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【製作国 : 中国 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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2. さらば、わが愛/覇王別姫 《ネタバレ》 チャン・イーモウと組んだ「大閲兵」の鬼気迫る訓練と行進に比べると、この作品は恐ろしく退屈に感じてしまったのです。 いや、この映画は駆け足なんだけどさ、何か大きな変化に思えないんだよね。 「ラストエンペラー」で俳優として素晴らしい演技を残したチェン・カイコーだが、この映画はあの時ほどの凄味を感じられなかった。 コン・リーもチャン・イーモウ映画ほどの魅力があっただろうか? 確かに劇中に色を添える貴重は華ではあったが・・・。 男でありながら心はどんな女よりも“女”の主人公。男としてではなく、女として男を愛してしまう悲しみ。その変は胸に迫る。 が、一体何が嬉しくて50年に渡って延々とイジケた話を聞かされなきゃならんのだ。 上記の“女”として男に惚れる件も、人によっては単なるホモ扱いでさようなら。 それに加えてグロい演出も多すぎてげんなり。胸糞が悪いったらありゃしない。6本指を“詰める”シーンは強烈すぎ。 しかし中国映画は日本軍の描き方がいっつもボロクソで、ここまでくると笑ってしまう。 「イップ・マン」みたいにボコボコにしてスッキリさせてくれる作品も少ないからなー(山中貞雄を死に追いやりやがったクソ日本軍の肩なんて絶対持ちたくありません)。 京劇の描き方も、華やかで美しいが退屈さを吹き払うような派手さがなく眠りそうになった。[DVD(字幕)] 8点(2014-11-26 21:41:32)《改行有》 3. 紅夢 《ネタバレ》 チャン・イーモウとホウ・シャオシェンが組んだ女性映画の傑作。 イーモウとしては「活きる」に並ぶ最高傑作だと思う。 少女が林の中を一人歩いてくるファースト・シーン、たどり着く先には巨大な提灯が赤々と、熟れた果物のように灯をともす。 貧しい生活と、その生活を愚痴る母親に嫌気がさし頌蓮は家を出て嫁いできた。 だが、嫁ぎ先はもっと息苦しい思いを強いられる場所でしかなかった。 春夏秋冬の一年ではなく、女達が真の幸せを得る“春”は永遠に来ないのかも知れない。 男には3人の夫人が既におり、彼女は4番目の女として迎えられた。 見かけこそ寵愛を注ぐという赤い提灯が掛けられているが、実際は4人目の女に注がれる愛情など少ない。頌蓮にとっても、顔が遠くからぼやけて映る程度の“記憶”しかない男なのだ。 劇中では何度となく響き渡る小羅が印象的。 第一夫人の大太太、第二夫人の卓雲は同情を寄せるが何処か影がある、第三夫人の梅珊は元舞台女優としてのプライドからか彼女に対抗意識を向ける。朝方響く彼女の歌声は、大旦那や他の夫人たちに対するアピール。召使の雁兒も大旦那に可愛がられる女の一人だ。人に見えない場所で頌蓮の洗濯物にツバを吐くほど敵意を見せ、夫人の一人になるべく彼女の部屋は赤い提灯だらけで禍々しく光る。邸宅の閉塞感や抑圧が、一層彼女の心を圧迫する。 形見の笛を探した先で見る頌蓮を“呪った”人形、 意外な人物の敵意を知るショック。彼女もまた女たちの潰し合いに嫌がおうにも巻き込まれていく。 梅珊もまた頌蓮に味方をする傍ら、卓雲を潰すために一時手を組んでいるだけに過ぎないのかも知れない。 とうとう頌蓮も“牙”を向いてしまう。 例え本心からじゃなかったとしても、心の何処かで「邪魔者は死んでしまえばいい」と思ってしまったのかも知れない。 召使の部屋から提灯を全部出させて焼き尽くすシーンは、抑圧されたものが弾けるようなシーンでもある。心を“破壊”するのだ。 人間の命のなんと儚い事か。 あんなに赤々と灯された火が竹筒の一吹きで消えてしまうように、人間の命も簡単に消えていく。 ロングショットで一人の人間の“灯”が消えていくのを見つめる場面。 新しくやってくる第五夫人はかつての“大太太”であり、“頌蓮”でもあるのだろう。 赤く燃えるような提灯は何を語るのだろうか。[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 01:30:45)《改行有》 4. イップ・マン 序章 《ネタバレ》 キン・フー、ジャッキー・チェンと数々のカンフー映画の傑作群に武術指導をしてきたサモハン・キンポー。 ウィルソン・イップやドニー・イェンたちと組んだこの「イップ・マン」は、カンフー映画の最高傑作として長く語られ続ける事だろう。ブルース・リーも師事した伝説の拳法家・葉問(イップ・マン)の名と共に。 原点にして頂点、それが葉問だ。 