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プロフィール
コメント数 3872
性別 男性
年齢 53歳

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181.  ヒミズ ここに登場する「悪」はちょっと戯画化されすぎてる印象があるし、「子供の死を願いそれを口にする親」ってのも、直球過ぎる気はします。しかし、あの、泥にまみれのたうち回る主人公の姿、絵具にまみれ自分を何とか消そうとする主人公の姿、これらのイメージは、到底他人とは思えない生々しさをもって、我々に強く迫ってきます。 本作を震災に絡めたこと、それを「あざとい」というには、あまりに園子温監督は危ない橋を渡っており、批判の矢面に立つ覚悟が感じられます。「もうちょっと被災者に気をつかった設定やセリフってもんがあるでしょう」という批判は、当然あるだろうけれど、本作はあえてそこまで踏み込んで、デフォルメされたグロテスクな世界(明日、自分の身の上に何が起こるかわからない、という意味では、我々の現実の世界も、なかなかにグロテスクなものなのかも知れない)における、ギリギリの再生と希望を描こうとする。泥だらけで傷だらけの自我の上に。[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-10-19 12:44:28)(良:1票) 《改行有》

182.  江戸の悪太郎(1939) 古い映画で欠落もあり、映像の状態は良好とは言えないですが、演出の粋というものは十分に堪能できます。一部の場面を除き、音声の状態は比較的良いので、この点で興を削がれることもあまり無いでしょうし。 長屋モノですね。傘張りを生業としている浪人のアラカンは、子供たちに勉学を教える先生でもあるのですが、ひょんなことから、身元不明の少年を自宅に住まわせることになる。この少年、少々オッチョコチョイでやることなすことトンチンカン。それもそのはず、正体はとある大金持ちの娘さん、結婚がいやで逃げ出し、浮浪少年の恰好に身をやつしていたもの。アラカン、そうとも知らず、いちいち言動に呆れたり説教したり。このあたり、厳しく愛想が無いようでいて、ツッコミ切れずに何となく折れてしまうヒトの良さなんかも感じられて。アラカンの端正(と言ってよいんだろうかこれは)な横顔が、いい味出してます。 という騒動を描いた映画かと思いきや、物語は突然、謎のカルト教団との戦いへ。長屋の子供の一人が家出している間に、彼の母親が謎の入水自殺を遂げる。大事なお金を落として家に帰れぬ子供の焦燥感、子供を探す母親に訪れる異変、このあたりの一連の描写が実に印象的。カルト教団に関わる場面で流れる音楽が、ちょっと幻想交響曲の「怒りの日」をモチーフにしたみたいで、何とも言えぬ怪しさを醸し出してます。 で、いよいよカルト教団に乗り込むアラカン、物語はクライマックスへ。ヒーローもののようでいて、あくまで長屋モノのテイストを貫いているのも、いいですね。[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-10-06 12:10:12)《改行有》

183.  トラック野郎 故郷特急便 トラック野郎最終作。松竹「男はつらいよ」とは、ライバルというか似てない双子というかジキルとハイドというか、それなりに深い関係が(一方的なものだろうけど)ある中で、本作の桃さん、何だか、特に「寅さん化」しているみたいですね。ちょっとカッコつけ過ぎなんだから、もう。いや実は寅さんの方が桃さんに感化されてたんだったりして。 本作、ダブルマドンナで、勘違いもいつもの2倍、といったところ。ところで、今回、石川さゆりはマドンナ扱いされてますが、以前の作品で都はるみが登場した際は、マドンナではありませんでしたね。これはしょうがないですね。正直でいいですね。一方の「男はつらいよ」では、都はるみすらもマドンナにしてしまう、いやはや、何でもいいにも程があります。 私、もしかして、ヒドイこと言ってますか? 最終作は鈴木則文監督の脚本でシメて欲しかった気もしますが、いや、本作もよくできてます。キンキン命がけ(?)の投身未遂騒動あり(このシーン、見てて身がすくむ)、闘犬シーンあり、もちろんトラック爆走シーンあり、見どころ盛り沢山。外国人なのにお遍路さん?と思ってたらちゃんとストーリーに絡んでくるのも楽しいし、実際、最近は外国人のお遍路さんも増えてきているみたいなので、時代を先取りしているとも言えるような言えないような。[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-05-05 12:08:45)《改行有》

