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プロフィール
コメント数 3881
性別 男性
年齢 53歳

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  晩春 またも出ました、原節子の「私、結婚しないワ」攻撃。って、時系列で言うと、コレが初めてなんですかね。じゃあしょうがないですね。本作、登場人物たちそれぞれの人生を多層的に描くというよりは、「娘の結婚を心配する父」と「父を心配して(ほんとに?)結婚しない娘」との姿に、比較的絞って描いた作品で、その代わり、冒頭の茶道のシーンから始まって、“ちょっと寄り道”的な、物語に直接関係の無い光景に、時間を割いているのが目につきます⇒とは言っても、“意外に時間を割いてる”というだけで、実は物語に関係ないどころか、大いに関係あったりするんですね。父の再婚相手(?)と初めて遭遇する、この茶道のシーン。電車で東京に向かうシーンも妙に長く妙に楽しげだけど、これは父との外出。父との仲の良さ。はたまたサイクリングのシーンの、これまた妙に楽しげな印象(やはり年頃の娘さんなのであって、男性とお付き合いすること自体が嫌いな訳じゃない)。白眉は、能のシーン。これでもかと長い。長いけど、そのシーンにはドラマがある。サスペンス。原節子の表情がコワい。⇒⇒⇒ってか、そもそも、この映画の原節子の視線と表情、全体的にとってもコワいです。ちょっと苦手です、ハイ。で、そんな彼女が、最後に見せる花嫁姿。去りゆく娘は、ひたすら美しく描かれる。黒の着物を見事に着こなしたその姿、まさに印象的な、名シーンだと思います。ところで、娘の結婚相手の“熊五郎”とはどんな男だったのか。まあ“寅次郎”じゃなくてよかったよね、御前様。[CS・衛星(邦画)] 10点(2011-08-06 10:02:44)(笑:1票)

2.  博奕打ち 総長賭博 若山富三郎演じる松田の単細胞ぶりが、もう素晴らしくって(笑)。 いや彼に限らず、登場人物みなそれぞれが素朴な信念のもとに行動し、見事なまでにスレ違い、ボタンの掛け違いを繰り返して、物語を織りなしていく。破滅という名の悲劇へ、悲劇という名のパラダイスへと、否応なく突き進み、観始めたらもうやめられません。 各自の行動が次々に皮肉を生み出していく流れは、出来過ぎと言えば出来過ぎで、危ういバランスの上に立っているとも言えるのですが、その流れをしっかりと支えているのはやはり、役者それぞれが持ち味として発揮している、芸、ですね。鶴田浩二しかり、若山富三郎しかり、名和宏しかり。しかし何と言っても桜町弘子ですね、ホント。藤純子は少しワリを食っちゃったかもしれません。それぞれが演技を通じて、自分の信念を体現して見せることで、物語は、単なる図式的なものではない、血肉の通ったものとなりました。金子信雄の独特の顔芸は、さておき・・・。[CS・衛星(邦画)] 9点(2018-09-29 16:34:04)《改行有》

3.  薄桜記 「忠臣蔵外伝・丹下左膳ビギニング」みたいなお話で、その名前を少しもじった丹下典膳という人が主人公。高田馬場の決闘から吉良邸討ち入りまでの中山(堀部)安兵衛の姿と、そこにクロスする丹下典膳なる人物の運命が描かれ、物語運びの上手さ、巧みな演出に、さらに忘れ難きは雷蔵の美しくも悲壮な表情、これぞまさに出色の時代劇です。高田馬場の決闘をきっかけに、安兵衛と典膳とは互いに一目おく存在となり、武士道を通じた敬意による、信頼関係が生まれる。しかし同時にまた二人の運命の交錯は、それぞれにとっての波乱の始まりでもあり、道場からの破門、同じ女性への恋。そして典膳と妻に悲劇が襲いかかる……。安兵衛が見つめる川面に降り注ぐ涙雨。典膳夫妻の絆を象徴する紙人形。背景の暗転によって強烈に浮かび上がる肩口の血の深紅。決闘の場へとひた走る勝新の描写、あるいは俯瞰による殺陣の描写など、カメラの工夫にも溢れており、そして何と言っても、ラストの息も絶え絶えの(後の『大殺陣 雄呂血』でも見せたような)悲愴感溢れる雷蔵の死闘、そして表情。ああ、早く来てくれ勝新よ、と思わずにはいられないクライマックスが、もうたまりません。[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-10-26 10:28:16)

