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プロフィール
コメント数 2526
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  劇場版 SPY×FAMILY CODE: White 《ネタバレ》  元の原作・アニメから「アーニャかわいい」以外のなんにもないような(失礼)シロモノなので、アーニャかわいい以外期待することもなく、でもそのアーニャかわいいもイマイチだったかなぁ。何しろ下ネタを長々と引っ張ってるし。  ロイドもヨルさんもプロフェッショナル、デキる人間として設定されているワリにはわちゃわちゃと動揺し過ぎでねぇ。いや、そここそが面白いんでしょ、って言われるかもしれないけど。  映画はレビューの最初の方が仰ってる通り『クレヨンしんちゃん』映画みたいだわ。「フォージャー一家、ファイヤー!」みたいな映画よ。他愛もない動機から始まって陰謀に巻き込まれて下ネタ挟みつつ一家が団結して解決、みたいな。まあでも微妙なデキの時の『クレしん』程度よね。  飛行船内でのヨルさんのアクションとか見どころもあるのだけど、その前に続く浮気?勘違いネタなんかは他愛無さすぎてそんなんでいいの?って見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうカンジ。まあ元々ウケてる層が小学生中心みたいな状態なのでお子様向けな脚本になってるんでしょうけど、でも子供だってちゃんと見るトコ見てると思うわよ。  アーニャの変顔がウケがちだからって変顔させ過ぎよね。もっとかわいいアーニャをいっぱい見せて欲しかったわ。  なんとなくアニメの延長線上で映画化してみました、みたいな印象でまーこんなもんよねー、ってところで、もう少し映画として気合いの入ったモノが見たかったわ。[映画館(邦画)] 5点(2024-06-20 16:00:45)
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2.  劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re: 《ネタバレ》  ここ2~3年、昔に戻ったようにアニメいっぱい見るようになって150作3000話くらい見てるのね。そんな中では『ぼっち』は世間の評判に比べて個人的にはそーんなに、だったのよね(個人的なお気に入りは『宇宙よりも遠い場所』『あそびあそばせ』『女子高生の無駄づかい』『三ツ星カラーズ』『江戸前エルフ』ね。プリキュアシリーズは除いて)。キャラの設定や配置、主人公をフォローしてゆく周囲の優しさとか仲良しっぷり、良くも悪くも『きらら』色だわ。結束バンドのCDは買ったけど。  映画版はとりあえず繋がりが悪いかな。エピソードの流れがキレイとは行かなくてそーんなに大幅カットってワケでもないのにブツ切れ感があって。歌を流して映像の方はダイジェスト、みたいなのはファン向けな印象ね。ぼっちちゃん、テレビシリーズに比べるとわりとあれよあれよとバンドに慣れていったカンジ(あ、ちなみにぼっちちゃんって呼称は『ひとりぼっちの○○生活』の主人公が先行してるわね。彼女は本名からして「一里(ひとり)ぼっち」なのだけど)。  でも、こうして映画というカタチになった事でひとつのまとまった作品としての見応えが生まれた感じ。ぼっちちゃんのダリのようなシュールレアリズムみたいな変化っぷりもこうしてまとまると映画の中の特異点になって独自の個性を放つ事になって。ぼっちちゃんの奇異っぷりが際立ってそこだけでもお楽しみポイントになるわ。今回の映画は結束バンドって集団よりはぼっちちゃん個人に多く視点が向くような感じがして、不器用なコミュニケーションによって彼女の世界が広がってゆくのを改めて楽しむことができたわ。  受動的(コミュ障)な主人公が異様に能動的でハイテンションなキャラ達に引っ張られて、ってのは萌え系アニメにありがちなんだけどね・・・[映画館(邦画)] 6点(2024-06-20 15:39:20)
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3.  映画『からかい上手の高木さん』 《ネタバレ》  「高木さんめ~」って映画では西片言ってたかしら?  ワリと楽しみにしてたのだけど、最初から微妙に違和感抱いて結局最後までそのままになっちゃった感じ。永野芽郁さん、好きなのよ? 『俺物語』とか『PARKS』とかの頃から最近だと『マイ・ブロークン・マリコ』なんてとても良かったし。でも彼女の高木さんはなんか個人的に解釈違い、みたいな。  原作マンガは読んでなくて、アニメシリーズ1~3期、アニメ映画版、ドラマ版は見てて、あと姉妹編な『あしたは土曜日』は読んでて(個人的にあの3人が好きで)、自分の中に高木さん像ができてて、それらの中ではいちばん今回の映画版の高木さんがなーんか違和感あって。解釈違いって点ではアニメ映画版の高木さんもクライマックス部分、違うんじゃない?って思ったりもしたのであくまでごくごく個人的な感じ方ではあるのだけど。  大人になりました、って設定から来る変化を自分の中で上手く咀嚼できなかったのかなぁ? なんだか俗っぽい高木さんって感じで。世俗にまみれて変わっちゃった高木さん、みたいな印象。西片の方はずっと小豆島にいたのであのまんまでした、みたいな印象だったけど。っていうか10年経っても中学生のままみたいで、それはそれでどうなのよ?とも。でも高木さんって自分から告白したりはしないと思うんだけどなぁ。  ドラマ版から繋がっている作りには感動したし、小豆島の美しい風景を捉えた映像はもちろん良かったわ。だけどドラマ版の最後の方から映画版までのオリジナルな部分にちょっとノレない感じがして、結局アタシが好きな『高木さん』って西片をからかい続けてる高木さんだったのかもしれないわねぇ。[映画館(邦画)] 6点(2024-06-01 15:55:38)《改行有》

