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プロフィール
コメント数 2257
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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181.  ミッドナイト・バス 《ネタバレ》 ネタバレあります。ご注意ください。 家族の終焉を描く物語。妻は嫁姑問題でいち早く離脱、娘は起業し家を出て、息子は異国へ旅立って行きました。寂しい事ではありますが、遅かれ早かれどの家族にも訪れるイベントです。たんぽぽの綿毛が飛び立つように、今居る場所から別の場所へ。辿り着いた先で根を張り、また新たな家族をつくります。多くの生物がその種族を繁栄させるために採用しているシステムとも言えます。さて、最後に残されたのは夫でした。大仕事終えた男の、今後の身の振り方や如何に。残りの人生、自由気ままに謳歌する道もあったでしょうが、彼が望んだのは新たな家族の構築だったようです。余力があるオスとして正しい選択に思えますが、如何せんタイミングが遅い。遅すぎます。一つ仕事をやり終えてから、次の仕事に取り掛かりたい気持ちは分かりますが、自分の都合だけで仕事は出来ません。ましてや協働必須の家族構築であれば尚更のこと。初婚ではないにしても、若い女性の貴重な時間を無為に奪った罪を、彼はきちんと理解しているでしょうか。今カノに別れを告げた件は、確かに彼女の将来を慮っての事でしょう。でもその背景には、元妻と復縁の青写真がチラつきます。要するに男は“独りになりたくなかった”だけでは。パートナーは元妻でも今カノでも、どちらでも良かった気がします。そもそも元妻との離婚も、夫が真剣に家族と向き合っていたら避けられた話。コニタン、そんな男がいいんですか。生活拠点はどこにする?家計の分担は?子どもを望む?本気で2人の将来を見据えていたら、課題を放置などしません。物分かりのいいコニタンは「一定の距離を保ってくれて楽だ」と言いますが、男に覚悟が無いだけです。コニタンほどのイイ女であれば、誠意のない男など袖にして問題なし。コニタンには情に流されぬ賢明な判断を期待します(注:本文中のコニタンとは小西博之ではありません)。 物語を整理してみて、改めて「良いお話じゃないな」と思います。泰造はダメ男でしょう。でもこれが結構標準的な男の姿という気もします。私も面倒な案件は後回しにしますし。そういう意味では、模範的ではありませんが、リアルな人生の有様が描かれていたと思います。それに子どもがちゃんと巣立ったのですから、十分合格点の『家族』ではありますし。さて、これからの2人について。結局コニタンは泰造を受け入れる気がします。やっぱりモテ男は強いですから。悔しいなあ。私が脚本家なら、「復縁なんて、許可しません(ハート)」でワインを頭から掛けてやりますけども。で、そのあとチューな(ツンデレだな)。 見慣れた景色が多数出てくるご当地映画で、本作の深夜便はライブ遠征等で大変お世話になった路線です。という諸事情込みで、若干甘目に採点しております。[インターネット(邦画)] 8点(2020-09-25 18:54:48)(良:1票) 《改行有》

182.  PLAN6 CHANNEL9 《ネタバレ》 主人公が経営するパンクショップを訪れるお客がみな強烈!只今仕事さぼり中『マウンテンリバー山川』、マジでデスする5秒前・おかまのモジャ毛シンガー『ブーメランいとう』、1000日修行の前に一発かますぜ『釈尊いしみね』等、奇天烈キャラが勢揃い。もう名前からして反則でしょう。そんな個性豊かなお客さんに似合う服を見立てる際に、ロックを歌うのが主人公の流儀というワケ。この設定も結構クレイジーですね。ちなみに歌唱の時間は、一休さんにおける『ポクポク』に該当するのでしょうか。サブカル系シュールコメディならではの独特な空気は、楽しめる(受け入れられる)人を限定するでしょうが、こういったジャンルの中では比較的まとも(まとまっている)作品と感じます。パターンは決まっていますし、面白ポイントや、言わんとしている事の意味は解るので。しょーもないモノの中にも、あるいはしょーもないモノの中だからこそ、光るものは見つけ易いワケで、例えばお客の悩み相談に対するマヒルの回答に、意外と価値があったりします。ラスト、クズ夫がカッコよく見えるのも、それまでが酷過ぎたから。何事もギャップって大切ですね。ちなみにタイトルはエド・ウッドの「プラン9フロムアウタースペース」のオマージュではなく、主人公が見立てた洋服の数=6着と、来客人数=9人に由来しています(嘘。テキトーです)。[インターネット(邦画)] 5点(2020-09-25 18:52:42)

183.  映画 としまえん 《ネタバレ》 『としまえんの呪い』なる都市伝説は、本作製作にあたりこしらえた架空の設定かと思いきや、そもそも“ありもの”なのですね。本来なら迷惑極まりない与太話を、本元の『としまえん』が了承してホラー映画をつくるあたり、なかなか懐が深い話だと思います。ただ、折角の都市伝説が活かされているとは言い難いのが残念。もはや『としまえんの呪い』というよりクラスメイトちゃんの恨みの様相。ホラーですからバッドエンドでも構わないですが、もう一ひねりも二ひねりも欲しいところ。『としまえん』が豊島区ではなく練馬区にあるということは勉強になりました。なお、遊園地『としまえん』は本日2020年8月31日をもって94年の歴史に幕を閉じたそうです。お疲れ様でした。[インターネット(邦画)] 4点(2020-08-31 23:59:59)

