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プロフィール
コメント数 3881
性別 男性
年齢 53歳

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
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1.  東京物語 この映画がもてはやされるのに、どこか引っ掛かってました。終盤の「母の死」という事件が、映画の中であまりに大きな転機になっていて、これは通俗性の表れだろう、と思ってました。だから世界中で受け入れられたんだろうと。しかし本当にこの作品が小津作品の真骨頂みたいな扱いで、良いのか、と。……しかし、自分にも子供が出来て、子供の事を「何か頼りないなあ」とか「でもまあ頑張ってるよなあ」とか言う立場になってから、改めて観た時、本作はどうにもタマラン映画なのでした。背中を丸めた年老いた親、その親を邪険にする子供たち。いや別に邪険にしている訳ではなくて、いわば空気のようなアタリマエの存在だからこそ、なのかも知れないけれど、血の繋がらない人たち(原節子とか中村伸郎とか。それこそ東野英治郎とか)の方が余程フレンドリーな描かれ方をすることで、子供たちのよそよそしさが目立つことに。しかし、親としては、子供たちが順調に育ってくれて(当時は「戦死」で息子に先立たれるなどという理不尽もあった訳で)、家庭を持ち「自分たちの世界」を持ってくれれば、それで良いのだな、と。孫より子供の方が可愛い、という、無限の愛情、それが一方的なものとなってしまうのは、やはり必然なのか。医者になった息子に最期を看取ってもらえる、というのが、幸せであり、また幸せの限界でもあるのか。妻の死を目前に静かな表情で「そうか、いけんのか」「そうか、おしまいかのう」とつぶやく笠智衆。感情を露わにしてくれた方が観てるこちらにも救いがあるのに、「どうしてそういう言い方するのよ」と悲しくて仕方がない。まあ、脚本に書いてたとか監督に指示されたとかいうのがその理由なんでしょうが(そう思わなきゃ、やってられませんわ。笑)。この静かな表情からは、「自分たちは役割を終えた」という諦念がにじみ出て、映画を通じて登場する背中を丸めた座り姿とともに、忘れられないものとなりました。しかし彼にはまだ、最後の「役割」が残っている、それは、自分の子供たちだけではなく、すべての子供たちにかける言葉。未来があり、自由があり、しかしそれを行使し切れずにいる、原節子への言葉。やがては子供たちの世代もいずれは孫を持つ世代となり、すべてが繰り返されていく訳で、永遠のテーマですなあ。そしてこれも変わらぬ、尾道・浄土寺。[CS・衛星(邦画)] 10点(2013-02-22 04:12:38)(良:1票)

2.  トゥモロー・ワールド これほどの充実感も久しぶりのもの。感動というより感激です。とにかく長廻しの緊迫感、臨場感が、絶大な効果をあげてます。あるいは、「部屋の中」と「窓の外」のふたつが画面に展開するおもしろさ。そして何と言ってもクライマックスの、戦場での兵士の中のアカンボ、というシーンは、まさに、現代における(または未来における)、一種の“宗教画”とでも言いたくなるもの。観てよかった。[DVD(字幕)] 10点(2007-12-03 00:40:36)

3.  トラック野郎 一番星北へ帰る 新沼謙治はいい人オーラ出しまくってるし、黒沢年雄はキャラ立ちまくってるし(その英語交じりのセリフ、あんた地獄組のボスか?)、田中邦衛に至っては『コンボイ』のボーグナインの生霊が乗り移ってます。という、素晴らしき登場人物たちが脇を固めつつ、何かと事件が起こり、事件が起こればまたそこに、地域ならではのさまざまな風物が織り込まれる。そのテンポのよさ。 そんでもって、メインとなるのは、桃さんと、ある母子との交流。桃さんがいかにも朴訥としていて、それがかえって泣かせるではないですか。失恋した桃さんが最後に挑む大仕事、彼の表情たるや、桃さんここで死んじゃう気なんじゃないかと。まさかね。でもいつになくカーチェイスも激しいような。 というわけで、珠玉の一本です。[CS・衛星(邦画)] 9点(2016-04-13 22:36:39)《改行有》

