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プロフィール
コメント数 112
性別 男性
自己紹介 10点---- 個人的ツボ。欠点なんて知ったこっちゃない映画。
9点---- 完成度高し。人にすすめたくなるような映画。
8点---- 良作。ちょっと気になる点も。

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  カサブランカ 《ネタバレ》 ラズロが先導して、フランス国家を歌い、ドイツ軍の歌をかき消すシーンが、なんといってもこの映画の一番の見所だと思います。ラストの余韻もよいですが。あれを見せられると、結婚という形式的な束縛もあったにせよ、イルザがなぜラズロを選んだのかが分かります。かっこいい男とはまさにラズロのことですよ、奥さま方。戦意喪失し、キザな男全開だったリックも、最後の最後に「本当の意味でのかっこいい男」になりますね。彼のかっこよさは、クライマックスへ向けて変化する前の彼ではなく、ラストから、違う物語で続いていくのです。帝国主義から、自由を奪い返す為の、語られなかった物語の中で。[DVD(字幕)] 8点(2011-09-15 05:07:22)

2.  いまを生きる 《ネタバレ》 キーティングの教えは、人間とは自由であるということだったと思う。それは、嫌なことから逃げ出せ、嫌いなものからは逃げろというような自由ではなく、自分の中で吐き出される感情を、正しい形でアウトプットする方法を教えたかったのだろうと思う。 スポーツやバンドをやってる人は、何も考えずとも思春期特有の鬱屈した感情が蒸発していくもんだろうけど、そういう術を知らない子供達にとってはひどく重要な問題だ。環境的に束縛されていても、アウトプットする手法さえ知ってれば、そう簡単に追い詰められることはない。 芸術家は負のエネルギーを、創作活動にぶつけることができる。 内部にたまったものを形にするという方法さえ知っていれば、感情の捌け口として、内部のエネルギーを外に逃がすことができるのだ。ブログ、レビュー、SNSなんかも同じ。 どこまでも、自分の内なる世界にとどまっているだけでは何も生み出さない。 外に向かってアウトプットすることで、他者と出会い、他者の価値観に触れ、それを認識することで自分というものが分かってくる。新しい発見がある。この映画では詩作という方法で、友人同士が自分の内的世界を外に向かって吐き出し、ぶつけあっていく。何と平和的で生産的な方法だろうか。 では、なぜ友人は死んだのか。 彼の失望は、舞台での成功を褒められなかったことよりも、陸軍学校に送られることよりも、親に愛されていないことをはっきりと自覚したからだと思う。自分の中で、そんなはずはないと気づかないふりをしてきた感情、親のロボットになることで愛されていることを確認していた感情が、そうじゃなかったんだと、意識する形で現前と姿を現してきたのだと。子供たちにとっては、親の言いなりになることよりも、それを自覚する瞬間が一番の恐怖なんじゃないか。 キーティングは、感情を外に表現することを教えた。しかし、彼の根底は、両親という基礎によって形作られている為に、その感情を知ってしまったら、もう、自己表現することも、家を飛び出すことも、口論することさえ空虚なものに感じられてしまったのだろう。 親がやることは、安全な道を強制的に歩かせることではなく、安全な道を歩けるように上手に軌道修正させて導いていくことだと思う。この映画は、もちろん青春映画なのだけど、青春時代を過ぎ去った大人たちに向けられた映画でもあると思う。[DVD(字幕)] 8点(2011-09-15 04:53:45)《改行有》

