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1. コーヒー&シガレッツ
ジム・ジャームッシュといえばロードムービー。でもこの映画はオムニバス、ロードムービーではない。ホントに?・・・腑とそう思って観てしまった。確かにいつもどおりの小粋でどうということもないエピソードが11も綴られている。しかし、ロードムービーにおける、場所・時間・人物の「移動」が、主人公たちを主体とせず、観客を主体としたならば、この映画でも確かに、場所・時間・人物の「移動」が、我々にとって行われている。本質的な違いは、物語の進行に連続性が無いだけだ。我々は常に、新たな場所、人々との出会いに遭遇するのだ。これは、不連続のロードムービーなのだ・・・などと、妙な屁理屈を捏ねてみたりして・・・。でも、そんな印象を受けたのは本当です。粋なルーツミュージックと市松模様、滑稽な会話、そして褪せることの無い構図に10点です。[映画館(字幕)] 10点(2005-06-11 05:26:07)
2. ダウン・バイ・ロー
《ネタバレ》 不安と安定の繰り返しが、乾いた情景とテンポで語られる映画。
こういう同テンポの繰り返しって一種の高揚感や緊張感を孕みますね。
しかし、高揚や緊張と相対する弛緩をキャラクターは内包しています。
そこに印象の「ズレ」が出現し、客体に浮遊感を持たせたまま、とんでもなく美しい写真と音楽と共に物語は進行して行きます。
一往に孤立した不安を抱える主人公達は、刑務所の中でひたすらに安心を求めます。
しかし人間懐疑的な彼らがそう簡単に同調出来るはずはありません。
彼らの不安を解消できる術はただひとつ。
自分の隣に自分以外の人間がただ居ること。
上辺だけの言葉もカードゲームも、すべて他人を意識するための手段にすぎません。
周りに人が居る安心と孤立による不安。
コミュニケーションにおいても同様です。
意見の同調とすれ違い。
相互関係の繰り返しが幾度も映し出されます。
しかし、そんなご都合主義的な危なっかしい人間関係のなかに、時々本当に解り合えたかの様な瞬間(シーン)があるのです。
そんなシーンを観ると、なんとなく観ているこちらまでニンマリしてしまいます。
美しいなぁ・・・と思ってしまいます。
この映画には名シーンが存在しています。
>>↑最近観直して、屁理屈抜きにやっぱりいい!と思い直したので、10点改め。
[ビデオ(字幕)] 10点(2004-11-12 04:04:49)《改行有》
3. アイズ ワイド シャット
《ネタバレ》 僕はこんな風にして、この映画を楽しみました。
この冒険談を夢と現実の二つに分けたのです。
映画冒頭のパーティーシーンと終盤のおもちゃ売場のシーンが現実にあったこととし、その他全てのシーンを虚構として捉えます。
当然、夫婦による鏡の前での愛撫シーンは、現実と虚像が反転するサインとして捉えます。
ベッドの上の仮面も同様です。
すると、冒頭のパーティーシーンと夫の冒険談にはっきりとした対比の構図が現れます。
○中年男性にナンパされる妻への猜疑心――浮気を告白する妻。
○若い女性に囲まれる夫の自負心――愛の告白を受ける夫。
○中退したピアニストの同級生への不信感――不安定な生活を送る同級生。
○金持ち主催者の性癖に対する強迫観念――理解不能な破廉恥パーティの存在。
○「虹のふもと」――「RAINBOW」という名の貸衣装屋
といった具合です。
こういった見方をすると、夫の「全て告白する・・・」の解釈は大きく違ってきてしまうのですが。
まぁ、こういう解釈も出来るかな?――という事で。
10点(2004-03-22 21:58:15)(良:1票) 《改行有》
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