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コメント数 2517
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝 《ネタバレ》  満席に近い場内、沢山の子供たちにウケまくっていたのでこれで正解でしょうね。特にウケてたのは「・・・リスだな」ってところかな。で、ここから先は今の『クレヨンしんちゃん』を楽しんでる子供たちのためにはな~んの役にも立たない古びたオタクの戯言でしかないのでご了承を。  前年の『天カス学園』がマグレというか奇跡というか、今回は随分とまあ昔に戻ったモンね!って結構ネガティブな意味で感心しちゃったわ。個人的に迷走期だと思ってる頃の『クレしん』映画(ケツだけとかアミーゴとかプリンセスとか金矛とかオタケベとか花嫁とかスパイとか)を思わせてくれちゃう感覚が見事にスクリーンに甦って、今更この古臭い『クレしん』を見せられてる?って随分と醒めた、スクリーンから距離置いたような見方になっちゃったわ。  閉鎖的な村社会で抑圧された母子を解放に導くとか、利己的な欲望のために少しずつ削られてゆく地球資源の保護とか、そこに織り込まれたテーマやメッセージは判らないではないわ。でもそれを描く『クレしん』の要素は本当に毎度のアレって状態。素晴らしき野原一家が地球の危機を救うため、そしてゲストキャラを救うためにファンタジーな世界で頑張ります!って。アタシ、野原一家(や、かすかべ防衛隊)に地球の命運を任せちゃうパターンにウンザリしちゃうのよね。野原一家はアベンジャーズやプリキュアのようなモノだとは思ってないし。春我部(春日部)市の一戸建て住宅に住む普通の一家よね。  物語的にもスッキリできない部分が色々あって。ちよめの、母親の想いが優先されてて病院での取り違えを偽装するという大きな問題部分を軽く扱っている感がするし、動物化してしまった祖父や父はそのままでいいのかいな、っていう感じだし。  クライマックスで正義に目覚めてボスを裏切る事になるくノ一はそこまでドラマが全然描かれていないので唐突な存在だし(途中で命令に躊躇する表現はあったけれど)、ヘソの栓を戻す展開はごちゃごちゃと様々な要素が混乱しちゃってて盛り上がりきれなくて。  第一、具体的なタイムリミットが提示されるにも関わらず、それが物語に全く関わってこないのよね。そこから時限サスペンスを作れそうなのに、逆にリミットがある状況でみんなそれを気にする事なく一体何をモタモタやってるの?ってイラつくだけの状態になっちゃってて。あの幽閉されていた博士は単に状況説明のために存在しただけ?  毎度の野原一家の家族愛描写は本当に毎度の繰り返しだし。もう『寅さん』的な。  『ブリブリ王国』『わくわく温泉』『ヤキニクロード』『カスカベボーイズ』などを思わせるエピソードやビジュアル満載!なのだけれどそれが有難いこととも思わないしねぇ。アクションシーンでの枚数使った作画は良かったわ。ボスの歌唱シーンや昭和ネタが無かったのも良かったわ。  あと、しんのすけは安易に泣かせたらダメ。原作からの伝統的にダメ。  でもそれも今の時代にほんの短い期間『クレしん』に親しむ子供たちにとってはなんの問題もないわよね。大人のクセしてずーっと『クレしん』見続けてきてアレコレとケチ付けてるのは雑音みたいなモノ。オタクの言う事って基本信じる必要ないわ。[映画館(邦画)] 5点(2022-04-25 16:08:46)《改行有》

2.  クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園 《ネタバレ》  今年の『クレしん』映画は今までの中でもベスト級の作品だったと思うわ。  学園ミステリーっていう「らしくない」設定であるにも関わらず『クレしん』映画として、そして娯楽エンターテインメントとして、とても純度の高い作品になっているの。  『クレしん』映画が陥りやすい難点、結局は毎度の「野原一家ファイヤー!」な家族の物語か「かすかべ防衛隊ファイヤー!」な友情の物語に帰結して終わりになるパターンと、最近の作品に顕著だったしんのすけを始めとするレギュラーメンバーがゲストキャラクターの引き立て役に終始しまうパターン。でも今回の映画は両方の要素を拾いつつもそのマンネリなパターンに陥る事を回避しているのね。  今作ではかすかべ防衛隊の5人がメインで、だけど学園に乗り込む事で大量のゲストキャラクターが登場するわ。バリエーション豊かな個性的な面々。脚本はかすかべ防衛隊の個々のメンバーと学園の生徒たちとの繋がりのドラマを多層的に紡いでゆくのね。カスカベ防衛隊で固まってしまう事なくレギュラーの面々とゲストの面々とが有機的に映画を構成してゆくの。それぞれみんなが魅力を持っていて。  ミステリー展開はおふざけでいい加減な作りではなくて「吸ケツ鬼は一体誰なのか」っていう謎と推理とをちゃんと見せてくれるのね(『クレしん』的飛躍の設定が絡む部分はあるにしても)。  そして事件が解決したかと思われた後に続く、最初は蛇足にも思えたかすかべ防衛隊の5人と生徒達が紡いだドラマが開花する感動的なクライマックスの盛り上がりと感動。ミステリー部分が物語の核ではなくて、あの2人こそが、永遠ではないこの一瞬の時が大切だと語る2人こそが今回の映画の核だと判る、『クレヨンしんちゃん』の大切な物語として昇華されるラストシーン。とても巧く美しく書けた脚本だと思うわ。  みさえとひろし(そしてひまわりとシロ)は出番こそ少ないけれど(いつもからすれば極端に少ない、ってレベルね)見事に「起・承・転・結」の要所を締めてみせてるの。  『オトナ帝国』とか『アッパレ戦国』、近作だと『新婚旅行ハリケーン』みたいな「名作だけどコレ子供楽しめてるのかいな?」っていうものとも違って、今回は子供から大人まで『クレヨンしんちゃん』が好きな全ての世代に対応した名作だったわ。[映画館(邦画)] 9点(2021-08-31 22:15:50)《改行有》

