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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
281. 近キョリ恋愛(2014) 《ネタバレ》 「女子生徒に手を出す高校教師のお話」という、もう基本中の基本が絶対的にダメダメな物語なのですが、その基本が腐ってるような設定を元にして、いかにちゃんとした恋愛映画に昇華してみせるか、というところに腐心している感じで。結果的には意外と良かったという印象。 これもまたマンガが原作のシネスコサイズ恋愛映画ですが、こちらはフレームの切り取り方、ライティング、色彩、どれもキレイにまとまっています。タイトルが出てくる画面の構成なんか、上手いなぁ、って。 物語は少女マンガらしいおなじみ「すれ違いの物語」。でも、本音をぶつけ合うのではなく、各キャラクターがお互い常に相手の事を思って本音を現さない、行動に出ないゆえのすれ違いという点で共感を得やすい感じがします。 映画は表情の無い、感情を表さない主人公ゆにの心の揺らぎに寄り添い、その内面の大きな変化の波をすくい取ってゆきます。ゆにの無意識な仕草による感情表現の多くは初期にセリフによって説明されているので判りやすい、単純な記号と化しているようにも思えます。だけど言葉や表情ではない、その仕草がゆにというキャラクターに魅力を与えているように思えます。 全編に渡って繰り返される、ぎゅっとスカートを握りしめるゆにの手のアップ、これがラストシーンで解き放たれた時、それがベタであると判っていながら感動してしまう、それは仕草の描写の積み重ねがあればこそ。あの描写こそは他のどのキャラクターでもない、ゆにのみに与えられた独自の解放の表現であるのです。 櫻井は教師という大前提がある以上、ダメな大人。嫉妬する幼なじみの教師も、ゆにを預かり腫れ物のように扱う教師も、同様にダメな大人。そのダメさ弱さをダメなりに見つめているように感じました。 肝心のクライマックスで大学生になったゆにの微妙なメイクや服装、そして不自然さ丸出しの夕陽の合成によってハリボテ感が出てしまったのが残念ですが、小松菜奈の魅力を上手く捉えた、爽やかな一編になっていました。[映画館(邦画)] 7点(2014-11-14 22:44:20)《改行有》 282. 寄生獣 《ネタバレ》 東京国際映画祭で鑑賞。 退屈せず面白く見られました。ミギー可愛いし。ちゃんと血みどろバラバラなグロだし。 だけど、この映画ならでは!っていう絶対的な個性が無かったなぁ、と。もっとカッコいいとか恐ろしいとかアガるとか燃えるとか切ないとかあっていいと思うんですけれど、良くも悪くも山崎貴監督、ソツなく仕上がってます、という感じ。 ボディースナッチャーものとしての面白さは大きくスポイルされちゃってます。何故ならミギーの能力によって誰が乗っ取られてるかは全て最初からハッキリしているので。 で、その代わりに生まれるモノの面白さという点について、今一つな感じがするんですよね。 体を乗っ取る事によって人間を理解してゆく、人間に寄ってゆく侵略者、それに対比されるべき人間側の描写が薄いと思います。主人公とミギーは一体化する事によって人間と侵略者の間の立場で世界を見る事になるのですから、そこは人間側もちゃんと描かないと。主人公とお母さんのドラマだけでそれを成立させられるとは思えません。というかお母さんとのドラマはもっともっと濃厚な、強いアクセントにして良かったと思うのですが。 登場する役者さん達にも意外性がなくて(橋本愛の女子高生、余貴美子のお母さん、國村隼の刑事、北村一輝のいかにも何かありそうな胡散臭そうな人・・・)、今の日本映画の土壌で作るとしたらこういう映画になりますよ、というモノをそのまま見ているような感じ。 