3.  ヒア アフター 《ネタバレ》 3つのストーリーが同時進行で語られ、物語の最後で交錯するという作り。満足度はまあまあでした。ストーリーが、収束に向けて角度を変えていく過程が遅く、娯楽作を期待して観ると、終盤まで退屈するかもしれません。また、ひとつの物語としてのパワーも、最近のイーストウッドの作品を期待して鑑賞に臨んでしまうと、多少見劣りしてしまうかも。[以下ネタバレ] 後ろばかりみつづけていたジョージは、物語の最後の最後で、初めて未来のヴィジョンを見る。同じものを信じている相手とは、心を共有でき、希望を見出せるということ。 だが、それは逆に言えば、同じ人間でも信念の価値が違えば、世界は隔てられてしまうと言ってるようでもあり、それが真実だとしても、一抹の寂しさを感じさせる部分ではある。少年は母の胸に飛び込んでいくが、分かり合ったとはいえないし、青年と女性もお互いを慰めあうしか、この現実世界を生きる術はないというようにも見えてしまう。社会とのつながりのなかで、どう葛藤や対立を乗り越えていくのかを期待して見てたので、観賞後のカタルシスはあまりなかったというのが本音。三つのストーリーとも、内部では問題を解決できずに、外部でお互いを補完し合うような感じですね。 外の世界が広がっていることを感じるということは、問題解決の際にすごく現実的だと思うのです。例えば、いじめや差別という問題でも、同じような境遇の外にいる人たちで、「団結しあう、共感しあう」といったことが、勇気や力を与えるのは事実でしょう。しかし映画ですから、もう少し魔法を見せてくれても良かったという気がしないでもないです。 ただ、こういう非科学的なものを信じる人達の物語を見せられることで、より身近に感じることができたのは事実でした。また、近頃の群像劇で描かれがちのテーマである、宗教という概念とは少し距離を置いているのも良かったです。結局のところ、神様よりも、「人間」を一番信仰しているということが、この映画からは伝わってきます。それが神への陶酔と同じ様な包容力を帯びていて、温かい気持ちにさせられました。[映画館(字幕)] 7点(2011-02-19 21:18:26)《改行有》

4.  潮風のいたずら 《ネタバレ》 映画の途中、恋人達の伝説の話を聞いた時点で、「ああ、この話がラストの伏線で使われるんだな」というように先が読めてしまうし、船の上で汽笛がなった瞬間に「あーくるぞくるぞ」と身構えてしまうのですが、主演のゴールディ・ホーンが海に飛び込む前に見せる、「アルトゥーローォォォ」の演技が実にいいんですよね。あの瞬間のためにこの映画を何度も見てると言っても、過言ではないかもしれません。レスリー・ディクソンの脚本は、娯楽作としてはハズレが少ないと思います。さて、リメイクはどうなることやら。[ビデオ(字幕)] 8点(2010-11-24 04:10:36)

5.  プレシャス 《ネタバレ》 スカーフをプレシャスと似た境遇の子供に渡すシーンから、鏡のシーンを挟み、母親との決着をつけるまでのシーンの連なりは、食い入るように見てしまった。連鎖の阻止、自己の確認、捨てるという一連のプロセス。巨大な支配を潜り抜け、彼女は自由になった。母子3人で歩き出す彼女の足取りは、どっしりとしていて希望に満ちているようにも思えるが、待ち構えているのは苦難ばかりである。一歩ずつ、ゆっくりと歩んでいくしかない。母を捨てるという決断。その選択肢があるということを提示してこの物語は終わる。逃げることも許されるんだよと。 しかし悲惨ですね。色々な段階が逆で、父を捨てる瞬間は、処女とともに奪われ、母を捨てる瞬間が、子を産む痛みよりも先に来る環境なのだから。 中盤に登場する半世紀前のI have a dreamの演説がこんなにも空しく響く映画もない。 と、ここまで書いて、あの演説をネットでもう一度読んでみて鳥肌が立ちました。中身ちょっと似ているではないですか。あの時代はアメリカ社会に向けた意味合いが強かったと思うのですが、今は構造がかなり変わってきてるのかな。(舞台は80年代ですが)この映画、黒人監督による黒人社会に向けたメッセージ的意味合いの方が強いんではないでしょうか?この映画では、プレシャスに暴力を行使するのは、すべて黒人なんですよね。暴力の連鎖をコミュニティの内部から食い止めようではないかという気概が感じられます。マライアの起用はアフリカ系とのハーフだからいいのかな?[DVD(字幕)] 7点(2010-11-16 17:46:33)《改行有》