3.  クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者 《ネタバレ》  なんか『ロストチルドレン』みたいなハナシ。クライマックスのビジュアルは『地球防衛軍』(ミステリアンやモゲラの映画なヤツじゃなくて「EDF!EDF!」なゲームの方)ね。あと、いつもに比べて何故か背景画がキレイ。  で、今回の『クレしん』はちょっと見てるのがシンドかったわ。  登場人物が多過ぎて(レギュラーメンバーの他にこの映画用のオリジナルキャラが大量)、それぞれにドラマを描こうとするものだから、もうあちこち話が飛んで、やたらゴチャゴチャして、混沌としちゃってるわ。  ラクガキによって生まれたキャラ、ブリーフ、ニセななこ、ぶりぶりざえもん。ラクガキングダムのお姫さま(と、城に存在する善悪双方の大量の人々)。旅の途中で出会う少年ゆうま(そして一緒に旅をする動機となる母の存在)。本来ならばそれぞれ大きな役割を持ったゲストキャラポジションなカンジなのよね。それが1本の映画にひとまとめで登場してごちゃーっと描かれるものだから、どれもこれも中途半端なの。一体どこに、誰にキモチを持っていけばいいワケ?って感じで視界に入ってきたと思ったら消えて、を繰り返す状態。  そして、その映画の視点のブレはかすかべ防衛隊、みさえやひろし、ひまわり、そしてしんのすけにまで及ぶわ。それぞれが『1941』みたいにバラバラなベクトルで行動するので、シンプルな到達点に対してやたら混乱した遠回りを繰り広げる事になってシンプルな感動を阻害しまくるのね。  個人的にはもうニセななこ(とブリーフとぶりぶりざえもん)一本で勝負して良かったんじゃない?みたいな感じ。アレだけで勝負する自信がないゆえの保険たっぷり、みたいな印象すら受けてしまうわ。  それから気になったのは異様にザラついた感じの嫌な大人達の姿をこれでもかとしつこく見せること。ああいうのは確かに今の日本の国、リアルにネットにいっぱいいるわ。だけどそれをあえて『クレしん』の世界に登場させる必要があるのかしら? そこからの解放を『クレしん』の子供たちに背負わせるべきモノ?  もっともっと単純に、ラクガキに映した子供たちの創造力、それを描くだけで十分だったんじゃない?って思うのね。[映画館(邦画)] 5点(2020-09-14 20:47:41)(良:2票) 《改行有》

4.  クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし 《ネタバレ》  ひたすらみさえがカッコいいの。カッコいいオンナが出てくる映画が大好きなアタシだけど、この映画はみさえのオンナとしての魅力を再認識させてくれたわ。それは『クレしん』っていうより『百円の恋』の安藤サクラのようなカッコよさ。  予告編見た限りじゃ、パターン化された『クレしん』の毎度の一編のように思えたわ。野原一家ファイヤー!パターンとカスカベ防衛隊ファイヤー!パターンでは今回は前者、海外モノで、誘拐モノで、ジャングルで、列車アクションで、アクティブなゲストヒロインが出てきて、はいはい、みたいな。  でも、そんな毎度の要素を散りばめつつ、今回はみさえの映画として振り切ってみせたことで、これまでになかった魅力に溢れた映画になったと思うのね。  これまでみさえはひたすら母親としての強さを求められてるキャラだったと思うの。そういう描写は過去作にもう沢山あったし、今作にも溢れてるわ。でも、今回は母親である以前に、また妻である以前に、オンナであるコトが描かれてるのね。いつもはネタである嫉妬ネタを、今回はキッチリ真面目に描いてたりして。しんのすけとひまわりの耳を塞がせつつ怒りを爆発させるシーンでの、お尻が破れてパンツ見えてる状態の見た目のカッコ悪さと内面のカッコ良さの対比なんか、味わい深いドラマを感じさせて涙が出たわ。  クライマックスなんか、もう、反則ね。作品情報時点でネタバレしちゃってるので書いちゃうけど、緊迫感を煽るBGMじゃなくてみさえが歌うMISIAの『Everything』が静かに流れる中で、ひろしを救いに爆走するみさえが描かれるのよ。大好きな曲の、その歌詞の内容にぴったり合っているみさえの心情に、もう号泣レベルね(あくまで「レベル」ね。実際にトシ喰ったオカマが映画館で号泣してたら犯罪レベルだわね)。もしかしたら、この映画、『Everything』の歌詞を元に映画作られてない?ってくらいにぴったり。その昇華っぷりったら『雪の華』なんかよりよっぽど見事よ?  しんのすけもひろしもゲストキャラも、今回はみさえを引き立てる存在で(木南晴夏が魅力的に演じていたインディ・ジュンコは安易にいい人にしなかった点が良かったけど)、だけどその割り切りっぷりが『アッパレ!戦国大合戦』以来の号泣名画(※個人の感想です)にしていたと思うわ。  ギャグも散りばめられて子供たちにもウケてたし、これまでのシリーズに存在してた、もはや時代錯誤の昭和ネタ(もうすぐ平成も終わって令和だわよ)とか、謎のミュージカルタイムとか、設定やテーマばかりを重くしちゃったオタク臭いパターンとかが無かった点も良かったわね。  今回は、みさえがいいオンナ、これに尽きるの。[映画館(邦画)] 9点(2019-04-25 21:00:57)《改行有》