4.  薔薇の標的(1980) パルプ小説風のハードボイルド。麻薬取引の場で組織の裏切りにあい、銃撃戦の末、舎弟を失い自らも獄中の身となった舘ひろしが、4年後に出所し、組織への復讐を誓うってのが映画のツカミ。逮捕後の彼を誰かがサポートしてくれていたらしいけど、それが誰かはわからないし、舘ひろしも気にしないまま、復讐への第一歩を歩み始める。 「安っぽい犯罪小説らしさ」という骨格が、アクション映画としてうまく生かされてます。すべてが刹那的、すべてが唐突で、物語の辻褄とか何とかいったものも二の次。主人公が危機に陥れば突然助っ人が現れる、などというご都合主義も、港に佇む舘ひろしが中島ゆたかをいきなり引っ叩く唐突さも、映画の起伏や推進力に大きな役割を果たしていて、我々を惹きつけます。前半やたら女優を脱がせたり、中盤で住宅街を舞台に無茶なカーチェイスを展開したり、なんてのも、一種のご愛敬、一種の映画の華。 舘ひろしと中島ゆたかの関係を軸にしつつ、主人公の仲間である内田良平のサブストーリーみたいなものもあり、チョイ役で特別出演の松田優作も含めて、登場人物がそれぞれに印象的。 音楽はハネケンさん、ジャズが物語にマッチして、虚無的なラストに至るまで、雰囲気がよく出ています。 魅力的な作品だと思います。[CS・衛星(邦画)] 8点(2020-02-11 09:27:32)《改行有》

5.  HANA-BI 《ネタバレ》 最初、駐車場の地面に「死ね」と大きな落書きがあって。よくお笑いの世界では「死ね」みたいな過激な言葉が飛び交う場面があって、しかしそういやビートたけしという人、“毒舌家”ではあっても、笑いをとるためにそういう事を言ったりはしない気がするなあ、と。何でかと言うと、「そりゃツッコミではなくボケの人だからでしょ」と言われりゃ多分その通りだとは思いますが。ただ、そのボケの中にはいつでも自虐性みたいなのがあって、何だかこの「死ね」の落書きも、ビートたけしが北野武に要求したツッコミであるような気もしたのですが、まあこれは映画とは関係のない部分における感想。・・・しかし実は映画の方も同じように、「カッコ悪くて不器用なビートたけし」に対し、その姿を徹底的に人目にさらすことを要求する北野武、という対立関係があって、その仮借なさにこそ、カッコ良さなり器用さが感じられる、という面があるようにも思えます。本作、一部に長いセリフもありますが(大杉蓮が喋りにくそうにしてる)、基本的にはセリフは抑えられています。そして、ショットの積み重ねがひとつのシチュエーションを紡ぎ、シチュエーションの積み重ねが、映画の物語を紡いでゆきます。その中には、過激な暴力シーンがあれば、また妙に静かで意表をつく銀行強盗シーンもあります。そしてその物語の流れの中には、物語の情緒を印象付ける美しい風景が挿入されたかと思えば、その流れにふとひっかかるもの(置き忘れられた三輪車であったり、凧揚げの少女であったり)が挿入されたりもします。しかし大きな流れは決して止められない。不発と思った打ち上げ花火が遅れて発射したように、運命の流れは変えられない。・・・ええと。このローマ字書きのタイトルは、何だかヤだなあと、その点は噛みついておきましょう。[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-07-23 17:25:01)