東出くんが学校で暴れるシーンなどは展開の運び方も悪く、続編に繋ぐラストだって引っ張り過ぎで、そういうもったいつけた感じよりは、もっともっと尖がった何かを、と物足りなさを抱きました。 山崎監督の色の無さは、この世界にはちょっと味気なかったかな。[試写会(邦画)] 6点(2014-11-02 14:51:34)(良:1票) 《改行有》 283. 蜩ノ記 《ネタバレ》 ストイックな武士の世界を描いておりますが、今の日本人にも通じるところがあって。 金貸しの播磨屋と通じて年貢の取り立てで農民を苦しめる藩の姿は、まるで銀行や大企業を優遇し増税で庶民を苦しめる今のこの国の政府みたい。 で、そんな世界で日本人としていかに生きるか、日本人の美徳とは何か、というのを見つめさせる映画。不満を漏らすだけだったり、悪行に走ったりするのではなく、侍の姿を通して偽りなき生の在り様を示しているように思いました。 真面目に切り取られた美しい映像と、演者の端正な所作から日本人としての美意識を刺激する作品でした。 ただ、切腹に至る背景がとても判りづらく。「ねえねえ、あのセリフによる断片の羅列から結局何があったのかキチンと理解できた?」ってみんなに訊いてみたいカンジ。 また、キッチリとした映像に比べて物語は散文的でエピソードの繋がりが弱く、そこに到達するまでの各人の気持ちの流れというものがドラマとして、うねりとして伝わりきって来ないもどかしさ、スクリーンとの微妙な距離感が最後までつきまといました。最初から切腹を受け入れているように見える戸田に対して、やや背景がうるさかった気もします。 いつの間にか日本人から失われているもの、それを意識させてくれる映画ではありますが、お客さんはお年寄りばかりな上に、そのお年寄り達の鑑賞マナーがあまりよろしくないと来た日にゃ、なんだか暗澹たる気持ちにもなります。 少なくとも誹謗中傷や差別で溢れかえったネットからは日本人の美徳なんてモノ、失われまくっておりますしねぇ。そんなもの、もはや懐古の中にしかないのかしら?[映画館(邦画)] 6点(2014-10-12 14:56:34)《改行有》 284. イン・ザ・ヒーロー 《ネタバレ》 スーツアクターに対する愛、終わってみると、そこだけな映画って気がしてしまって。 まず紋切型な展開の序盤、湿った感じで火が付くまでにやたら時間がかかります。日陰の身であるスーツアクターの悲哀と魅力とが描かれている、のはいいのですが、判りやすい悪役を設定する事で良い人々を描くのはかえってノッてゆかないんですよね。ダサさを冷めて見ちゃう。 中盤、悪役が改心して群像劇になってゆくと俄然面白くなってゆきます。それぞれのキャラが立って一人一人が魅力的な存在になって。で、このままクライマックスに向って一気に突っ走ってくれると良かったのですが・・・ 結婚式の夜のシーンが終わるとそこまでの流れがパタッと止まって主人公のパーソナルな映画になります。ここからがクライマックスという事なのですが、まータメるタメる。二度も延々スローモーションでタメるシーン入って映画のテンポめためた。 で、そこまでして勿体つけてタメた末のクライマックスが「それはネタか?」という。「ワンカット長回しでCG使わずに撮るアクションシーン」という設定を、カット割りまくりのCG使いまくりで描いてくれます。「そんな拘りは重要ではないんだよ」って言いたいのならば、それだけ説得力のある画が必要だと思うのですが、そこまでのものは、いや、それ以前の戦隊モノのアクションシーンのキメポーズまで含めて、無かったように思えるんですよね。 第一「ハリウッド映画」の描写がめちゃくちゃ。死亡する危険性の高いスタントを無理矢理やらせるようなハリウッド映画がどこにありますか? アクションシーンのワンカット長回しに固執するハリウッド監督がどこにいますか? アクションシーンを長回ししたって『幕末高校生』のクライマックスみたいなアレな事になるだけですがな。