《改行有》

14.  パージ:大統領令 これまでの2作では、この「パージ」というシステムがすでに存在することが前提だったけど、この第3作では大統領選を絡めて、「そのシステムを我々は選択するのか否か」ということを問いかけています。全米ライフル協会についての言及、現体制を支持する宗教団体、対抗する女性候補・・・いかにも共和党vs民主党の構図です。勿論、積極的な殺戮である「パージ」が実世界で行われている訳では無いにせよ、「大きな政府」を目指すのか「小さな政府」を目指すのか。「小さな政府」の行く先には、社会保障の削減、弱者の切り捨てがあり、結局それは、満足な医療を受けられずに命を落としたり生活苦から自殺に追い込まれたりして弱者が抹殺されていく世界が待っているのではないか。そう考える人々にとっては、このシリーズは第3作に至っていよいよ切実な寓話となってるとも言えるのでしょう。 ただ、日本でぬるま湯に浸っている私のような者には、ホントのところはよく分からない・・・。 1作目ほ籠城モノ、2作目はサバイバルでしたが、3作目はまた趣向を変えてきて、両者の中間と言えなくもないけれど、これがなかなかの面白さ。自分の店を守ろうとする市井のオヤジの話と、パージに反対し命を狙われる大統領候補の話とをうまくクロスさせて、巧みに物語を進めます。 万引きを見咎める場面など、非常に魅力的。どういう事態になるのかとハラハラさせつつ、エピソードを通じて登場人物を物語の中に配置してみせる。元スケバンみたいなお姉さんが、イイ顔してるんです。 そしていよいよ、パージの夜が始まる。どこから持ってきたのかギロチンで処刑が行われていて、これが残酷描写そのものよりも、滲むような光の中で描かれているその不気味さの方に、強い印象を受けます。その後も再三登場する、光の中に浮かび上がる惨劇、あるいは教会での儀式。 不気味さとサスペンスと、そしてアクション。ここまでの3作の中では一番面白かったかも。[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-28 13:12:45)(良:1票) 《改行有》

15.  バラキ 《ネタバレ》 『ゴッドファーザー』と『仁義なき戦い』を足して2で割っても、こうはならないとは思うけれど、でもそんな感じがする作品です。 製作の時期もちょうど両者に挟まれる形になってますね。 映画としては『ゴッドファーザー』からは何らかの影響を受けざるを得ないのかも知れないけれど、原作本が出版されたのはこちらの方が先(しかも実話)、ということなので、全体としては互いに影響し合っているのでしょう、きっと。 とは言ってみたところで、確かにマフィアの知られざる実態を描いている点からの興味には共通のものがあれど、何と言ってもコチラは主演がブロンソン。アチラのような華美な(それ故、いささか表面的な)世界ではなく、だいぶ男臭いです。ワイルドです。役どころもそれほどの大物ではなく、あくまで運転手。 冒頭、ブロンソンが刑務所で暴れて、刃物を人質に突きつけ、脱獄でもするのかと思いきや、要求は「独房に移せ」。意表をつくオープニングでツカミはOK、刑務所内ですら彼にとって安全ではなく、シャバなどもってのほか。独房にしか安全がない、という彼の状況が示されると同時に、彼のタフさも感じ取ることができますが、まあもともとブロンソンですから、タフなんでしょう。 で、そこから彼の過去が語られる、という構成。だから多少、物語性には乏しいですが、そういう彼が見てきた、経験してきた一種不可思議な世界が、特に暴力性を示しつつ(指詰めならぬマラ詰め)、淡々と語られていきます。 そしてラスト。結局、組織の中に深く入り込みそこから抜け出せなくなった男は、そこから抜け出すために真相を暴露しようとするけれど、その結果、この社会全体という、さらに巨大でさらに容赦のない組織の奥深くに閉じ込められてしまうのであった。ってなところでしょうか。[CS・衛星(吹替)] 7点(2021-09-19 13:43:07)《改行有》

16.  パージ:アナーキー 年に一度、犯罪が許され人間狩りの殺戮が行われる。実際のアメリカの銃社会においても、「私は銃所持に反対です」と言ってみたところで自分だけが安全になるわけでもなし、結局は何らかの形でリスクに向き合わざるを得なくなる。一種の寓話みたいなところがあって。 この設定からは、色んなバリエーションが考えられるよね、ということで、前作が自宅での攻防戦、「わらの犬」的な状況を設定したのに対し、第2作ではパージ開始までに帰宅できず襲撃の危機にさらされる、という設定から始って、今回はちょっと「ウォリアーズ」的、とでも言いますか。 前作が当たってそれなりに儲けたのか、第2作は還元セールっぽく、肉付けもしっかりしてパワーアップした感はありますが、やはり前作の閉鎖系の籠城モノには独特の緊張感があり、今回の開放系の筋立ては少し分が悪い印象。次第に次第に窮地へ落ち込んでいく、というようなコワさがあまり無く、一作目のインパクトを超えるには、さらに工夫が必要そう。 不安感の弱さ。緊張と緩和の弱さ。せめて夜明けぐらいはもう少し印象的に描いてくれたなら。[インターネット(字幕)] 6点(2021-08-29 09:44:54)(良:1票) 《改行有》

