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プロフィール |
コメント数 |
73 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
映画をいっぱい観るようになったのは、大学生になってから。 映画を創作できること自体とてもすごいことだと思うので、 なるべく誠意のあるレビューを書こうと思っています。 好きな映画のレビューだけ書こうと思っていたのですが、 ちょっと個性が埋没してしまいそうなので、おいおい酷評も 入れちゃおう。
☆好きな監督☆
黒澤 明 山中貞雄 溝口健二 エルンスト・ルビッチ フランク・キャプラ ビリー・ワイルダー アルフレッド・ヒッチコック ミロス・フォアマン チャン・イーモウ |
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1. 初恋のきた道
《ネタバレ》 『あの子を探して』(99)と同じく、人の一途な心を描いた傑作です。恋する人からプレゼントされた赤いヘアピン。その人が使った修理された瀬戸物。恋人の面影を残し、その人を感じさせてくれる「物」への執着が、ひたすら人間味のある恋心を表現していて印象的です。中国の大自然に映える数々の「赤」の描写も素晴らしく、絶好のロケーションを見事に作品に融和させています。恋する人を意識しながら真新しい服に着替え、その朗読する声に惚れ込み、わざわざ遠くの井戸で水を汲む。そして偶然を装って待ち伏せる。全てのエピソードが、言ってみれば実に赤裸々で、リアルでストレート。まるで観る人の体験に訴えかけてくるかのような人間味のある恋愛劇は、どことなくノスタルジックな感動を誘います。もちろん、この恋物語は、息子が語る両親の話であって、あくまでも遠い「過去」の話。モノトーンとカラーの使い分けは、やはり過去は色あせない、思い出は美しいものであるということなのでしょう。ただ、この物語は単なるノスタルジックな印象で終わるわけでなく、ラストで教え子たちが交代で棺を担ぐ姿、息子が教壇に立つ姿を観れば、決して「現在」も捨てたものではないという思いが込み上げてきます。「過去」がしっかり「現在」に受け継がれているという安心感もこの映画のひとつの魅力。恋愛物語であり、人間ドラマ。観終わった後、とても心地よい、すっきりした気持ちにさせてくれる素敵な映画です。9点(2004-02-17 00:32:21)(良:1票)
2. HERO(2002)
《ネタバレ》 偽りの証言を繰り返しながら、20歩、10歩と徐々に秦王に近付いていく剣士。否応にも緊張感が高まりそうな見事な設定ですが、ここでスリルやサスペンスを追い求めることに固執しなかったところがいかにもチャンイーモウ監督らしい。と言うよりも、これらの設定は単なる「おとり」で、この映画で彼が求めたのはスリルやサスペンスではなく、彼本来の人間ドラマでしょう。さらに言ってしまえば、この映画では、アクションまでもがイメージとも言うべき印象の集合体と化しています。ワイヤーに吊るされているのは人ではなく、人の魂。血もなく、あくまでも優雅で圧倒的な映像美をもって示される決闘シーンは、感情の衝突や心のふれ合いなどが印象として現れた人間ドラマそのもの。人工的に作り出された情景がまるで絵画のような情緒をもたらしますが、ラストで剣士が手厚く葬られている様は強いインパクトを残します。アクションでもスリルでもサスペンスでもない、骨の太い人間ドラマこそ、この映画の真髄でしょう。7点(2004-02-11 00:57:28)
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