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プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  かがみの孤城  公開前なのでネタバレなし方向で。  最初に注意しておきたいのは学校でのいじめや無視の表現が結構バリエーション豊かにあって、その経験がある人はフラッシュバックを起こす可能性があるので気をつけて。もう何十年も前の経験だったアタシでもキツかったもの。あれって時間と共に薄らいだり癒されたりするモノじゃないのよね・・・  映画の中身についてだけれど、良い物語だと思ったわ。居場所を失っている子供たちに対して、ちょっと生きるヒントを与えてあげるような、決して甘くない世界だけれど、それでも道は見つけられる、そんな物語。誠実で丁寧な作りの映画。  物語には幾つかの秘密があって、進行と共に明かされてゆくのね。7人の最初の距離感ならともかく時間を経た上での関係性を考えたらそこまで延々気付かないのって不自然じゃない?って思うような秘密も複数あるのだけれど、それは作劇上、仕方ないと割り切っているのかしらねぇ。描かれる期間が割と長いゆえに7人が結びついてゆく時間も多いと思うのよね。意識し過ぎてしまうがゆえに逆に人との距離感を測るのが苦手なコたちゆえのぎこちなさゆえと解釈すべきかしら。  真面目に作られた映画なのだけれどちょっと物足らなさというか贅沢な注文を言ってしまうとアニメーションとしてのダイナミズムとか躍動感とか、そういうワクワクした感じに乏しいと思ったのね。原恵一監督は『クレしん』映画の時代にはそういう映像がいっぱい溢れていたのだけれど、それより後は誠実、丁寧、真面目の方は目立つものの絵が動いて楽しいって方面にはあんまり、みたいな印象。キャラクターデザインもアニメートも背景美術も決して悪くはないのだけれど、テレビアニメでも今はクオリティの高い作品が多いので、そこから映画として原恵一監督作品としての特別さというのは感じられなかったのね。  映画の中に存在する最も大切な要素、その場所やトリックや構造がいかにテーマを語っているのか、見終わってじっくり考察してみるのもいいかもしれないわ。[試写会(邦画)] 7点(2022-12-20 15:00:06)《改行有》

2.  カラダ探し 《ネタバレ》  惜しいというか勿体ないというか。  ホラー映画にしてタイムループ映画にして青春映画っていう基本そのものは良かったと思うのね。問題はその描き方で。  ホラー部分はその殆どがスラッシャーホラーの殺されてナンボってシチュエーションに偏っていて『ファイナル・デスティネーション』シリーズみたいな死に方いろいろ、みたいな世界。肝心な部分の多くはカメラが微妙に目を逸らしている感もあるけれど。でも呪いとか怨霊とかの世界の話なのに双方ひたすら物理的な攻撃に終始するのよね。クライマックスでは化け物を物理的な波状攻撃で沈黙させるっていう。幽霊ってシバけるモノなのかしら?  タイムループ部分は既存の他のアレコレに比べたらとても物足らない描写。タイムループモノ特有の面白さっていうのがあるじゃない?アレをほとんどすっ飛ばしちゃってるの。繰り返される事象をいかに受け入れ、変化させるか、って描写の積み重ねをごくごく一部のエピソードだけで済ませちゃってるのよね。そここそ楽しみたいのに。死んじゃってループな『オール・ユー・ニード・イズ・キル』や『ハッピー・デス・デイ』のワクワクしちゃうようなノリはここには無しね。  それにループにおける体のパーツ集めやチェックの地図の存在のカタチが説明されてないのはヘンね。あれ、毎回ループするたびにパーツ集め直し、地図描き直ししないとループになってないコトになるのだけどそういう描写が一切なくて、そこだけ特異点?みたいになっちゃってて。  あと、ニャンコは最終的には死んじゃってるのよね。犬猫殺す映画はそれだけでヤだわ。  青春映画部分は『ときめきメモリアル』(実写映画版)を思い出したりして、ちょっとキュンってしちゃったわ。でもホラー部分がどうしたってトキメキの足を引っ張るのよね。ラストなんかそういう設定が必要だったの?みたいな終わり方で青春映画としてはとても物足らないものになっちゃってるわ。困難を一緒に乗り越えた仲間、でいいじゃない。なんで忘れちゃうのよ。忘れちゃうパターンっていうの、邦画では逆にありがちよ?  クライマックスがかなりダメにしちゃってるカンジね。Jホラーはこういう見せ方しないと、みたいな無理矢理見せ場作ってますって感じになっててハシカンが最後のパーツな頭部をなかなかセットせずにモタモタするのが意味不明でイライラ。みんなでカラダ探しをしたことを忘れちゃうって言ったってあそこは全滅か生き延びるかの二択でしかないのよ?その中間とかってないのよ?なんでそこで迷わないとならないのかしら? 『バイオレンス・アクション』に続いてイライラさせられるハシカンってなんか残念だわ。ハシカンももう少し仕事選んだら?って思うけど、でも将来、若い頃にこんなに色々ヘンな映画(もちろん福田雄一作品を始めとして)に出てヘンな顔しまくりました、って実績を重ねて伝説になるかもしれないわね。その頃にはアタシはもうこの世にいないでしょうけど。  個人的には『学校の怪談』くらいの匙加減が良かったんだけど。ホラー部分よりも青春映画として爽やかな終わりを迎えて欲しかったわ。Jホラーとかってもういい加減マンネリだし、そういう色を継承するのって貞子あたりに任せとけばいいでしょ?[映画館(邦画)] 5点(2022-10-24 15:11:44)《改行有》