6.  ロード・オブ・ドッグタウン 《ネタバレ》 幼馴染みが成功して、それぞれバラバラの道を歩き出す。新しい仲間や、価値観に触れ、歯車が少しずつずれてしまった彼等は、不仲になってしまう。青春映画でありがちな展開です。そして、どうやってその離れていった距離を埋めるのかなと眺めていると、ほぼ葛藤は描かれずに、昔みんなで楽しく過ごしたあの頃のように、プールの中をスケボーですべるだけ。離れていた心が、自然とあの頃に帰っていく。言葉なんかいりませんよね。このあたり、すごく共感できます。彼等の住んでいた街、犯罪の横行する薄暗い街は、スケボーに乗って滑走する瞬間だけは、輝いて見えていたのではないかなあ。スケボー文化の自然発生と、その黎明期を見れるという点では貴重な作品でした。[DVD(字幕)] 6点(2010-11-14 20:13:15)(良:1票)

7.  (500)日のサマー 《ネタバレ》 恋というものの残酷さを、見せ付けられた。なぜなら、失恋によって人は、それまで築き上げてきた人間性を木っ端微塵に打ち砕かれ、自らを見つめなおす機会を、強制的に提供されるから。その意味で、サマーが心を占有した500日を研究対象のように、時系列をバラバラにして振り返っていったこの構成は、成功していると思う。トムのように、失恋したら、(○○)日の○○という形で、自分を振り返ることは非常に重要だろう。誰しもが、恋の"ごっこ"を繰り返して、自分を知り、愛を学んでいくのだと思う。トムの場合、別れた原因は、深い関係を結んでることから外見的な問題ではない。つまり、内的な問題で、ナルシシズムからの脱却以外に道はないんだと思う。自分>サマーなんですね。彼女に理想の女性像をあてはめ、価値観を決め付け、運命の女の幻想に恋してただけ。その為には、まずは自分を捨て現実を見つめることから。運命の相手なんて後からついてくる。 映画を総じて、アメリカの文化的アイコンが散りばめられていて、細部まで楽しめる作りだった。趣味という点から人物を掘り下げているのも○。自分はThe smithがきっかけとなり、恋に落ちるトムを見せられて、どっぷりと引きずり込まれてしまった。映画の全体的な雰囲気も良い。アメリのように、お洒落な要素である特定の観客をひきつけ、食虫植物のように食らいついてくるんだから、やられたという感じです。指摘されてる方もいましたが、まさに現代版アニーホール(より身近になってる)ですね。現代の男は、より繊細になってるのかなあ。[DVD(字幕)] 8点(2010-11-14 19:46:02)(良:1票) 《改行有》

8.  レインマン 《ネタバレ》 ベガスでのシークエンスは正直いらない。浮いてる。山は浴室での兄弟のシーン。すべてが気づきの瞬間に収束すれば良かったのにな。そこだけが惜しい。最後の別れは、やっぱり列車でしかありえないと思う。車でも、飛行機でも、徒歩でもない。レールの上を只管まっすぐにつっ走ることしかできなくて、稀に駅で人が乗り降りする列車。彼にぴったりだ。[DVD(字幕)] 7点(2010-10-19 01:33:41)