6.  麦秋(1951) 例によって例のごとく、嫁に行けとかまだ行かないワとかいうオハナシですが、本作、原節子の思わぬ選択の、そのあまりの唐突さには、誰しもつい「なんでやねーーーーん」と叫びたくなるところですが、その気持ちは登場人物たちも同じ。波紋、動揺、そして受容。笠智衆は珍しくも、相手との衝突を避けることなく、大いに吠えまくる(しかし、バカ息子2人は、遠慮せずにもっと叱り飛ばしてやってよろしい)。そういう会話上の衝突があることと関係があるのか無いのか、恒例の(?)「コマ切れカット対話」は抑え気味、カメラは引き気味。母親役の東山千栄子は、『男はつらいよ』シリーズの“オバチャン”の原型とも言うべきでしょうかね、『東京物語』に負けず劣らずの、愚かしいまでの無垢さ、これには心打たれずにはおられません。これはまさに生き仏です。合掌。ラストは、“家族みなバラバラになっちゃったけど、いつかまた会えるだろう”ってのが何だか『日本沈没』みたいで、良いですね、全然違うけど。この麦穂が揺れる奈良の風景、おいおいいくら奈良でもここまで田舎じゃないよ、本当は一体どこでロケしたんだよ~と思ったら、あ、耳成山みたいですね、これは奈良ですね、すみません。昔々はこんなのどかな風景だったんですね。え、今も大差無いってか。 (この麦が揺れるシーンですかね、何テイクか撮影されたうち、OKテイクとは異なるフィルムをスタッフが誤って用いたのを、小津監督が一目で見破ったというのは。)[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-06-12 23:50:40)

7.  ハンター(2003) 社会に馴染めない不良少年が、ハンターに弟子入りして、大自然に揉まれながら成長していく。ってな感じの映画では「一応」あるんだけども、セリフが切り詰められていることで、ストーリー的にはかなり曖昧な印象。そりゃそうだ、こんなものすごい大自然の中では、個々の人間みたいな小さな存在は、量子論の影響を受けて不確定化しちゃうのだ。しかしその中にあって、やはり自然児たる“ハンター”の存在感は、圧倒的大自然に溶け込むが故に、我々の目を引く(その無表情な表情)。この“ハンター”、オネーチャンと馬上でチョメチョメしちゃう、なかなかのハンターぶりなんだけども、そんな姿がまた、彼の「自然」な姿として、ミョーに納得できてしまう。やがて少年は、以前に起こした事件のためにとっつかまり、ムショにぶちこまれる。映画で初めて現れる文明の姿。それまでの大自然の光景からの余りの違いに、我々文明側の人間の目にすら、異様に映る。少年はその刑務所の中で成長し、一方、“ハンター”はその間も大自然の中で生き続け、そして・・・・・・。我々も時々、山に登ったり、浮世から遠く離れた寺社に行ってみたりしては、「ああ、こんな静かなトコがあったんだなあ」なんぞと思い、また雑多な日常へと帰っていくんだけれども、また会社に行って仕事をしながら、「あそこは今でも静かなんだろうなあ」なんぞとため息をつく。僕らの存在にお構いなしに、この世には様々な世界が存在しており、存在し続けている。僕らはそれらの世界に対し、「選択」することだけはできるのだ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-07-30 22:26:18)

8.  幕末太陽傳 幕末モノ、市井モノ、心中モノ、キャットフィアトモノ、その他あらゆるものが一本の映画で楽しめる作品。その合間合間にフランキー堺が写るだけで、なんだかおかしさがこみ上げてきます。遊郭の長~い廊下が妙に印象に残りました。それにしても、映画全体のテンポのよさと、ラストの墓場でのモタツキ具合の、このアンバランス。これほど奇妙なテイストのラストシーンは、いままで見たことがないような気がします・・・。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-18 23:37:17)