戦争や権力者の圧力に屈しない武術を綿々と受け継いできた中国。 カンフー映画の肉が裂ける、骨が砕ける音、汗の匂いも同時に。 木人形を使った鍛錬から始まるファースト・シーン。 美味そうに飯を食べる葉問は、無用な争いは避ける男だ。 手合わせで技は教えても、殺してしまっては教えるものも教えられないし成長もできない。 だが、いざとなればリボルバーからシリンダーだけ外す事も、道場破りにきた野党をホウキでブチのめす事も朝飯前。 ホウキ買おうかな・・・。 頼まれれば武術指導も快く引き受ける。 「良い拳法は老若男女を問わない」 どんな敵でも怖くなんざねえ、仲間に手を出すやつぁ許さねえ、怖いのは嫁さんだけだ! 奥さん「物を壊さないで!(意訳:あとは勝手にしやがれ)」 殴り合いから斬り合いまでやるカム・サンチャウが良いキャラすぎて微笑ましい。殺しはやらないこだわりも憎めない悪党だ。 どちらにも付かず第三勢力として度々葉問たちに絡むのが面白い。 どんなに家が無くなろうが、食に困ろうとも、鍛錬を続ける拳と魂が腐る事はない。それが葉問。 戦争の無力感に苛まれようとも、彼は耐えて耐えて耐え、殴って殴って殴りまくる。 誇りを捨ててまで家族のため拳を振るうリュウ師匠もカッコイイ。彼も魂までは腐っちゃいない。 プライドまで捨てた武術家を侮辱する事は許さない。葉問の撃拳連打が十人の空手家をブッ倒すシーンはスゲエぜ。 どんな傷を負おうとも、その志は人々の中に生き続ける。 斉藤閣下も太っ腹です!形はどうあれ正々堂々と立ち会った閣下は偉い。 だが三浦のクソ野郎と階段で顔面砕かれた男はザマあかんかん。[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 17:58:24)《改行有》 5. ラストエンペラー/オリジナル全長版 《ネタバレ》 ベルナルド・ベルトリッチの最高傑作は「暗殺の森」や「1900年」だと言われているが、やはり一番好きな映画はコレになるだろうか。 こういう歴史ものって退屈な映画が多いけど、コレは一切退屈しない、とにかく面白い映画だった。 最後の皇帝・溥儀の人生を描いた壮大な歴史絵巻。 セルジオ・レオーネの「ウエスタン(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ウエスタン)」の脚本を務めたその壮大さ、そして溥儀をめぐる様々な女性の物語。 坂本龍一の音楽が彩りを添える。 列車、人の群、自殺を図る謎の男・・・どうやらこの男が溥儀らしい。 物語は、第二次大戦後に連行された溥儀の回想と現在が交互に描かれる。 授乳中に連れて行かれたり、幼い溥儀に説明する人間が説明後に絶命とか・・・どういうシーンなんだよ。 やんちゃ坊主な幼い溥儀は気味の悪い宦官共を遊び相手に退屈な日々を過ごす。 紫禁城で鬼ごっことかスゲーな。 中々乳離れできない溥儀。何あのプレイうらやま(ry イッキ飲みならぬインキ飲み。 この頃中国の支配を目論む軍とは見せかけの“共和国”。 生みの母親よりも育ての母から貰っていた愛情・・・「アーモ」と別れるシーンは不覚にもウルッとしてしまった。 知識を得ながら成長する溥儀だが、井の中の蛙は大海という外の世界では王でも何でもない。 だが溥儀は外の世界を見たくてしょうがない。 ピーター・オトゥールの大佐との日々は微笑ましく進む。自転車で走るシーンは印象的だ。 中佐の次は大佐ですか、出世しましたな“ロレンス”さん。(イギリス違い) 初夜のお相手は積極的にキスしまくりなモダン女性。シーツの裏でナニしてんでしょうね。 宮廷を追われる溥儀は関東軍と結託して満州国の王の座に。操り人形にされているとも知らずに・・・。 踊らされる溥儀、壊れていく女たち。 NTRしたドライバーを消すシーンは「暗殺の森」を思い出す。(アッチよりも短く、かつ過激に) 過去の栄光と現在の何もかも失った虚しさが重なる瞬間・・・。 ファックオフはコッチのセリフだぜ毛沢東のハゲ野郎!テメエが雀ブッ殺しまくったせいでイナゴ大発生で国民飢え死にだよクソバカヤロウがあっ!あの野郎には地獄すら生ぬるい。 だが、時代の波に流されてきた溥儀は少年に“コオロギ”を渡して去っていく。 自転車にはじまり自転車に終わる。つわものどもの夢のあと・・・。[DVD(字幕)] 9点(2014-10-05 04:39:48)《改行有》 6. 奪命金 ジョニー・トーによる傑作。 3つの物語が一つに繋がっていく展開が面白い。銀行員もヤクザも刑事もみんな金が絡んだ問題を抱える。 人間の存在そのものを頼りなく描く視点が良い。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 17:05:33)《改行有》
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