9.  ドニー・ダーコ 《ネタバレ》 暗い青春を過ごす者にとっては、暗い時代がどこまでも続いているように思える。学校という空間の閉鎖性ゆえに、ある者は引きこもりになり、ある者は自殺を試み、そしてある者は、精神を病む。だが、ある時何かに気づけば、一変して世界が輝いて見える。そう、外にも世界は広がっているのだ。 この映画は、「闇」を見れば、自己犠牲の悲しい物語。謎に支配され抜け出せない。しかし「光」を見れば、妄想から抜け出す、希望に満ちた物語。その二重構造は、まさに、青春映画の傑作にふさわしい。ここではこの映画の光の話について。 映画の冒頭、主人公は目覚める。現実世界と離れて妄想世界に逃げ込み、そこで目を覚ましたことの表明だ。つまり、妄想の世界の住人になった。この映画がすべて妄想の産物だとしたら、映画の中で、起こっていることは、こうなって欲しいと創造主が思っていることや、非科学的な現象ばかりでも良い。タイムトラベル(過去に戻りたい欲求)、母親に愛されたり、いじめっ子に屈しなかったり、片思いの相手が自分のことを好きだと言ってくれたり。願望やトラウマなど潜在意識がドラマ化したもので構成される。 この妄想の創造主は、その後、自分の精神的世界の中で、現実に戻る方法を見つける。つまり自我を取り戻すこと。恐怖セラピーのビデオの女は、鏡の中を覗けば、そこには自我が居たと言った。主人公が鏡を覗いたとき、そこにはウサギがいた。その名もフランク。 終盤で、主人公は、地下室の中に導かれる。地下室とは心の中のメタファー。そこで彼がやったこと。 フランクを殺すこと(過去の自分との決別) そして、恐怖の克服(いじめられた恐怖に正面から戦いを挑むこと)、 愛の克服(愛を求める対象を適切に選べるようになること) その後、彼は自己犠牲の死を遂げる。 妄想の世界では、自己犠牲の死というものが、まったく違う意味を持つ。 肉体の終わりではなくて、妄想の終わり、新しい世界の始まり。 なぜラスト3人が手を振っていたのか。母親、好きな子、少年時代(?)に別れを告げたと解釈することもできる。 この映画の光は、アイデンティティを獲得する物語。 孤独な妄想世界に別れを告げる壮絶な戦いの記録。 鬱屈した青春に捧げる魂の鎮魂歌。 妄想から目を覚ましたこの世界の創造主は、ベッドから起き上がり、新しい人生を始めているのではないだろうか。[DVD(字幕)] 10点(2010-10-16 15:43:32)《改行有》

10.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 味わい深い映画だ。反戦に通ずる「現代アメリカの恐怖の克服」の物語が裏で流れていると感じた。マイケル・ムーアは、ドキュメンタリーで「恐怖による病的な自衛が暴力(銃)をうむこと」に対しての警鐘を鳴らしたが、イーストウッドは同じことを物語に溶け込ませて表現し、その克服法を示している。 この作品の厚みは、筋を面白く語りつつ、様々なメタファーらしきものを原始的な行為を交えて配置してることにある。神の前でアメリカを憂う所から始まり、芝生(国土)を守る争い、貰った食べ物を食べる行為、祈祷師に現状を覗かれ、そしてモン族の土地の心臓部でもある地下室(心の中)へ導かれる。その最深部でウォルトにとって救世主とでも呼ぶべきタオが佇んでいる。彼だけは民族の風習を押し付けない。固くなだったウォルトの心は、受容され、知恵(技術)を伝えることで、解きほぐされていく。物語の中盤では、反対にタオを自分の暗い地下室(心の中)に少しずつ招き入れる。冷蔵庫(重荷)を共に運び出し、大事にしまっていた勲章(罪)を継承し告白する。そしてそのままタオを、地下室に閉じ込めてしまう。大事な宝物でもしまっておくかのように。この物語が発するエネルギーの源泉は、寓話的空気感がありながらも娯楽的に筋を通している所で、神秘と慈愛に満ち溢れていると思う。上映中はストーリーとイーストウッドの花道的な意味で泣けて仕方がなかったが、無意識の視覚的イメージにも感情を大きく揺さぶられていたことが分かる。もちろん演出に拠る所も大きい。 クライマックスの復讐のシーンでは、住民(世界)の面前で恐怖の克服をどう解決したのか判明する。そこに神父(宗教)は立ち会えない。それができたのは、銃(暴力)でもなく、神への懺悔でもない。ウォルトはタオと協力して冷蔵庫(重荷)を運び出し、神父にではなくタオに対して告白した。そして恐怖を克服し殺されてしまったけれど、悪は罰せられ、勲章とグラントリノを残した。後者が何のメタファーだたのかを考えると、この作品はきちんと答えを示してくれたことが分かる。反戦的で、すんでの所で宗教への不信を表明する隠された物語は、アメリカ人によるアメリカ人の為に作られているものなのかもしれない。[DVD(字幕)] 10点(2010-02-12 08:42:49)《改行有》