4.  東京暮色 《ネタバレ》 暗い内容と言われればそうなんだろうけれど、それは要するに、より現実に近い内容を孕んでいる、ということなのかも知れなくて。現実の世界、現実の人生における、喜劇的な悲劇、それは、互いのすれ違い。それも、どうしようもない程のすれ違いではなくて、ちょっとした認識のズレ、いやそれこそ、ホンの僅かの、認識のタイムラグに起因するものだったりして。ちょっとのズレさえ解消できれば、みんな理解しあえて、みんなハッピーになれるのかも知れない、だけど決して、金輪際、そのズレはこの世から無くなることはない。脇役の中村伸郎などそのズレの典型か。彼の会話はいつもズレている。もちろん、彼は悪くない、彼は何も知らされていないのだから。知らぬが故に、妻の苦悩に気付くこともなく呑気な会話を繰り返したり、妻とその娘の過去を結果的に暴いてしまうような、要らぬ一言を言ってしまったりする。このような些細なズレは、他の登場人物も皆抱えており、現実世界の我々も同様で、それが悲劇の元となりうる・・・。だけどこの映画、最後の最後に至って、皆が共通の認識に辿り着いたように見える(中村伸郎ですらすべての事情を知っている)。でも、事ここに至ってなお、娘は母の見送りに現れることは無い。最後まで溝が埋まり切ることは無い。そして、父とすらも離れる決心をする。所詮、皆が認識を共にできたところでやっぱり、全員が幸せになれる“解”など、無かったのだろうか、と。[CS・衛星(邦画)] 9点(2010-09-02 22:02:37)(良:1票)

5.  東海道四谷怪談 実に見事。物語の展開がヤミクモに速く、それでいて場面のひとつひとつがしっかりと描かれ、そこには“妖しさ”と“怪しさ”が満開の、強烈な個性がある。しばしば現れる、格子越しの映像が、なんとも後ろめたいようなイヤ~な雰囲気を醸し出す。イエモンがお岩さん殺害をたきつけられ、「毒薬・・・」と呟いた後の、鳥の鳴き声(うるさ過ぎるんだ、これが)、背景の夕焼け空(赤過ぎるんだ、これが)。見せたいもの、聴かせたいものについては、多少大げさだろうと何だろうと、容赦なく我々にぶつけてくる。まさに態度に揺らぎが無い、がははは。あるいは、どうみてもユーレイにしか見えないお岩さんに「お元気そうなお姿を見て安心しました」などと言う理不尽さ(笑)。これが実に不気味。一方には『女優霊』のごとき、誰にも気づいてもらえないユーレイの姿も(?)。不気味さ、理不尽さ、哀愁、すなわち“妖しさ”。そして、アトラクション的お化け屋敷ムービーとしてのショック描写も充実。いや、見事でした。[CS・衛星(邦画)] 9点(2008-12-02 22:58:57)(良:2票)

6.  トラ・トラ・トラ! 映画の大半は、真珠湾攻撃に到るまでの日米両国の動きが描かれますが、まあ、両方の国を顔を立てるような感じの内容に仕上がっておりまして、人によっちゃあ、気に食わないと感じる方もおられるでしょう(「日本側に偏りすぎ」と思う人もいれば、「アメリカに都合よく描きすぎ」と思う人も、いるでしょうねえ。いやはや難しい・・・・・・)。しかしこの映画のニュートラルな視点が、戦争映画としての本作の大きな成功要因になっていると思います。「善」「悪」をひとまず抜きに、徐々に迫る刻限、盛り上がる緊張感がトコトン描かれ、そしてついに戦火の火蓋が切られる。あとはもう、「そこまでやるか」という、怒涛の戦争スペクタクル。これが見事なんだ、凄絶で、美しくすらあります。日本側の攻撃に、離陸することなく破壊され尽くすアメリカ側の戦闘機。巻き込まれそうになる兵士の決死のスタントには、ヒヤヒヤさせられます。あと、“黄門様”のガンコな表情も、印象的でしたね。[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-05-01 22:26:41)(良:1票)