184.  宇宙戦艦ヤマト 中盤の端折り方には、それはもうヒドイものがあるのですが(ほとんどクイズですよこれは。「さてこのシーンはTV版のどの回から引用したものでしょう」)、はたまた、イスカンダルでの場面で森雪の腕に突然包帯が巻かれている理由については、TV版で確認していただくしかないのですが。という訳で、多くをTVからの再編集で(かなり無理やり)再構成した作品ですが、それでもやっぱり、面白い、そしてスバラシイ。 まずは何といっても、立体を意識した、手の込んだアニメーションの描写。映画として十分に楽しめ、と同時に、元はTV向けとしてこれだけのものを作ってたんだなあ、ということにも改めて驚かされます(TV版は、子どもの頃、再放送で何度も観ましたが、それでも今なお新鮮)。 また、冥王星における反射衛星砲の猛攻など、中盤がギタギタに端折られてますが、その分、七色星団の死闘や、ガミラスでの決戦が、たーっぷりと描かれています。軍人顔というよりはスポコン顔のドメル将軍、その彼が仕組んだ恐るべき作戦を、ヤマトはいかにして切り抜けるか。そしてまた、冷徹極まりないドメルがいてこそ、その対照としてデスラーの狂気が浮き彫りになり、ガミラスにおけるデスラーとの戦いが、より恐ろしく、より盛り上がろうというもの(実際、ウチの子供たちと本作を初めて観たとき、当時幼稚園だった娘は、このクライマックスに興奮し過ぎて、波動砲の発射とともにワ~ッと大声で叫んだものです)。 ついでに言うと、今、私が好んでクラシック音楽を聴いているのも、原点はもしかしたらヤマトの音楽にあったのかも知れませぬ。主題歌のメロディが、場面場面に合わせ様々に変容して奏でられる、その面白さは、多くのクラシック音楽に共通したものなのだから。[DVD(邦画)] 8点(2016-02-03 22:52:03)(良:1票) 《改行有》

185.  彼岸花 「心理描写に優れた映画」ってやつだったらきっと、主人公のオヤジは娘の結婚に表向き反対しつつも、ああでもないこうでもない、どうしよう、と苦悩の表情を、映画を観る我々の前にこれでもかと見せつけるんでしょうけれども、この映画はそうじゃない。佐分利信は映画の冒頭で堂々と、恋愛結婚はスバラシイ、と述べてみせ、その直後には堂々と娘の恋愛結婚に反対して見せる。頑固で理不尽であればあるほど、面白い。そんで、彼の娘を含めた3人の若い女性が入れ代わり立ち代わりチクチクやって、彼の妻も控えめながらチクチクやって、トドメを刺すように中村伸郎がすました顔でチクリとやる。ホントは佐分利信の内面を、各登場人物が代弁しているのかも知れないけれど、それを一人の男がウジウジ悩む姿ではなく、軽妙な人物関係に投影して描いて見せる。これぞコメディ。[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-01-21 22:38:19)

186.  日本侠客伝 雷門の血斗 舞台は浅草、演劇の世界。健さん演じる主人公も演劇一座の興行主。え~ヤクザ映画じゃなかったの~というところですけれども、一座の前身はヤクザであったりして、はたまたそこに別のヤクザ一味の嫌がらせがあったりして、ちゃんとヤクザ映画路線になっていきます。これがアリなら「健さん演じる自治会長」とか「健さん演じる校長先生」とかでも日本侠客伝になりそうですが、いやいやいや。やっぱり演劇の世界を描いてこそ、本作の魅力があるのですね。少なくとも、本作の魅力は、主演の健さんよりも(実際、少し影が薄い気も)、脇を固める役者さんたちにこそありそうな。妙にツヤツヤした顔で朗々と浪曲を披露する村田英雄、まさにこれこそが「芸」だぜ、と言わんばかりのツヤツヤ顔。ほんとツヤツヤ(笑)。藤山寛美が意外にも重要な役で登場し、まあこの出演は寛美さんの破産と松竹解雇によるものかも知れませんが、いずれにしても、(多くの場面では目立ち過ぎないように控えつつ)ここぞという場面では寛美節をさく裂させて、ああ新喜劇ならここで拍手が起こるところだなあ、と。そしてそして、一番いいところを持って行ったのは、やっぱり元ヤクザとしての凄みをチラリと垣間見せる島田正吾でしょうか。こうなるともはや健さんも出る幕無しか、というところですが、最後のたち回りではダイナミックにしっかりと魅せてくれる。実際、本作で割を食ってしまったのは、女優陣ではないでしょうか(あと、長門裕之ね)。男の色気、芸の色気。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-11-22 16:19:36)