5.  クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱 《ネタバレ》  今回はカンフー映画ベースの世界ですが、単純にカンフー映画のパターンをなぞるのではなくて、物語にヒネリが加えてあって、奥行きのあるテーマを投げかけてきます。でも、それは功罪相半ば、という感じ。正義というものについて、多面的な描き方をしていて、色々考えさせるメッセージが織り込まれている一方、明快さがなくなって、見終って澱のような、わだかまりが残るような作品になって。『クレヨンしんちゃん』ならではの気持ち良さに欠ける感がなきにしもあらずです。  物語途中で悪は駆逐され、正義の名の元に力で支配されてゆく、その恐怖を描くのに『クレヨンしんちゃん』という器が相応しかったのかどうか。唐突な解決は物語をキチンと閉じる、という事が蔑ろにされてしまっていますし。時間を置けば凶暴化は治るという設定は語られていますが、その逆側で自我を奪われた人々が治る道筋はちゃんと語られないまま、みんなで踊れば解決、ですからねぇ。  それから、前作の『シリリ』同様、今回も野原しんのすけが物語上の主役ではないのですよね。ゲストキャラこそが主役で。もう26作重ねて、しんのすけで描けることもなくなってきちゃったのかな? 作品内で成長を見せたとしても毎回毎回リセットされてしまいますし。  今回、ここぞというところは肉弾戦なのでしんのすけは出る幕がなくなっちゃうわけで。それは例えば『ブタのヒヅメ大作戦』のクライマックスでも見られた状況ですが、やっぱりしんのすけが主役として活躍する物語が見たいですね。見る前に抱いた「今回はカスカベ防衛隊がメイン?」って期待もスカされちゃった感じですし。  色々と考えて苦心して続いてるシリーズなのだと思います。でも、子供を笑わせてナンボという基本中の基本は絶対に忘れて欲しくないところです。[映画館(邦画)] 6点(2018-04-26 22:25:07)《改行有》

6.  クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ 《ネタバレ》  シリーズ25作目、1作目から24年経過って事で1作目公開当時5歳だった人も今や29歳。でも野原しんのすけは成長しない、あるいは作品内で成長を見せたとしても次作ではリセットされてしまう永遠の5歳児。この作品では主人公はシリリであり、しんのすけは狂言回しとしての役割を担います。  父を慕い、父のために努力し、そして父に反抗する事で成長してゆくシリリ。野原一家も、かすかべ防衛隊もシリリの成長を見守り、促してゆく、クレヨンしんちゃんの世界にやってきたシリリを迎え入れる存在。それは、『クレヨンしんちゃん』の世界に触れてきた人々の姿に重なります。しんのすけの数々のボケ、ネタもある意味、伝統芸であり、老成した感すらあります。  『暗黒タマタマ大追跡』『栄光のヤキニクロード』のようなロードムービーとなった今作は、25周年記念という事で、過去作へのオマージュも散りばめられています。パンフレットによると映画全シリーズのネタが織り込んであるようですが、残念ながら私は指宿&後生掛コンビとマイク水野、それに猿くらいしか気づきませんでした。  シリーズを長く見てきた人、新たに触れる人、どちらにも対応した長期安定シリーズとしての『クレヨンしんちゃん』。心から笑って泣けて楽しめるエンターテイメント。でも、たまにはしんのすけが能動的に物語世界を動かしてゆく作品が見たいと思うのは贅沢でしょうか。映画版はどうしても巻き込まれ型(それでもあくまでマイペースなのが取り柄であり魅力なのですが)な展開が多いですからね。[映画館(邦画)] 7点(2017-05-03 23:12:56)《改行有》

7.  クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃 《ネタバレ》  少女の心の傷を優しく癒してゆくラストシーンはとても良かったと思います。が、そこまでは必ずしも褒められるものでは・・・。  『パプリカ』と『インセプション』と『ロスト・チルドレン』が混じったようなその題材のオリジナリティの無さはともかく、まず、夢が「睡眠中に見る夢」と「胸に抱く夢」とでごっちゃ。夢をコントロール可能な領域とコントロール不可な悪夢領域とが意図的に与えられていた、として「いい夢=本人の願望」っていうほぼ覚醒状態な思考パターンで構築された世界なわけで、それを大人数で空間として共有していて相互に干渉可能となると、それってもはや「夢」じゃないんじゃね?っていう。異世界ファンタジーですね。少女の悪夢から組み立てていった世界設定であろう事は容易に想像できて、そのための無理があるかなぁ。  それにそのビジュアルはいかにもオトナのアタマで創った子供の夢の世界なんですよね。  カスカベ防衛隊の団結力や活躍、ひろしとみさえのコンビネーションは好調、この辺はいつもの『クレしん』の楽しさを存分に味わえます。  バクを探しに出てからは物語の進行が停滞して、みさえとひろしは延々父親と戦ってるし、カスカベ防衛隊は迷走してるし。大和田獏ネタとか大人が見てもクドくて笑えないんですが、子供はそもそも大和田獏が判るんか?っていう。  クライマックスのボスのビジュアルはヘタなホラーより恐ろしく、よく出来てるんですが、その正体が怖すぎ。トラウマものですね。展開の結果よりも過程のインパクトがデカくてヤバいっていう。アレ、感動よりも恐怖が先行しちゃうんじゃないかと。  みさえの母性が少女を救済する展開自体は感動的なんですけどねぇ。  子供には判らないとは言いませんが、やや大人向きなんじゃない?っていうのが今年の『クレしん』の印象でした。[映画館(邦画)] 6点(2016-05-05 20:57:57)《改行有》