「ハリウッドに日本のアクションの意地を見せてやる」って言ったって、そのハリウッドがニセモノ丸出しじゃあ情けなくないっすか? 登場人物はみんな魅力的だったのですから(いや、及川ミッチーに与えられたあまりに愛のない悪役っぷりは酷かったですが)、あまり無理をして虚勢張ってデカいホラ話にするんじゃなくて、もう少し身近な親しみのある範囲での話でまとめた方が良かったんじゃないかなぁ。[映画館(邦画)] 5点(2014-09-30 22:58:00)《改行有》 285. るろうに剣心 伝説の最期編 《ネタバレ》 前作からも、今作の中でも、エピソードの繋がりが悪いと思いました。 前作ラストのキーとなるエピソードが今作の中ではあまりに軽く扱われているのはどうした事でしょう? 剣心とは別段関係なく助けられてました、特に劇的な再会シーンがある訳ではなく、生きてるってセリフがあっただけで済んでしまいます、そんな軽さ。 大体、志々雄の野望は今回一体何処に行ってしまったのでしょう? 日本を支配する、そのために船出!って漕ぎ出したのはいいけれど、そのまま海上に停泊して一度砲撃しただけで、後は特に何もせず。政府が行動を起こすのを黙って見てるだけ。明らかに見えるところに大砲設置されてみすみす撃たれる事になる訳ですが。 海岸からえっほえっほ小舟漕いで乗り込んでくる剣心達ご一同様に対しても策がある訳でもなくみすみす船に上がらせてしまいます。これまた丸見えなのに。 志々雄達は結局滅ぼして貰えるのを待っていた、殺して欲しかったって事なんでしょうかねぇ? 悪役キャラ達の過去のエピソードもただセリフで説明されるだけで全くドラマがありません。ならばそんなもん無い方がよっぽどマシです。 で、だけど剣劇アクションは相変わらずガシガシとパワフルで魅せてくれます。ああいう存分に盛り込まれたキレのいいアクションを日本映画で見られるっていうのはいい事だと思いますよ。 でも、なんつーか、『プロジェクトA』の影響かなり受けてるよね・・・[映画館(邦画)] 6点(2014-09-30 22:16:02)(良:1票) 《改行有》 286. STAND BY ME ドラえもん 《ネタバレ》 ちゃんとこれ一作だけで『ドラえもん』として成立させられてない感じがします。従来の『ドラえもん』のイメージに頼っちゃってるでしょ?って。 『さよならドラえもん』をやるならば、そこまでののび太とドラえもんとのエピソードの積み重ねが必要な筈ですが、物語は主にのび太としずかちゃんのエピソードが中心になっていて、ドラえもんはサポートに回ってばかり。ひみつ道具による楽しい日々もダイジェスト状態でサラリと描かれる程度ですし。 なので、全体的に軽い、食い足らない感じの『ドラえもん』。 3Dは飛び出し方向に振ってあってトリッキーな3Dを楽しめますが、3DCGの技術はアメリカに比べたらまだまだ。それでもやっと「呼吸してる、かな?」くらいの表現には辿り着きましたか。アメリカのCGアニメをしっかと見てると判りますが、今はCGキャラ、普通に呼吸してますからね。モーションキャプチャー使ってれば呼吸も記録されるだろ、って? いや、今この『ドラえもん』も含めてモーションキャプチャー使ってるCGアニメ、あんまりないですよ。 でも、山崎貴監督らしい、最大公約数的『ドラえもん』でもあって、幅広い層にアピールできている作品でもあると思います。1つ1つのエピソードに過剰な重さを置いていないのも、あんまり子供にヘヴィなモノ見せたって仕方ないでしょ、っていう意識があるのでしょうし。 これまでのフィルモグラフィーを見てもこれと言って色の無い映画ばっかり撮ってる感じがしないでもないですが、『永遠のゼロ』と今作とで既に合わせて150億円を越える興行収入を上げている、今の時代の日本で最も観客を動員できる監督、その色の無さの中にこそ求められるモノがあるのではないでしょうかねぇ? 