187.  日本侠客伝 花と龍 「花と竜」を日本侠客伝の世界に取り込み、一介のゴンゾウだった主人公がやがてオヤブンになっていく、大河風の内容で、このジャンルの作品としては2時間弱とちょい長め。特に下積み時代の主人公を描く前半は、コミカルで明るい雰囲気です。主人公のタマキンがやたらと出来過ぎクンなんですけれども、健さんが演じれば、何となくイヤミが無いんですね。彼を招いたゴンゾウ仲間が二谷英明っても、一見違和感があるけれど、その後の展開を見れば、なかなかうまい配役。最初は主人公をやさしく見守るような立場で、後半主人公へそっと想いをよせる藤純子、ここが演技の見せ所とばかりムズカシイ表情を見せる場面もあれど、最後は晴れやかな表情なのが、イイんですね。モテる男とモテる女の組み合わせ、ちきしょー憎いね、と。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-10-25 09:53:55)

188.  ブラック・レイン 今回観たのはずいぶん久しぶりで、あれ、こんなに面白かったんだな、と。多分、昔観た時には、作品との距離感が、今観るのとだいぶ違ったんでしょう。当時はお馴染みだった、都会系の刑事アクション映画、そしてこれまた自分にとってお馴染みの大阪の街、その2つの融合とくれば、何だか距離感が近すぎて。どうしても先に立ってしまうのは、違和感と、「あ~あ、やっぱり、やっちゃったね」という(期待通りの)失望感。しかしそれも、今となってみると、80年代アクションを観る機会も減ったし、この映画に出てくる大阪の光景も、今では見られなくなってしまったものが多くなってきて。で、今回、素直に観て、素直に楽しめちゃった。幾分は「変なニッポン」も出てくるけど、基本的には日本らしい日本が登場する、要するにその点では決してキワモノではなく、むしろ刑事アクションとしてやや変則的である点の方が、特徴的と言えるかも知れません(無論、日本を舞台にしている事がそこに一役買っているのですが)。 まず、マイケル・ダグラス演じる刑事ニック、例によってダメダメな感じで、妻子とも別居している。では映画を通じて妻子とヨリを戻すのがテーマかと思いきや、全くそうではなくって、子供のひとりをバイクの後ろに乗せ走り出した次のシーンでは、もう子供は乗っておらず、今度はアンディ・ガルシア演じるチャーリーと出会って彼をバイクの後ろに乗せるシーンとなる。要するに、チャーリーはニックにとって自分の子供と同じ可愛い存在、なんですね。で、実際、このチャーリーという男、実に実に「いいヤツ」として描かれてます。健さんとニックの関係がどうもギクシャクしている時、いつもチャーリーが間に入って、いい味出しつつ何となく間を取り持っている。だもんで、チャーリーの死のインパクトは非常に大きく、かつこれを契機に健さんとニックの間も近づいていく。一方、松田優作演じる敵役の佐藤、(広島の黒い雨になぞらえて語られるのがピンとくるかどうかはともかく)戦後に現れた得体の知れない新しい存在、しかしそれは間違いなく戦後の日本とアメリカが生み出した存在、つまり彼もまた一種の「息子」というべき存在。チャーリーと佐藤は、陽と陰を代表する「息子」たち、だからこそ、2種類の結末が撮影された本作において、最終的に採用されたこの結末、これでよかったんではないか、と思えてきます。--- それにしても、ガッツにホタテ、パチパチパンチ、みんないい顔してるじゃないですか。USJがまだ無かった頃、「ハリウッドが大阪にやってきた!」という、やっぱりお祭り映画でもある訳で。[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-10-15 23:00:16)(良:1票) 《改行有》

189.  鴛鴦歌合戦 とかく浮世はままならぬ、日傘さす人、作る人。って、なんのこっちゃですけれども、片や日傘をさしたおとみさん、片や日傘を作るお春さん、千恵蔵演じる浪人を巡って、確かに何かとままならぬ訳です。しかし、作った傘を干しているとそこに通り雨、傘が濡れては大変と、これをキッカケに男女がうまく引き寄せられたりもする。はたまた、お春さんが父親の骨董道楽を嘆いている場面、千恵蔵が「そのうち掘り出しモノでもするかもよ」と言うのに対してお春さんは「そういう夢みたいなこと大っ嫌い」と言い放つんですけど、これがラストの伏線になってる。なってるけど、でもこのラストは、衝撃的です(笑)。いやホント、みんな笑ってていいのか~と思うんですけど、いいいんでしょう、きっと。もはや一種の躁状態。時代劇ミュージカルなんていうハチャメチャな作品ですから、オチもハチャメチャでいいんです。で、音楽はというと、一曲一曲は他愛ないものですが、会話の中に歌がピタッとはまってくるのが気持ちよく、とにかく楽しさ満点です。中でも、ディック・ミネのあまりに気持ちよさそうな歌いっぷりが、何やら悟りに近いものすら感じられて(笑)。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-29 22:47:17)