8.  グラスホッパー 《ネタバレ》  ハチ公前のスクランブル交差点は109前のスクランブル交差点と信号機の灯火パターンが完全に一致しているので、現実にはあの車はハチ公前に到達する以前に109前で人を撥ねるか、信号待ちの車列に突っ込んでますな。  それはともかく、なんかもっとヒネリのある、展開や構成で楽しませてもらえる映画なのかと期待していたのですが、あちこちひっかかってしまうところだらけで。  主人公が能動的に動いているように見えて、実は操られているだけ、狂言回しで結局物語を動かしてゆく立場にはないっていうのは別にいいとして、その作品世界を構成する人々にまるで気持ちが乗ってゆかない状態。二人の殺し屋に妙に入れ込んでいる感じがしますが、二人とも魅力的な個性、人間性の持ち主とは言い難く、ただの悪人ですよねぇ。それは岩西も同様。  一方、槿もまた目的のためなら手段を選んでいない訳で、寺原Jrを轢いた車のドライバーが殺される事まで当然想定していたと考えると、ラストに至ってこの人に何らかの「感動的な何か」を抱けって言われても無理な訳で。  メッシュの女のいかにもウラがありそうな存在の仕方、寺原会長や比与子の単純な存在の仕方も「なんだかなぁ」って感じで(毎度の石橋蓮司のヤクザの親分のステレオタイプっぷりは、ギャグか何かなんでしょうか?)。  一体この物語の何処に楽しむべき要素があるのか教えて貰いたいもので。不快感で構成してみました、みたいな?  「お前が人がどんどん死んでゆく物語を楽しめないだけだ」って事なんですかねぇ?[映画館(邦画)] 4点(2016-04-18 21:15:22)《改行有》

9.  クレヨンしんちゃん オラの引っ越し物語 サボテン大襲撃 《ネタバレ》  『クレしん』で泣かせに走るのはあまり好きじゃないので、今回はそれが冒頭部分だけに集中していたのがまだ良かったかな、と。  舞台がメキシコに移ってからは完全に野原一家と現地のキャラ達で独立した物語になって、従来にも増してハッキリとした作品の形が見えます。ズバリ、王道モンスターパニック映画。『トレマーズ』とか『ジョーズ』とか『フィースト』とか『ミスト』とかのノリ。『クレしん』でアレやりました、っていう。  なのでそういう映画好きとしては大変面白く、だけど一方で群像劇となった事でしんのすけが大勢の中の一人になってしまった事や、怪物撃退、退治のシチュエーションが(小ネタを除くと)真っ当だったりと、『クレしん』としての面白さは結構スポイルされている気がして、ちょっとジレンマを感じたり。もう少しナンセンスでも良かったかな?とも思うんですが、結構ホンキです。  今作オリジナルのキャラ達は皆個性的。っていうか果たしてこのキャラは要るのかな?みたいなのは大体さっさと怪物に食われます(笑)  でも、そんなにはドラマ作ってないんですよね。スマホちゃんにしろ、レインボー仮面にしろ、村長にしろ、性格はハッキリしていても、そういうキャラとなった背景は見えてきません。全体的には多少冗漫な印象があったので(籠城場所を移動したり何度も外に出たり入ったりで、水増しエピソードが無きにしもあらず)、どうせならばその時間をドラマに費やすか、さもなければもう少し刈り込めたのではないかと。  一方、今回は敵が世界征服を狙う組織とかではなくて怪物ですから、敵側のサムい歌やギャグが無かった分、安心。アレ、毎回、なんで入れるかなぁ?って感じで。  原作者の逝去によって『クレしん』の基本設定にはもう新たに手を加える事はできないでしょうから、あとはどれだけ物語のバリエーションで魅せるかになってきていると思います。今回はそんなにハズしてない感じで面白く見られました。[映画館(邦画)] 7点(2015-04-27 23:14:21)(良:2票) 《改行有》