3.  風の電話 《ネタバレ》  モトーラちゃんの演技は最初「きついわー」と思ったのね。東日本大震災を題材に、一家でただ一人生き延びてしまった少女を演じるには、ちょっと荷が重すぎるんじゃない?って。  現実としてあの震災はまだまだ生々しい傷をのこしていて、1つの閉じた作品としてパッケージングして昇華してしまうことが正しいとは到底思えないし、モトーラちゃん以外にもお馴染みな顔の役者さん達の作り物なカンジがリアルの重さに対してあまりに無力なんじゃない?とも。  でも、その作り物、創作の中にどんどん沁みこんで侵食してくる現実が境界を曖昧にして創作が現実に対して抗いきれなくなってゆく、そしてカメラはその過程を捉えてゆく感じでとても不思議なモノを見ている感覚になったのね。  入管に囚われたクルド人難民のエピソードなどは、もうその殆どがリアルで、その前で役者はただ与えられた役だけが形骸化されて残っているような状態。その状況を前に創作は果たしてどんな希望を与えられるっていうの?  一人の少女の旅は、今の日本にこびりついたリアルを背景とすることで虚実の狭間を彷徨うの。その世界ではモトーラちゃんの特異な存在感は演技力云々で量ることなど意味がなくなって、こちらはただただ不安定な彼女という存在と時間を共有し、寄り添ってゆくのね。  そして旅の末に辿り着く風の電話は何かを具体的に救済する訳でも、この物語自体に救済をもたらす訳でもないけれど、そこに少しでも思うところ、感じるものがあるとしたら、今はそれだけでも十分なのかもしれないわ。  今のこのニッポンに生きる意味を考える、癒しとか救いとかいう判りやすいコトバとは違うモノを探る、そんな時間をくれる映画だと思うの。[映画館(邦画)] 9点(2021-04-08 16:28:03)(良:1票) 《改行有》

4.  累 -かさね- 《ネタバレ》  土屋太鳳と芳根京子が「顔が入れ替わる」役を演じて、それはそれぞれの演技、特徴を十分に理解して初めて成立するものだから、求められるものはかなり高度で複雑。  そしてその要求に見事に応えてみせる二人は本当に凄いわ。  その時、どちらがどちらの人格なのか、それが見ている人に瞬時に判るのだから。  その上、合成で継ぎ目のない入れ替わりまで見せてくれたりして、「本物」と「偽物」の世界が曖昧になってゆく恐ろしさがじわじわ伝わってきて。  「口紅を塗ってキスをすると顔が入れ替わる」っていう設定自体は荒唐無稽だけど、舞台女優という姿を通して、現実と嘘、表と裏、本物と偽物が対比されて、もの凄い層を重ねた「演技」を見せられてこちらは翻弄されることになるのね。  だからこれ、実際に女優が演じることによってマンガよりも更に映画というメディアでは構造が深くなると言えるわけで、とても映画向きな素材って言えるかも。  ただ、手放しで「素晴らしい!」って言いきれなかったりもして。  いちばん気になったのは心の声の多用。土屋、芳根、浅野忠信がそれぞれ心の声を聞かせるの。多過ぎね。  心の声を使わなくても「映画のやり方」で十分に表現できるはずだし、それだけの演技はできていたハズなのよね。それ、まるで映画の力と役者の力を信じてないみたい。  マンガは心の声を使いまくって当たり前なメディアだけど、映画でもそうすることになんの疑問を持たなくなってきてるとしたら、それはマンガの映画化天国状態な日本映画の弊害なのかもね。日本の映画はみーんなマンガ的表現に支配されました、みたいな?  演技がテーマですらある映画で、演技を信じきれてないという皮肉な状態に思えてしまうのは残念。  あんなに土屋太鳳と芳根京子が演技で魅せてくれているだけにね。[映画館(邦画)] 6点(2018-10-08 18:28:55)《改行有》