7.  ドッペルゲンガー 《ネタバレ》 『ドッペルゲンガー』というタイトルで、実際にドッペルゲンガーが登場する映画。ここまではえらく真っ当。 自分のドッペルゲンガーと出会うと死んじゃうらしい。とは昔からよく聞くけど、本人だけが死ぬのか、分身もともに死ぬのかは、よくわからず。はたまた、自分の分身と出会って、もしもその分身と同性愛関係なんかになってしまったら、自己愛そのまんま自分の肉体に溺れてしまったら、もはや絶対に歯止めが利かないこれこそ真の無間地獄じゃないか、と思ったり。ただし無間地獄ではあってもドラマは生まれ無さそうな気も。 この作品では幸いというか、これはこれで困るというか、登場するドッペルゲンガーは途轍もなくイヤな奴で、その手の無間地獄には陥らない。いわば、自分のイヤな面をそのまんま体現しているような感じですね。ははは。確かにこの状況は、イヤだと思う。これもまた困った状態。霊的な、超自然的な、幻想的なテイストからはどんどん遠ざかり(冒頭の永作博美とその弟とのやり取りにおける、やたら風に揺れるカーテンにだけはそういうテイストがあったけれど)、むしろ現実的に、主人公が追い詰められていく。当初の予想から外れて物語は、よりコミカルに、よりブラックに。ホラー映画らしいタイトルが選ばれたこの映画は、ホラー路線から離れて未知の領域へと。 やがて確かに、自分のドッペルゲンガーとの出会いは、「死」に繋がるけれど、死んだのは分身の方らしい。らしいけれど、実際はどっちがどっちなのか、どうでもよくなってくる。よくわからなくなってくる。はっきりしているのは、もう元には戻れないということ。ただし、元に戻るべきなのかどうか、元に戻って欲しいと誰かが思っているのかどうかも、よくわからない。とすれば、戻る必要も無いのかもしれない。登場人物たちの誰もが我こそ事態を操ろうとして、誰も操ることができず、無制御のロボットのように迷走した先には結局、崖が待っているだけなのだけれど。 この映画、役所広司が主人公とその分身とを一人二役(一役?)で演じていて、両者が一つの画面内に登場するシーンは、巧みな合成で違和感を感じさせません。しかし全部のシーンがそのように撮られている訳ではなく、当然、一方を代役が演じているシーンも多々ある訳で、下世話にも「いや、そうじゃなくて、見たいのは特撮なんだよ」と思っちゃう。いやホント下世話ですみません。さらには画面分割も。いやそうじゃなくてさ、と思っちゃうのですが、ある意味、一人二役を口実に画面分割を映画にちゃっかり取り入れてる訳で、しかもこれはこれで上手く演出しているので、ちょっと、してやられた感が。[CS・衛星(邦画)] 8点(2024-05-19 08:54:23)《改行有》

8.  透明人間現わる 現れないのが透明人間、と、かのピンク・レディーもおっしゃってる訳ですが(いや、阿久悠か)、その「現れないもの」をどうやって表現するか、が映画の見どころ、見せどころ。 そりゃまあ、今の映画がコレと同じことをやっても厳しいものがあって、透明人間が服を脱いでいく場面の、これでもかという合成映像感など、ちょっと目のやり場に困ってしまいます。しかしこれ、昭和24年の作品。映画のクラシカルな雰囲気の中では、こういう手作り感も悪くないもんです。それよりも、戦後早くもこんな特撮映画に取り組んでいることにも驚かされるし、単に「チャチだ」と笑っていられないような、手の込んだ特殊効果にも驚かされます。 透明猫をカメラが追いかける。何もない空間を追いかけてるだけなんですけどね。しかしいかにも、ソレっぽい。姿は見えなくとも、ピアノの鍵盤が押され、モノが倒される。何もいないかと思いきや、足跡だけが点々とついていき、それをカメラが追いかけていく、摩訶不思議な感覚とスピード感。畳みかける演出が、見えないものを見せる。いや、「見せる」以上の、臨場感。 透明人間がタバコを吸えば、周囲に煙が充満し---あれ、そしたら煙が気道の形に浮かび上がるんじゃなかったっけ?(by H.G.ウェルズ)---とにかく、「姿が見えないからこその存在感」みたいなものがあるんですね。 透明人間がモノを持ち上げ、振り回す。ヒモで吊り下げて撮影しているんだろう、とは思うものの、とてもそうは見えない俊敏な動き。いったいどうやって撮影したのか? そういう、見えないものをどうやって表現するか、に対する拘りが、結果的にこの作品を「見せる映画」にしていて、どこかサイレント映画の雰囲気を漂わせています。透明人間が登場していないシーンにすら、そういう雰囲気があって。 どういう訳か、あの隠し戸棚みたいなヤツが、妙に印象的でした。[インターネット(邦画)] 8点(2024-03-24 07:03:52)《改行有》