184.  花とアリス殺人事件 《ネタバレ》 閉ざされた世界。独特な価値観に支配された学校生活。都市伝説が形成されていく過程の妙に感心します。若き日の未熟さ、無知と無力が懐かしく、苦々しく、そして清々しくもあり。いや、もちろんあんな素敵な経験なんてしてないですよ。そもそも、女子中学生だった過去も無いですから。でも、錯覚できるのです。それがきっと”青春”の特効なのでしょう。青春、友情、そしてミステリーとして、見事な出来映えでした。ドストライクです。作画もいいんですよね。アニメは結局画が命。脚本がどんなに良くても、画のテイストが趣味と合わないと受け入れられないですから。そういう意味でも個人的に文句なしでした(これは好き嫌いの問題で、正解はないですけど)。あと声優さん。オリジナル『花とアリス』を踏襲したキャスティングに、万歳三唱、大拍手ですよ。役者の年齢が厳しくなっても、こういう続編の作り方もあるわけですね。素晴らしいアイデアでした。さて、気になるのは平泉成さん二役について。これは、アリスが知らなかっただけで、ユダ父と間違えた老人はリアル祖父だったって解釈で良いのですかね。目元も父とそっくりですし(あるいは『花とアリス』を観ると解りますか?)。アリスは、束の間のじいちゃん孝行(あるいは、おねだりとも言う)をしたと解釈しました。裏設定(?)を明確にしないあたりも、物語の奥行きのうちと考えます。人の縁で、人生は転がっていく。それが面白い。オリジナル『花とアリス』よりも、むしろ本作の方が好きだったりします。[インターネット(邦画)] 9点(2020-08-30 22:55:22)

185.  ツングースカ・バタフライ ―サキとマリの物語― 《ネタバレ》 『副題が付いている映画に名作なし』が私の持論。外国作品を輸入する場合、副題を採用するのは戦略として理解しますが(でも『一期一会』って何だ?)、自国映画で副題付きは基本的にアウトです。ワンセンテンスでビシッと決めなくちゃ。野比のび太~健やかに大きくどこまでも伸びて欲しい~とか無いでしょ。情報を追加したいなら、キャッチフレーズを利用すればいい話。わざわざ副題で内容を説明するのはカッコ悪いです。で、本作の場合。観客へのプレゼン3点セット(タイトル、ビジュアルイメージ、キャッチコピー)から、亜紗美主演のアクション映画ということが分かります。副題は“ヒューマンドラマあります”のアナウンスでしょう。しかしながら、この情報必要ないのです。ビジュアルイメージ(ポスターデザイン)とキャッチコピーから容易に推測できるのですから。つまり無駄な情報。無駄は嫌いってDIOも言ってましたよね。3点セットで発信できる情報は限られているのに、厳選していない時点で企画の作り込みが不十分と判断します。案の定設定は甘々で、ハードボイルドには程遠い半熟ゆで卵のようなお話でした。脚本メインなら高評価は望むべくもないつくり。しかし、本作の主演はあの亜紗美嬢なのです。B級の中のB級、アクション・ホラー・スプラッター界隈で異彩を放つ一番星。牛丼チェーンのペラペラ駄牛に混じったA3和牛。そんな彼女なら、ポンコツB級映画を特別な映画に変えることが出来るのです。体躯の仕上がりも見事なもの。以前よりずっと鍛えられています。それでいてシェイプされ過ぎずイイ感じの肉付きが素敵。シルエットはまるでミシェル・ロドリゲスじゃないですか。綾瀬はるかやガッキーのような知名度やスター性は無いかもしれませんが、彼女たちに亜紗美譲の代わりも務まりません。要するに唯一無二の存在なのです。そんなB級アクションの女王の主演作であり引退作でもある本作に低い点数を付けられるはずもなく、私お得意の『亜紗美加点』なる下駄を履かせまくって8点献上いたします。あと引退なんていつでも撤回してもらって構わないので(プロレスラーなんて引退復帰は日常茶飯事ですヨ)、また劇場のスクリーンで雄姿を見せてくださいな。[DVD(邦画)] 8点(2020-08-25 19:47:42)