5.  ガールズ&パンツァー 第63回戦車道全国高校生大会 総集編 《ネタバレ》  タイトルから大会をメインに構成されてるの?と思ったのだけど、内容的には普通にテレビシリーズのダイジェスト。  みほの転校から始まって、模擬戦や聖グロリアーナとの練習試合も(あんこう踊りも、おばあの入院も、華のお母さんの反対も)しっかり含まれた総集編。  なのでOVAだったアンツィオ戦が順番通りに組み込まれた以外の、映画用の新しい要素は回顧ってカタチの、あんこうチームメンバーによる解説くらい。  テレビシリーズは10回は繰り返して見てるので、特に新たな感動みたいなのは無くて。大スクリーンで、5.1チャンネルの音響で、と言っても見慣れた映像のみだし。オープニングはテレビシリーズのまま、エンディングは12話ラストシーンの後に黒地に白文字スクロールの地味っぷり。音楽も新録音されてる訳じゃないし。  これまでに多くあった再編集モノの枠から一切出てないわけで、『ガルパン』としてはともかく、映画としてはあまり評価できないなぁ。  もちろん『ガルパン』ファンならば楽しめるし、親切な構成なので一見さんにも優しい作りになってるけど、でも今から新たに映画で『ガルパン』を見始める人っているのかしらねぇ。  もはや完全なファン向け上映としてしか成立しない気も。そして、ファン向けならばもっと違ったアプローチの仕方がありそうな気もするの。このところ絶好調な吉田玲子さんに再構成して貰った方が良かったんじゃないかな。  ちなみにMX4D版はMX4Dにしては頑張ってよく揺れてたけれど、映画内で上映されている映像にまで震動付けちゃったら、もう何がなんだか。[映画館(邦画)] 6点(2018-10-08 18:18:00)《改行有》

6.  カメラを止めるな!  これはネタバレを読んでしまってはダメ、なるべく情報をシャットアウトして見るべき映画なので、点数だけ参考にしてね。  アタシはゾンビ映画ってモノに対してなーんの思い入れもなくて、つーかニガテで、映画マニアにゾンビ映画好きが多い理由がどうにも理解できなくて。  大丈夫なゾンビ映画は『ウォーム・ボディーズ』『ゾンビランド』『高慢と偏見とゾンビ』だけ。『ショーン・オブ・ザ・デッド』すらダメってレベルだからねぇ。  んで、そんなアタシでも存分に楽しめるのがこの映画。  無名な役者しか出てこなくて、安っぽくて、映像なんか『ジュラシック・ワールド 炎の王国』の反対の極に存在するようなしょっぱいシロモノ。そして、そこにこそ意味がある映画。  有名人でリメイクしたとしたら台無しになっちゃうでしょうね。  脚本の妙味とエンドロールに込められた思い、それはたとえゾンビ映画好きでなくても、映画ファンならば誰でも共感できるものだと思うわ。  チネチッタではリピーターらしきおっさんが聞こえよがしなリアクションをとる事で、初見の人間に対して結果的にネタバレ状態になるという事態を巻き起こしやがりまして、100パーセント楽しめたのかどうか、ちょっと微妙な思いをしたのだけど(不粋なスノッブ野郎は滅びればいいの!バカ!)、それでも十分面白かったので、お薦め。[映画館(邦画)] 9点(2018-07-16 20:02:56)(良:1票) 《改行有》

7.  家族はつらいよ2 《ネタバレ》  安定のキャスト陣による安心な続編、と思いきや、今回かなりブラックになっています。映画が死の方を向いているんですよね。老いて確実に近づいてくる死に対して向き合う映画。前作にもその匂いはありましたが、今作はストレートに死を描きます。何しろ火葬場に向かう棺桶からの主観、火葬される棺桶の主観という2つの「死者の視点」が描かれているくらいで。あれ、かなりドキッとする画で。  前半、運転がおぼつかなくなってきている周造の描写によって事故による死の影がチラつき、後半になると旧友の死という全く別方向から死が直接的に描かれます。  幾つかのひっかかりどころはあります。脚本上ジャマとばかりに早々に富子を海外に送り出す事で物語から退場させたり、幾つものエピソードが投げっぱなしでなんの回収もせずに終わってしまったり。え?そこで終わり?みたいな状態で。でも、その唐突な終わり方が「さあ、自分なりに色々と考えてみろ」という余韻の残し方のようでもあって。  免許と車の事、富子のベッドの事、丸田の遺骨や遺族の事、憲子の母と祖母の未来の見えない生活の事。解決されないままにプッツリ終わって映画館を放り出されて、映画と繋がる自分の現実と対面する事になる、みたいな。そういうのを実感できる世代の人に向けて作られた映画なのだなぁ、と。  せめて笑って死にたい、少しでも幸せを感じて死にたい、そういう死に方についての映画ゆえ、もちろん希望に溢れたキラキラした映画じゃありませんが、お馴染みのキャストによって見易く、受け入れ易く出来てる、そんな印象を受けました。  ちなみに丸田の死因は具体的には描かれてませんでしたが(心臓が悪いという説明はありましたが)、あれ、銀杏中毒だと思います。いくらなんでもあそこまで銀杏食べたらヤバいっす。マジで。[映画館(邦画)] 7点(2017-06-04 21:03:13)(良:1票) 《改行有》

