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プロフィール |
コメント数 |
14 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
しばらく投稿はお休みしておりました。今のところ、再開できるかどうかもわかりませんが、とりあえずわたしの最も愛する作品のレビューを復帰記念として。 |
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1. ナイト・オン・ザ・プラネット
誕生日のプレゼントとしてDVDを贈る最適の一本。
ただし人生のひそみにならって、夜の苦味を(旨味として)噛み分けることのできる大人限定。
二度とたどることができない過去や、人種、階級、障害などといった運命や、社会に渦巻く様々な偏見や不条理とその根本をなす人間そのものの不条理。それでも自分を肯定し、周囲を肯定し、ほんのささやかな暖かみにすがるように毎日を暮らしている、いや、生き延びていると言った方がいいかもしれない、何かに絶望するというよりも、諦めることすら忘れそうになっている自分に気がつき愕然とする、そんな大人たちの命の泉にもなりそうな珠玉の短編集です。
からだの深いところから涙がこみ上げてくる瞬間があれば、幸せというものです。[DVD(字幕)] 10点(2007-04-06 13:10:30)《改行有》
2. 春夏秋冬そして春
《ネタバレ》 実はキムギドク監督作品の中で最初に観た映画。これを観たことによって他の作品の後追いをしたわけだから、私にとってある意味記念碑的な映画であります。と言ってもやっぱりキムギドク監督、いまだによくわからない。「悪い男」にも書いたので詳しくは省くが、やはりなにか紙一枚ずれているような気がする(悪いというわけではない)。本作も韓国の仏教世界を題材にしているわりにはなにか東洋以外の香りがきこえてくる。もちろんドイツとの共同制作だから当然なのだろうが、この監督自身の「味」というほかはなさそうだ。溝口健二監督も持っていたような香りに近いかもしれない。東洋的とも西洋的ともいえない妙なエッセンスは初見のときは驚いたなぁ。輪廻転生を象徴する数々の小動物のシーンはディズニー映画「砂漠は生きている」のようだったし、生々しいセックスシーンには魚が交わるような変なファンタジー感が漂っている。ファンタジーといえば湖面の祠堂がゆっくり回転していることに気が付いたときにはやるなぁギドク監督と思ったね。仏教世界に通じている人にとってはテーマもストーリーも正直目新しいものではない。ただ、数々の小さなエピソードを包む監督の演出装置があくまでも愛に満ちているのが好ましい。でもやっぱりこの監督のことはわからないなぁ。[DVD(字幕)] 8点(2006-05-12 00:59:40)
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