11.  イースタン・プロミス 《ネタバレ》 いまいち食い足りなさが残る作品でした。無駄がないというよりも、ドラマのお膳立を省きすぎているので、のめり込むことはできなかったというべきか。狙ってやっているのでしょうが、どの人物にも深く感情移入させる作りにしていないです。そういう浅いドラマでも作品の総体として何かが伝わってくるのならいいのですが、それも弱い気がします。人物描写は上手く自然に出来ているので、それを活かす局面が観たかったです。サウナでの死闘は一見の価値ありかと。[DVD(字幕)] 6点(2010-02-10 19:39:19)(良:1票)

12.  イントゥ・ザ・ワイルド 《ネタバレ》 パッケージの爽やかさとロードムービーという情報のみで借りたのだが、かなりヘビーな内容。主人公が口にすることは一見強くて意志のある人間にも見えるが、彼のとった行動は愛情欲求の裏返しでしかないのだと思う。彼に生の実感がないのは、安全が満たされすぎて生の実感がわかないという豊かな社会における特権的欲求というよりも、親からの愛情欲求が満たされてない所から生じているように見える。故に、荒野で死の危険と隣り合わせになっても解き放たれることはない。旅の過程で温かい心の交流もあり、心を開いていけるチャンスはあった。しかし、彼はいつもあと少しの所で踏みとどまってしまう。表層的な接触しかなく、深部ではつながっていない。嫌われるくらいなら、いっそのこと親密にならないほうがいいし、荒野に行けば訳の分からぬ物足りなさは満たされると思っている。だから逃げる。物語の最後、彼が出した答えには考えさせられた。生の実感というものは、人との関係性の中で見つかるもので、荒野で見つかるものではない。他人と共有する、楽しさや一体感などの見えない感覚の中にこそあるのだと思う。独りで身の危険を冒して得る生の実感は常に虚しさと隣り合わせなのですね。彼はアラスカで独りになるんじゃなくて、行く宛ても無い旅を続けて色々な人ともっと交流していくべきだったのだろう。彼が命を懸けて、親の愛情、そして人間の愛情に飢えていることを自覚したのがとても切ない。[DVD(字幕)] 8点(2010-01-16 09:01:08)(良:1票)

13.  ミスト 《ネタバレ》 ちょっと油断した。放心状態。あのラストはハリウッドのタブーと思っていたので。しかし、言いたいことがほとんどこのサイトに書かれていたのでスッキリしました。映画とこのサイトをセットにして見ないとだめですね。自分の一番の不満点をあげるなら、ラストにかけて主人公達が絶望的な局面に陥る過程への描き方が弱いところです。非力で無垢な子供として描いてきたのに、その子供に手をかけるほど絶望的な状況に見えないのです。敵に囲まれ四面楚歌の状態だというのならまだ理解できるのですが…。ビリーが終始ぐったりとしていて、魅力が抑えられていたのは、ラストの非難を想定した制作者の配慮だと思われます。[DVD(字幕)] 4点(2010-01-16 02:01:05)(良:1票)

14.  ラースと、その彼女 《ネタバレ》 人と人との距離感って人それぞれで、その距離の取り方を、周囲の人々が徐々に見つけていく所が良い。勿論、ラースがそれを徐々に気付いていくのも。好意を寄せる相手ってのは自然と寄り添いたくなるもの。でも、その相手のことも考えないで近づいていってしまうと、ラースにとって心地よい距離感を侵してしまう。不慣れなうちは、兄嫁もマーゴもその領域に土足で踏み込んでいく。ラースも混乱し、恐怖が勝ってしまう。ただじっと待ってあげるってのが、どんなに困難であたたかいことなのか。世知辛いこのご時世では、現実的な話じゃないんだけどね。普通は意地の悪い連中をそこかしこに配置したくなる。この映画はあえてそれを省くことで、ぐっと包容力がましている。余計なものは描かないという、すごく省略の上手い映画だと思う。そのお陰でテンポも良いし。あと教会のオバサンもいいね。ビアンカの女としての扱いに怒るととか。他の人はどちらかというとラースの為に演技しているようにも見えたけど、あの人はビアンカを生身の人間として扱っているように感じた。[DVD(字幕)] 7点(2010-01-13 03:49:36)(良:1票)