190.  宮本武蔵(1954) 宮本武蔵三部作の第一弾、要するにタケゾー時代の若き日が描かれる訳ですが、本作は関ケ原の戦いのさらに前から描かれているのが特徴。戦のさなかにタケゾーが塹壕(じゃないけど)を掘ってたりするのを見ると、まさに明日をも知れぬ雑草のような存在で、ああこの若者がやがて剣豪になっていくのか、人間の運命とは不思議なものよ、という感慨を深く感じさせる作品となっています。主演は三船敏郎、なので、こういう元気いっぱいの若者を演じても良し(七人の侍と同時期の作品ですね)、次作以降の貫録を漂わせる剣豪・武蔵を演じても良し。又八は本作では三國連太郎が演じていて(次作はバトンタッチ)、まあ、気持ちはわかるのですが、何だか見るからにインテリ学生みたいですな。 本作は第一作ということで、吉岡一門や小次郎との出会いに先立ち、それ以外の武蔵を囲む主要な登場人物が描かれていきますが、まーロクなヤツがいない。擱甲・朱美の母子は手のひらを返し、オババは態度を豹変させ、沢庵和尚もタケゾーのためを思ってかどうか知らんが彼をつるし上げる(この木が、エラく立派な木なのですけどね)。そんな中で決して変わらない一途さを見せるのが、お通さんなのですね。さすがはヅカ八千草。 あと、日本のカラー長編映画初期の作品でもありますが、さて、カラーをうまく生かせているかどうか。できれば道端の彼岸花の赤さなんかがもう少し綺麗に映っていたら、と思わないでもないのですが。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-23 18:10:05)《改行有》

191.  アウトレイジ ビヨンド 前作に比べると、良くも悪くも「まとまった」印象。前作の物語が、どこへ転がっていくのか、どこまで転がっていくのかわからない動的な面白さを持っていたのに比べると、本作は、何人かの人物の転落の姿にフォーカスした物語で、バイオレンスではあっても静的なものが感じられます。なので、物語の意外性、という意味では、前作よりも大人しいかな、と思いきや。ラストに至って、それはこの結末の意外性を際立たせるための布石であったか、と思わされます。なるほどそうきたか、と。前作では主人公・大友が、のっぴきならない立場の中で彼自身も事態をかき回す存在の一人であったのに比べると、今回の彼は、事態から離れようとし見守ろうとする立場なんだけれども、事態の方が自ら崩壊を起こしながら彼を追いかけてくる。その原動力となるのが、中野英雄のスゴミであったり、加瀬亮のキレっぷりであったりするのでしょうけれど、それを上回るのが何といっても小日向文世のメフィストフェレスっぷり、ですわな。何考えているかわからない人が、一番コワい人、という訳で。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-05 14:55:18)

192.  アウトレイジ(2010) 「悪人」をこれでもかと登場させ(と言っても、悪人かどうかはともかくとしてとりあえずコワイ人、ってのもいれば、怖そうじゃないけどとりあえず悪人、って人もいるけど)、その各人をこれだけ豊かに描き分けるってのは、やっぱりスゴいと思いますし、実際、登場人物それぞれが活き活きと存在感を示しているのが作品のオモシロさに直結しています。善人は一種類しかいないけど悪人は無数に存在する、ってなところでしょうか。ただ、登場人物が見事にバラエティに富んではいるのですが、基本的に活躍するのは「オッサン」が多くって、若いチンピラは彼らの引き立て役になっちゃってる感があります。もう少し若者にも存在感を与えて、世代間の対比なども入れられたら、とも思わないでもないのですが、とりあえず本作は「オッサン」の映画、昨今の企業でもよく見られるダメ組織の中の、「オッサン」たちの人間模様。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-07-14 21:27:57)