9.  トラック野郎 爆走一番星 こういう、シリーズの「第2作」って、1作目が当たったのを受けて急遽シリーズ化が決定し慌てて準備した作品、というイメージがあるのですが、意外にそれと作品の完成度とは関係が無く、本作なんかも、驚くべき内容のまとまりを見せてます。 一方で、下ネタの充実ぶりにも驚くべきものがありますが。いやコレ、本当に下品。 また、ストーリーにおける重要なエピソードに「桃次郎の一目惚れ相手を勘違い」ってのがあって、これは第1作のネタをそのまま流用したようなところがありますが(全作共通のネタにする積もりだったのか?)。 だけどそれらを含め、雑多に並べられたエピソードの数々が、きちんと収まるべきところに収まっていく、この見事さよ。バラバラたと思われたエピソードが互いに互いを支え合って初めて成立するクライマックス、であるが故に、感動的なのです。[インターネット(邦画)] 8点(2021-07-11 14:27:44)《改行有》

10.  トラック野郎 御意見無用 シリーズ第一作からもう、全開モード。むしろ、まだ誰も何も期待してない分、自由奔放なのが第一作の強み、なのかも知れませぬ。 内容は盛り沢山、マドンナに対する一目惚れは勿論のこと、花束のエピソード、ライバルとの対決エピソード、捨て子のエピソード、ジョナサンの隠された過去の話・・・。そうそう、桃次郎とジョナサンとの喧嘩のエピソードもあって、もはや愛川キンキンが何に対して怒ってるのかもよくワカランのだけど、二人が波打ち際で水を掛け合えば、すべてが水に流され、ああ、二人ともバカだなあ、イイなあ、と思えてきます。 このおバカな主人公を演じる文太さん、一見荒削りに見えながらも、ときに絶妙の間で笑いをとってみせ、なかなかの喜劇俳優ぶり。 投入された脈絡のないエピソードが、見事なまでに、落ち着くべきところに落ち着き、サバサバしているのかと思ったら妙なところで泣き出したりするマドンナ中島ゆたかの破綻寸前のキャラクターが、彼女の抱えた苦悩の目眩ましになっていて、その苦悩が明らかになったとき、桃次郎の侠気が炸裂、怒濤の爆走クライマックスへ。  と言ってもアメリカ映画のカーアクションみたいに派手なことは出来ませんが、木の枝がトラックに激突し、泥水が(バケツでかけたように)飛び散り、気分だけは負けてません。 バカだから、カッコいい。それがこのシリーズの持ち味ですね。[インターネット(邦画)] 8点(2021-04-11 12:38:37)《改行有》

11.  トラック野郎 故郷特急便 トラック野郎最終作。松竹「男はつらいよ」とは、ライバルというか似てない双子というかジキルとハイドというか、それなりに深い関係が(一方的なものだろうけど)ある中で、本作の桃さん、何だか、特に「寅さん化」しているみたいですね。ちょっとカッコつけ過ぎなんだから、もう。いや実は寅さんの方が桃さんに感化されてたんだったりして。 本作、ダブルマドンナで、勘違いもいつもの2倍、といったところ。ところで、今回、石川さゆりはマドンナ扱いされてますが、以前の作品で都はるみが登場した際は、マドンナではありませんでしたね。これはしょうがないですね。正直でいいですね。一方の「男はつらいよ」では、都はるみすらもマドンナにしてしまう、いやはや、何でもいいにも程があります。 私、もしかして、ヒドイこと言ってますか? 最終作は鈴木則文監督の脚本でシメて欲しかった気もしますが、いや、本作もよくできてます。キンキン命がけ(?)の投身未遂騒動あり(このシーン、見てて身がすくむ)、闘犬シーンあり、もちろんトラック爆走シーンあり、見どころ盛り沢山。外国人なのにお遍路さん?と思ってたらちゃんとストーリーに絡んでくるのも楽しいし、実際、最近は外国人のお遍路さんも増えてきているみたいなので、時代を先取りしているとも言えるような言えないような。[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-05-05 12:08:45)《改行有》

