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1. さらば、わが愛/覇王別姫
《ネタバレ》 「如何に極端な選択をして最期を迎えようと、それが本人が選んだ・望んだ道ならば幸せだろう。」そう思える結末の作品は過去に多くあり、自分はそういう思考に至りがちですが、この作品は全く違う。
この作品を観て、色々な感情が湧き上がって来ましたが、それらを打ち消し結果的に「猛烈に悲しい」「猛烈に可哀そう」という感情が最後に強く残りました。
それは、どんなに栄光を掴んだとしても、打ち込める道があったとしても、京劇と言う道を蝶衣自身が選んだ訳ではないから。それどころか母親に指まで切断され、捨てられる様に無理やり押し付けられた道。そんな道に閉じ込められ、もがき苦しんだだけの人生。
スターとなった時ですら、彼は一般的に男性が望む様な事をする訳ではなく、望むのは「小樓と永遠に共演する事」。作品中幸せそうな顔をしていたのも同様のシーンのみ。
京劇の中でしか生きられない彼は、ある種異常なんでしょう。小樓の方が当たり前の生き方なのかも知れない。でも、その異常さが純粋に思えてとても愛おしくなる。
文化大革命を経て、11年ぶりに共演を果たす2人。あんな悲惨な目に遭っても、彼の想いは全く変わる事は無かったんでしょう、小樓に台詞の間違いを指摘された時、幼い日からの想いが・感情が爆発した様に思いました。自害する直前、メイクで表情は多く読み取れませんでしたが、僅かに口元が微笑んでいる様に見えた。このシーンが堪らなかった。
決して美しい話などではない、ただただ蝶衣が猛烈に悲しく、猛烈に可哀そうでしかない。[映画館(字幕)] 10点(2023-08-22 21:41:24)《改行有》
2. プロジェクト・グーテンベルク 贋札王
いやー、とても面白かった。
所謂、容疑者の供述・回想ベースで物語が進むが実は・・・という形式の作品。
ここまで言えば、あらかたの想像はつくと思います。そう、その想像通りの展開です。
しかし、回想シーンでのアーロン・クォック演じるレイ、チョウ・ユンファ演じる「画家」のキャラクター・関係性、その他、偽札製造組織メンバーの描き方が素晴らしく、何の不自然さも感じさせず、だからこそラストの驚き・爽快感は格別でした。
この作品、ラストには2段階の驚きが用意されています。警察を欺いた事に目が行きがちですが、この作品で一番印象に残ったのは、レイの歪んだ哀れで悲しい人間性。回想シーンでも、やたらと元恋人の事が取り上げられていたのは、レイの彼女への哀しい執着が現れていたのかなと思いました。
最期に余談ですが、日本での本作プロモーションが、「チョウ・ユンファ、久々のガンアクション復活!」に偏っていたような気がして、確かのアクションシーンは迫力がありましたが、それ以上にドラマ自体が素晴らしく良かったのに少し勿体無かったとも思いました。[DVD(吹替)] 9点(2023-01-05 16:01:59)《改行有》
3. 香港国際警察/NEW POLICE STORY
ここ数年の、ジャッキー作品の中でも最高の出来ではないだろうか。
アクションは若手に譲った感はあるが、スクリーン狭しと必死で動き回るジャッキーの姿は、やはり良い。やはりこうでなくては。
香港の街並み、文化描写が時代の流れを感じさせる。
[DVD(吹替)] 9点(2008-12-09 22:09:31)《改行有》
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