15.  卒業(1967) 《ネタバレ》 「卒業」というタイトルから爽やかな青春映画を想像していましたが…。序盤でまさかのサブリミナルおっぱい。その辺りからあらぬ方向へ(笑) 以降、熟女による筆おろし映画、すなはち「卒業」なのかと理解し、愕然とした… のも束の間、親子丼、略奪愛へと。ストーリーは、まぁ、評価不能です。しかし、心情の映像への落とし込みが非常に上手い。例えば、考え事をして煙草の灰が長くなってる箇所や、動揺してハンドルをぐらつかせる箇所、不倫妻と喧嘩の後の暴走運転etc…。感情を動作とカメラワークで何とか表現しようとしている所は好感が持てます。最後までそういった表現満載です。それに物語が乗っかっていけば良作と思ったんでしょうが。印象に残ったのは、冒頭で人に囲まれた時の不安や動悸を伝えるのが上手かったのと、ラストシーンでの自由を手に入れた二人へ対する突き放し方。バスの中で幸せそうな二人の若者は、大人達の冷めた視線に囲まれるんですねぇ。そこでsoud of silence~が流れてくるからたまらんです。[DVD(字幕)] 6点(2009-10-27 01:37:18)

16.  あなただけ今晩は 《ネタバレ》 サービス精神の塊のような作品。どのシーンをとっても人を楽しませようという気迫が伝わってくる。こういう作品は見てて嬉しい限りですね。"アパートの鍵貸します"の二人をカラーで見れるだけでも幸せです。しかし、減点せざるおえないは、やはり後半のトンデモ展開か。鉄格子を外して監獄から降りてくるところなんて、思わず「オイオイ」とつっこんでしまいました。ロマンチック・コメディを超えて、ファンタジーぎりぎりまで到達しちゃいましたという感じ。X卿が河川から浮かんでくるところに至っては、まさに超自然現象です。まぁこの監督とこのコンビが好きな自分にとっては、笑えるからいいのですが。本当は7点くらいですが、お世辞にもおすすめできるとは言い難いのでこの点で…[DVD(字幕)] 6点(2009-10-25 00:21:48)

17.  ブラッド・シンプル ザ・スリラー 《ネタバレ》 多少、説明不足かと思われる箇所もあるので、ワンショットも見落とせない映画ですな。コーエン兄弟お得意の観客の心理をもてあそぶ、ストーリーテラーとしての上手さは、処女作から一級品でした。非常に面白かった。サブタイにスリラーと銘打つ本作ですが、サスペンスやホラーの要素もあり、それらが渾然一体となって醸し出している雰囲気が堪りません。ただ、サブタイにスリラーという語を入れたことで、「二人は果たして生き存えることができるか」というベクトルが与えられているので、見やすくはなってます。内容については、脚本の上手さも勿論ですが、立体的空間をカメラで二次元に切り取って見せる、カメラの枠の使い方が上手い。TV画面を越えて、どこに狂気が潜んでいるか分からない怖さがある。カメラの枠の外もそうだが、その他、"見えないもの"というのが非常にこの作品の鍵になっていると思う。核となる誤解は勿論、人間の内心や思い込み、壁やドア越しに存在する見えない相手、無言電話の相手、魚の下のライター、ベッドで横になった瞬間に外に怪しい車が見える箇所など…etc 上げ出したらきりないほどです。見えないものは勝手に想像してしまう。だからこそ、そういうものが坦々と恐怖心を煽るんですなあ。ところで、フォトショがないこの時代に、どうやって探偵のおっさんは写真の加工処理をしたのだろう。加工技術、高すぎ(笑)それに、初見時におっさんが現場に戻る動機付けが弱すぎないかと、ちょっと納得できかねていたのですが、なるほど、名前の?刻印が施されていたのですね。しかし、流麗な筆記体。"読めねえよ!"と見直したときにツッコンでおきました。特に印象に残ったのは、最後探偵のおっさんが闇雲に拳銃で打ち抜いた穴から、直線的な光が漏れている箇所。多重人格というワードで観客心理を揺さぶってくる箇所。それに、所々にひっそりと描写されるシーリングファンのプロペラが、まるでリボルバーのシリンダーのように回って見える箇所も秀逸。まさにロシアンルーレット。コーエン兄弟の作品はキャラ立ちや脚本の良さもありますが、こういった所も隠れた良さだと思う。ちょっと咀嚼できてないところがあるので、今のところ10点に近い9点献上です。[DVD(吹替)] 9点(2009-10-24 23:11:12)