12.  徳川家康 はい、伝記映画ですね、織田信長のね。中村錦之助演じる織田信長が桶狭間で今川義元を破るまでの物語に対し、サブストーリーとして、松平元信の苦難の幼少期(幼名:竹千代)から岡崎帰還までが描かれる、という趣向。要するにおそらくは何部作かとして徳川家康の生涯を描こうとしたのでしょうけれど、さすがにこの一作では相当に中途半端。でありながら、この一作だけでも充分に楽しめちゃうのは、やはり何と言っても、凝りに凝ったカメラワーク。ロケ撮影では何かと困難が伴うでしょうが、容赦なくカメラを振り回します。ロケで取り入れられた光景の数々も素晴らしくって、贅沢な気分を味わえます。竹千代が連れさられる場面、なんでこんな海岸の妙な場所に渡し船があるのやらよくわからないけれど、そんなことはどうでもよろしい、ドラマチックな場面にはドラマチックな光景が似合うのだから。劇中に何度か登場する“金の折り鶴”が物語の要所を締め、印象的。合戦シーンや剣を合わせる場面は決して多くありませんが、見所の多い作品です。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-11-09 08:43:01)

13.  DRIVE いや~、笑わせてもらいました。バカですねえ。大体、発端からメチャクチャで、車に乗った主人公が信号待ちをしていると、覆面3人組が突然社内に乱入してきて、刃物を突き付け、「前の車を追え」という理不尽さ。こういう場合、普通(というものがあるとして)、「車をよこせ」「車から降りろ」でしょ。しかし敢えて映画は、主人公を事件に巻き込み、我々をどことも知れぬ理不尽ワールドへと引きずり込む。主人公はいわゆるダメダメ人間で、彼の前で、やたら極端な悲喜コモゴモが繰り広げられていく訳ですが、その描き方がまた不思議ワールド。『弾丸ランナー』なんかでは、ズバリそのまんま「走る姿」の映像でもって映画を突っ走らせ続けたのに対して、本作はそれに比べるとやや停滞気味、コマ切れの印象。というより、刹那刹那を、じっくり描いており、ある人生の瞬間が、映画という持続した時間へと転写される(自動車が瞬間的に暴走するシーンだけで、どれほど長いことか)。そしてその過程において、ひとりまたひとりと主人公の前から立ち去っていく強盗3人組のキャラが、何かしら主人公へと投影されていく、そして、手に汗握りつつも何ともアホらしい驚愕のクライマックスへ。いや秀逸だと思いました。ミットモ無さ、カッコ悪さ、不器用さへの愛着、まさにこれこそ人間賛歌。[地上波(邦画)] 8点(2010-05-16 16:58:25)

14.  虎の尾を踏む男達 さてここでも、「映画はなぜ、おなじみ“勧進帳”をわざわざ取り上げるのか」という問題が(しかもこんな苦しい時代にわざわざ作った映画だよ)。もしも映画という芸術が「特定の“文脈”の中で捉えられるべきものではない」「独立し完結したものとして鑑賞されるべき」というならば・・・ならば、なぜ、「○○○を映画化!!」みたいな安直なコトをするのか。映画はまず外部との連関を拒絶する努力を徹底して行うべきではないのか(って、勿論、してる作品はしてるんだろうけどね、えへへ)。“音楽”という芸術は、20世紀に、血の滲むような努力、ってか、試行錯誤をとめどなく繰り返してきたぜ。で、それは、きっと、失敗だったのかもしれないけど・・・。すみません、これ以上書いても結論なんぞ到底結論なんて出ない。別に不満があるわけでもない。今のところ何となくぼんやり考える、だけ。で、とりあえず、本作の話。いや、実はここでも、本作がそのヒントになるのかも。最近よく聞く“○○○の完全映像化!”とかいうのとは、まったく異なって、ここでは、パロディとしての味わい。特にエノケンという狂言回しの存在が、本作をひとつの新しい作品へと導いており、こういう映画に触れると、何となく、「原作があり、そして、映画がある」という、すでにアタリマエになってしまっている図式に、改めて「ああ、なるほど、そういうことか」と納得できてしまったりするのです。それにしても。後半の、スタジオ感バリバリの雰囲気、音響とかにも十分に気を使っていない(使えていない)感じがするのですが。でも、その不自由さが、(妙な所に)綿密なクロサワ映画に加えられたことで、一期一会の絶妙な味わいを醸し出した、という気も。また、せめて最後にもう一度、屋外シーンを見せて欲しいなあ、と思っていたら、これもしっかりと、とっておきの「空」を背景にラストシーンを見せてくれて、うれしくなっちゃうのでした。[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-05-04 21:52:47)

