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1. エンド・オブ・トンネル
《ネタバレ》 (ネタバレあります。未見の方はご注意ください)『最大の武器は動かない下半身』予告編の煽り文句は、やや“盛っちゃったかな”と。車椅子というハンディキャップがサスペンス性を高める一因にはなっているものの、車椅子ならではの優位性(設定上の必然性)にまでは言及されていなかったと感じます。例えば車椅子生活が故に思いつく仰天アイデア、あるいは容疑者から除外されるロジックなどが欲しかったなと。さて、ここからがネタバレ。結末を一言でいうなら「現金横取りは叶わなかったけれど、代わりに主人公は新たな家族を手に入れました」。一見ハートウォーミングな印象ですが、その実は、“監禁”、“小児性愛”に“悪党全員死亡”(一部は主人公が直接手を下したものアリ!)とハードでシリアスな鬱展開。単純に「めでたし、めでたし」とは言い辛いんですね。サスペンスとして上々な出来だとは思いますが、コメディで調でリメイクしたらもっと面白くなる題材だと思います。[DVD(吹替)] 7点(2017-10-21 00:24:38)
2. ウィスキー
わだかまりのある中年の兄弟と、その兄から偽りの妻役を依頼された中年女性との奇妙な三角関係を描いた作品です。結構淡々としていて、面白みには欠けるかなと思っていたのですが、予想を裏切られました。確かに地味で淡々としてはいるのですが、これが下手な娯楽作品より面白い。とくに遠方に住む弟エルマンが来てからが見ものです。何ともいえない微妙な笑いを挟みつつ、偽りの妻マルタが弟エルマンに抱く好意、兄ハコボの嫉妬心を実に繊細に描いています。とりわけマルタの見せる前半と後半の表情の違いは絶妙です。単調にも感じる物語前半の描写が中盤以降になって効いてくるあたりに「上手さ」を感じ、また画ひとつひとつの構図に「センスの良さ」を感じます。解釈を観客に委ねた描写やほろ苦いラストも秀逸です。個人的には「神が望めばまた明日」という挨拶が気に入りました。大人向けの良作です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-05-15 17:45:30)
3. モーターサイクル・ダイアリーズ
南米をバイク1台で旅する2人の若者を描いたロードムービーです。一応目的地はあるものの、旅そのものが目的となっており、旅の中で体験する様々な国、文化、価値観に触れる主人公の感情の揺れが主軸に描かれています。伝記ものですので、旅に起こるイベントやアクシデント等はさほど刺激的ではありませんが、それ故リアルに感じられました。各エピソードはかなり淡白に描かれており、観客がその後の成り行きを想像で補う必要がありますが、逆にその点がこの作品の味になっていると思います。ラストエピソードでは「何かを成す人とはどういう人か」を的確に表現しており、良いと感じました。キューバ革命もチェ・ゲバラも知らなくても十分楽しめます。[CS・衛星(字幕)] 7点(2006-05-07 01:59:23)
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