4.  悪は存在しない 《ネタバレ》  タイトルが鑑賞のポイントになってる映画って気がするの。悪は存在しないってどういう意味?逆説的な?単純な二元論じゃないみたいな?って色々な先入観で映画を見る事になるじゃない、ハナからまっさら、ニュートラルな姿勢で見るというのが無理な感じで。  冒頭の延々と仰瞰で木々を捉え続ける移動ショットで早々に「どうしよう?」って感覚に陥っちゃうのだけど(あ、なんか前衛的なヘンな映画見にきちゃった?)やがて人が出てきて物語を紡ぎ出すので安心するわ。そこからの展開に自然と人間との共生、その距離の取り方とかあるべき姿とかを語るのかな、それぞれの立場を想うならば、安易に正義とか悪とかを定義すべきではないって話なのかな、なんて考えちゃうワケ。  だけど映画は突然予定調和の道から外れて「ええ~?そんな話?」って結末を迎えて。なるほど、それはそもそも正義とか悪とかいう次元の話じゃないし、ソレはどの視点からも切り離された、ソレにとっては意味を定義する意味も無い事象だし、って。そこまで実のところいっぱい伏線が張られていて、でもその伏線が回収されたからって気持ちイイとかいうのでは全く無くて。  登場人物一人一人、映画の中で時間が流れてゆくに従って段々と人柄、人間性が見えてきて、それは肯定的でも否定的でもなく(東京の事務所の2人はともかく)それぞれに人間で、だけど実のところ映画はそこに優しい眼差しを見せる事もなく。  見てるこちらも突き放されてるわねぇ、って印象の映画だったわ。ずーーーん、ってカンジよ。  冒頭の木々は最期に見た風景だったのかしらねぇ・・[映画館(邦画)] 6点(2024-05-30 14:50:36)《改行有》

5.  デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章 《ネタバレ》  前章では最後まで判らなかった、過去の映像と現在とが全く繋がらない謎が今回明らかになった時点でパーッと作品世界の視野が広がって。掴みかねてたおんたんと門出のキャラがきゅーっと胸に迫ってきて。  身もフタも無いこと言っちゃうと『浦島太郎』と『まどマギ』と『エヴァ』(ちょっと『1000年女王』)なんだけどね。でも今のこんな時代にコレが作られる事の意味、それってとても大切だと思うのね。  異常な状況が日常になる、大きな何かに気付かないフリをする、気付いていても何もしない、そんな世界が最悪な事態に陥った時、それでも抗う人を非力な無力な無駄な存在と冷笑、嘲笑するような映画、ではないと思うのね。それぞれに意志があって選択があって、それが例え悲劇に終わったとしても、それでも生きる意味はある、って。  前世紀末のセカイ系ノリを匂わせつつ、もっとずっと今日的な感覚に寄り添って個と複雑な社会との関係、ありようを示すわ。雑多な要素をまとめきれてない感はあるの。あちこちに触手を伸ばし過ぎたためにキャラやメッセージが薄くなったりボヤけてしまったりしてるの(ついでにエヴァ過ぎる絵があったりするの)。だけどおんたんと門出の生き様を通じて正義も悪も定義できない今のこの世界の混沌に仄かな望みを見出す事ができるの。それはアニメのステキなチカラだわ。二人に命を吹き込んだあのちゃんと幾田りらさんに拍手。[映画館(邦画)] 8点(2024-05-29 16:02:05)《改行有》

6.  デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 《ネタバレ》  巨大な未確認飛行物体が浮かぶ東京、でも大きな何かが起こる訳ではなくて、人々はその異常な状態を日常のものとして生活してる。政府は色々なことを隠し秘密裡に行動してる。それは今のこの現実を映しているわ。ジェノサイドが起きていても、戦争に向かっていても、なんとなく自分には関係がなさそうな、今、日常を過ごせているから、とりあえずは問題ないって感じ。正常性バイアスが描かれてるのね。  途中で友達のひとりが飛行物体から放たれた物体の墜落に巻き込まれて死んでしまって、それは悲しいことだけれども、でもその時のキモチだけでまた日常が続いて。普通に高校を卒業して大学に進学して。  その忍び寄るモノに対する危機感の無さが恐ろしさを感じさせるわ。  ただ、いかんせん前章、色々描かれるモノが放り出されて意味不明なままに映画は終わってしまうわ。特にスタンダードサイズで描かれる過去の主人公二人のエピソード、それが現在の二人の状況とは全く繋がらない、別の二人の物語のようで、どういう意味があるのかは後章を見るまでお預け。故に見ているこちらとキャラとの距離が生じたまま(理解できないまま)映画館から追い出されてしまうのね。そこにあえて点数をつけるとしたら6点が精一杯かしら。  そんなに待たずに公開される後章を見て初めて意味を成す映画なのかもしれないわ。[映画館(邦画)] 6点(2024-04-12 15:40:42)《改行有》

7.  翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜 《ネタバレ》  前作ほどのインパクトは無かったわね。っていうか東京の人間なので関西の感覚はそんなには判らないわ。でもでもちょっと東京の人間が考えた関西人、みたいな感じもしたのよね。現実に粉モンへのこだわりなんてそんなに強かったりするのかしら?  大阪出身の友人がかつて「三都物語とか言うけど大阪と神戸と京都は仲悪い」って言ってたので、そこら辺がキーになるんでしょうね、とは思ってたけれど、もう少し細かい地域性みたいなのが見たかったかしらね。前作っていうか今作も埼玉の細かな地域性は出てたけれど関西に関してはかなり大雑把な扱いだったように思うの。  埼玉との国境が近い池袋で見たのだけど、やっぱり池袋の人にウケてたのは埼玉ネタ。冒頭の武蔵野線とかクライマックスの行田タワーとか。アタシは目黒の人間なのでそこもそんなにピンと来ないのだけど、西武と東武の対立なんかはさすがに池袋で見てこそよね。ちなみにわが東横線は今やどっちにも繋がっているという節操の無さね。  二階堂ふみさんがあんまり活躍しなかったのが残念ね。あと笑いをパロディに頼り過ぎかしら。『チャーリーとチョコレート工場』や『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』のパロディ部分は長くてテンポ殺してたように思うし(GACKTさんが関西弁になっちゃうのも『魔宮の伝説』かしら?白い粉はカリの血?)。杏さんはヅカの男役みたいで良かったわ。っていうか普段シリアスな演技してる人たちがぶっ飛んだ役を演じているのって見ていて楽しいわよね。  あとエンドロールのネタはあれ全く映画の笑いではないワケで、そないなところから持ってこんとアカンみたいなんは違うんとちゃいます?(関西人に嫌われる、いい加減な関西弁喋る東京モン)[映画館(邦画)] 5点(2023-12-03 12:49:41)《改行有》