17.  バスケット・ケース3 正常とは何か、異常とは何か、を我々に問いかける珠玉の名作(笑)。 明らかにマチガッた方向に突っ走ってしまった前作は、いっそ無かった事にしてくれても良かったのだけど、そうは問屋が卸さず、そのまま第2作の続きとして幕を開けるこの第3作。不幸中の幸いは、前作のオチだけは「無かった事」にしてリセットしてくれている事、でしょうか。 しかし、第2作の路線をさらにアホらしい方向に推し進めることにより、外見の奇妙さをもって本当に「アブノーマル」と言えるのか、実は正常を自認する者たちこそが異常なんじゃないのか、という永遠のテーマが、誰も予期しない形で(少なくとも製作者たちが予期しない形で)浮かび上がる。まあ要するに、どんなに下らない映画でも、3作続けりゃどこかにはたどり着く、という、そんな作品でした。[インターネット(字幕)] 6点(2021-07-01 22:46:08)《改行有》

18.  バスケット・ケース2 双子の兄が、顔に手が生えているだけ、みたいな異様な姿をしていて、バスケットケースの中に潜んでいる。という作品。 前作のラストで兄弟2人、いや1.5人くらいでしょうかね、は、悲劇の転落死を遂げたはずなのですが、この続編は前作のラストシーンから始まり、「いや、死んだなんて一言も言ってないもんねー」とばかり、1.5人とも実は怪我だけで済んでたことにして、さっさと物語を開始してしまう。なるほど確かに前作のラストは救急車のサイレンで終わってたもんなー。効果音も、入れてみるもんです。 でこの第2作。フリークスたちのコミュニティがあって、彼らもその仲間入りをすることに。と聞けば何だかイイ話のようですが、このコミュニティの面々が、何とも言えん特殊メイクで、ヘルレイザーっぽさ全開、なんですね。どうも妙な雰囲気で。 で、それを嗅ぎつけた記者が、秘密を暴こうとする、という展開。 前作よりナンボか「ちゃんと映画を作ってる」という感じはするものの(あくまで相対的に、ですが)、その分ちゃんと、面白くなくなっていて、結局、両要素を掛け算すると大体同じようなところに落ち着いてしまうのかなあ、と。 ラストはまるで、「第1作に続く」とでも言いたそうな。[インターネット(字幕)] 5点(2021-06-12 08:00:12)《改行有》

19.  バニラ・スカイ 《ネタバレ》 正直、『オープン・ユア・アイズ』を見てりゃ、こちらは見ないでもいいや、くらいにしか思ってなかったんですけど。どうせトム・クルーズのこと、日本でパチンコが気に入って「コレを自宅にも置いてくれ!」とか言ったみたいに、「ペネロペと共演させてくれ!」とか言い出して作られた映画なんじゃないかと。 仮にそうだとしても、結構、楽しめちゃったりする作品、だったりします。 冒頭から、トム・クルーズ、猛然と走る姿を披露してみせ、こういったところはアクションスターとしての矜持でしょうか。 途中からの特殊メイク顔は、きっと、「さあ、メイクさんよ、このボクの美しい顔をとびきり醜い顔に変えてくれたまえ」とか言ってそうな気がする。ホントに言ってたかどうかは知らんけど、割とトム顔の原形を留めていて、この辺りはやや迫力不足の気味がありますけれども。 オチを隠すでもなく、むしろ途中は再三、オチを匂わすようなところがあって、現実と非現実との境界が曖昧になっていく(もともと境界なんて無きに等しいけど)。 なんだかだんだん、真景累ヶ淵みたいな状態になってきて。 まあ、リメイクする意義なんて大して感じられない作品のようにも思えるけど、そうは言いつつもコレはコレで悪くなく、スター映画である分、オリジナル作よりも後々まで残る作品、ってことになるのかも。[インターネット(字幕)] 7点(2021-05-30 23:06:57)《改行有》

20.  運び屋 《ネタバレ》 「園芸家」というのと、「好き勝手やってきたもんで家族に愛想を尽かされてる」というのとが、イマイチ繋がりにくいのですが、いや、そんな園芸家さんだって、そりゃいるでしょうよ。 で、かつては自らの園芸の腕一本でブイブイ言わせてたけど、デジタル化の波には勝てず商売上がったりでついに家を差し押さえられるハメに。と言う訳で、ギャングどもの麻薬運びを引き受けちゃったジイサンの話。 ヨボヨボのジイサンを取り囲む俳優陣は、その殆どが、若々しく、逞しく、ガラも悪かったりして。その中に澄ましたジイサンが、ひとり。もしかして撮影現場もこんな感じでイーストウッドだけが浮きまくっているのではないか、と思えてきます。 一応、悪いことをしているという認識を、知識としては持ってるらしいジイサン、しかし自覚がまるでない、というか、ヘンに世知に長けていて機転が効いちゃったりする分、たちが悪い。 という主人公を自分で演じていて、自分を主人公に重ねている部分もあるのですが、それにしては描き方が妙に客観的。ジイサンから周りがどう見えるか、よりも、周りからジイサンがどう見えるか、の方が中心的に描かれているように感じられます。これがちょっと不思議なところでもあったりして。主人公が追い詰められていくクライマックスなど、見ている我々は、主人公と一緒に追い詰められる、というよりも、あくまでそれを外部から見る立場であって、何だかジイサンがどんどん小さくなってしまう。 でも最後は一点、頑固なところを貫いて見せて。でも、ホントに反省しているのやら・・・という、微苦笑を誘うラスト。 ところでこの映画、同時録りの際の都合か何か?なのか、セリフの音声に一部、違和感があるんですけどね。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-09 12:56:08)《改行有》

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