9.  ハウルの動く城 面白かったです~。最初の方、老婆になったソフィーが強風の中、動く城に乗り込む場面、風にはためくマントの描写があまりに見事で、観てて涙が出そうになりました。「ピノキオ」や「ダンボ」などのディズニー作品でも、何でこんなシーン観て泣くんだろ、と自分でも不思議に思えるような場面で涙が出そうになることがあります。さてそんなワケで、本作も観終わった直後にはずいぶん興奮していたのですが、さすがに日にちが経ってだいぶ冷静になってきましたので、映画のかんそうを思い切り脈絡なく書き並べてみようと思います。(1)宮崎アニメのテーマは「翔ぶ」事だと思っていたが、最近のテーマは「溶ける」なのか? (2)ソフィーの声が倍賞千恵子なら、ハウルの声は前田吟という手もある (3)あの犬の正体は、ケンケンなのか? (4)荒地の魔女は怖そうだったが、見かけ倒しだった。あれなら本物の美輪明宏の方が強そうだ。美輪の方が魔法をたくさん使えそう (5)「○○は嫌いじゃ」は、一時、我が家の流行語となった(すばらしい) (6)主題歌は正直、イマイチだったなあ・・・ (7)カブの正体など、はっきり言ってどうでもよかった (8)ソフィーは最後の方、ずいぶん可愛くなった。ってか、可愛く描かれてた (9)本作は確かに楽しめたが、最近の宮崎アニメの暴走ぶり、いよいよ次回作あたりは観客がついていけなくなるのでは、と心配 (10)でも楽しみにしております。[映画館(字幕)] 8点(2005-05-16 23:04:51)(笑:2票)

10.  バレット・バレエ もしもトラヴィスがNYのタクシードライバーではなく、東京のサラリーマンだったら?ってな感じの映画ですかね。私も『タクシードライバー』はメチャクチャ好きな映画なんですけども、そういった映画が今のサブカルチャー台頭の一因になっとる訳で、サブカルチャーが「ブーム」になってしまってはもう形骸化をたどるのみ。例えば「狂気」=「かっこいい」なんぞという陳腐な公式がまかり通って陳腐な「自称:問題作」が量産され、似非「サブカルチャー」が世の中蔓延している・・・。そういう状況を、本作はよく認識し、一線を画しているように思います。「狂気⇔正気」「カッコイイ⇔ダサい」「綺麗⇔汚い」etc...なんて、本来は次元の異なるものであり、条件反射的に定式化しちゃいけない。これら異質なモノが異質な邂逅を繰り広げることで初めて、未知の衝撃が現出するわけで。『タクシードライバー』が確かにひとつの到達点であることは、ボクも絶対譲りゃしないけども、やはりトラヴィスとボクらの間には時代文化背景その他の違いによる「距離」があるのも否定できない。本作の主人公もまた、トラヴィスにはなれない(当然ながら「鉄男」にだってなれない)わけで、そのもどかしさを加味しつつ独自のアングラ世界を築きあげた本作にも拍手を贈りたいですね。ユラユラゆれるカメラによる、幻のようでありながら現実感のある薄暗い世界。眩暈に耐えつつ堪能いたしましょう。そうそう、そういえば、撮影協力に「東京大学駒場寮委員会」ってクレジットされてましたね(寮の自治会のことかな?)。東京でもっともアングラ的なロケ場所はやはりコマ寮だったのか?妙に納得・・・。[地上波(字幕)] 8点(2005-04-21 23:17:31)

11.  ハートブルー キャメロン作品はストーリーが魅力的であっても、シーンに関しては、惚れこむような魅力的なシーンというのはあまりないと思ってるのですが、本作を見る限り、ビグローは違う。本作は殆どストーリーそっちのけで、魅力的なシーンを徹底的に詰め込んでます。つまり、観ててとにかくカッコいい、観たいものが詰まった映画。特にパラシュート無しのスカイダイブって、鳥肌立つほどカッコいいよね。8点(2003-10-12 02:16:57)

