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プロフィール |
コメント数 |
48 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
小津と是枝はブラックリストに入っている |
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1. 桜桃の味
《ネタバレ》 キアロスタミの最高傑作だろう。この終わり方にする理由もわかる。
これがフェイクであることを明示することが、却ってその真実性を硬くする構図をきちんと形成できていた。
つまりこれは具体的な事象であるというよりも、普遍的な事象であるということを表現し得ていた。
逆に言えばこの映画を見れば、他のキアロスタミの作品は見なくていい。それだけ芯を捉えている作品だ。
(ただしユニークな会話劇については「風が吹くまま」のほうが上だ。)[DVD(字幕)] 9点(2019-03-28 22:27:23)《改行有》
2. 友だちのうちはどこ?
映画として鮮烈な印象を残すたぐいの作品ではないが、演技の素朴さやカメラワークの巧みさなど、極めて細部まで意識の行き渡った名作。
似た志向の映画は多数あるが、このような上品さを持つものは少ない。上品さとは即ち上質さだ。味の違いの分からない鑑賞者に「ほんわかした感じのいい映画」の並びに捉えられるのはあまりに惜しい。
良作ではなく間違いなく名作である。[DVD(字幕)] 6点(2019-03-12 03:07:58)《改行有》
3. 風が吹くまま
《ネタバレ》 エンターテインメント作品を期待すると、何も起こらないシュールな作品だということになるらしい。
アーティスティックな描写もなく、美しさが現れるときでも、常にリアリスティックではあるが、一流の芸術作品の水準に置かれた上質の映画である。
この映画にはいかなる失策も存在しない。それはエンターテインメント映画が多様な失策によって観客の注意を引くことの対極である。
ユニークな場面も、シリアスな場面も、ナンセンスな場面も、全てがひとつに調和している。
このお喋りな映画が、どれほどの「芳醇な静かさ」を醸し出しているか。
ありふれているように見えるのだろうか、私は普段暮らしている中で、こういった「温かい上品さ」には稀にしか触れることができないように思う。[DVD(字幕)] 8点(2019-03-12 02:44:08)《改行有》
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