186.  ハウス/HOUSE(1977) 《ネタバレ》 これは攻めました。攻めましたねえ。真剣を滅多矢鱈に振り回している丸裸の大林監督の姿が目に浮かびました。裸ですから防御力はゼロ。しかしながらその剣圧は凄まじく、外野の小言など物ともしません。これぞ狂気の沙汰。いや攻撃は最大の防御なり。一見支離滅裂ではあるものの(バナナってそんなバナナ)、筋立ては明快で芯が通っており、どこを切り取っても完璧に『大林宣彦』印なのは流石であります。監督の映画にかける情熱と、小林亜星の大玉スイカと、紀世彦の極太もみ上げと、妖しく光る猫の目と、クンフーちゃんのさわやかヒップと、ガリちゃんのサプライズヌードと、池上季実子譲の極上エロスで、(主に後半の要素で)最後まで画面にくぎ付けでした。もっとも、これ程やりたい放題が出来るのは、名のある監督だからこそ。『踊る大捜査線』の和久さんではありませんが、正しいこと・やりたいことをしたいのであれば、偉くなるしかないのは道理です。一応『ホラー』にカテゴライズされるのでしょうが、シュールコメディであり、エログロであり、音楽映画であり、反戦ドラマありで、要するに唯一無二のオリジナルテイスト。邦画史上類を見ない怪作なのは間違いないでしょう。映画ファンならば、教養のひとつとして必ず観ておくべき作品と考えます。ちなみに私は黒沢清監督の『スウィートホーム』とごっちゃになって、既に観た気になっていたので(同類のうっかりさんは)ご注意ください。なお採点は放棄しています。[インターネット(邦画)] 5点(2020-08-20 12:26:48)

187.  団地 《ネタバレ》 現在大流行中の福田雄一監督の“アドリブ”コメディとは一線を画す“計算し尽くされた脚本と演出”に基づく正統喜劇。因数分解すると、人情もの、社会風刺、シュール、SF、ファンタジー、寓話と多種多様な要素が混在しているものの、決してとっ散らかった印象はありません。ただし、終盤の超展開には唖然とするかもしれませんが。さて、本作最大の魅力は何と言っても俳優の皆さんによる見事な演技にあります。表情、動き、言いまわし、間の取り方。熟練の技術に魅了され、何度吹き出したことでしょう。本来、喜劇役者というものは“自分は笑わない”ものなのですよね。もちろん若手の方々も含め、漏れなく素晴らしい役づくり。斎藤工さん怪演でした。ただ、ここは藤山直美さんに言及しないワケにはいきません。一見、ごくごく普通のおばちゃん。それでいて、どこか滑稽で、味わい深く、そして可愛らしい。主役であるにも関わらず、主張し過ぎない空気感が絶妙でした。これが長年舞台を踏んできた役者の地力、生まれついての喜劇人の血というものなのでしょう。もう山下ヒナ子にゾッコンであります。ご主人が「お前と漢方薬があればそれでええ」と言っていましたが、なるほど納得。息の合った漢方薬づくり。精根尽きて寄り添う2人が何とも愛おしく、理想の夫婦に思えました。夫婦が“連れ添う”とは、こういう事なのですね。人間の美しさと醜さが等しく、そして正確に描かれている映画に大拍手。無粋な理屈を捏ねない至福のハッピーエンドに絶賛を送らせてください。タイトルも、主要キャストも、さほど“惹き”を感じない装丁ですが(失礼)、これは傑作も傑作。コメディ好きなら観ないまま死んだらいけませんよ。[インターネット(邦画)] 9点(2020-08-15 08:28:55)(良:3票)

188.  わたしのハワイの歩きかた 《ネタバレ》 主人公がハワイまでやって来た表向きの理由は2つ。①ガイドブックの取材のため(仕事)、②ハワイで結婚式を挙げる友人の2次会会場の下調べ(プライベート)。でも実際は、仕事で評価されない現実と、社内不倫という現実、2つの辛い現実から逃げ出すためでした。会社の経費を使いまくり、出張期限をぶっちぎって遊びまくり、最終的には『ハワイの住人』になるという結末。リゾート地でバカンスの延長から住み着く人っていますよね。『現実逃避』は、本来一時避難ですが、主人公の場合は計画移住の線が濃厚。一応仕事はこなしたので会社から訴えられる心配は無さそうですが、筋を通さぬ身勝手な振る舞いは社会人として褒められた態度ではありません。ただし、主人公の生き方を非難する気もありません。一度きりの人生、好きに生きたらよろしいでしょう。さて、そんな型破りな主人公ですが、一番のサプライズは『玉の輿』を自ら降りた事。王子様の年齢や人間性に難ありでもないのに、当てた宝くじを自ら破り捨てるとは。彼女の人生観が伺い知れます。歯に衣着せぬ物言いは、日本よりもアメリカ向きなのは間違いありません。結果的に移住は正解だったと思います。自分自身で人生をコントロールしようとする姿勢も良いと思いました。ただそれなら、お茶漬け屋からのプロポーズなんか待たずに、自分から告白したら良いのに。これが乙女心ってヤツなんでしょうか。榮倉ちゃんがモデル体型のSクラス美女ゆえ、その存在自体が『浮世離れ』しており、感情移入し辛いのが難点(オッサンが何言ってんだか)。あるいは「こんなの御伽噺なんだから、お前ら本気にすんなよ」という監督からの忠告かもしれませんが。[インターネット(邦画)] 5点(2020-08-10 18:27:20)