10.  くちびるに歌を 《ネタバレ》  脚本はちょっと音痴な気もします。  原作由来なのかもしれませんが、色々とドラマを盛り込み過ぎ。特に先生がピアノを弾けなくなる原因となった過去のエピソードは定番過ぎちゃってて。この監督の過去作品にも同じネタが登場してますし。  女子生徒のモノローグで始まりながら先生のモノローグで終わるという構成もツッコミどころ。  だけど、今の日本の風景の美しさを切り取り、ドラマの中に生かしてみせる三木監督の手腕がここでも存分に発揮されています。青い海、五島列島の美しい島影、人々の暮らす家並み、そこで生きる中学生達の生が、その風景の中に溶け込んで。  海、船、汽笛、風といったキーワードとなる要素が元となった『手紙~拝啓 十五の君へ~』という歌の持つイメージを大切にしていて。  そしてもちろん、十五歳なりの苦悩、切ないドラマがあって。  キャラ的には、ずっとご機嫌ななめ状態のガッキーも良かったのですが、何と言ってもソプラノの少年、彼が全部持っていっちゃったような感じで。彼のあどけなさと彼が抱えたものの重さとのギャップに胸が痛く、ずっと彼を中心に映画を見ていました。  これまで何度か「今の日本の風景を捉えた青春映画」が大切、ってレビューに書いてきましたが、三木監督は今、最もその理想を表現している監督だと思います。  「今」から「明日」へと向かって進む道を示したこの映画、監督の真骨頂が発揮された作品でした。[試写会(邦画)] 9点(2015-02-19 23:04:44)(良:1票) 《改行有》

11.  海月姫 《ネタバレ》  マンガが原作ならばこういう描き方でいいでしょ?っていうのがハッキリ見て取れてツラいです。  リアリズムを廃したギャグ映像が生身の人間によって演じられる事で上滑りし続け、それはドラマを織り成してゆく事を阻害して。最終的にはとっ散らかったエピソードの羅列で終わる映画。  まず、デフォルメされたオタクの生態を笑うばかりで、その才能をあまりプラスとして描いてない、みんなで協力して、なんてところも各人の個性を活かしておらず、単なるオタクからの脱却こそを是としているばかりな点で、それでいいのかな?と。  ファッションショーの成功をクライマックスに据えた事で、結局「キレイに着飾った渋谷系のお嬢さんこそが正義」になってるんですよね。メガネ取ったら美人っていうアレをここでも繰り返していてセンスがとても古いです。  で、オタク状態では地味で、ドレスアップするとキレイって落差を話で見せていても実際のビジュアルで見せきれてない、その差を劇的に感じさせる事がちっともできていないのがまたダサくて。能年ちゃんをキレイに見せてるつもりのビジュアルは、本当にそれでいいのか?というカット多数。どう見てもホラーっぽいライティングまであるし。  説得力なんてモノは皆無で(ファッションショーのせいで政治家のパーティに誰も集まらないという理屈が一体どうしたら成立するのか、論理的に説明して貰いたいもので)、ならばせめてエピソードやキャラクターで楽しませて貰いたいものなのですが、類型的で(相手を酩酊させてベッドの写真を撮るって、つい最近他のマンガ原作映画で見ましたが)空虚な世界が広がるばかり。せめてせめて『三国志』や鉄道や和物やじじいの魅力を少しでも見せようよ・・・  それでもクラゲの魅力だけは幾分醸し出されていた感じで、クラゲがモチーフになった部分はなんとか楽しめたような、そして、キャラの多さでなんとか退屈さだけは免れたような。女装男子の蔵之介に救われてたかな。どう見ても男でしたが。  クレジット見るまで気付かんかったわ!って池脇千鶴や篠原ともえはおろか、能年玲奈の個性までも殺し気味なコスプレ映画ではありました。[映画館(邦画)] 4点(2014-12-28 22:43:20)(良:1票) 《改行有》

12.  クローバー(2014) 《ネタバレ》  平成ゴジラが全作ビスタサイズだったのに対してミレニアムゴジラは全作シネスコサイズだったように、前世紀の終わり頃から邦画はシネスコサイズが増えています。それは大作に限らず、こういうラブストーリーにも。  オープニング、シネスコフレームを有効活用した、武井咲の動きに合わせてホテル内を大々的に移動するステディカムの映像がとても心地良く。  で、この映画で褒められるところはそこと、あと軽井沢のシーンでの青空くらいのもの。青空はこの映画の功績じゃありませんけど。  『愛と誠』で見せた武井咲のコメディ演技を求めた訳ですが、始まって20分くらいでもう映画館出ようかって思いました。貧乏性なんで最後まで見ちゃいましたけど。でも、後になればなるほど酷くなる映画で・・・  登場人物の誰にも共感できませんし、心が動きません。もうバラバラです。みんな勝手に行動し、勝手に自己主張するだけで、まるで調和が取れていません。ひたすらすれ違いが繰り返されるばかり。その延々と続く不協和音こそがこの映画の軸であり、この物語の芯なのかもしれませんが、そんな不協和音を延々と聴かされ続ける事の辛さについて、まるで無頓着な映画という感じ。  柘植はあんなので果たしてデキる男なのか、いい男なのかというと甚だ疑問で。優柔不断、意志薄弱、無神経、そんなマイナスなキーワードばかりが出てくる状態。っていうか、客に聞こえる状態で部下に説教するような上司は無能です。客を不快にさせるでしょ?  で、柘植がそんなだからヒロインを始めとする周囲の反応もヘンに思えてしまう訳で。登場人物全員頭悪い、そんな映画。  でも、その頭の悪さはこの映画を作った人々の姿勢に表れているのかな、と。いちいち仕草に馬鹿みたいに効果音を入れて、音で笑わせようとしてますが、何が面白いのやら。メール文字を画面に表示した上で内容を喋らせる、そこまでしないと観客は判らないと思っているんでしょうか。  この映画を作ってる人達は、マンガとか観客とか馬鹿にしてるのかなぁ?ってどんどんとスクリーン上に展開する惨状を眺めながら思ったのでした。  あ、結局シネスコの意味はもちろん無い映画でした。それからディズニーの有名な曲を2曲使っておりますが、単なる冒涜ですね。あれは他の映画のために作られた曲なのだからさぁ・・・[映画館(邦画)] 2点(2014-11-11 22:37:06)《改行有》