逆に言うと、他の監督には、観客から求められていない余計な色ってのがあるんじゃないのかなぁ。 で、唯一2Dアニメ版では全く感じなかった、この映画ならではの色。しずかちゃんがいいオンナ(笑)[映画館(邦画)] 6点(2014-09-15 23:01:48)《改行有》 287. 舞妓はレディ 《ネタバレ》 年に1~2回、京都旅行にでかけて、老後は京都に住みたい(宝くじでも当たればね・・・)と思っている私にとって(両親とも代々目黒なバリバリの東京モンですけどね)、京都は憧れの世界。 その京都の伝統、文化、そこに生きる人を伝えている部分はとても良かったと思います。絵葉書的な定番の風景も出てきますが、舞妓の世界から見た京都の生活というのがとても興味深くて。 一方、今年は『アナと雪の女王』19回見たりとか宝塚ハマって8回見たりとか(今年あとプラス3回予定)、ミュージカルづいておりますが、この映画、ミュージカルってモノとしてはダメダメな感じなんですよね。 歌や踊りにちゃんと命が通ってないの。なんていうか、とってもハンパなモノを見せられてるなぁ、って感じで。普通に演技している部分はいいのに、なんでミュージカルシーンになると途端に画がダラけてるようなふざけてるような、いい加減なモノになっちゃうんでしょ? 歌で心に響いたのって大原櫻子(このコは『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でも聴かせてくれましたねぇ)のところだけ。主役のコも上手いけれども踊りや表情は全然な感じ。ベテラン俳優の皆様に至っては、見ていてキビシイとしか。 『Shall we ダンス?』(宝塚版も見させて頂きました)のダンス教室メンバーが揃って出演していて、ラストにはあの二人が復活したりもしていますが、そういう内輪ウケ的ノリが必ずしも良い方向に機能していたとは言い難い感じで。特に監督の奥さんのミュージカル部分、あそこは丸々要らなかったんじゃないかなぁ。その分、尺を削って欲しかった感じが。 京の伝統の大切さについて言及している映画が、ミュージカル映画とか歌謡映画とかの伝統を軽視しているように見えてしまうのは問題だなぁ。[映画館(邦画)] 6点(2014-09-14 20:22:11)《改行有》 288. ルパン三世(2014) 《ネタバレ》 『ルパン三世』のイメージって言ったって、原作、テレビシリーズ、映画、テレビスペシャル、それぞれ作品ごとにかなり異なる訳で(つーか同じシリーズの中だって前期と後期、一部エピソードで全然違うとかあって)、ルパンはこうでなくちゃ!なんてのは結局それぞれの好みのルパンでしかないですよね。私だって世間的には評価の高い『カリオストロの城』の優しいお顔のベタベタとしたロリコンな正義の味方のルパンじゃ困っちゃうわけです。 で、主要キャストは良かったと思います。それって単なるコスプレだろ、みたいな状態ではなくて、それぞれにその人なりのキャラクター像を作り上げていた感じで。浅野忠信のたどたどしい喋り方は厳しかったですが。 問題は物語がちっとも面白くないって事と、アクションシーンがダメダメだって事。いや北村龍平からアクション取ったら何も残らないんじゃないの?って感じですが、細かく切りすぎでバカ臭くなってたり、アクションの起きている位置関係が不明だったり、繋ぎ方がおかしかったりで酷いです。 カーチェイスにしても単発のディティールばかりで繋いでる感じで全く流れになっておらず、それをカーチェイスシーンと呼べるのかどうかすら怪しいレベル。 で、物語は余計なキャラを絡ませ過ぎで。ルパン一味と銭形と悪役、それだけではダメなんですかねぇ。『スニーカーズ』みたいなグループものになっていて、そのオリジナルなキャラがつまんないです。 あと、黒木メイサの不二子は悪くないんですが、まるでお色気不足。これは彼女のせいでなくて、演出とかカメラとかコスチュームとかのせい。