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プロフィール |
コメント数 |
622 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
「監督の数ではなく、観客の数だけ映画が有る」という考えでアレコレ書いています。 洋画に関しては、なるべく字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くというスタンスです。 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが…… 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。 |
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1. ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月
《ネタバレ》 前作が「これから面白くなりそうって所で終わる映画」だったもので、自分としては嬉しい続編映画。
元々、ラブコメ映画の続編って代物自体が珍しい訳で、そういう意味でも新鮮でしたね。
映画一本分をかけて結ばれた背景があるもんだから、前半部分にてブリジットとマークがイチャついている様も、とても微笑ましく感じられて良かったです。
ジェーン・オースティンの「説得」が下敷きだったり、マークが濡れたシャツ姿を披露したりと、基本的には「元ネタありきの映画」なのですが……
個人的には、元ネタを知らずとも充分楽しめるんじゃないかと思えましたね。
例えば、タイの刑務所にて女囚達と一緒にマドンナの曲を歌う場面なんかも、原曲を知らずとも十分に楽し気な雰囲気が伝わってくると思いますし。
前作は「高慢と偏見」ありきの映画だな、って印象でしたが、本作に関しては「元ネタよりも面白い映画」とすら思えちゃいました。
妊娠検査の最中に、二人が喧嘩しちゃう件なんて、特に面白い。
ここ、ほんの数分間なのに「二人の価値観や、育った環境の違い」が如実に伝わる作りになってるんですよね。
ラブラブな二人だったのに、徐々に擦れ違いが生じて喧嘩別れしちゃう流れに、自然に繋がっていたと思います。
他にも「そろそろ不幸じゃない事が起こるはず」と言った途端に、ブリジットが空港で逮捕されちゃうとか「引きずり出せるならどうぞ」と挑発したダニエルを、マークが本当に引きずり出して外で喧嘩しちゃうとか、台詞の使い方が上手いんですよね。
前作以上に「ブリジットがダニエルを選ぶ訳無い」「マークと結ばれるに決まってる」と分かり切ってる内容なのに、それでも楽しめたのは、こういう細かい部分が面白いお陰だと思います。
新キャラとなるレベッカも、非常にキュートで良かったですね。
「ブリジット→マーク←レベッカ」という関係と思わせておいて、実は「マーク→ブリジット←レベッカ」という関係だと判明する件は驚きましたし、ストーリーの面白さにも凄く貢献してる。
色んな映画に出てくるレズビアン女性の中でも、五指に入るくらい好きなキャラになりました。
妙な仮定になりますけど、もし自分がブリジットだとしたらレベッカを選んだかも知れないな……って、そう思えたくらいに可愛かったです。
煙草を吸う理由は「もっと悪い事が起きる前に死ねると思うと、心が安らぐから」と語るブリジット父も良い味出してましたし、前作以上に脇役の魅力が光ってた気がします。
そんな本作の難点としては……
タイの女囚達に見栄を張る形で「マークには酷い事された。暴力を振るわれたり、薬漬けにされたり」と嘘を吐く辺りは、流石に引いちゃった事。
あとは、中盤にてマークに部屋の鍵を渡すのが伏線かと思いきや、全然違ってて拍子抜けしちゃった事とか、そのくらいかな?