8.  彼らが本気で編むときは、 《ネタバレ》  ふんわりとしたタッチの中に偏見や差別、育児放棄といった問題が編み込まれていて、その弱者であるがゆえの脆さが心に痛い映画。  LGBTのカップルと育児放棄された子供の共同生活というと『チョコレートドーナツ』を思い出しますが、この映画では登場人物達は差別や偏見と戦いません。ひたすら耐え忍ぶ、逃避する、やり過ごす・・・当然、勝利する事はありませんし、ゆえに勝利のカタルシスもありません。  途中でトモが台所洗剤で攻撃するシーンに爽快感を覚えたりするものの、それは間違った事として否定されますし、リンコが男性病棟に入れられた事を差別だとして怒るマキオに対しても何の対応もされません。自殺未遂のトランスジェンダーの少年に未来が開ける事もありませんし、最終的に誰かが救われる事もありません。  もっと世界と戦っていいんじゃないか? あまりに被虐的なんじゃないか? とも思うのですが、この中で勝利した事で現実の世界で何かが変わる訳ではありませんからね。カタルシスはそこで完結させちゃうためのものですし。  リンコと母、マキオと姉、その姉、トモと母、少年と母、それぞれの関係を通して、家族だけは理解し、味方になってあげなければならない事が強く示されます。社会や世間がいかに無理解で、牙を剥いてこようとも、家族が理解し、居場所があれば生きてゆける、と。徹底的に父性が排除されている点にどんな意図があるのかはちょっと理解し難く気になりますが。男はマキオや老人ホームの年寄りを見てもただのガキとしての立ち位置しかないような感じ。  残念ながら生田斗真が『予告犯』や『グラスホッパー』や『秘密』の生田斗真その人、リンコというキャラを演じてる人にしか思えなかったのは、私の想像力の欠如が原因かな。でもそういう人の「演技」はそうだよね、っていう感じで、ナマのそういう人の感覚がどうにも薄かった気がするのですよね。  世界が理解を示してくれればいい、けれどそれはあまりに遠い道、ある意味絶望的、ならば理解ある人だけで繋がる世界であっても仕方ない・・・って、それは色々な偏見や差別と同じ地平に繋がっている訳ですね・・・[映画館(邦画)] 7点(2017-02-28 23:26:11)《改行有》

9.  GANTZ:O 《ネタバレ》 ・原作なり映画なりでGANTZの設定、システムを知っている。 ・国産CGアニメ特有の、表情の変化に乏しい、声優の演技に頼ったマネキン人形風キャラを、そういうもんだと割り切ってる。  この2つをクリアしていればかなり楽しめる作品だと思います。  タイトな上映時間にGANTZの世界が凝縮されています。時間が短いが故の難点もありますが。バトルが映画本体では1度だけ。その1度の戦いの中で様々な要素を描こうとしていますから、各キャラの成長や心の変化が唐突だったり、強さはセリフで語られるばかりで実力を発揮できないまま終わってしまうキャラだらけだったり、重要なポジションのように見えながらそんなには存在価値がないままなハンパなキャラがいたり。  ですが、無駄無く矢継早にアクションを重ねてゆくので、あまり細かい事に拘っているヒマもありません。  迫り来るバケモノに対して、自分か、誰かが落とした武器を拾おうと手を伸ばす、駆け出す、その危機一髪の瞬間をスローモーションで描く、ってパターンが多過ぎて、もう少し他にサスペンスを生むシチュエーションを考えつけないのかいな、とは思います。  武器のバリエーションが豊富なのはいいとして、明らかに『パシフィック・リム』なアレは明らかに浮きまくりで別作品になってるじゃん、みたいなのもあります。  突然の超展開でシーンやエピソードがちゃんと繋がってなかったり、まるで説明不足だったりもします。なんで東京チームは大阪に飛ばされて共闘って事になったのかなぁ?  でも、そういう点をツッコミながら見るような映画って感じです。  読めまくりのラストの展開も含めて、フルCGになってもあんまり変わらない国産アニメの様式美みたいなのを生暖かく見守って楽しむのが吉、ってところで。二人の女性キャラの気合い入りまくりなモデリングだけでも十分に楽しめますしね~。[映画館(邦画)] 6点(2016-10-14 23:14:04)《改行有》

10.  家族はつらいよ 《ネタバレ》  どうも山田洋次監督の作品ってあまり得意ではなく、これもまた昭和の古びた笑いを見せられるんだろうなぁ、って思っていましたが、考えてみれば私も昭和の人間でしたね。  橋爪功が笑える爺を好演して、とてもいいです。ロクでもない爺さんなんですが憎めない。この爺さんをめぐる人々のドタバタ喜劇、いや昭和の笑いだって悪くないよ、と。  『東京家族』とキャスト丸カブリってどうなの?って思いましたが、対を成すような作品でその違いを楽しむ作りになっていました。  とは言えあちこちに散りばめられた自作パロディや(本広克行作品か?っていう)、お年寄りに媚びてますってのが丸出しのネタ(正蔵が三平の「どうもすいません」をやってみせる、っていうね)なんか、それはどうなのよ?って。そもそも橋爪功と吉行和子の夫婦っていうのは元々和泉聖治作品の『お日柄もよくご愁傷さま』『大安に仏滅!?』っていうのがありますし、『おとうと』『東京家族』『母と暮せば』と最近の山田洋次作品はオマージュというか再生産というか、新しいものを立ち上げようって気は感じられないよねぇ、って思ってしまうのも正直なところで。  『東京家族』とこれと、妻夫木聡と蒼井優の二人に次代に繋がる希望を託している感じがありますが、ならばいっそ二人をメインに据えた作品を作ってもいいんじゃないかなぁ。[映画館(邦画)] 7点(2016-04-08 20:57:51)《改行有》