189.  記憶にございません! 《ネタバレ》 政界を扱った三谷幸喜作品と言えば、視聴率が振るわなかったTVドラマ『総理と呼ばないで』が思い出されます。三谷氏にとって鬼門とも言える題材への再挑戦は立派じゃないですか。とはいえ評価は是々非々ですけれども。さて、タイトルの元ネタと言えば、ご存じ『ロッキード事件』。以後、政治家の常套句として定着した言い逃れフレーズであります。また、首相のモデルはおしゃれ帽子がトレードマークのあの人でしょう。一応『架空の国』との注釈付きですが、現実からの引用が多々見られ、本来は風刺映画の体裁です。ところが皮肉批判は鳴りを潜め、総じて毒気は薄く、寓話としての色合いが濃い仕立てでありました。クライマックスは、首相と奥様の復縁話。もう政治と関係ありません。あくまで娯楽作品。過度な刺激は必要ないという事でしょう。ここからネタバレ。首相の記憶はいつ戻っていたのか問題。「あっ、ここで記憶が戻ったな」という演出は施されず、『実は記憶が戻っていた』という首相の告白のみで、漠然と処理されます。いつ記憶が戻ったのか、気になりますよね。でも、ここにメッセージが込められていると考えます。『人生をやり直すのは、何時だって構わない』ということ。偽りの記憶喪失を演じられるクソ度胸があれば、そりゃ何だって出来るでしょうよ。でも普通の人には無理な話。この一点からも、主人公は単なる傀儡ではなく、傑物である事が分ります。でもそれなら、それまでの愚者ぶりの説明が付かないワケで、頭に石が当たった事で『我に返った』と見立てるのが正しい気がします。悪いことをしたら謝る。間違ったらやり直す。子どもの頃教えられてきた常識が、大人の世界では非常識に変わるように、主人公も政界に毒されて本来の自分を失っていたものと考えます。あな恐ろしや。でもこれが一般的に『大人になること』だったりします。キャラクター造形の面白さや会話劇を楽しむ三谷監督お得意の王道喜劇。気楽に観られる大衆娯楽映画として、価値は充分と考えます。[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-05 19:28:12)(良:4票)

190.  奇々怪々譚 醒めない悪夢の物語 《ネタバレ》 それでは収録順に感想を。①『カーテンの向こう』主人公は常時介護が必要な身体障碍者。体の自由が利きません。それゆえ、わずか50センチ先カーテンの向こう側が伺い知れぬという設定は上手いです。ホラーらしい『見切れ』の演出も上々。オチはもう一工夫欲しいところです。②『真夜中の来客』初期設定から展開が無いのがツライです。オチはショウモナイですが、嫌いじゃありません。③『東京の友達』怖さでいえばコレが一番。見せない演出、見せる演出、メリハリが効いています。ロケーションも良。そして2話続けての『一言セリフ』オチにニヤリ。背景を考える楽しみもあります。④『古本の倉庫』これは平凡。もっといろいろ考えられるはずです。⑤『女ともだち』サプライズがあるようで、実は大してありません。狂気の表現もイマイチでした。⑥『彼氏の部屋』彼氏の人間性に戦慄する話。とはいえ、笑わせに来ているのは明白なので最早『ホラー』ではありませんが。こういうの結構好きです。⑦『釣り人』哀愁系オカルト。一応一ひねりあるものの、そんなに意味があるとは思えません。無駄な会話が多く時間の使い方が勿体ないです。⑧『ホームレス入門』既視感あり。今更感あり。全体を通じて言えるのは、役者の技量に難があること。これは有名とか無名以前の問題です。商業作品として最低限の品質は担保する必要があると考えます。お話のテイストはバラエティに富んでおり、オムニバスとしてバランス良さを感じました。しかし、それぞれの脚本は出来不出来の差が激しく困りものです。私の判断では、③⑥…〇、①②⑤…△、④⑦⑧…×。夏休み最終日に手を付けた読書感想文のようなヤッツケ感のある脚本が多い気がしました。もっと頑張れるはず。②③のように『一言セリフ』オチ縛りで、統一感を出すのもアリかと思います。各話を繋ぐブリッジ「こんな悪夢を見た」は、『奇談百景』の「こんな手紙が届いた」のパクリ、失礼丸パクリでしょうか。数多存在する『邦画トホホラー』の中にあっては、僅かに光るものがある気がしないでもありませんが、それが宝石なのかガラス片なのか、吟味する気にはなりません。[インターネット(邦画)] 4点(2020-07-30 20:22:05)