8.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》  『ユア・ストーリー』で山崎貴監督許さん!状態なのだけど、それはそれとして『シン・ゴジラ』よりずっと楽しませて頂いたわ。モブ以外は政治家と役人と自衛隊員だけな『シン・ゴジラ』よりも民間人視点で怪獣を描いたこちらの方が好み、それはもう子供の頃から一貫した嗜好だしね。まあ主役は特攻隊の生き残りの復員兵だけれども。  今回のゴジラは基本『もののけ姫』よね。ゴジラは巨大生物と言うよりも化け物、妖怪、もののけ、タタリ神のような感じ。背びれを立てながら海をやってくるその顔、その目は微妙に生物感に欠けていて、大入道とかダイダラボッチみたいなイメージ。戦争を起こす人間に怒る破壊神ね。  一方で怪獣映画にしては妙にたっぷり描かれる生活描写。戦後の焼け跡のミニマムな地点から再スタートする人の営み。  それぞれに戦争を引きずるゴジラと一人の男の、戦争を終わらせるための戦い。怪獣よりも人間に寄った分、エンタメ感は不足気味かもしれないけれどレビューに毎度書いてる「怪獣と人間ドラマは水と油」って難点をそれでも両立させた怪獣映画としてこれまでで最高レベルだったと思うわ。  ドラマ部分の演技や映像の昭和感も時代を映してる感じで良かったと思うのだけどX見てると今風じゃないのが不満らしい人が多くてなかなか難しいわね。アタシには『シン・ゴジラ』のあの大量早口セリフの方がよっぽどヘンに思うのだけど。  で、ここからは難点を。山崎貴監督って節操の無さゆえの問題ってのがいつも付きまとう気がするのね。その最悪の結果が『ユア・ストーリー』ではあるのだけど。  連想される作品はいっぱい。『ジョーズ』『ターミネーター2』『ジュラシック・パーク』『インデペンデンス・デイ』『この世界の片隅に』『ファイナル・デスティネーション』『ダンケルク』。そして『すずめの戸締まり』。これは製作時期的に影響された訳ではなくて今の日本に生きる者が持つ共通の感覚から来てるのかしらね。  今回のゴジラはそれまでの自作の要素がたっぷりで(『三丁目の夕日』や『永遠の0』『アルキメデスの大戦』等々)、そこは上手くいってる面もあるけれど、でも『ヤマト』とはラストで決定的に矛盾するわよね? そういうのが彼の信用ならない部分なのよ。今回、自己犠牲を引っ張りながら最後に否定する、けれどそこまでに滅びの美学的なモノを漂わせちゃいませんか?って。日本大好き!っていうのは従来作から一貫してて、帝国主義や旧日本軍を否定するのは正しいとして、でもみんなで立ち上がってこの日本を守りましょう!みたいなナショナリズムの喚起みたいな面はアタシ的にはイヤなのね。もっと外向いていて欲しいわ。  あと多くの怪獣って歩いて移動するのだから「線」なのだけれども多くの怪獣映画が製作費やら脚本やらの問題で「点」になっていて、この映画はその怪獣映画の歴史の中でもかなりな「点」な映画で、そこが残念ね。  浜辺美波さん、以前からちょっと古風な佇まいのある、それゆえ普遍性を持った稀有な役者さんだと思っていたけれど、今回は時代設定にハマっていて彼女の魅力を生かしていたと思うわ。  でもあれこれと言いたいコトはありつつも大画面に映える骨太な、がっしりした映画を見たって感じがして満足したわ。[映画館(邦画)] 7点(2023-11-05 10:41:20)《改行有》

9.  キングダム 運命の炎 《ネタバレ》  ひたすら戦いに終始した前作は単純に楽しめたのだけど今回は物足らなさが残ったわ。映画を見終わってのいちばんの感想は「え~?そこで終わりぃ?」だったわね。  まず嬴政の回想シーンが思いのほか長くて、ああつまり回想って言ってもそこがこの映画の前半の見せ場ってワケね、っていうのはもちろん見終わってから判るコト。回想シーンの中に更に回想があるっていう(嬴政の回想の中に紫夏の回想が入っちゃうという人称のブレっぷり)のはたとえ原作マンガがそうだとしてもミスね。そこも本体であるならば回想というカタチは取らない方が良かったんじゃないかしら。  で、そこから戦いへと向かってゆくのだけど、たかおの王騎はもちろん最高として前作で活躍したキャラはそーんなには目立たなくて結局は信と羌瘣よね~みたいな。そしていよいよここから、ってところで終わっちゃう。物語として映画として、なんか食い足らなさハンパないんだけど。龐煖とか楊端和とか出すだけ出してはいはい今回はここでおしまい、って物語があんまり転がっていないわ。『帝国の逆襲』くらいには物語転がしてよ。  あと前作同様イマジナリーラインめちゃくちゃね。回想シーンでの荷馬車チェイス、追われる側と追う側がそれぞれ一体どっち向かってるのよ?みたいだったわ。  まあなんだかんだ言いつつも豪華キャストで繰り広げられるスケールの大きな娯楽映画、次が楽しみなんだけどね。っていうか河了貂の出番少ないわよ。[映画館(邦画)] 6点(2023-09-05 16:14:22)《改行有》