12.  博徒解散式 『解散式』(67年)とは一応、直接の繋がりは無い、ということになってるんでしょうけれど、博徒シリーズの名を借りた「解散式シリーズ続編」と言ってもよさそうな。昔気質のヤクザが、新しい勢力に押し潰されていく姿を描いている点は共通しており、丹波哲郎が何のために出てきたのかワカランところまで、同じ。いや、何のためであろうと、こういうサブストーリーが活きてるところが、深作欣二らしいと言ってよいかどうか、とにかく作品の魅力の一つとなってます。 それに比べると、死んでも放置されて誰も構ってくれない室田日出男の扱いの悪さ。 かつて連想ゲームとかのテレビ番組に渡辺文雄が張り切って出演してるのを見てた時には、まさかこんなワルい人だとは思わなかったのですが、いやはや今回もあくどいのなんの、意地悪いのなんの(←あくまで役の上の話)。そんな彼に、時代遅れの鶴田浩二とその舎弟たちが、次第に追い込まれていく、無力さ。 終盤の殴り込みの場面も、過去に行われた派手な殴り込みシーンを回想として交えつつ、それと対比するように地味な描かれ方となってます。鶴田浩二と渡辺文雄との間に交わされる長い会話は、殴り込みというイメージには程遠く、もはや男と男が意地や名誉を賭けて対決するような時代ではなくなった、ということか。 虚しさだけが、残ります。[インターネット(邦画)] 7点(2022-06-07 23:10:49)《改行有》

13.  バトル・ロワイアル 特別編 「特別編」と「特別でない編」とを厳密に比較したわけじゃないけど、シーンの追加で、なんだかちょっとポエムな作品になりましたねえ。 でも、実はもともと、こういう作品なのかもしれんなあ、と。そりゃまあ、テーマとしては、殺し合いが最初から最後まで行われる殺伐とした作品、ということになるのですが、実際はその殺し合いの多くは主人公のあずかり知らぬところで発生している、という点では妙なオハナシ。殺し合い以外にも、自殺しちゃうヤツもいて、実際、殺し合いには違いないものの、どこか、クラス全員が集団自殺に追い込まれていく姿、のようにも見えてきて。 という、いささか求心力には乏しい一種の群像劇、緊密さばかりでなく、こういう、少し弛緩したようなポエムな空気もあってもまたよいのでは、という気もいたします。 それにしても、当時、政治家も問題視したこの『バトル・ロワイアル』、まさかこの出演者の中から、後に政治家が出てくるとは、思わなんだ。勿論、キタノ先生のTV番組(元気が出るテレビ)にメロリンQで出てた頃は、さらに思わなかったけど。[インターネット(邦画)] 7点(2021-12-19 13:58:46)《改行有》

14.  ハード・コア(2018) 《ネタバレ》 こういうの見てるとつくづく、時間の流れってのはこの世の中、一定でも何でもなくって、人によって明らかに「違う時間」を生きてるなあ、と。そういう時間の淀みみたいなものが、よく出ています。 青臭く、そして懐かしくもある、自意識の泥沼。奥手だから生真面目で、生真面目だから奥手で、正義感だか言い訳だかわからないものに縛られてて、でもしっかり性欲にも縛られてて。そこには「解は無い」んですけどね。 で、こんなヒトたちだから、たとえ生活の中に超高性能スーパーロボットが現れたところで、もうどうしようもない訳で。ロボットは結局は何もしてくれないし、何も変わらない。せいぜい、できるのは「退場すること」。ロボットができるのは、その手助けだけ。 やけに、タバコが、印象的でした。[DVD(邦画)] 7点(2020-04-15 20:54:22)《改行有》