191.  ガールズ・ステップ 《ネタバレ》 『ストリートダンス』とは『自由な生き方』の象徴。誰もが憧れますが、簡単に出来ることではありません。諸々の事情により雁字搦めになって生きるのが常。人が社会生活を営む以上、対人関係の悩みを排除するのは困難です。彼女たちが当初ダンスに没頭したのは、地元イベントでの小さな成功体験もさることながら、自由に対する潜在的な欲求があったからと推測します。孤独の恐怖、愛の渇望、家庭の事情。踊っている間、彼女らは束縛から逃れられたのでしょう。ただ、これは一種の『対症療法』。抱える問題が肥大したことで、彼女らは対症療法さえ諦めました。このままダンスを辞めても、元の生活に戻るだけ。理論上、損も得もありません。しかし踊る事の楽しさ=自由に生きる喜びを知った者が、牢獄に戻れるはずもありません。再び踊る事を決意したのは、必然だったと考えます。それぞれが悩みを吐き出した事で、自らを縛る鎖の正体も明確になりました。敵を知り己を知れば百戦あやうからず。『しがらみ』『固定観念』『偏見』を克服するのは容易ではありませんが、彼女らは戦い方を知ったはずです。『ステップ』とは人生の階段。泣きながら、ぶつかりながら、JKは軽やかに、でも力強く、階段を昇っていきます。隣に同志がいる幸せを噛みしめて。 本作はスポーツ青春ドラマの王道フォーマットを利用しています。あとはモチーフとなる素材やキャラクターの魅力如何。『ストリートダンス』は、素人目にも良し悪しが分り易いため、かえって難しい題材だった気がしますが、努力の過程を重視し、パフォーマンスの見せ方も工夫し、クライマックスでは十分なカタルシスが得られました(最初の失敗ステージの方が、実は見応えがあったりします)。キャラクターについては、文句なしで大拍手!ISSAと見紛う塚本高史は雰囲気満点。ジミーズ5人はみな嫌味なく、等身大の女子高生を活き活きと演じてくれました。個人的にツボだったのは、岸本JK(メガネちゃん)。モッサリ具合が愛おしく、出番が少な目な分彼女の一言一言が重く、心を掴まれました。「一緒にやろうと誘ってくれた言葉は一生の宝物です」は号泣案件です。最後に一つだけ苦言を。超危険な“坂道自転車暴走”は“心の開放を表す比喩表現”として許容しますが“親に内緒の流産”は娘を持つ身として見過ごせません(昭和の学園ドラマだと割と普通だったりしますけど)。これは子どもたちを責めるより、非常事態に頼ってもらえない親が不甲斐ないと感じます。何の為の親だと。血縁に甘える事なく、家族内でもきちんと人間関係を築く努力をしなければと自戒します。[インターネット(邦画)] 9点(2020-07-25 17:28:58)(良:1票) 《改行有》

192.  アルカナ 《ネタバレ》 ネタバレあります。未見の方はご注意ください。なお以下に記述したのは私なりの解釈。原作未読ですので誤読ご容赦を。 本作を理解する上で最も重要な概念は『分身』です。劇中の説明は以下のとおり。①分身とは、本体となる人間の生き写し。もう一人の自分。②本体とは完全に別人格であり、その多くは対照的な性格である。③怪我や病気など本体に生命の危機が迫ったとき、分身は生成される。④半透明など不安定な状態の者もいる。⑤人間の心臓を食すことで安定して存在できるようになる。ただし、一度心臓を口にするとその後も心臓を欲する化け物に変わる。⑥分身は徒党を組む。⑦分身は本体に敵意を抱く者が多い。⑧電気御守りは、幽霊にも分身にも同じように効く。⑨分身への物理攻撃は無効。 散らばっていた情報を纏めると、『分身』の正体が見えてきます。おそらく『分身』は実体化した『幽霊』。死んで霊魂に変わることを拒んだ人間が、分身を生み出したと考えられます。分身が本体を抹消しようとするのは、死は本来逃れられないものだから。心臓を食うという分身の習性は、肉体への執着の表れであり、アイデンティティ移行の意味もあるかもしれません。さて、『分身』という人類の『進化』は、この先どこへ向かうのでしょうか。分身を自らの意思で産んだ村上、本体を愛おしみ心臓を食おうとせぬ分身・マイコ。2人のパイオニアの表情からは、明るい未来が読み取れます。しかし『分身』が『自然の摂理』に沿わぬ存在であることは変わりません。運転中のトラックドライバーが突如消えたように、分身も、分身を生んだ本体も、消え去るのが運命。村上とマイコに与えられた現世でのアディショナルタイムはいかほどなのでしょう。聞けば山口義高氏の初監督作品とのこと。短いイメージカットのモザイクを使って、作中でプチ予告編を敢行するなど意気込みが感じられます。また土屋太凰や岸谷五郎など、キャスティングにメジャー感はあるものの、作品の色合いは基本的にB級です(悪口ではありません)。おそらくアクションが売りの監督さんなのでしょう。三池監督のお弟子さんといわれて納得です。[インターネット(邦画)] 5点(2020-07-25 17:27:27)《改行有》

193.  アウターマン 《ネタバレ》 私は監督名を確認せずに映画を観ることがよくあります。本作もそうです。もちろん予想は付きました。どこをどう切っても河崎実印ですから。氏の作品を一度でも観た事がある方なら、その意味がお分かりいただけるでしょう。しかし、それでもなお、エンドクレジットを確認するまで、別監督の可能性を捨てきれずにいました。というのも、“実によく出来ていた”からです。いや失礼。でもこれが本心。チープな映像、不出来な脚本、役者の熱演、そして特撮愛が謎の化学反応を起こしたとしか言いようがない出来栄え。中でも「アウターマン」と「シルビー星人」の造形が絶妙でした。立場が変われば見方が変わる。知識と経験で人は変わる。どちらの異星人も、ちゃんと「いいもの」にも「わるもの」にも見えました(技術論的にはカラーリングの上手さ。そして原則は“能面”と同じ理屈と思われます)。いつもは決して上手とは言えない(実は監督お得意の)社会風刺も、驚くほど鋭く(あらぬ方向に)突き刺さります。群衆の手のひら返しを、あなたは笑えますかと。基本的にパロディ。紛うことないバカ映画。しかし真摯なヒューマンドラマでありました。もしかしたら本作は河崎監督にとって会心の一作では?あるいは私は、監督を見くびっていたのかもしれません。ちゃんと河崎監督作品を観直してみようと思います(暇が出来たら)。なお、公開当時に鑑賞していたら、職人が一個一個丹念に製作するという変身アイテム(25,000円(税別)也!)に手を出していた可能性すらあるのが恐ろしいです。[インターネット(邦画)] 7点(2020-07-15 18:54:52)(良:1票)