11.  ガールズ&パンツァー 劇場版 《ネタバレ》 【一回目】「何コレ? ちっとも話判んないけど、そんな事どうでもいいくらい面白いわ。ただ戦車がどつきあうだけのアニメにこんなにいっぱい見せ場のバリエーションがあるなんて。つーかなんてエキサイティング!」 →TVシリーズ版ブルーレイ購入、全話イッキ見。サントラDL買い。 【二回目・立川極爆】「キャラは判ったけど世界が何故そんななのかはテレビシリーズ見ても判んない、やっぱりそんな事どうでもいいのね。っていうかこれって戦車が一人格で、中のコ達はその人格を構成する要素みたいな、つまり『インサイド・ヘッド』みたいな? 監督、『クレしん』同様、映画好き丸出し。つーか音響凄い」 →シリーズ4周、アンツィオ戦VODで3回、サントラハイレゾ版買い直しヘヴィローテション。 【三回目】「声優がみんな似たような声質と演技でキャラ50人くらいを7~8人で分担してるように感じるし、大洗ですら、うさぎさんチーム、アヒルさんチーム、レオポンチーム、カモさんチームはメンバーの個性分けがあんまりできてないよね。そこら辺は国産萌えアニメの欠点そのまま。だからこそ戦車一台一人格なんだろうけど。でもそれまでライバルだったコ達が大洗の制服を身に付けて参戦っていうのが燃えるし泣けるシチュエーションだわ。つーか泣くわ」 →シリーズ6周、アンツィオ戦6回、TV版サントラハイレゾ版DL買い。 【四回目】「秋山殿~、おケイさん~、チョビ子~。最初はウザかった知波単学園すらも愛おしい、つーかもはや戦車の映像だけで愛おしい」 →シリーズ7周、アンツィオ戦8回、PSVita『戦車道極めます!』限定版購入。 明日は五回目予約済み。ガルパンはいいぞ。 ・ ・ ・ 【十三~十六回目・4DX】4DX史上最もエフェクト駆使しまくってるんじゃ? 後半の大学選抜戦なんてほぼ揺れっぱなしでハードが壊れないか心配になるくらい。臨場感ハンパないですが、感心したのは一方で細やかな設定が成されいる事。メインタイトル部分での大洗の各車両の震動が全部違って、それぞれの「乗り心地」が体感できるって、感動ものです。[映画館(邦画)] 9点(2015-12-26 14:53:49)(良:4票) 《改行有》

12.  ガールズ・ステップ 《ネタバレ》  毎度のよくあるみんなで頑張ってひとつの事を成し遂げました系青春映画。ベタで固められた、予想通りの展開の世界。  中盤にマイナスのベクトルを与える時間が長過ぎ、そしてそれを打開するためのきっかけとなるエピソードが重過ぎな感じはします。もうあと10分短くして映画全体の重量を軽減した方が良かったのではないかとは思います。割合的にダンスのウエイトが軽くなってしまっていますし。  チアリーダー達の悪役的ポジションだとか、塚本高史の挫折したダンサーだとか、形骸化されたワンパターンっぷりはもう少しどうにかならなかったのか、とも思います。  だけどメイン5人がキラキラと魅力的に輝いていて、いつまでも見ていたいと思う、それに勝るものは無いのです。ほんの短いひとときを歓び楽しみ苦悩して生きる5つの個性。等身大の葛藤を経た上で晴れ舞台に立つ5人の美しさ、それをちゃんと捉えただけでもこの映画は尊いのです。  『ソロモンの偽証』ではホラー扱いされていた感のある石井杏奈が、『魔女の宅急便』で魔法使い少女だった小芝風花が、ここでは普通の少女としての生を見せる、その普通である事の大切さが彼女達の姿を通して伝わってきます。  同じ鎌倉を舞台にした『海街diary』にはそのロケーションの描き方に違和感を抱いたのですが、この作品ではその違和感があまりありませんでした。意識して観光地的なる鎌倉を排除した『海街~』に対して、こちらはベタな観光地風景がバンバン登場するものの、そこを生活の場として生きている、そこに調和している少女達の姿があったから違和感が無かったのかな、って気がします。考えてみれば自分の日々の生活からベタだからと言って渋谷のスクランブル交差点や六本木ヒルズを意識的に避けたらそれはそれで不自然ですしねぇ。  今は邦画が作られ過ぎな気がして、そんな中では埋もれてしまう作品も多々ありますが、これは埋もれてしまうには惜しい作品。同ジャンルの名作・傑作もいっぱいある中、これも善き日本の青春映画の姿を示していました。[映画館(邦画)] 9点(2015-09-22 21:45:42)《改行有》

