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【製作国 : デンマーク 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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2. ヨーロッパ トリアーはこの作品以後、執拗に「アメリカ」をテーマにした作品を取り続けていくわけだけど、そのことを念頭において見てみると、アメリカに移住したドイツ系移民である主人公が終戦直後のドイツに戻って寝台車の車掌になるところから始まるこの映画もアメリカとヨーロッパの違いを強く意識していることは疑い得ない。靴を磨いたかどうかを靴の裏のチョークのしるしで判断する乗客と、靴が磨かれているかぐらい靴を見ればわかるだろという主人公の台詞が面白い。言葉を重視するドイツ。事実を重視するアメリカ。トリアーがどちらの見方を支持するのかは定かではないが、ナチ体制を許したドイツ人の思考を痛烈に皮肉っていることは確かだ。事実を見ればナチなんてどこからどう見てもおかしかったはずなのだと。この台詞のやり取りだけで十分7点。あとのロマンスやサスペンスはこの題名において評価の対象とはなりえない。そう思う。[ビデオ(字幕)] 7点(2006-06-25 19:17:29) 3. しあわせな孤独 《ネタバレ》 デンマーク語だろうか。(フランス語+ドイツ語)÷2みたいな響きが面白い。もちろん僕はデンマーク語なんぞ分からないのだが、オープニングとエンディングの曲がもろ英語なので、本編にはいった瞬間のデンマーク語への移行が、とてもしゃれてるなと思った。また、所々でてくる「もし…だったら」バージョンの映像がとても美しい。「届かない祈り」に似た清廉な悲しさが泣かせる。それと、これほど別れのシーンがでて来る映画もめずらしいと思う。どの別れもとても美しく描かれていた。とても印象深い映画。[DVD(字幕)] 6点(2004-12-19 20:17:11) 4. 奇跡(1955) 主題が間違いなく宗教なので、人によって評価が分かれそう。印象としてはラース・フォントリアー監督の「奇跡の海」によく似ているが、細かい所で比較していくといろいろと興味深い相違点も見つけられるだろう(特に、子供の役割、主人公の性別、祈りの描写など)。そもそも宗教には「神を信仰すること自体が、神を裏切っている」という逆説がある。神はわざわざ信仰によって確認されるべきではなく、むしろ、信仰しようなどと思えないほど神の存在を「自明」として捉えていることこそ真の神への態度ではないだろうか。この真の態度とは狂ってしまったヨハネスの態度である。だが、全員がヨハネスのようになると世の中の現行秩序は崩壊することになる。そんな心配すらヨハネスはしないのだろうが…。少なくとも宗派の違いなどは、トリヴィアルで取るに足らない問題であるようだ。 考えるネタは尽きない。9点(2004-06-17 22:07:01)(良:1票)
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