194.  恋するトマト 《ネタバレ》 ネタバレあります。未見の方はご注意ください。 『恋するトマト』『クマインカナバー(ごはん食べましたか?)』。1つの物語にタイトルが2つ。これは『ラブロマンス』と『家族の在り方』、2つのテーマを内包しているためと考えます。まず『ラブロマンス』について。異国の地で結婚詐欺に合いどん底に落ちた主人公は、何とか立ち直り、運命の人と出会えました。彼女の家業を献身的にサポートし、信頼を獲得。弟くんを手懐け、ついには相思相愛の関係を築きます。今までの婚活のようにガツガツせず、しっかり手順を踏んだ事が功を奏したワケです。いわば怪我の功名。人間、挫折を経験するのも悪くありません(死なない程度に)。さて、このままフィリピンで2人が結ばれれば『ラブロマンス』として『妥当なハッピーエンド』でしたが、主人公は帰国を望みました。これには『農家長男の性』が大きく影響しています。本作で語られる『家族』の定義は、『夫婦』あるいは『夫婦とその子』ではなく『夫婦とその親』であります。かつての日本や農家、フィリピンでは当たり前の価値観です。ここから先が『家族の在り方』についての話。彼女の父親は日本へ嫁ぐことを許しません。傷みやすいトマトを輸入する難しさと同じ。美味しいトマトも、一緒に食卓を囲む家族も、生活圏内で確保するのが常道です。それでもなお、障害を乗り越えるのが『愛』でしょう。さて、一見ハッピーエンドにみえる結末ですが、果たして本当にそうでしょうか。2人が抱き合う前に終幕となったことが、どうにも引っ掛かります。ラストシーンは、主人公の願望が見せた幻の可能性も大いにあると推測しました。愛する彼女と同じ年頃の娘さんを日本へ売り飛ばしていた主人公が、報いも受けずに幸せになれますか?(結婚詐欺被害とは相手が違うので相殺不可)それに主人公が望む『家族の幸せ』と、彼女が求める『家族の幸せ』は等価値のはず。どちらかの犠牲で成り立つ『幸せ』をハッピーエンドと呼べるのかという話です。シビアな現実をラブロマンスで包み、口当たりは甘め。しかし噛みしめるほどに苦みを感じてしまいます。(以下余談)結末の解釈については、正直言い掛かりです。私もクリスティナちゃんは日本に来てくれたと思います。ただし実家への『金銭援助』は必須。カワイイ彼女も10年もすれば倍の太さになるでしょう。田植えと稲刈りで年に2回は里帰りするでしょうし、将来的には母国に帰るかも。子育て、借金苦、親の介護に悩まされる人生を、本当に主人公は望んだのでしょうか。いやー震えますな。もっとも、人生の悩みの大半は『お金』で解決します。主人公の場合、農業より別の道で才能を発揮できそうですが、自分自身で気づいているかどうか。やりたいこと、やれること、やらなければならないこと、向いていること。一致しないのが人生の難しいところです。[インターネット(邦画)] 7点(2020-07-10 18:54:55)(良:1票) 《改行有》

195.  片桐はいり4倍速〈WEB〉 《ネタバレ》 女優『片桐はいり』を使って、自由に物語を創ってくださいとの趣向。魅力は何か?どう使うか?監督の腕の見せどころです。では順番に感想を。①『受験生』板尾創路企画。今を時めく太賀(現:仲野太賀)主演。お題となるメイン素材を、あえて添え物に使う発想は“芸人らしいスカシ笑い”と言えましょう。これは偏にはいりさんの『圧倒的存在感』無くしては適わなかった芸当であります。ところで、ヒッチコックのオマージュはありますか?②『スピリチュアル マイ ライフ』辛酸なめ子監督。こちらは先の作品とは打って変わって、正々堂々『片桐はいり』をメインに据えたお話。お顔のインパクトを『説得力』と解釈しました。まあ、普通です。③『ピーコちゃん』ホラー仕立て。しかも一撃必殺。『笑い顔』の怖さは絶品でした。オチの悪ふざけは賛否が別れそうですが、個人的には大笑いしました。④『部長』松尾スズキ監督。シュールコメディに全振り。『バカドリル』(サブカル漫画)から引用だそうですが、はいりさんはサブカル系女優でもある(と思う)ので、当然相性はバッチリです。こちらも正しい『はいり活用法』でした。全体を振り返ってみると、どの作品もはいりさんの個性を上手く活かしており手堅い印象を受けます。特段面白いワケでもない『スピリチュアル~』も、アラカルトの一品として悪くありません。そう、イメージ的には『フルコース』ではなく『前菜盛り合わせ』。ショートオムニバスですから当然ですけど。強烈な個性ゆえアクセント的に起用されがちな女優さんですが、これから円熟味を増すにつれ主要キャストで輝く方だと思っています。樹木希林さんのポジションにすっぽりハマれる逸材では。[インターネット(邦画)] 7点(2020-07-10 18:51:02)