10.  劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ 《ネタバレ》  原作もドラマも見ていなくてアニメ版しか見てない状態だったのだけど話的にほぼアニメ版最終回と繋がっているので問題ナシだったわ。ちゃんとどの方がどのキャラなのかは見ていてすぐに判ったし。  映画としてはかなり荒いデキだとは思うの。演出や編集がキレイに流れてる感じじゃなくて、ぎこちな~く、たどたどしさを感じさせて褒められたモノではないかな、って。でも、それがローカルな地下アイドルのイメージと繋がっているようにも思えるので必ずしも悪い事ではないのかな。岡山や五反田のロケ映像の粗雑な映り具合も題材には合致してると言えるのかもしれないわ。  松村沙友理さんのえりぴよさんは見事にえりぴよさんよね。アニメ版に比べると絶妙なキモさが足らないかな?とかそんなに陰キャじゃなくて結構コミュ力高めじゃない?とか(発案したパンのセールストークっぷりとか。ただオタク特有の得意分野での饒舌っぷりだと理解できなくもないわ)思ったりもしたけれど、でも赤い芋ジャーでペンライト振る姿はもうえりぴよさんそのもの。だからえりぴよさんと舞菜の物語の続きを純粋に楽しく嬉しく見ていられたわ。  ただ、これはアニメ版でも思ったことなのだけど、あの課金システムに対する批判的な視点っていうのは一切無いのよね。あえてあるとするならばせいぜい自嘲? ハロプロあたりの、オリコンランキングに絡んでくるような世界ならともかく、地下アイドルまでそのシステムに倣う、それで利益を上げてゆく、っていうのはドルヲタじゃないアタシから見ると理解不能なの。もっと他のお布施のしかた推し方ってありそうにも思えるんだけどねぇ。何百何千って同じCDがただ積まれてゆくだけの世界には虚無感を抱いちゃうのだけど。  冒頭に書いたように誰が誰かすぐ判るキャスティングは優秀だったと言えるし、それぞれがその役を演じることを頑張ってます、っていうのが伝わってきて創作とリアルとか並走してる感じはとても良いと思ったわ。あくまで映画としてはそんなに、ではあるけれどね。  ちなみにアタシのかつての推し(アイドルではなく)は最初からメジャーだったので渋公×3→野音→武道館って順調だったわ。一夜限りでその後はゆうぽうと→赤ブリ→渋谷BEAM、そしてフェイドアウトしていった感じだったけど・・・[映画館(邦画)] 6点(2023-06-15 14:30:00)《改行有》

11.  ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 《ネタバレ》  アタシはゲーム好きではあるけれど贔屓がセガ~マイクロソフトというイバラの道を歩んでいるので京都のヒゲ親父はメガドライブ版『テトリス』発売中止事件以来の宿敵だと一方的に思っているわ。  とは言え任天堂ハードもファミコン以降全て(バーチャルボーイまで含めて)購入している程度にはハードオタクでもあるのでマリオもメインのシリーズは大体プレイしてるのね。『2』は1-1で100人マリオやったってクリア無理って状態だけど初代、『3』『ワールド』くらいはクリアしてるわ。『64』以降、途中で飽きちゃうのだけど。  ってコトで宿敵マリオの映画、わざわざ10日間限定のスーパーマリオシアターで見てきたわ(あくまでファンではないわよ、ワクワクでかけました、とかじゃないからね!)。  さっさと結論から言っちゃえばマリオでこその映画。  ハッキリ言ってアメリカ産CGアニメーション映画としてのデキは平凡。ここ数年の諸作品と比較してもクオリティはそんなに高くない方ね。毎回そんなに予算かけないイルミネーション作品としても『ミニオンズ・フィーバー』や『SING2』よりも野暮ったいデキよ。  物語やエピソード、映像に特に新鮮な、そして刺激的な要素は感じられない、保守的な作りってイメージで、それはゲームとしての『マリオ』の現在の保守的なカンジが反映されてるのかしら?って気もするわ。発売当時革新的だった初代、挑発的でマニアックに走った『2』に比べると『3』以降は広い世代にアピールして間口の広い可愛らしい(媚び媚びな)ゲームへとなっていったわ。そのニオイが映画からも感じられて、ヌルいわね、って印象。  ちょっと現代的な感覚があったのはピーチ姫が動きまくって活躍する点ね。ヘタするとマリオなんかより主役よ。助けなくっちゃならない昔のピーチ姫ポジションはルイージで、ピーチ姫は国を背負って立ち上がるわ。  『マリオカート』や『ドンキーコング』『ルイージマンション』なんかの要素を盛り込みつつ展開する世界はマリオや任天堂のゲームに触れてきていれば楽しいし(『パルテナの鏡』懐かしかったわね)、そうでなければ短尺ながらダルめ。もっともマリオ知らずにこの映画見に行く人なんていないでしょうから、これで正解なんでしょうけど。  ベタな既成曲を何曲も使ってしまったり、ブルックリンの配管工としての生身な人間としてのマリオ兄弟を長めに描いたり、ピーチ姫の出自を匂わせつつも全く何も解決させないあたりに疑問を抱きつつ、まあこんなモンでしょう、って納得しちゃったりするのはイルミネーションと任天堂の成せるワザってところかしらね。クッパの人間(?)性に特殊なアクセントがあったあたりでまあまあ、少しはアレだわね。  もう少し弾けてても良かったんじゃない?とは思うのだけど。[映画館(吹替)] 5点(2023-04-29 15:44:02)(良:3票) 《改行有》