13.  駆込み女と駆出し男 《ネタバレ》  役者は皆とても良かったと思います。題材もいいですし。だけど脚本、演出、カメラ、編集には疑問湧きまくり。  冒頭で市川崑監督リスペクトを高らかに宣言しているのですが、ならば中途半端はやめようよ、と。「なんなのよ、そのちょっとだけ市川崑風味な原田眞人作品は」みたいな。カメラ動かし過ぎだし、微妙な高さからの俯瞰が多過ぎるし、編集のリズムは乱れまくりだし。ライティングだってもっと工夫して欲しいし、女優の顔はもっともっと印象的に撮って欲しいし。市川作品のモダンなスタイルに及ばない野暮がいっぱい。  複数のエピソードが同時進行してゆきますが、それが多層的に絡んで大きなドラマを織り成している感じではないんですよね。もうブツ切れで並んでる状態で、いちいち話がいきなり飛ぶ飛ぶ。だからせっかくの感動的なエピソードも突如山場が訪れたり、ブッツリ切れて余韻無しで終わったり。戸田恵梨香、満島ひかり、内山理名、陽月華といった女優陣のせっかくの印象的な好演がもったいなくて。  せっかくいい素材を贅沢に集めたのに、それを生かしきるには色々と足らない感じの映画でした。[映画館(邦画)] 5点(2015-05-24 22:40:53)《改行有》

14.  神さまの言うとおり 《ネタバレ》  『悪の教典』みたいに殺されてゆく者にちっともキャラクターが与えられていない、という訳ではなくて、多くの登場人物にそれなりの特徴なり感情表現なりが存在しているのでまだ興味を持って見る事ができました。  でも、不条理な出来事に対して中途半端に理屈・理由付けをしている、論理性を求めているような気がして、それが必要なのかどうかという点で疑問。  非現実的な事件が起きている、その外側の世界の描写がどうしても冷めてしまうんですよね。巨大なキューブが空に覆いかぶさるとか、中継されているとか、「神の子」として崇められてゆくとか、ひきこもりを動かすとか、しまいには神様の登場だとか、それ、要りますか?  それらの要素が酷く映画を安っぽいものにしてしまっている気がします。そういう外側の視点を入れるのならば、もっと綿密に構成されているべきですし、中で起きている事に対する説得力のある考察が必要だと思います。  それが単なるエッセンス程度の半端なものであるがゆえに、中と外との不条理の対比が明確化されず、全体が絵空事と化してテーマがボヤけてしまう、という感じ。  主演の福士蒼汰くんが弱いかな。『フォーゼ』でのコミカルな演技は面白かったのですが、映画では演技がいつも一緒みたいな感じで。つーか、キャラが『僕が処刑される未来』と同じじゃない?みたいな。どちらも「生」を見失ってるし。  ヒロインの山崎紘菜ちゃんは「このコ大丈夫ですかいな?」って思っちゃうTOHOシネマズの予告前のアレに比べるとちゃんと生きてたので良かったです。アレはスタイリストさんとかメイクさんとか照明に問題があるのかな・・・  半端な描写で余計な事を考えてしまう映画で(世界中で起こった事だとすると、他の国でもだるまさんや招き猫だったのか否か、とか)、冒頭からいきなり事件が起きて否応なく巻き込まれてゆく簡潔な展開に比べ、映画が進むにつれてどんどん雑音が多くなってしまう感じが残念でした。不条理なままじゃダメ?[映画館(邦画)] 5点(2014-11-21 22:53:01)《改行有》

15.  渇き。(2014) 《ネタバレ》  今回もまた中島監督らしい映像の洪水っぷりなんですけど、でもこれまでと違ってちっとも面白くありません。  暴力とか悪とか、そこに魅力を感じないの。「そういうのが嫌いです!」とかっていうんでなくて、この映画のソレが類型的で表面的な感じ。暴力団絡みとか警察も含めた陰謀とか大物とかいう話になると、ああ、そっちね、って。そのウンザリする感じを決して越えてはゆきません。  加奈子って魅力的じゃなきゃダメなワケですよね。それで初めて成立する話で。ところが、そんなに魅力的なキャラに見えないんです。周囲がみんな魅了されちゃう、振り回されちゃう、そして破滅してゆく、その流れに説得力を与えるのは、少なくともあの異様にダサいダンスシーンではないハズで。  「彼女は幻影のような存在でもある」という事か、揺れ動くフレームの中、光の中、逆光の中に存在してたりする画が多いのですが、その曖昧さは決して魅力を醸すのに効果を生んではいないと思います。  シネスコ画面いっぱいに顔のアップの連続だったり情報で埋め尽くしたり、だけどなんかそれが空疎。中身が無いのにゴテゴテ飾ってるようで、それはこの映画のテーマにも繋がっているようにも思えますが、でも、その平板化した状態はシネスコの使い方が下手なんじゃない?って。  原作からしてつまんないのかもしれませんが(少なくともこの物語ではねぇ)、にしても独自の魅力でガーン!ってクるもののない、既成のイメージの寄せ集めコラージュに終始した感じで、これまでの中島作品が好きだった私としては今回、失望が大きかったです。[映画館(邦画)] 4点(2014-06-29 00:26:48)(良:3票) 《改行有》