196.  映画 深夜食堂 《ネタバレ》 連載雑誌を行き着けの料理屋で読む程度に、原作漫画は既読。一話完結で、“軽すぎず重すぎない”いい塩梅の人生の機微を描いた人情話が、食事を待つ間の時間つぶしに最適です。映画では、都合3つのお話が提供されますが、徐々に重みを増していく仕立て。最後にホロリと泣かせるのではなく、クスリと笑わせるあたり粋で好みでした。田中裕子さん流石です。抜群に上手いですね。ほぼ原作イメージ通りの実写化。原作既読未読を問わず、手堅く楽しめる映画だと思います。(以下余談)冒頭に書いたお店とは別のお店なのですが、馴染みの『フレンチ』がありまして、オープン当初から通い、かれこれ16年の付き合いになります。料理は本当にどれも美味しく、奥様(マダム)の人柄が素敵なお店。いつでも外食の1番候補でした。そのお店からこの度マダムが離れる事になったそうです。今日2020年7月6日が最終日。この話を聞いた時は、ももクロから『杏果離脱』の一報を聞いた時のようなショックを受けました。お店のダメージは、杏果卒業以上でしょう。センターであり、リーダーであり、『グループの顔』である百田夏菜子が抜けるようなもの。料理の味はシェフ(旦那さん)の腕と、マダムの雰囲気で創り上げたものでした。明日以降、シェフは変わりませんが、やはり別のお店に変わるのだと思います。16年は長いです。私はその間に結婚し、娘が3人産まれました。人生の折々の瞬間に、このお店の美味しい料理がありました。マダムとは先週末お別れをしてきました。言葉が見つからず、ただ一言『お疲れ様でした』と、頭を下げることしか出来ませんでした。家族一同、本当にお世話になりました。心より感謝します。マダムの第2の人生、『次の一歩』に幸多からん事を、心よりお祈りしております。もちろん、お店にはこれからも通い続けます。美味しい食事を楽しめるお店を見つけることは、人生を豊かにするための必須課題。私の馴染みの『フレンチ』も、本作の『めしや』も、そういうお店だと思います。[インターネット(邦画)] 7点(2020-07-06 21:00:00)

197.  おんなのこきらい 《ネタバレ》 タイトルは主人公の心情を吐露したもの。彼女の生き方の指針『かわいい至上主義』を認めない周りの女子に対する嫌悪の言葉であります。主人公が『かわいい教』に入信した経緯は不明ですが、ここ数年の内に“何かあった”ことは、専門学校同級生の証言から推測できます。幼少期からの刷り込みでないのなら、人が特殊な価値観に入れ込むのは、心が弱っている時と相場が決まっています。おそらく恋愛系でしくじったのでしょう。あのルックスですから、入信効果は覿面。傷ついた心を癒し、自尊心を満足させられる程度に『かわいい教』は彼女を救ったはずです。しかしながら、彼女の信仰心が絶対的であったかというと、そうではありません。むしろその信仰を一番嫌っていたのは、他ならぬ彼女自身だった気がします。本当に満たされていたら、あんな菓子ばっかりの乱れた食生活を送ったりしないでしょう。タイトルは、自分を偽っている彼女自身へ向けられた言葉でもありました。ですから、失恋と素敵な彼氏候補の登場で、いとも簡単に宗旨替えしたのも頷ける話。セフレを卒業して、新しい彼氏ゲットでハッピー!な結末だったらクソだなと思っていましたが、人生そう都合良くは行かないようで安心(?)しました。『涙の数だけ強くなれるよ』(@岡本真夜)は、あながちキレイゴトでもありません。今回の一件で、彼女が精神的に成長したのは間違いないでしょう。見た目の『かわいさ』は、生き抜く上で立派な武器。長所を手放す必要なんてありません。右手に『外見のかわいさ』を、左手に『内面のかわいさ』を携えて、最強のカワイイ二刀流を目指してみたら如何でしょう。『ももいろクローバーZ』に佐々木彩夏(あーりん)という名の『宮本武蔵』がいますので、どうぞ弟子入りしてみてくださいな。[インターネット(邦画)] 6点(2020-06-20 10:58:44)