ブリジットを主役にした映画は現在三本ありますが、自分としては本作が一番好きですね。
作中の台詞にある通り「ハッピーエンドの、その先」を描いた映画として、しっかり楽しむ事が出来ました。[DVD(吹替)] 7点(2020-11-11 10:22:20)《改行有》
2. ブッチャー・ボーイ
《ネタバレ》 冒頭、大人になった主人公が子供時代の過ちを振り返る形式で映画は進んでいく訳ですが「僕とジョーの友情に首を突っ込んだ夫人が悪い」って、全然反省していない辺りが凄い。
この主人公、殺人の被害者となった夫人以外にも、他所者を「田舎っぺ」「ブタより醜い」と見下していたりして、とかく感情移入を拒む存在なのですよね。
そんな彼に呆れかえっていたはずなのに、観ている内に段々と感情移入させてしまうのだから、作り手の上手さを感じます。
父母を失うだけでなく「血の兄弟」「唯一で最高の友ジョー」と語り、大切にしていた親友からも絶交されてしまう主人公。
そんな彼は八つ当たりのように凶行に至る訳ですが、それが完全な狂気によるものとは思えず、一応主人公なりに理屈は通っているなと納得させられてしまうのだから、これはもう恐ろしい映画です。
少年愛嗜好があると思しき神父に、性的悪戯を受けそうになるシーンでは、逆襲してみせた彼にスカッとさせられたし「ジョーにウソを言わせた」事が何よりも許せないと怒るシーンでは、ついつい彼に肩入れしてしまう。
そんな具合に、巧みに感情移入させた上で主人公に「人殺し」をさせてしまう訳だから、観ているこちらまで罪悪感を抱いてしまうのですよね。
「エイリアンの侵略」「原爆による世界の終わり」「父母の美しい思い出を否定する現実」など、彼が殺人を犯したキッカケを大量に用意してみせて、その凶行に説得力を持たせているのも上手い。
上手いんだけど……それによって「殺人犯になるまでを疑似体験出来る映画」という形になっている訳だから、後味の悪さは折り紙付きです。
上述の通り、主人公には反省の色が全く窺えません。
ラストにおいても「もう悪党ではないで賞」を取ったから釈放された、としか感じていないのです。
「トラブルは、もう結構」という独白からするに、今後彼が犯罪に手を染める可能性は低いと思われます。
それでも、彼は許されるのだろうか、自分が殺した夫人に対して「悪い事をした」「可哀想だ」と考えたりする事は無いのだろうか、と非常に悲しい気持ちに襲われましたね。
聖母マリアが彼に渡した花、スノードロップの花言葉は「希望」そして「慰め」。
果たして彼に「希望」を与えるべきなのか、彼を「慰め」るのが正しい事なのか、と観る者に考えさせてくれる。
様々な意味で、問題作と呼ぶに相応しい一品でありました。[ビデオ(字幕)] 6点(2016-12-15 22:48:18)(良:1票) 《改行有》
3. New York 結婚狂騒曲
《ネタバレ》 こういったラブコメ映画において「主人公が結婚式を直前でキャンセルする」という展開が訪れると、大抵は相手方が可哀想になってしまうのですが、本作はそれを感じさせませんでしたね。
何といっても「振られる」形となる婚約者のコリン・ファースが格好良い。
このまま結婚したら君は不幸になる、という理由で潔く身を引いてみせるなど、中々出来る事ではありません。
少し女性主人公側にとって都合の良過ぎる展開ではないか、と思えない事も無いのですが、こういった場合に婚約者側を分かり易い悪役にしてしまう展開よりも、ずっと好感が持てると思います。
とはいえ、中盤において、女性側には婚約者がいるにも拘らず情熱に任せて性交渉を行る主人公カップルなど「おいおい、それで良いの?」と感じてしまう部分が多かったのも事実。
その後に主人公は直ぐに後悔する事となるのですが、ここで少し作中人物に距離を感じてしまったというか、白けた気持ちになってしまったのは残念でした。
ラストに関しては「結婚式を中止させる為の手段として火災報知機を鳴らす」→「消防士である意中の彼が駆け付けてくれて、そのまま二人は結ばれる」という形となっており、綺麗に纏まっているなぁ、と素直に感心。
上述の婚約者を筆頭として「過去に間違いを犯したからこそ、真の伴侶に出会えた」と語る父親など、脇役に魅力を感じさせるキャラクターも多く、最後は安心のハッピーエンド。
観賞中は色々とモヤモヤした気持ちに襲われた一方で、観賞後には「良かった」と感じさせてくれる、そんな一作でありました。[DVD(字幕)] 6点(2016-04-04 07:18:51)《改行有》
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