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プロフィール |
コメント数 |
389 |
性別 |
男性 |
年齢 |
43歳 |
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1. ある人質 生還までの398日
安田純平さんを思い出した。この映画を観て思ったことは、それが誰かに迷惑をかける結果をもたらしたとしても、自らを危険にさらしてまで信念を貫き、戦地のあり様を伝えようとした人たちを批判することは僕にはできないなということだ。シリアに限らず、紛争地域で苦しんでいる人たちが世の中にたくさんいるのに何もせず平和に暮らしている自分に彼らを批判する権利なんてないように思う。当時日本中から叩かれ誹謗中傷された彼であったが、ダニエルはどこか偉人として扱われているし、少なくとも誹謗中傷の対象ではない。もちろん安田さんとダニエルは同じ人質でも経緯が違うので同じにはできないかもしれないが、それでもそこには日本人特有の閉鎖的で陰湿な意識があるようにも思えた。
まあとにかくこの映画はジャーナリストだの紛争だの正義だの平和だのいろんなことを考えさせてくれるわけです。そして何かを考えさせてくれる映画というのはいい映画だと僕は思うわけです。[インターネット(字幕)] 8点(2021-08-22 00:28:55)《改行有》
2. ドッグヴィル
驚かされた。凄い。奇作、奇才という程度の作品じゃないですね。曖昧でわかりづらいけど強いメッセージ性がある。世界観を単純化して余計なものをけしたり、ありえない世界観を取り入れたり、その手法がとてもいい。ラースフォントリアーの感性、考え方には凄く共感できるものがあったり・・。最後は冷たくて偏ったひとりよがりの結論に見えるけどそんな単純なものではなくラースフォントリアーが長年考えつくしてたどり着いた結論を表現したものではないかなと思います。映画としてのエンターテイメント性に欠けるのは否めないけれどそれを補うだけのものあった。[DVD(字幕)] 8点(2004-08-04 02:14:36)
3. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 10点と0点がこれほど多い映画は非常に珍しい。善くも悪くも印象深い作品だからだと思う。私は10点をつけたい。
批判的な意見の多くに、セルマは愚かで利己的、さらには馬鹿すぎるといったようなものまである。確かにセルマの行動には一般的には理解し難いものが多々あるのは事実だろう。もっと他の選択肢があったはず・・そう思わずにはいられない。滑稽に見えても仕方が無いかもしれない。しかし一つ考えてほしいことがある。それは彼女が重度の視覚障害者であり、金銭的にも決して恵まれた人生を送ってきたわけではないということだ。そういった閉塞的な環境が彼女の人格形成や知能に不利に働くことは想像に難くない。もしも彼女と同じような過酷な人生を強いられた場合、はたして私たちはどこまで常識的で、あるいは立派でいられるだろうか?
それでも彼女には唯一の信念がある。息子の目を治療し、自分と同じ人生を歩ませないことだ。病気が遺伝することをわかっていながら産んでしまった息子への償い、そして母親として果たすべき最後の責任として。息子に必要なのは母親ではなく目なんだと、必死でキャシーに訴えるセルマの叫びが私は忘れられない。彼女も死にたくはない。死ぬのは怖い。しかし何をさし置いても、彼女にとっては息子の人生には目が大事なのだ。それは目が見えないことによる苦しみを彼女自身が一番わかっているからだろう。あまりに不器用な彼女の生き方が、私にはあまりに純粋で美しく見えた。どんなに滑稽で愚かだとしても、ひたすらに息子のことを想う彼女の生き方を誰が責めることができるだろうか。
この映画は娯楽ではない。エンディングは最悪である。救いは無い。観なければ良かったと後悔するかもしれない。しかしこの映画は他の映画にはない衝撃を間違いなく与えてくれる。それが善きにせよ悪しきにせよ、それだけで意味のある素晴らしい映画だと思う。
セルマという人間を見事に演じたビョークと、ダンサーインザダークという作品を情熱と信念を持って造り上げたラースフォントリアーに心から感謝したい。[DVD(字幕)] 10点(2004-07-02 00:38:17)(良:1票) 《改行有》
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