198.  レミングスの夏 《ネタバレ》 主人公は少年少女たち。彼らはある犯罪に手を染めるワケですが、そこには強い信念があるという。こういう様を本来の意味での”確信犯”と言うのでしょう。基本的に彼らは優秀なのだと思います。優秀であるが故に問題意識を持ち、なまじ実行力があったため犯罪に手を染めてしまいました。未熟ゆえに判断を誤ったワケです。人は成長過程で様々な経験や異なる考え方に触れることで自身の内に一種の“バランス感覚=倫理観”を身につけていきます。しかし、彼らは幼い日に受けた衝撃のせいで、自身の中で歩みを止めてしまいました。また衝撃をケアする(家庭)環境に恵まれなかったことも伺えます。また、モロ刑事さんもイイ人で間違いないですが、彼の迂闊な行動が子供たちに誤った価値観を植え付ける原因をつくったと考えます。彼らが言う『新天地』とは、おそらく罪が正当に罰せられる社会。正義が機能する世の中。それは、新たなルール、または価値観の共有と言い換えても良いでしょう。そのために必要なのは、私刑やテロリズムではありません。もっと地道で途方もない労力を要するもの。困難な大航海を経なければ『新天地』にたどり着くことなど叶いません。それに彼らが気付けたかどうか。それでもなお、彼らは新天地を目指すのかどうか。ナギ君一人に罪を背負わせる手法は、旧来からのやり方なのですが。今回のレミングスは、やはり集団自殺したと考えます。イメージ的にはシリアス版『僕らの7日間戦争』。子供たちのぼくとつとした演技は好印象ですが、大人の皆さんも同じでは困ります。主要キャストの人選は慎重にお願いします。演者の皆さんの演技の質が高ければ、もう少し良い印象を得られた気もします。[インターネット(邦画)] 5点(2020-06-20 10:56:45)

199.  全員死刑 《ネタバレ》 クレジットを観る限り、初監督作品だそう。で、実話を元にしたフィクションとのこと。評論家でもなければ知識も無い映画素人の目には、手振れが酷くて観にくいとか、アングルが凝ってて気に障る等の不具合はなく、映像面では問題が無いように感じられました。物語の方は実話ベースのバイオレンス映画ですから、基本的に注文を寄せ付けない仕立てと言えましょう。倫理は不問。無茶苦茶な展開も、実話と言われれば黙るしかありません。妙に殺人シーンにリアリティがありましたが、殺人経験が無いので本当にリアルかどうかは知りません。もっとも「死刑」が主人公一家に当てはまるのは流石に嘘だろうとは思いましたが(日本は加害者に優しい国なので)本当に死刑判決が出たのですね。これは驚き。テーマは「(誤った方向での)家族の絆」と推測しますが、そもそもママンや連れ子である兄と主人公に血縁関係がないことから、いささか焦点がぼやける印象です。主人公がシャブ中という点も、事件の本質をずらす不要な設定でした(でも実話なら仕方ないですよね。だから実話ものって厄介)。私にとっては、ドラマとして観るべき部分は無く、不快な展開を延々と見せつけられただけ。残念ながら得無しです。最後に一つだけ、どうしても言いたいのはラストカットの台詞のこと。あれは監督の「照れ隠し」と受け取りましたが、馬鹿をやっている方が「馬鹿だって知ってますから」と言うのは禁じ手と考えます。その台詞は、物語に最後まで付き合った観客にだけ“言う権利”がある気がしますが。[インターネット(邦画)] 3点(2020-06-15 21:22:38)

200.  Re:Play-Girls リプレイガールズ 《ネタバレ》 (モロバレ含みます。未見の皆様はご注意ください) リプレイ=人生やり直し。その手段としての「自殺」ですから、根本には「輪廻転生」等の宗教的「生まれ変わり」思想がなければなりません。しかし一部のカルトを除けば、どの宗教でも自殺は禁止している(はず)ですから、もっと大雑把で都合のよい概念(=気休め)と捉えて良さそうです。ゲームの参加者たちも本当に「生まれ変われる」などとは思っていない様子。一人で死ぬのが怖いから、寄せ集まったワケです。金森氏(@映像研)なら「女子トイレ主義」で一蹴しそうな話ですが、死を恐れる感覚は正常なので、彼女らはまだ引き返せる段階にあると考えます(2019年にも同類映画が公開されましたね)。事実12人の自殺志願者のうち、過半数は自殺に至りませんでした。これで自殺しなかった皆さんにお引き取り頂ければ平和だったのでしょうが、そこはそれ、主催者が堅気のワケがありません。ここからハンティングゲームを経て、参加者同士による生死を掛けた殺し合いに移行します。『制服サバイガール』よろしくツッコミ上等のC級サスペンスを予想していたため、序盤から延々と鬱展開を見せられて正直参っておりましたが、終盤に来てやっと期待通りの流れになったなと。そもそもリアリティゼロ。随所にゲームチックな演出が施されており、夢オチや宇宙人による実験オチ等どんな陳腐な結末も覚悟していましたが、結局演出に偽り無しのゲームオチでした。あるいは「運転免許更新ビデオ」又は「青汁CM」オチと言った方が、感覚としてしっくりくるかもしれません。肩透かしを食らってナンボ。これが当ジャンルのあるべき姿であります。ただし、リプレイゲームが自殺志願者更生プログラム用の「つくりもの」と結論づけるのは早計です。冒頭『YOU TAPE』で公開されていた流出映像から察するに、ゲーム自体は行われた可能性大です。つまり自殺志願者更生プログラムとして、しかるべき公的?団体から製作委託料を頂戴し、さらには作中登場の「殺人マニア」から参加料もせしめたのでは。その大元は暴力団かカルト等の危険思想団体なのでしょう。残念ながら「リプレイしますか?」をクリックした時点で全員詰んでいたということです。裏社会にクーリングオフは無いのですなあ。[インターネット(邦画)] 3点(2020-06-10 18:56:26)(良:1票) 《改行有》

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