15.  どら平太 お蔵入りになっていた「四騎の会」共同脚本作品がついに日の目を見る!というわけなんでしょうが、市川崑監督はまるで「あくまでこれはオレの映画だ!」と言わんばかり、まるで犬がションベンで電柱にマーキングしていくがごとく、遠慮会釈なく市川色に染めて行っております。時に艶っぽく、時にバカっぽいこの映像は、誰が何と言おうと市川映画。鶴太郎の役どころも何だか、今にも手をポンと打って「ヨシわかった!」なんて(加藤武の代わりに)叫び出しそうではないですか。さて一方、主人公のどら平太を演じるは役所広司・・・この配役は難しいですねえ。役所さんがやるとどうしても「ホントはきっとマジメな人なんだろう」みたいに思えてきて、あまり意外性がない。ま、でも楽しく観られたので、OKです。ただ、殺陣はちゃんとやって欲しかったなあ(スローなんか使ってカッコつけたのはちょっとガッカリ)。8点(2004-06-26 02:07:10)

16.  虎影 映画なるものを見ている最中、面白いと思ったりつまらないと思ったり、あるいは驚いたり退屈したり。色々感じはするけれど、エンマ帳みたいなのをつけながら見ている訳で無し、後で感想文書こうとか点数つけようとか思いながら見ている訳でもなし。「良いシーンが多かったから、つまるところ、これは良い映画である」などと思う訳でもなく。結局は、見終わった時に感じる充実感ってのが、あったり無かったりして、基本的にはそれが映画の印象となる。で、この充実感はどこから来ているのだろう、と思い返せば、なるほど、心当たりにぶつかって、ああ、きっとこれなんだ、と。幸い、充実感を感じることが多いからこそ、まだまだ他の映画も見たくなる。 しかしそこで戸惑ってしまうのが、例えばこの『虎影』なる、フザケたおしたニンジャ映画。あきれ返るほどにフザケまくっているにもかかわらず、見終わった瞬間、ああ、90分余りの充実した時間を過ごせたわい!と感じてしまったのは、なぜなんだろうか。 これは困った。 一応、もう一つの尺度として、「人に勧められるか」という視点もあるんだろうけれど、この点では正直、厳しいものが・・・。 無理矢理この充実感の由来を思い起こせば、結局は陳腐な表現になるけれど、この自由さ、ってことになるんでしょうかねえ。 何だか板みたいなのに縛り付けられた人間が、斜面を滑り落ちる、その上に乗っかって繰り広げられる戦い。合成感丸出しで、いかにもチープ、あり得なさ加減が凄まじいのですが、「そんなに斜面が長い訳無いやろ」というくらい、ひたすら斜面を下り続ける、このずうずうしい時間感覚。いやいや、これこそ、映画の基本ではないでしょうか。 はたまた、石垣での人間パチンコ。アホ過ぎ。 だけど一方では、ケレン味たっぷりの長回しチャンバラもあったりして。 うん、おそらく、この「盛り沢山」感にダマされたのかも知れぬ。 という訳で、これ、オススメです。[インターネット(邦画)] 7点(2023-11-03 07:09:07)《改行有》

17.  東京キッド 《ネタバレ》 それにしてもワルい大人ばかり出て来ます。無人島に置き去りにされかかる美空ひばり。って、ここまでくると、ちょっとオモシロいですけれども。 しかしまあ、いいオハナシです。たぶん。 美空ひばりが身寄りの無い少年の役。のはずなのに女の子の言葉遣い、どうなってるんだよ、と思ってたら案の定、そうなっていたのでした。 あちこちに歌が挿入されるミュージカル仕立て、ドラマの中で突然、歌が始まると、妙な具合になってしまうところ、美空ひばりの場合はドラマの方が何となく妙で、歌が始まると安心してしまいます。いや、演技がヘタな訳じゃないんですけどね。 囚われの身の彼女を捜すため、ギターを爪弾くと、彼女の歌声が返ってきて、居場所が判る、というこのシチュエーション。『知りすぎていた男』はコレを参考にしたとしか思えん。 ラストシーンは向こうに向かって道を歩み去る後ろ姿。堺駿二にチャップリンの霊が乗り移ったようにしか見えないのでした。まだ死んでないってか。[インターネット(邦画)] 7点(2022-06-28 22:56:11)《改行有》