13.  クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん 《ネタバレ》  展開読めまくりの古臭いSF設定をどう『クレしん』に編み込んでゆくのか?というのがポイントだったのですが、かなりスベり気味なプロット、ギャグの数々で隙間の多い作品になっちゃったなぁ、って感じで。  冒頭からしばしは快調。ひろしがロボとーちゃんになってしまう、それを家族が受け入れてゆくっていう、極端な非日常が日常との調和を取ろうとする流れは面白く。  でも、具体的な陰謀の姿が見え始めると、ここから設定の説明です、みたいな描写になってしまって「あーまたこのパターンか」と。敵キャラも毎度のスベり系で長々と寒い見せ場を取ってしまってますし。  っていうか、五木ひろしの『契り』の真似をするコロッケのロボがラスボスです、って、そんな古くてサブいもん延々引っ張られたらヒくわ。  また、段々原ちゃんは『暗黒タマタマ』のよねさん的ポジションですが、よねさんはいらないコに見えつつ物語に推進力を与えてたのに対して、段々原ちゃんは本当にいらなかったんじゃ?みたいな存在で残念。  評価ポイントとしては真の父権とは?という問いをロボットからの視点で描いてみせた点。だけど、そこに女性専用車両とか映画館のレディスデーとかいった生々しいモノを出してしまうと、素直に楽しめなくなってしまいます。  みさえが事あるごとにペソペソ泣き出して感動方向に持ってゆこうとしているのが見え見えだったり、『がきデカ』とか「コマネチ!」とか古いネタがやたら多かったり、ああ、やっぱり『オトナ帝国』の呪縛がいまだにベットリと染みついてるんだなぁ、ってところにイラっときてしまったのが正直なところ。  幾つかのSF作品から引用された物語と、後期『クレしん』映画にありがちな寒い敵キャラ設定部分を除くと意外と残るものは少ない映画って気がしました。[映画館(邦画)] 5点(2014-04-24 21:06:00)《改行有》

14.  くちづけ(2013) 《ネタバレ》  『芸能人格付けチェック』で監督が「一流映画監督」として扱われた際、twitterが「堤幸彦が一流?」ってツッコミで埋まる状況に大ウケ。本当、この人の映画にお金と時間を使う事にはかなり抵抗が。  で、不安たっぷりな状態で臨んだら、いきなり題材的に共通する『フォレスト・ガンプ』のあからさまなパクリで「大丈夫か?この映画」って。  先に結論を言えば、よく泣ける映画で、だけど泣ける映画=いい映画なのか?っていうとそうではなく。  泣かせるのは役者です。特に貫地谷しほりの演技はもはや力技。  彼女以外にも、障害者を演じた面々や、橋本愛、田畑智子、みんな泣かせにかかってきます。竹中直人は相変わらずクサいですが。  こちらはまんまと泣かされ、でも演出と脚本は疑問だらけ。  堤演出はやっぱり雑です。移動し過ぎなカメラは、それが動く事によって生まれる意味を消失させていますし(あのシーンをデ・パルマの如くグルグル回す事は悪趣味にすら思えます)、毎度のハイテンション演技は障害者と健常者の描き分けを曖昧にします。それが意図的であったとしても、あまりに不自然としか思えません。  脚本はブツ切れ気味で、唐突に泣き出す、激高する、笑い出す、と繋がり無く感情がボタボタと単発でこぼれ出しているような感じで、それも意図的であったとしても・・・  でも、最大の問題は最終的に納得も共感もできなかった事。  原作の通りであるなら、それは映画独自の問題ではないですが。  最後にいっぽんの取った選択、あれは親の愛よりも最悪のエゴ、無責任な自己完結が勝っているんじゃないかと。  現実にあった事件を元にしたというあの選択を通して、社会のシステム、風潮に対し問題提起をしているのでしょう。でも最近話題になった乙武さんの件のように、不備や悪意といった負の要素のみを抽出したところで未来は開かれません。  一人で障害者の親の介護をしてきた私の経験から言うと、映画に出てくる南ちゃんのようにあからさまな悪意を示す人間はリアルには滅多に存在しません(ネット上には溢れかえっていても)。色々な問題があるとは言え、絶望しかない訳ではありません。人を信じる事によって支えられる生がある、そこを信じなかったいっぽんの身勝手さゆえ、泣けるけれども腹立たしい映画だった、というのが感想。  こういう映画にはもっと未来を指し示して欲しいです。[映画館(邦画)] 5点(2013-05-27 20:06:43)(良:2票) 《改行有》