193.  借りぐらしのアリエッティ 《ネタバレ》 冒頭、車から降りた少年は、まず木漏れ日を見上げ、次に視線を上から下に移動して草陰に動く「何か」を見る。この何気ない動きがいいですね。彼は小人の姿を見ることを望む。まあ、この「見たい」って欲望が、なかなかにイヤラシイ感じもしちゃうのですが、何度かもう少しで姿を目にしそうになりながら果たせない。この繰り返しが、ついに少年と小人の少女アリエッティが正面から顔を見合わせる場面を盛り上げるのだけど、このシーンが本当にイイんですね。ゾクッとくるのです。このゾクッとくるのは、イヤラシサとは違った感じ。見つめあった瞬間に風が吹き、背景の花が揺れる、あの美しさ。これぞアニメーションの魅力とでもいいたくなります。またこの場面に限らず、随所で見られる、とことんまで細かいアリエッティたちの動きにも作者のこだわりが感じられ、これも作品の感動に結びついています。そして、人間から隠れつつ人間に依存するだけの弱い存在と思われた小人、そのひとりであるアリエッティが、心臓病を抱え手術を前にした少年に、勇気を与える存在となること。「借り」とか「貸し」とかいう表現が妥当かどうかはわかりませんが、エエ話ではないですか。[地上波(邦画)] 8点(2015-05-04 17:01:29)(良:2票)

194.  大菩薩峠(1960) 《ネタバレ》 この机竜之助を観たらもう、眠狂四郎役も市川雷蔵に回るってもんです。虚無感あふれる、魔道に堕ちた剣士。何を考えているかわからない、たぶん何も考えていない(笑)この主人公を特徴づけるのは何といっても、雷蔵の眼光ですね。この眼光の前には、登場人物たちが都合よく再会するご都合主義なんて、まるで気にならない、まさにすべてが起こりうる世界。とは言ってもこの第一部は、新撰組との絡みもあったりして比較的なじみやすい物語です。で、ラストは、兄の仇をうつべく竜之介の前に現れた兵馬との、(竹刀ではなく)今回は真剣勝負、というトッテモいいところで終わってしまい、次回斯うご期待、となる訳ですが。雷蔵演じる妖怪・机竜之介に対し、中村玉緒がこちらも負けじと見事な妖怪ぶりを発揮して、ホンモノのオバケは登場しないまでも、十分に怪奇映画テイストを味わえる、伝奇チャンバラ映画となっております。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-04-30 10:05:43)

195.  玄海遊侠伝 破れかぶれ 吉田磯吉という破天荒な主人公を、勝新が貫録をもって演じてます。片や大西組、片や太田黒組という二大勢力が幅を利かせる北九州を舞台に、持ち前の男気を武器に存在感を高めていく彼の姿が、雑多ともいえるほどのさまざまなエピソードの中で描かれていきます。最後は、巨大な太田黒組へと決死の戦いを挑む磯吉と仲間たち、まるで集団抗争モノのようでもあり、肺病を患う松方弘樹がドク・ホリデイを連想させてOK牧場の決闘のようでもあり。戦い前に男たちが車座になって手を取り合うのは、むさくるしいながらもどこか同性愛的なものも感じさせ、そこがまた、この後の絶望的な戦いの悲劇を予感させるもんだから、やっぱり集団抗争モノを思い起こさせるのですが……そんなことを思ってみていると、最後には意外な(しかし実は予想されてしかるべき)結末が待っている。破天荒で破れかぶれのこの主人公も、女の一途な想いには、やっぱり勝てないんですな。安田道代が本当に素晴らしい。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-04-21 23:36:18)

196.  浪人街(1990) 「総監修:マキノ雅広 」とか「特別協力:宮川一夫 」とかいうのが、いかにも名義貸しみたいな胡散臭さを感じちゃうんですけど、いや、そういうの抜きに、面白いからいいではないですか。作品に満ちているのはコレ、胡散臭さではなく、オッサン臭さ。ふんだんに登場する長回しの中で、オッサン俳優たちが、思う存分に演技をぶつけ合いながら、浪人の鬱屈を繰り広げる。そしてそれが、クライマックスにおいて焦点を結び、刀を山のように挿した原田芳雄の姿を目にしたとき、やっぱり感動せずにはおれないのです。消耗品としての“浪人たち”ではなく、オッサンたちひとりひとりのカラーがしっかり色分けされていて、原田芳雄はもちろんの事、石橋蓮司もいい、勝新もいい、田中邦衛は…こりゃどうなんでしょうね。前半の真夏の暑さから、後半の大風に至る季節の移り変わりの中、彼岸花が咲き続けているのが「なんでやねん」ってなところですが、物語のすべてをひっそりと見守り続けてきたのがこの、彼岸花、という訳で。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-04-12 08:54:41)