16.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》  「上映時間が長いのと、絵がちょっとヘタなのが難点だけど、味はあるし、静とダイナミズムとのメリハリがあって、なんか悲劇的な部分のウエイトが大き過ぎる気はするけれど、それでもこの素晴らしい世界ってテーマはいいんじゃないかと思いました。」  という感想で済むんですよ、作品部分のみをきっちりと切り取れば。だけどジブリの看板ぶら下げて、大量の資金を投入して、大量のアニメーターと下請けスタジオがこれを組み上げた、ってのがメジャーメディア作品としてどうしたって耳に目に入っちゃうわけじゃないですか。  となると「で、これなの?」って。  もちろんタッチの縛りそのものは作品世界を決定付けるものとして大切ですが、大勢のウデのある人々がわざとヘタな味を出してるわけじゃないですか。色がちゃんと塗れてないのも線がカクカクしてるのも全部わざと。それはこの作品にとって果たして最良なのか、最高なのか?って。  子供文学のアニメ化作品で言えば『まんがこども文庫』の作品ごとの凄まじいタッチとか、東映が積み重ねたまんが祭りの諸作とか(あ、『ワンピース』とかの近作は別として)、いや高畑作品で言えば『赤毛のアン』第一話の衝撃とか、そこら辺を確かに経た、積み重ねた日本のアニメーションが、その叙情性ではともかく、物量主義によるこのタッチでこれが到達点です、って言われてもねぇ。  『SHORT PEACE』と真逆のベクトルのようで実は同種の「これみよがしのテクニックによるジャポニズム」臭く感じられてしまいましてねぇ。  大体「記号化された悪しき描写」はこれだけやってみせた世界にもしっかりと刻まれてしまっていて、結局はその呪縛から逃れられてないじゃん、って。  大予算&CGでショボい特撮を再現してみせた『マーズ・アタック!』みたいなモンで、お月様からの使者だけに『ムーン・アタック!』とでも形容しましょうかね。[映画館(邦画)] 6点(2013-12-27 21:41:19)《改行有》

17.  ガッチャマン 《ネタバレ》  ぼくがおたくになったのは『ヤマト』でも『ガンダム』でもなく、『ガッチャマン』のせいです。なのでぼくは『ガッチャマン』にとくべつなおもいいれがあります。『ガッチャマン』はいつもてつじゅうメカとたたかうおはなしでしたが、そのはいけいにはかなしいドラマがたくさんありました。それにすっかりみりょうされました。  そんな『ガッチャマン』がえいがになるというのでたくさんのふあんとちょっぴりのきたいをいだいていました。  今日見たえいがは、なんだかとてもざつでいいかげんなつくりでした。えいぞうやエピソードがとびとびでちっともつながってなくて、いちいちとうとつです。でもしんせつにセリフでぜんぶせつめいしてくれます。だからとてもセリフがいっぱいです。  あと、たいへんなときにラブラブなおはなしをしたり、ピンチのときになぜかてきから目をそらしたり、しんじゃいそうなぎりぎりの時までおはなしすることにむちゅうだったり、やっぱりゆとりせだいというのはちがうんだなぁってかんしんしました。  いろいろなことをつっこみたいえいがでしたが、なんといってもいちばんこまったのは、まったくちっともぜんぜんおもしろくないということでした。つくりてのあいがないというのはかなしいことなんだなあとおもいます。  やっぱりぜったい『ガッチャマン』のほうがおもしろいとおもいます。今日みたえいがはたぶん『ゆとり戦隊アホレンジャー』とかいうえいがだとおもいます。  それで『ガッチャマン』のえいがはどこでやっているのでしょうか?  それともえいがになるってゆめで見たのだったかな?[映画館(邦画)] 1点(2013-08-24 22:50:50)(笑:6票) (良:3票) 《改行有》