15.  クロユリ団地 《ネタバレ》  見終わって思い浮かんだのは『巨人の星』。  前半は、というか後半に霊媒師が出てくるまでは意外に魅せてくれる映画で。  どこか不自然な家族、不自然な日常。それがある事件をきっかけに徐々に真実が見えてくる。失われた人、止まった時間、崩れてゆく日常、耐え難い孤独、そして、そこからなんとか時間を動かしてゆこうとする気持ち。  サイコホラー、サイコサスペンスの様相を呈しつつ、近作の『ももへの手紙』『ファミリー・ツリー』『虹色ほたる』『幸せへのキセキ』に連なるテーマを抱えた、そんな映画。  壊れそうな、繊細に揺らぐ役を前田敦子が好演しております。  で、そんなテーマやメッセージやドラマや切なさや哀しさが置かれたちゃぶ台を「てーい!」とばかりにひっくり返して台無しにする「Jホラー」と言う名の星一徹。  クライマックスで「全部もう無しだ。何故ならこれはJホラーだからな。恐怖がドーン!とやってきて終了するのがセオリーだからな。」って激しく暴力的で無神経な終わり方で何もかもすっ飛んでしまって。  結果的にホラー映画だけどホラーが激しくジャマっていう困った映画でした。これじゃ明子、いや敦子姉ちゃんが可哀想だ。[映画館(邦画)] 5点(2013-05-22 22:56:55)《改行有》

16.  クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!! 《ネタバレ》  私はもつ焼き屋なのでB級グルメど真ん中、世界A級グルメ機構にさっさと排除されちゃいそうです。  さて、このところの『クレしん』に顕著だった、最初に世界設定ありき、テーマありきでキャラを縛ってしまう描き方から一転、今回は設定などごくシンプル、簡潔に済ませ、余計な感動エピソードだの家族愛だのも大幅に削ぎ落とし(元々『オトナ』と『戦国』は『クレしん』の中のイレギュラーなのに、以降はそれを意識し過ぎた感があって)、ひたすらカスカベ防衛隊の活躍に絞ってタイトにまとまった作品。  その、無駄なく疾走してゆく面白さは『暗黒タマタマ』以来かも。  焼きそばを食べる事が目的で物語が動いてゆく点では『ヤキニクロード』に近い気もしますが、アレが焼肉だけでは物語を引っ張れていなかったのと対照的に、今回はあくまで焼きそばが物語を引っ張っています。  今回はカスカベ防衛隊がメインで、ひろしとみさえすら活躍の場が殆ど無く、他のレギュラーはほぼ排除されているという状況。  そして、物語は5歳児である彼らに不釣り合いな無理を強いていません。地球の運命だとか、人類の未来だとか、そういうの無し。ただ5歳児なりの苦悩(お腹が減った、ママに会いたい、友達とうまくいかない)で笑いとドラマを作ってゆくのです。  その分、スケールはシリーズの中でも最小レベルですが、映画用に無理して大きくなった『クレしん』ではなく、等身大のカスカベ防衛隊メンバーの魅力が存分に発揮されていました。  また、毎度「その歌は必要なのか?」って疑問に思う劇中で歌うシーンは、今回、削るのではなくて逆にクライマックスの重要な部分に大切な要素として組み込むという、その痛快さ。  でも、何と言っても良かったのは「登場人物全員幸せ」っていうラストを迎えた事ですね。エンディングで語られるあの幸せな感じ、あれで「ああ良かった、いいモン見た」って心から満足できた感じがしました。今年の『クレしん』は当たり。[映画館(邦画)] 8点(2013-04-23 23:22:21)《改行有》

17.  グッモーエビアン! 《ネタバレ》  スチルとかムービーとか、とにかくカメラをいじってる人ならば判ると思うのですが、動画にしろ静止画にしろ地平線に対して基本的に画は水平でなければなりません。ちょっとでも傾くとたちまち不安定な、人に不安感を与える画になってしまいます。  そして、その水平を維持するっていうのが意外と大変で。  この映画で映像は頻繁に傾き、それは登場人物、特に中学生のヒロインの揺れ動く心を表しているようであり、家族関係というものの維持の意外な難しさを表しているようであって。そこは上手いな、って思ったのですが。  理想的な家族像などというものは実は存在なんてしていなくて、家族の数だけ理想と現実とがあって、そんな中で大人も子供も意識しながらその関係を維持してゆく・・・  というようなものをキチンと伝えられていれば良い映画だったのですが、脚本が雑なんですよね。  ヒロインのコがあまりに唐突にコロリと機嫌を変えてしまいキチンと流れが生じていないために情緒不安定というかちょっと病気?風な感じに見えてしまっていて、ヤグよりもよっぽど周囲を振り回してるよねぇ、みたいな。  彼女の中で気持ちが整理できずにこぼれ出てくる状態なのは判るけれども、それを表現する方まで整理できていないままなのは違うでしょう、と。  彼女のリアクション以外にも自転車事故後の会えなかった友人に対するフォローの仕方や、母親自らの抱く家族の中での内面的な立ち位置の曖昧さ、小池栄子のつまらない残念な使い方などにいちいち疑問が生じました。  最後などは「ロックだから」という酷く投げ槍なオチを押し付けられた感じがして(あのステージシーンに何らかの説得力があったのかと言うと甚だ疑問で)全体的には雑な印象の映画でした。  にしても役者は良くて、特に中学生コンビは本当に瑞々しい感じがして将来が楽しみな存在です。[映画館(邦画)] 6点(2013-01-06 14:38:04)《改行有》