12.  シン・仮面ライダー 《ネタバレ》  庵野監督作品だもの、思ってた通り、昔のオタクがその懐古趣味に走った状態で、誰が見ても楽しめる『仮面ライダー』ではないのよね。とりあえず血みどろなので注意だわ。お子様連れて(PG12なので一応子供が見られないワケじゃないものね)家族でほのぼの、とはならない内容よ。  さてと。アタシは監督と同じような歳なので『ウルトラマン』同様『仮面ライダー』もリアルタイム世代なワケだけど当時全くハマらなかったのね。周囲は仮面ライダースナックを買ってはカードだけ取ってスナックは棄てるっていうよろしくないコトしてたけれどアタシは全然興味なくて不憫に思われたんだか友達から当たりカード1枚貰ってアルバム1冊入手したもののカードなんて全然持ってないままにブームは過ぎていったわ。  『仮面ライダー』自体見てはいたけれど暗いし野暮ったいしチープだし、なんか全然魅力的には思えなかったのよ。  で、今回の映画はその暗く野暮ったくチープな『仮面ライダー』のイメージをちゃんと再現してるカンジなのが逆にちょっと面白かったのね。ロボット刑事やキカイダーのような他の石森章太郎作品の要素も摂りこみつつダウナーでショボいの。その空気感は良かったわ。  でも映画として広く楽しませようって意識は薄いみたいでエピソード羅列の繰り返しパターン、ダラダラしててこれっていつ終わるのかしら?って感じで体感3時間以上って状態。アジトに行っては戦う、同じようなこと繰り返す(独りで乗りこんじゃピンチ、とりあえずひとまず逃げる)、間延びしたクライマックス。もうね、池松壮亮さん、浜辺美波さん、柄本佑さん、3人の演技の魅力でなんとか見られたようなモノで(怪人たちはみんなシンドいわ)。それぞれのドラマ自体はどうなのよ?みたいなレベルなのだけど、それを役者としてきっちり自分のモノにしてた感じがしたわ。少なくとも30分過ぎたら飽きた『シン・ウルトラマン』よりは多少マシだったかしらね。  でも庵野監督ってアクションこんなに撮れない人だったかしら? 暗かったりごちゃごちゃしたカット割で何やってるのか判らないとか、ちゃかちゃかと動くCGが見苦しいとか、『仮面ライダー』だったらそこはちゃんとしてないとダメなんじゃないかしら?  昭和な『仮面ライダー』の感覚が再現されてたのは個人的には楽しかったのだけど、でも狭い狭い映画なのよね。まるで同世代のマニア相手にノスタルジーに浸ってるような感じで、でもそれってアタシは正しいとは思わないの。シンのシリーズみんなそうだけど。ウルトラマンにしろ仮面ライダーにしろ、シリーズ重ねて進化していってるじゃない、どんどん新しい世代に受け継いでいってるワケじゃない。その歴史を蔑ろにして後ろ向きノスタルジーって先祖がえりしちゃうの、どうなのかしら?  そろそろその懐古主義を止めて未来を向いた映画を作れないかしら? 無理?[映画館(邦画)] 6点(2023-03-19 14:03:20)(良:1票) 《改行有》

13.  BLUE GIANT 《ネタバレ》  絵作りや構成に疑問点がないワケじゃないのだけど、音の説得力で圧しきりねじ伏せられちゃった感じね。  主人公はいかにもマンガなの。天才の物語。努力して苦労して這い上がって昇ってゆく、そういうカンジじゃなくて努力はしてるけどそもそも最初の次元が違う、天性の才能を持った人ですよ、って状態で、だからそこはつまんないかな。マンガやアニメって受け手が自分では到達できないヒーロー的存在だからこそキモチ良くてウケるんでしょうけど。メンバーの他の2人に常人の努力家としての役割が与えられていて、だから引き立て役ではなくてもっとそちらを見せて貰いたい感じもあったのね。ピアニストの彼なんか後半フラグ立てまくっちゃってて可哀想だったわ。もっと大切に扱ってあげて、みたいな。  マンガ原作ゆえにエピソードがお団子状態、キレイに流れてなかったように思えるし(そのため?に回想形式にして予め結果、到達点を示してるのだけれど、小出しにしていてハンパだし、物語に対する興味をスポイルしてしまっていたように感じるわ)、演奏シーンでのCG状態は最近のアニメのロボットや宇宙戦艦、戦車かいなって思っちゃった。アレ、演奏をそのまま手書きで作画するのは作業的にほぼ不可能レベルだからプロの人のモーションをキャプってCGで再現してるのよね。でもなんだか動きがとても硬いわ。も少し細かくキャプらないとダメだったんじゃないかしら?  演奏中に音をサイケデリックなカンジで表現するのもなんだか湯浅監督のアニメみたいねぇ、って。ドラマ部分との食い合わせはイマイチじゃない?  それでも音でドーン!って。でも最初に彼が独奏してみせる音の凄さっていうのは正直なところ判らなかったのね。肺活量を誇ってます、ってだけの音に思えて(肺活量だけならアタシ6500ccあるので負けないわよ、って25年前の数字だけど)。それがピアノとドラムが加わっての具体的な音になってゆくと、ああ、凄いわ、って。3人の音がドラマを作って感動に繋がる、そんな映画だったわ。  音響を信頼してる新宿バルト9のドルビーシネマの箱でドルビーATMOSで見た(聴いた)ので本当にしっかり鳴ってて、なので説得力のある音で聴いたがゆえの感動、というのもあるかもしれないわ。  家のショボいスピーカーで聴いてたらここまでの感覚にはならないと思うので、これって音響の良い映画館で見るのが正しい映画なのかもね。[映画館(邦画)] 7点(2023-03-14 16:03:05)《改行有》