15.  遥かなる山の呼び声 嵐の夜、母子二人で暮らす倍賞千恵子と満男(じゃないけど)の元に、ずぶ濡れの健さんが現れ、一晩泊めて欲しいという。いかにもアヤシゲな男なもんで、母は承諾しつつも警戒感全開。というのは至極もっともなんですけれど、しかし満男に(じゃないけど)「包丁隠しとけ」みたいなこと言ったりするのが何だか妙な気がして。自分達に危機が訪れているかもしれない、と思うならむしろ、息子にはそれを気取られぬよう、心配させないよう、あえて平気な態度をとって見せ、その気丈さがかえって本人の不安感を高める・・・っていう場面なんじゃないのかなあ、ここは。 この場面における「未知の男」に対する不安感ってのが、妙に機械的なんです。 しかしまあ、機械的というよりは「素朴」というべきか、こういう素朴さが、よいのかも知れませぬ。 素朴で、肝っ玉の強いところも見せ、一方では初恋の少女みたいにキャピキャピしたりもするオバチャン、こんな厚かましいにも程がある役を、厚かましさを感じさせることなく演じられるのが、倍賞千恵子というヒトのスゴさ、魅力ですね。 作品における酪農業の仕事の丹念な描写も、彼女の魅力を、そしてもちろん健さんの魅力を、際立たせています。 ただ、そりゃ健さんみたいな人がいたら、皆、好感持たざるを得ないだろ、母もホレりゃ息子もなつくだろ、というあまりにも当然すぎる展開、これでいいんだろうか。ま、観てて安心感はありますけどね。満男には(じゃないけど)物語を通じてもう少し成長してほしかった。[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-04-14 09:25:10)《改行有》

16.  八月の狂詩曲 もうちょっと子供を子供らしく描けないもんかねえ、とはどうしても思ってしまうのですが。子供にあまり多くをしゃべらせなかった『夢』、ジジイに子供を演じさせた『まあだだよ』。それに比べると、4人の子供に、いかにも「若作り」の会話を続けさせた本作、ちとつらい。 でもいいんです。子供たちとお婆さんの要領を得ない会話、その中から次第に、外の世界が見えてくる。昔、長崎に落とされた原爆。それ以来、止まった時間。 しまいにゃリチャード・ギア様までやってくる。お婆さんとギア様、ふたりの夕べ。これをラブシーンと言ったら、ちょっとセンチかな。 八月なのにバラが咲いてる。真っ赤なバラに向かうアリの行列。その昔、大勢の人間が死んだこの町で、小さな虫たちが一生懸命生きてる。そんでもってラスト、お婆ちゃんの言動がおかしくなり、嵐の中を飛び出していくと、これはもう悲劇の予感以外の何物でもないけれど、さにあらず、唐突に流れてくる「野ばら」の合唱で、印象は一変します。自然の中、歴史の中で、人間の存在なんてちっぽけなものだけど、それでも傘をおちょこにしながら風に向かって行くお婆さんの姿。生命力、と言うとちょっと違うかも知れないけれど、あのアリの行列とも呼応するかのようで。[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-08-29 22:24:30)(良:1票) 《改行有》

17.  バケモノの子 人間の世界に居場所を失った少年と、バケモノとの交流を描くのだけど、その二人のやりとりを描いていればよいものを、さらに同居人を二人配置し、こやつらに何かと説明をさせる。そりゃ、説明すれば映画はわかりやすくなるでしょう。いやそれよりも、主人公たちの内面を、陰ながらもちゃんと把握して理解してくれている人たちがいる、ということ。誰かが逐一、自分のことを理解してくれている、という安心感。それは何とも居心地がよく、居心地が良すぎるが故に、観ててかえって居心地の悪い思いをしてしまう。軟弱過ぎるではないか・・・。 実際のところ、子供とこの作品を観ていても、画面に対してまず子供の反応があり、遅れて説明ゼリフがやってくる。明らかに余計なんですね。もうちょっとくらい、観る側を信用してもいいのでは。 逆に言えばそれだけ素晴らしい、人を引き付けるに充分のアニメーションでもある訳で。丹念に描かれる前半に、暴走気味の後半。目が離せません。[DVD(邦画)] 7点(2016-06-17 21:02:06)《改行有》