18.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス 《ネタバレ》 明確な「悪」の存在は無く、選択を迫られるのは目先の小さな安定か、或いは人類の未来の平和か。大宇宙に永劫続いてゆく営みと個との関係性について、和による均衡と我による秩序の崩壊について観念的に描かれた作品。神の前で思想に対抗する実存の具体化を試みるシュールな映像の数々。そんなモンが『クレヨンしんちゃん』である必然性が、果たしてあるのやら無いのやら。作品としては、その意外なテーマの奥行きを楽しめ、更に惑星ひまわりのテーマパーク然とした美術世界を楽しめもしますが、とにかく大きな問題が『クレヨンしんちゃん』として楽しめるところに至るまでに、異様に時間がかかるという点。『クレしん』映画としては異例な111分という長尺な上に、最初の45分は物語がほとんど具体的に動かず、ひたすら設定と状況の説明に費やされ、しかも最大の問題はその間、しんのすけが全く動かないという事。動けないのでも存在しないのでもなく、ただ、能動的に動こうとしない、これは『クレヨンしんちゃん』としてのアイデンティティの否定にもなりかねないのではないかと。予め提示された約束の存在へと向かう物語のために、しんのすけが動き出すのをひたすら待つという状態は、やはり『クレヨンしんちゃん』としてはツラいものがあると思うのですよね。これがオリジナルキャラによるアニメであるならば楽しめたのかもしれませんが。後半になって面白い、楽しいと思えるのはやはり野原一家が野原一家らしく動いているシーンな訳で、ところが具体的な悪の存在が無いがゆえに、野原一家の大義が果たして作品世界に対して正しいと言えるのか否かすら曖昧になってしまうという。前半の動かないしんのすけを含め、まるで今という時代に『クレヨンしんちゃん』という作品の存在意義を懸命に模索しているような状態にも思え、それはあまりに内向きに過ぎるような気がしました。決して子供には楽しめない、子供には判らないとは言いませんが、映画20周年記念作品という節目に、なんだか重いモノを背負っちゃってる感じがしてシリーズを通しても異質な違和感がつきまとう映画でした。[映画館(邦画)] 5点(2012-04-15 14:26:31)(良:2票)

19.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦 《ネタバレ》 震災の影響なのか、毎年家族連れで賑わう休日、日劇の『クレしん』が今年はガラガラ。子供達の笑い声が聴こえない鑑賞は淋しい限り。さて、下ネタを物語の核に据えた点で、今回の『クレしん』は挑戦的、挑発的。安易な感動路線に走らず、ナンセンスっぷりを前面に押し出しての疾走で、なかなかの快作に仕上がりました。難点は散見されます。今年もカスカベ防衛隊と野原一家の活躍具合が微妙ですし、演出に不自然な間があってリズムが崩れている箇所がチラホラ(トロロの洪水を食らう二人の警備員の、『シャイニング』パロディなタメを作るカットバックはテンポ悪くするだけで不要でしょ)。それに上映時間が『クレしん』にしては長い事が、何らかの必然を持っているとは思えず、単にちょっと間延びした印象。クライマックスの反撃への移行や追っかけっこはもっとタイトにできたのではないかと思います。悪の動機が徹底的に弱いのは『温泉』同様って事で別に『クレしん』として特に問題がある訳ではありませんが。でも、レモンをしんのすけとは全く異なる存在からしんのすけと同体レベルにまで近付けてゆく物語は、ヒロインにそこまでやらせるか!ってナンセンスの極みながら感動的であったりもして、行くところまで行ってしまった今回は、まー良くやった、と。全国PTAの皆々様に『クレしん』のアイデンティティを改めて誇示してみました、って感じで。比類なき放屁映画として映画史に名を刻みそうな特異っぷりが、今回の『クレしん』のポイント。ちょっと大人しめだったこのところの『クレしん』映画の中でも異臭・・・でなくて異彩を放つ一本となりました。[映画館(邦画)] 7点(2011-04-17 18:46:32)

20.  クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁 《ネタバレ》 二つの時代をまたぐ謎、二つの時代それぞれを生きるキャラクター達。動きまくる作画に世界観をハッキリ打ち出す美術、綿密な音響デザイン。前半は、これまでの『クレしん』映画の中でもかなり高い位置に存在するんじゃないか?って感じでした。残念ながら後半で脚本も演出も作画もガタガタと。これまでのレビューで、シリーズここ数作、起承転結の転がすっぽり抜けてるって書いておりましたが、今回は起承転転結になっちゃってるんですね。結婚式からジェットコースターまで、山場が分散してしまって、キャラクターがちゃんと動いてません。棒立ち状態キャラ続出。ボーちゃん登場、ひまわり登場、ネネちゃんとマサオくん登場、見せ場いっぱいなのに、気分はそのたび盛り上がろうとするのに、それが大した意味を持たないままに流れてしまうという。そしてタイムトラベルもの、世代ものに必要なケリがちゃんと付かないままに終わってしまうのが大変に残念で(風間くんには特にちゃんとケリを付けて貰いたかったです)。最後の最後に誰の力でもなく未来が変わり、パラレル化する理由も明確ではなく、なんとなく感覚で伝えようとしているのかもしれませんが、ちょっと投げやりな感じがします。結婚式からコースターまでを整理して、その分、もっと「未来と過去の邂逅」を細かく描いていたら良かったんですけどね。惜しいなぁ。それでも、アンチユートピアの世界を舞台に、未来に希望を抱くキャラ達の熱い物語、この数年の『クレしん』映画の中で最もワクワク面白く見られた作品でした。[映画館(邦画)] 7点(2010-04-22 14:50:35)

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