14.  THE FIRST SLAM DUNK 《ネタバレ》  『スラムダンク』ミリしらだったのだけど(『ジャンプ』卒業して49年経つし)とても楽しめた、面白かったわ。  何が良かったって、巧いのよ、原作の人が脚本書いて監督したこの映像作品が。映画の言語よりはマンガの言語、アニメの言語で描かれているのだけれど(多重モノローグたっぷりだし)、時系列を崩した上で再構築して、説明し過ぎずに行間を読ませ、要所要所に情景描写を挟み込んで。映画らしいかどうかなんてどうでもいいくらいには見事な映像作品になってると思うわ。ロン毛の番長風のカレが仲間になってゆく過程はさすがに行間空きすぎてて読み切れなかったけれど。  核になっているリョータのエピソード(原作は彼が主人公ではないのよね?多分あの赤い短髪のガラ悪い兄ちゃんが主人公よね?)が静かに情感豊かに描かれ、交互に進行してゆく試合シーンのダイナミックな映像との差で生まれるコントラストが上手いわ。実のところほぼリョータのお母さんの物語で、それは『スラムダンク』って大きな核からしたらかなりな脇道なのかもしれないけれど。でも多くを語らないあのお母さんの存在感がこの映画を深い、味わいのあるものにしていたわ。  原作ミリしらだったので試合の進行もワクワクと楽しめたし、相手校のあのずーっと表情に変化のないカレが最後に突然号泣するところなんかも上手いわぁ、ってカンジで、つまりこれって井上雄彦って人の才能よね。それだけの才能を持った人が、その才能を発揮した作品っていう。マンガ家さんって凄い才能の人が多いのだけれど(自らの個性と絵と物語で世界を創造するっていう)多くの人の共同作業となる映像製作にまで長けてゆくとなると、もうひれ伏すしかないわ。[映画館(邦画)] 9点(2022-12-20 15:43:17)(良:2票) 《改行有》

15.  かがみの孤城  公開前なのでネタバレなし方向で。  最初に注意しておきたいのは学校でのいじめや無視の表現が結構バリエーション豊かにあって、その経験がある人はフラッシュバックを起こす可能性があるので気をつけて。もう何十年も前の経験だったアタシでもキツかったもの。あれって時間と共に薄らいだり癒されたりするモノじゃないのよね・・・  映画の中身についてだけれど、良い物語だと思ったわ。居場所を失っている子供たちに対して、ちょっと生きるヒントを与えてあげるような、決して甘くない世界だけれど、それでも道は見つけられる、そんな物語。誠実で丁寧な作りの映画。  物語には幾つかの秘密があって、進行と共に明かされてゆくのね。7人の最初の距離感ならともかく時間を経た上での関係性を考えたらそこまで延々気付かないのって不自然じゃない?って思うような秘密も複数あるのだけれど、それは作劇上、仕方ないと割り切っているのかしらねぇ。描かれる期間が割と長いゆえに7人が結びついてゆく時間も多いと思うのよね。意識し過ぎてしまうがゆえに逆に人との距離感を測るのが苦手なコたちゆえのぎこちなさゆえと解釈すべきかしら。  真面目に作られた映画なのだけれどちょっと物足らなさというか贅沢な注文を言ってしまうとアニメーションとしてのダイナミズムとか躍動感とか、そういうワクワクした感じに乏しいと思ったのね。原恵一監督は『クレしん』映画の時代にはそういう映像がいっぱい溢れていたのだけれど、それより後は誠実、丁寧、真面目の方は目立つものの絵が動いて楽しいって方面にはあんまり、みたいな印象。キャラクターデザインもアニメートも背景美術も決して悪くはないのだけれど、テレビアニメでも今はクオリティの高い作品が多いので、そこから映画として原恵一監督作品としての特別さというのは感じられなかったのね。  映画の中に存在する最も大切な要素、その場所やトリックや構造がいかにテーマを語っているのか、見終わってじっくり考察してみるのもいいかもしれないわ。[試写会(邦画)] 7点(2022-12-20 15:00:06)《改行有》

16.  すずめの戸締まり 《ネタバレ》  映画としてはそんなに面白かったり感動したり、ってホドではなかったかな。  これまでよりも簡潔に、潔く切ってる感じは良かったのね。延々と歌を流しまくるPV風映像も今回は無かったし。でも東京を出てからの展開はテンションを維持しきれない感じがあって一度下げたところから再び上げきれてはいないかな、と。  それにアレではすずめが惚れっぽ過ぎるわ。何しろ草太は登場から大して経たないうちにさっさと椅子になっちゃうんだし。  ミミズはどこかで見たようなビジュアルだし(水木しげる先生っぽかったり『もののけ姫』っぽかったり『アキラ』っぽかったり『呪術廻戦』っぽかったり色々ね)。  あとすずめのキャラクターデザインがそーんなに印象的ではないっていうか『君の名は。』と『天気の子』と『すずめの戸締り』のヒロインの顔、後々見分けられる自信が無いわ。なんていうか、ちょっとキャラクターデザインを違う方向に持って行けなかったかしら?  冒頭に繋がるクライマックスの部分にしても、あーそういうコトね、はいはい、って感じで意外性には欠けていたし、色々な要素を散りばめつつ、ちゃんと最後に全部回収しました、っていう感じでもなくて。ダイジン(あるいはすずめ?)が招き猫的な存在?みたいなのは愛媛と神戸でだけ機能してたハンパな感じだったし。  でも、あれこれ細かいところにひっかかりつつ、もっとずっと大きな核の部分でかなり考えさせられたのね。  東日本大震災や阪神淡路大震災、熊本地震などをモチーフにして災いに囚われた国としての日本を描いているの。最初は実際に起きた、沢山の犠牲者を出した災害をエンターテイメント化してるワケ?と思ったのだけれども、逆で、エンターテイメントのカタチを通してこの災害の国に生きるということを描いて、そして何かを伝えようとしているのね、って。その伝えようとしている何かはそれぞれの受け止め方だと思うし、アタシ的にはちょっと短絡的だったりもっと違う方向を描くべきだと思ったりもしたけれど(怒りの感情だって大切で重要だと思うし)、でもその姿勢はいいと思ったの。  繰り返される緊急地震速報の描写にあの時の感覚が甦ってきて、まだ終わってない、今もリアルに続いている人もいれば、ごくごく若い人にとっては遠い過去、あるいはまだ生まれてない頃のハナシだったりもするのだけれど、この国に暮らしている以上、そこに共有する意識があって、その中でとりあえず生きてゆきましょう、と。アタシなんかは「大丈夫・・・かしら?」とか思っちゃうんだけどね。  少なくとも『天間荘の三姉妹』よりはずっと真面目に震災に向き合ってる映画だったと思うわ。  まあ芹澤朋也っていうキャラのあり様に致命傷越えるダメージ喰らってそれ以外になーんにも見えなくなって断末魔のツイート上げてる一部の方々に対しては失敗だったのかもしれないけれど・・・[映画館(邦画)] 6点(2022-11-12 15:11:59)《改行有》