18.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》  このところ、仕事中にぼーっと考えていた(仕事自体はルーチンワークなもので)事を幾つかの作品に分けて文章化しようかと。なのでこの作品については全面改稿します。  『風立ちぬ』にはジブリ作品としては初?、暗喩でなく明確にセックスを描いた初夜のシーンがありますが、思わず苦笑してしまったアレは絵として『風の谷のナウシカ』でテトを守るためにナウシカが胸を開いて中に導くシーンと全く同じなわけで。  つまりあそこはエロティシズムとは無縁の子を守る母の視点、「ここに来てお母ちゃんのおっぱいを吸いなさい」って事で。  宮崎アニメの女性像は明確に2つに分類されます。少女と母。男が守るのは常に少女の方で、その男を内包するのが母の役割。  そして、母ポジションのキャラはいつもおっぱいが大きく描かれてます(モンスリーとかクラリスとかナウシカとかドーラとかオソノさんとかエボシ御前とか。ちなみに悠子とかリサとかの母親失格な母親キャラのおっぱいは小さく描かれてるんです)。もちろん、少女から母へと役割を転じてゆく『ハウルの動く城』のソフィーのように両者の間に存在するキャラもおりますが。  毎度ロリコンとマザコンを明確に打ち出す宮崎アニメの潔さ(笑)  男は外では常に夢を追い、だけど家に帰ったらママの大きな胸に抱かれて眠りたい、今回の映画はそういう願望の集大成ってところでしょうかねぇ。なので、ゼロ戦がどうの、戦争がどうのではなくて、もっとそれ以前の話。普遍的なようでミニマムかな。  それが宮崎アニメの魅力なのかもしれないですし、そしてそれを頂点とする今の日本のアニメの限界。  よくアニメファンは海外アニメを見て「外国人は萌えが判ってない」とか言いますけど、盲目的にソコに停滞しちゃってる童貞臭漂わせた状態が正しいとでもいうのでしょうかねぇ?[映画館(邦画)] 6点(2013-07-22 15:00:31)《改行有》

19.  鍵泥棒のメソッド 《ネタバレ》 メイン3人は性格の違いこそあれ、いずれも「メモを取る事によって計画を立てる人間」だったりします。そのメモは設計図でありシノプシスでありプロットであり台本であり、つまりそれぞれが「そういう人を演じる事」を常に前提として生きている訳です。日頃から演技をして生きている3人が、更に違う人間の演技をするハメになるというのがこの映画のポイントで、そして見どころなんじゃないかな、って。誰だって多かれ少なかれ日常の中で自分を演じている訳で、でも、じゃあ演じる必要のある無しってどう判断すればいいんだろう?自分にとって大切な事はその演技の中と外とどちらに存在するんだろう?と。そんな日常の中の「人間としての演技」を面白おかしく拡大してヒネって見せてくれるこの映画、大変に楽しませてもらいました。記憶を無くした殺し屋、彼が模索する「自分」に対する違和感が生み出す笑いを香川照之が絶妙な演技で醸し出します。脚本上の仕掛けも上手く機能していてスキが無く。ただ、ちょっとヤクザ部分にザラついた感じがしてしまったのは荒川良々という、およそヤクザの親分には見えない人を起用したためでしょうか。逆に妙なリアリティが出てしまって、このお伽話の世界からややハミ出しているようにも思いました。あと、堺雅人は毎回困った笑顔だけで通っちゃう役柄ばかりですね。も少し幅は無いのかな? 何はともあれ見終わって素直にああ面白かったと思えたこの映画、脚本と、そして何と言っても香川照之の勝利ではありました。[映画館(邦画)] 8点(2012-09-28 23:39:14)(良:1票)

20.  神様のカルテ 《ネタバレ》 櫻井クンのおばさんパーマがヘン!っていうのが予告編での印象でしたが、本編見たらキャラごとヘンでした。文学志向の強い浮世離れした医師って設定で通すのが、いくらなんでも無理過ぎ。そのヘンさに付き合う形で妻もヘン、住まいの人々もヘン、って。時代錯誤も甚だしく、幾らなんでも今時あり得ないって!って状態で。よくもまあ、あんな虫酸が走るようなセリフを平然と吐けるモンだって、ツッコミ入れるよりちょっと気持ち悪く感じるレベル。それに呼応するように物語もまた今時こんな古臭い題材のみでよくもまあ物語1つ作れるなぁ、って状態で。医術と情の間で揺れ動く医師、患者への思い入れ、患者死んじゃって悲しい、って、いやいや、それは今の時代に普遍性とかいう言葉でまかり通るようなモノではありませんよ?みたいな。とにかく、キャラにちゃんと魂が入ってない気がするんですよ。映画見ていて、いつまで経ってもキャラに愛着も共感も湧かないの。みんなの生い立ちや生活環境が説明不足過ぎって点も問題があるんですが、そういうつまんないキャラとして設定した上で、でも実は、ってところをちゃんと組み立てる事ができてない感じで。この映画である程度、活き活きと生きたキャラになってるのって看護師ばっかり。池脇千鶴の、ちょっと生々しい存在感なんか良かったです。んで、あとは風景を捉える映像が良かった、って、それだけ。こういうダラダラした映画を作るんでなくてさ、もう少し今の時代に見えてるリアルな医療の現場の問題ってのをしっかり反映させて欲しかったと思います。自分も医療とか病院とか医師とかに悩まされた経験があるワケで、なんかこの映画、とってもヌルく映るのよ。[映画館(邦画)] 4点(2011-09-01 21:18:33)(良:1票)

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