18.  TOKYO TRIBE 「ミニスカートの婦人警官」というのは、誰もがその存在を信じているのにまだ誰も見たことがない、一種のUMAですね。トーキョーの街に、ミニスカポリスは確かに実在した!  竹内力が完全にブッ壊れていて、もうセリフ回しも何言ってるんだかわかんないんですけれども、一昔前ならこういう役どころはやっぱり安岡力也の出番、だったかあ、なんて思った途端、竹内力に安岡力也の霊が舞い降りたような気がして。今後もぜひ、この路線でも頑張って欲しい。そんな気が、ホンの少しだけ。 全編にラップが散りばめられたミュージカル仕立て、さすがにこれだけ単調なモノを延々と聞かされると、ちょっとゲンナリしてくる部分もありますが、そこは文句を言っても仕方がない、見る前からわかってた事、ですから。 そしてハチャメチャなセットな中で繰り広げられる、全編、乱闘シーン。長回ししてみたり、大きく視点を変えてみたり、色々と工夫は施されているものの、これも、「カメラの揺れ」があまり乱発されると、少々、辟易してしまいます。 その中でやっぱり光っているのが、清野菜名と坂口茉琴のスピーディなアクションシーン。清野菜名はヌードも見せる思い切りの良さ、その後ではもはや、パンチラもパンチラには見えなくなってきて。一方の坂口茉琴(女の子です)は少年の役。この二人が見事なタッグでキレのよい格闘を演じており、性別を超えた中性的な魅力にあふれています。 鈴木亮平は見事な肉体美を披露していて、帝王・高山よりもイイ体してるかも?(いや、Uインターの頃は高山も引き締まった体してたんですけどね)。それはともかく、マッチョ路線が確立していてこそ、少年少女の格闘も活きてくるワケで。ついでに高山のギャグも活きてくるワケで。 乱闘また乱闘。良くも悪くも、お腹いっぱいです。[DVD(邦画)] 7点(2020-07-24 12:34:29)《改行有》

19.  翔んで埼玉 とことんバカバカしい設定でオブラートにくるんでいるけれど、差別というかなり微妙なテーマを含んでいて、「誰がみてもこんなのウソに決まってるでしょ」という作りになっているとはいえ、製作陣も結構、気を使ったのではないか。と(いや、実際には大して気を使ってないかも知れませんが)。 そういう訳でこれは、弾圧の映画。そして革命の映画。バカバカしくとも、あの埼玉ポーズ(とでもいうのか)のやり取りには、なかなか引き込まれるものがあります。そして、川を挟んで群衆同士が睨み合うシーンの、あの熱さ。バカバカしいけど。 それにしても、その革命の先頭に立ってる連中ってのが、どうみても、ホントに革命が起きたら真っ先に処刑されそうな連中なんですけどね・・・そういうのを含めて、他では絶対に見られない映像の数々。これは、映画革命か。 それにしても、これは映画とは関係ないけれど・・・過去、大災害に直面した日本人が、互いに協力し手を取り合ってそれを乗り越えようとしてきたその一方、新型コロナウィルス危機を前にすると他者に対する忌避がたちまち排斥や差別に直結してしまい、やはりまだまだ日本人は「ケガレ」の概念からくる差別意識に捉われているのだな、と思う次第。[地上波(邦画)] 7点(2020-05-04 16:18:50)(良:1票) 《改行有》

20.  東京流れ者 ギャング映画をどこまで解体したらギャング映画でなくなるのか、という限界に挑む本作。どうして突然こんなところでロケしているのか、どうしてこんなにスカスカのセットで撮影しているのか、もうワケがわからなくって、そもそもこの映画は「面白い」のだか何だかもわからなくなってくるのですが、そういう、作品を通じて貫かれている姿勢自体が、何かだかカッチョよいのです。 冒頭、渡哲也がリンチされてるシーンからして、まるでミュージカルのように舞踏っぽいところがあります。やたら男前な若き日の渡哲也が、映画でオモチャにされてて、こう言っては何ですが、カワユイのですよ。 森進一は許さなかった川内康範センセイですが、本作は、お気に召したのでしょうか。ちょっと心配。[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-11-17 03:36:00)《改行有》

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