17.  MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 《ネタバレ》  『カラダ探し』に続くタイムループもの。アチラがタイムループの繰り返し表現が少ないためにタイムループものとしての面白味が欠けていたのに対して、コチラは繰り返し表現がちょっとクド過ぎてゲンナリしちゃう感じがあって。ちょうどいいバランスって難しいわね。劇中で『ハッピー・デス・デイ』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』、そして『恋はデジャ・ブ』に触れているくらいなので十分に研究してはいるんでしょうけれど。  でもコチラは「仕事」をテーマに楽しい映画に仕上がっているわ。  職場で繰り返されている一週間。映画の最初の時点で月曜日から同じ一週間を繰り返していることに気づいている社員が2人いて、いかにみんなに気付かせるか、そして原因と思われる部長に気付かせてタイムループから抜け出すかが明確になっていて。  全員がタイムループしてるって解釈は新しいかも。タイムループものって大体1人~3人くらいだけが時間の流れから取り残されてる、って設定のものが殆どだから。でも逆に2人(正確にはごにょごにょ・・・だけど)はみんなループしてるってどうして判断できたのかしら? ヘタしたら世界全体がループしてたのかしら? そこら辺は気にすんな、ってコト?  ヒロインが気付いてから映画が具体的に動き出すのだけれど、職場の序列に従って段階的に上に気付かせてゆく流れが面白く、部長に判らせるためにプレゼンしてみせるあたりは面白さの最高潮ね。ここはループの描写をキレイに省略、簡潔化して笑いに転化させていてお見事。そこで解決に至らず新たな展開になってからは少しシリアスになって映画の温度がちょっと下がっちゃった気がしないでもなく。  でもみんながループに気付いて同じ週を繰り返すうちにどんどん仕事が円滑に進むようになり「絵」も巧くなってゆく、協力して仕事を成し遂げてゆく感じが良いわ。  個人とチームとプライベートと仕事。この身近にして多くの人を悩ませる素材に対してこの映画が描いた姿は必ずしも正解とは言えないけれど(その理想はブラック企業的な面もあるわ)、仕事を生きる人たちには何かしら感じるモノがある映画ね。[映画館(邦画)] 7点(2022-11-08 14:07:43)(良:1票) 《改行有》

18.  天間荘の三姉妹 《ネタバレ》  とにかく最初に言いたいのはダルくなるくらいに長いわ。とてもじゃないけどここまでの尺は要らないわよ。  生者と死者を巡る感動的な物語、かと思ったら冒頭からずっと頭ヒネりまくり、ハテナマーク浮かびまくりのおかしな映画だったわ。  展開上、隠されている、徐々に見えてくる要素がいっぱいあるのだけれど、それを隠したことが映画にとって有効だったのかどうかが甚だ疑問なのよね。ドラマで魅せたいのならば、登場人物に対してはともかく観客にはむしろ最初から映画世界の仕組みを説明しておいた方が良かったんじゃないかしら?  隠されていた、あるいは明確にさせていなかったポイントは以下の通り。 ・まずこれは『スカイハイ』の番外編、『スカイハイ』と同一の世界観で描かれる作品であること。 ・登場人物の殆どは死者であること。 ・旅館を訪れる客のみが生死の境(意識不明状態)にあること。 ・旅館の一家のみが自ら既に死んでいることを認識しており、町の人びとは死んだことに気付いていないこと。 ・そして旅館の一家を含む町の人びとが東日本大震災の犠牲者であること。  ずっと作品世界の設定ルールが明確でないためドラマを堪能する以前に何がどうなってるの?っていうのが先に来てしまうのね。その上で「お行きなさい」とか言い出すので『地獄少女』?・・・じゃなかった『スカイハイ』みたい?って。更に東日本大震災という現実の出来事を題材にしながら「お行きなさい」を繰り返すので(ここでは「お逝きなさい」はさすがに使われてないわよね)、何?ふざけてるの?って。  とてもじゃないけれど震災の犠牲者に対してこの娯楽映画のあり様、カタチが相応しいとは思えないのよ。別にそういう映画を作るべきじゃないとか言わないけれど、鎮魂と残された人への癒しとしてはあまりに無神経で雑な出来だと思うわ。なんで『スカイハイ』なのよ「お行きなさい」とか言ってんじゃないわよ、って思ったのが正直なところ。  カメラ動かしまくり、ぐるぐるとテクニックに走った長回し、そんなこれ見よがしの要素(ついでに恥ずかしいレベルのVFX)が余計に題材に対する不真面目さを醸してしまっているのよね。  連なったエピソードもほのぼのとか癒しとかの方面じゃなくてギスギス、トゲトゲ、バタバタしたものばかり、豪華スターの競演によるドタバタ混乱劇よ。  そんな中でのんさんは独特な存在感があって良かったわ。彼女に抱いていたイメージと違う、ちょっと大柄で(周囲が小さい?)しなやかな体躯が際立って映えてるのよね。映画自体の印象と同じな、繊細とは言えない、ちょっと雑なカンジが彼女のキャラにだけは合っていたわ。  全編を説教臭さ、押しつけがましさが支配していて、こんな映画に過去を胸に未来を生きろ!とか言われても「偉そうに何よ?」ってカンジだったわね。[映画館(邦画)] 4点(2022-11-02 15:39:20)(良:1票) 《改行有》