18.  ドライビング Miss デイジー 《ネタバレ》 「僕らのミライへ逆回転」で本作が出てきて以来気になっていたが、ようやく観賞。まったく退屈することなく見れました。起伏の無いストーリーながらも、淡々とした語り口で最後まで見せきってしまう。脚本と編集が優れているんでしょう。確かに掘り下げて欲しいエピソードは沢山あるし、省略も沢山あり、勿体ない気がしないでもない。しかし、変にドラマを詰め込んじゃうと、こういった後味の良さは生まれなかったかもしれない。主役二人の演技も抜群。モーガン・フリーマンの笑い声が特に印象に残る。彼の発する笑いは、頑なになった人の心をゆっくりと解きほぐしてゆく、そんなパワーが秘められています。それが、この作品を全編に渡って支配する「温かみ」につながっているんでしょう。根底に悲哀が流れていながらも、人を懐柔させる笑いの演技を見せてくれたモーガンフリーマンの演技には感服致します。そして、人の笑っている姿っていいですね。ささやかながらも、心をあったかくしてくれる作品でした。[DVD(字幕)] 7点(2009-10-24 22:35:00)

19.  深夜の告白(1944) 《ネタバレ》 現在の視点から冷めた目で見てしまうと、ツッコミ所がないわけではない本作ですが、脚本の細かいテクニックが巧いのであまり気にせずに見れます。ネフが、恋に落ちる説得力に欠けたのはいただけませんが(笑)全編に渡り、サスペンスのエキスが凝縮されているので、100分ほどの作品ですが、正直あっという間。そういう娯楽的視点で見ると、このサイトで評価の高い『サンセット大通り』や『情婦』よりも面白いと思います。ネス、フィリス、主役2人のキャラもそれなりに良いですが、何よりもローラとキーズの存在がスパイスとして効いています。初めてローラとフィリスが並ぶシーンがあるのですが、まるでバービー人形のような瞳ウルウルのローラの横で、ダミ声で煙草をふかすフィリス。こちらは、まるで場末のバーのママのよう。フィリスは、それこそ後続のファムファタールの中ではインパクトでは劣るものの、この対比によってものすごく悪女に見えます。一方でキーズは、粋な台詞とキャラクターの良さで欠かせない存在になってます。主役のネフは、マッチのつけ方がカッコ良すぎます。これは、真似したくてもできません。ラストには、キーズに美味しい所を持っていかれますが・・・。ところで、ウディ・アレンが本作を「史上最高の映画」と評しているそうですが、そういえば『マッチポイント』あたりで、その影響が見え隠れするなあと思ったり・・・。ワイルダー初期の中では好きな作品なので8点献上です。[DVD(字幕)] 8点(2009-10-22 23:51:52)

20.  カイロの紫のバラ 《ネタバレ》 好きな映画。映画館で見たかった作品とも言える。ユーモアとペーソスを巧みに織り交ぜながら展開する語り口も巧みですが、観客が思い描くラストを裏切って、あのラストに着地する。それでいて不満足には陥らない。その匙加減の上手さが、アレンが天才といわれる所以だと思います。個人的には、ラストのミアの表情は、現実逃避するしか能がない女から、映画を愛してはいるけれど現実は知っている、強くしなやかな女性に成長したハッピーエンドだろうと思っています。きっと彼女は、もう暴力亭主の元に戻ることはないでしょう。だからこそ、切ないながらも爽やかな希望が残る映画だともいえます。[DVD(字幕)] 9点(2009-10-22 23:45:23)(良:1票)

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