197.  切られ与三郎 中盤の、中村玉緒が出てくるあたり、さすがに端折り過ぎかとも思いますが、最後まで観ればなるほど、この結末のためには、決してこの中盤のエピソードも確かに落とせない訳で(だから、もう少し映画が長くてもよかったのでは、とも思うのですが)。クライマックスにおける、押し寄せる御用提灯の群れは、同じく伊藤大輔&宮川一夫&市川雷蔵による『弁天小僧』を思い起こさせると同時に、それに続く悲しいラストは、本作をまた一味違うものとしています。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-02-24 23:08:10)

198.  十兵衛暗殺剣 本作の倉田準二監督という方、すみません存じ上げませんでしたが、ああ、『恐竜・怪鳥の伝説』の監督さんだったのですね。なるほど、道理で(笑)。将軍家指南役の柳生十兵衛に対し、我こそは真の新陰流継承者なり、とライバル心をむき出しにし、彼を付け狙う幕屋大休。道場破りなどの嫌がらせを繰り返した挙句、竹生島での決闘を挑んでくる。どんな汚い手を使っても十兵衛を倒すべし、とばかり、現地の湖賊(琵琶湖版の海賊みたいな連中)とタッグを組んで、十兵衛を待ちかまえる。という、非常にワカリヤスイ展開なのがうれしいですね。船で湖を進む十兵衛一行に対し、水中から攻撃を仕掛ける湖賊たち。ここでは、時代劇なのにまさかまさかの水中撮影。サンダーボール作戦もびっくりですな、これは。きっとこの撮影が、『恐竜・怪鳥の伝説』でも多少は生かされた、のだかどうだか。それはともかく、敵役の幕屋を演じるは大友柳太朗、泰然とした彼と、すぐに地団太踏むような表情がすぐ顔に出てしまう近衛十四郎では、どちらが「剣豪」のイメージにふさわしいかと言えばもう聞くまでもない訳ですが、門弟や湖賊の戦いを交えて引っ張って行って、ラストの対決はそれなりに盛り上げてしまう、この勢い、大したものだと思うのですが、いかがでしょうか。ロケーションも魅力的。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-02-09 14:08:03)

199.  仁義なき戦い 文太さん追悼放送で久しぶりに観ました、昔はゴールデン洋画劇場なんかでやってて、あの頃は正直、この“乱暴な”描写が、何というか一種の安っぽさのように感じられて、少々苦手だったりもしたのですが(あと、早々に主人公が小指を詰めちゃうシーンがあって、この後映画が終わるまで小指がカメラに映らないように、うまくできるんだろうか、とかいうどうでもいい心配をしてしまったりもしたのですが)。しかしいいなじゃい、“乱暴”で。このむせ返るようなエネルギー。あと、学生の頃見るのと違って、社会人になってから見ると、活き活きと暴れまわった連中が次から次からドンドン死んでいって、その一方で金子信雄演じる山守がしぶとく生き残っていく姿、ってのが、どうにもこうにも、身につまされちゃうのよね。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-02-02 23:03:00)

200.  銀河鉄道の夜(1985) 主人公が走るシーンなど、ミニマルミュージックのような繰り返しの動作が随所に見られ、ふとそこに、変則的な動作が緻密なアニメーションによって描かれることで、ハッとさせられる。こういったところは、アニメという人工世界ならではの表現ですね。宮沢賢治の有名な童話に、基本的な流れとしてはおおむね忠実に作っているのですが、印象としてはかなり異なったものを感じます。このアニメ作品は、なんだか不気味でコワイんです。いや、登場人物がネコだからという理由じゃないですよ(多分)。例えば、ジョバンニが鳥を食べるように勧められる場面、勧められるというより、殆ど強要されてるじゃないですか。こんな感じで全編にわたって、観てて「不安」を感じさせるのです。ジョバンニの“カンパネルラといつまでもいっしょにいたい”という気持ちも、何だかまるで、彼にすがりついているような。この不安で寂しい感じこそ、原作のイメージを大きく崩すことなく、このアニメ作品が備え得た、オリジナリティと言ってよいのではないでしょうか。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-12-13 11:45:29)

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