18.  旗本退屈男(1958) 市川右太衛門映画出演三百本記念作、という訳で、往年の大スターから若手スターまで、もう出るわ出るわ、まさにスター百科事典の様相。天下御免の向う傷、ご存じ旗本退屈男・早乙女主水之介を、右太衛門がクドい表情と流麗な殺陣で演じれば、彼の右腕として若き日の錦之助もキンキン声で大活躍。伊達忠宗役の千恵蔵はバカ殿としてコミカルな一面を見せますが、年齢を隠すべく厚いメイクを施した右太衛門の顔が照明に白く浮き上がる時、千恵蔵よりも右太衛門の方がよほどバカ殿に見えてしまったり。さて内容はと言えば、伊達藩におけるお家騒動、お世継ぎの毒殺未遂事件に、そこに甲賀忍者やら伊賀忍者やらが絡んできて(黒装束の忍者軍団、カッコいい割に妙に弱いのが気になりますが)、スターが盛り沢山なら内容も盛り沢山、まさにごった煮状態。さらに、スターらしい大仰な演技の右太衛門と千恵蔵のセリフの聞き取りにくさに加え、大友柳太朗はいつも通り滑舌が悪く、もう内容云々よりもこの豪華な雰囲気さえ楽しめれば、とりあえずよろしいかと。千恵蔵が右太衛門をにらみつければ、背景に浮かび上がる右太衛門の影が千恵蔵を睨み返している、カッコよさ。東映の、豪華時代劇大作です。[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-04-29 17:36:15)

19.  八甲田山 新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」の息詰まる迫力というのは、克明な描写がもたらす“記録文学っぽさ”に大いに由来しているだけれど、その一方で、作家の想像による補填というだけではない明らかな創作も多々含まれていて、実際の事件に取材しているとは言え、登場人物の名前は皆、実在の人物から変えられていたりするのですな(その前に書かれた短編「八甲田山」ではまだ、それこそ作家の人生観を反映させるような創作は目立たず、雪山の恐怖を描く事自体に主眼があったものの、この時点ですでに名前の変更が行われている。一部の名前は「八甲田山死の彷徨」でさらに変更されている)。で、まあ、この映画もあくまで、小説「八甲田山死の彷徨」の映画化作品なワケです。青森第五聯隊と弘前第三十一聯隊の運命を、やや残酷なまでの対比をもって描かれるのですが、一方で、やはり役者が身をもって演じる“映画”ならではの、同情というか優しさのようなものも感じさせます。何しろ、雪山ロケの、どこまでが演出なのか(それとも演出など有って無いようなものなのか)わからぬトンデモナイ過酷な光景が延々と続くのですから、「ちょっとイイ話」的なセンチな要素も、映画に入れたくなるってもんでしょう。そのくらい、この映画は、やり過ぎです(笑)。カメラのレンズにまで雪が積もってませんでしたっけか。本当に撮影中に死人が出なかったのだろうか、なんぞとついつい心配してしまう、猛烈に我々に訴えかける力のある映画(映画の完成度とか何とかはそっちのけで)。そんな訳で、必ずしも記録文学とは言えない原作に基づいて、ある意味“記録映画”な作品が出来ましたとさ。[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-09-11 22:29:34)

20.  パプリカ(2006) ドラマが次の物語を引き起こすのではなく、ひたすらシーンが次のシーンを呼び、あるいは発散し、あるいは循環する。アニメに不可能なし、とばかり、悪乗りの極致、エネルギーの奔流にただただ圧倒される、のだけど・・・あまりに濃過ぎて、少々胸焼けが。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-12-28 23:06:53)(良:1票)

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