19.  カラダ探し 《ネタバレ》  惜しいというか勿体ないというか。  ホラー映画にしてタイムループ映画にして青春映画っていう基本そのものは良かったと思うのね。問題はその描き方で。  ホラー部分はその殆どがスラッシャーホラーの殺されてナンボってシチュエーションに偏っていて『ファイナル・デスティネーション』シリーズみたいな死に方いろいろ、みたいな世界。肝心な部分の多くはカメラが微妙に目を逸らしている感もあるけれど。でも呪いとか怨霊とかの世界の話なのに双方ひたすら物理的な攻撃に終始するのよね。クライマックスでは化け物を物理的な波状攻撃で沈黙させるっていう。幽霊ってシバけるモノなのかしら?  タイムループ部分は既存の他のアレコレに比べたらとても物足らない描写。タイムループモノ特有の面白さっていうのがあるじゃない?アレをほとんどすっ飛ばしちゃってるの。繰り返される事象をいかに受け入れ、変化させるか、って描写の積み重ねをごくごく一部のエピソードだけで済ませちゃってるのよね。そここそ楽しみたいのに。死んじゃってループな『オール・ユー・ニード・イズ・キル』や『ハッピー・デス・デイ』のワクワクしちゃうようなノリはここには無しね。  それにループにおける体のパーツ集めやチェックの地図の存在のカタチが説明されてないのはヘンね。あれ、毎回ループするたびにパーツ集め直し、地図描き直ししないとループになってないコトになるのだけどそういう描写が一切なくて、そこだけ特異点?みたいになっちゃってて。  あと、ニャンコは最終的には死んじゃってるのよね。犬猫殺す映画はそれだけでヤだわ。  青春映画部分は『ときめきメモリアル』(実写映画版)を思い出したりして、ちょっとキュンってしちゃったわ。でもホラー部分がどうしたってトキメキの足を引っ張るのよね。ラストなんかそういう設定が必要だったの?みたいな終わり方で青春映画としてはとても物足らないものになっちゃってるわ。困難を一緒に乗り越えた仲間、でいいじゃない。なんで忘れちゃうのよ。忘れちゃうパターンっていうの、邦画では逆にありがちよ?  クライマックスがかなりダメにしちゃってるカンジね。Jホラーはこういう見せ方しないと、みたいな無理矢理見せ場作ってますって感じになっててハシカンが最後のパーツな頭部をなかなかセットせずにモタモタするのが意味不明でイライラ。みんなでカラダ探しをしたことを忘れちゃうって言ったってあそこは全滅か生き延びるかの二択でしかないのよ?その中間とかってないのよ?なんでそこで迷わないとならないのかしら? 『バイオレンス・アクション』に続いてイライラさせられるハシカンってなんか残念だわ。ハシカンももう少し仕事選んだら?って思うけど、でも将来、若い頃にこんなに色々ヘンな映画(もちろん福田雄一作品を始めとして)に出てヘンな顔しまくりました、って実績を重ねて伝説になるかもしれないわね。その頃にはアタシはもうこの世にいないでしょうけど。  個人的には『学校の怪談』くらいの匙加減が良かったんだけど。ホラー部分よりも青春映画として爽やかな終わりを迎えて欲しかったわ。Jホラーとかってもういい加減マンネリだし、そういう色を継承するのって貞子あたりに任せとけばいいでしょ?[映画館(邦画)] 5点(2022-10-24 15:11:44)《改行有》

20.  マイ・ブロークン・マリコ 《ネタバレ》  海を目指す二人(一人は骨壺の中だけれど)のロードムービー。  幼い頃から一緒で、その痛みや苦しみに寄り添っていたトモヨだからマリコの死はそのままトモヨ自身の一部が死んだも同然で。突如自分の一部に勝手に死なれたトモヨの、これはそこから前向きに、ではなくて生と死のハザマ、境界線でパワフルに彷徨い足掻きまくる姿を描いた映画。  それでも人生は素晴らしいとか、生きることに価値があるとか、そういうのとりあえず無し。地獄のようなマリコの生に対してそんな言葉は無意味だし。理不尽な運命に抗えずに流れ流されて終わってしまったマリコの人生に対する悲しみとか怒りとかやるせなさとか無念さとか後悔とか、そういうのがバーン!って弾けて散らばって、生きるにしろ死ぬにしろとりあえず突き動かされて突き進んでゆくトモヨを永野芽郁さんが好演してるわ。不機嫌がデフォみたいな表情が魅力的ね。  途中で出会い、何かとトモヨを助けてくれるマキオ、でもちょっとだけ語られる過去から彼はあちら側の世界の存在としてトモヨをフォローしているような感じがするの。幽霊というワケではないけれど、まるで生と死のハザマの住人みたいな。  マリコにあてつけるように後追いまでしようとするトモヨだけどその姿はあくまでアクティブに生きてるって感じでよく食べて大泣きして鼻水たらしてよく寝て走って酔っ払ってクダ巻いて、本人の意識とは別に生を体現しちゃってるのね。寄り添いながら決して動くことのない死んじゃったマリコとは違って。  マリコの父親はどうしようもないクズなのでマリコの死を悲しんだり再婚相手からマリコへの仕打ちを責められる描写は要らないんじゃない?って思ったわ。彼もまた弱い人間なのです、みたい言い訳がましさが何かの救いになるワケでもないし。  見ていて思ったのはこれって黒沢清監督作品みたい、ってこと。こちら側とあちら側、その境界線を彷徨う物語。これはもちろんホラーじゃないけど。っていうかでも『岸辺の旅』っぽいわ。  日常に戻ったトモヨに何か変化が訪れた、明るい未来が見えた、そんなカンタンな優しいオチは無いけれど、それでもトモヨの生はとりあえずもう少し続いてゆく、まあそれでいいのよね。[映画館(邦画)] 8点(2022-10-12 21:02:57)《改行有》

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