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41. 鳥(1963)
衛星放送で何度目かの『鳥』を観た。今回ようやくにしてこの映画の意味がわかった。断言して言う、これはヒチコックによる、あるタイプの女に対する復讐の映画である。主人公の女は、自分勝手で高慢ちきな美人、つまり容姿が美しいだけで嫌な女だ。この女に懸想する男も、色好みの軽い男にすぎない。ヒチコックは、このようなタイプの女を、鳥を使ってこれでもかといじめてみせる。陰険そうな姑は、意味深ぶったたんなる付け足しの道具立てにすぎない。町全体が鳥の被害に遭うのは、このような女が一人やってくるだけで町が嫌な雰囲気に一変し、攻撃性を増すといいたいのだ。これはヒチコックの、あるタイプの女への憎悪と復讐の映画である。嘘だと思われるなら、そういう眼で一度この映画をご覧あれ。9点(2004-01-22 21:20:27)(良:4票)
42. 日の名残り
《ネタバレ》 自分を殺して殺して、殺して生きる男。お互い惹かれあっているくせに、決定的な一歩が踏み出せない女、男は一歩踏み出すべき瞬間に、またもや自分の小さく堅固な殻に閉じこもってしまう。これでよかったのだ、と男は自分に言い聞かせる。けれど「人は皆人生に悔いを持っているものです」とも男は言う。本当にそれでよかったのか、それともいけなかったのか、わたしにはわからない。
こういったことはおそらく誰でも思い当たるふしがあるにちがいない。
アイヴォリー-ホプキンスの傑作、というより、なんとも心に響く映画。
アンソニー・ホプキンスは例のレクター博士役で広く有名になった。たしかにレクター博士もたいした演技だったが、こうした地味な役どころにこそ、彼の本領を味わうことができる。ちょっとした手の動かし方に、ちょっとした皮膚の動きに、すべてを表してみせる。
10点(2004-01-18 22:57:09)《改行有》
43. K-19
アメリカ映画がロシア軍人をこう描くようになったか。冷戦時代は終わったんだなと実感する。
それはともかく、ヒューマンドラマとして秀逸。
それに潜水艦ものは甘ったるい恋愛ものとちがって、男しか出てこない男同士の世界でよろし。8点(2003-12-28 08:46:43)《改行有》
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