なんでそういうところにはフェティッシュなこだわりを見せられないんですかねぇ。 全編にアジアンテイストを盛り込んで国際色豊か、みたいな映画にしたかったようにも思えるのですが、なんか恥ずかしいノリになっちゃってるんですよね。結構ダサめ。 せっかくメインキャストの面々は頑張っているのですから、もっと彼らを中心にカッコよく見せてあげられなかったのかなぁ。残念。[映画館(邦画)] 4点(2014-09-01 21:06:26)《改行有》 289. 宇宙兄弟#0 《ネタバレ》 原作未読、テレビシリーズは放映時間が変更になる前まで、実写映画版は見てます、という状態。 これ一作のみの映画として見ると色々とキツいかな。後にどんなドラマが待ち構えているか知っていてこそ楽しめる部分が多いように思います。 既知である過去部分の映像化という事で物語的な冒険はできません。キャラに思考や行動の大きな飛躍をさせる訳にもいきません。 ゆえに本筋上に存在しているような日々人のNASAでのドラマは予想の範囲の中に収まっている感じ。 一方、左遷という脇道を進む六太のドラマはキャラも活かされ六太の成長が描かれて楽しめました。 問題は作画。雑です。映画クオリティに達していません。 傾けたグラスの中の梅酒の梅が全くグラス内を移動しないというような細かい部分はともかくとして、ブライアンが月面を歩くシーンなどはとても重要なのですから、そこはちゃんと描いてくれないと。 月面を人が移動するのはどんな感じなのかは実際の映像でよく知っているわけですよね。その6分の1の重力の世界をブライアンがどう踏みしめたのか、どう歩んだのか、それを雑なぴょこぴょこしたアニメートで描いちゃうのってかなり残念。 地球での重力足らない感じのふわついたアニメート共々、その表現の差を求めるのは酷なんでしょうかねぇ。この題材ならばそこはとても重要になってくると思うのですが。 キャラや展開の説明不足、投げっぱなしになるエピソードの数々など、ファン向け映画といった風情で、知識あればこその感動はありますが、一見さんだとキツいですか。 個人的には雑な作画のアニメよりはむしろ実写版の小栗旬と岡田将生で見たかったかも。[映画館(邦画)] 6点(2014-08-25 06:21:06)(良:1票) 《改行有》 290. るろうに剣心 京都大火編 《ネタバレ》 テレビ放送した前作の録画を見て臨みました。前作見てなかったし、原作も読んでないし。で、前作は「まー、そこそこ?」みたいな感じでしたが、今回は「もうちょっと上のそこそこかな」って。 前作よりも大幅にスケールアップ。大がかりなセットに沢山の登場人物、大量動員のモブシーン、そして痛快なアクションシーン。 ちょっとドラマ部分がタルいかな、って感じがしないでもないですが(前作からのんびりした時間が流れてます、って状態の剣心周辺のヌルさがなんか弛緩した感じで)、見せ場をいっぱい作って、パワフルにガンガンと押してゆく感じは心地良いです。剣心独特の軽やかな殺陣が痛快ですしね。 気になったのはもうちょっと被写体から引いて欲しくてあまり動かさないで欲しいカメラと、前作同様になんだかとっても不自然に聞こえる剣心の「ござる」言葉(元のセリフ自体が悪いのか、発音・発声が悪いのか・・・)、演技に力が入り過ぎちゃって何を言ってるのか全然判らない少年のお兄ちゃんの今際の際のセリフ、唐突な刀鍛冶の息子の心の声(何故にあそこだけ?)。 でも、そのスケールの大きさを実感させる娯楽エンターテインメントっぷりは夏休み映画に相応しい感じで、物量主義的ではあるけれど、邦画でのそういう攻めの姿勢は、それはそれでアリなんじゃない?って思います。邦画ってかなりの話題作であっても物量だのスケール感だのエンターテインメント性だのってところからはワリと逃げますもんね。 結局は物語の途中で終わってしまって次回に続く、って状態なので(ラストは引っ張り過ぎかな)、最後に不満を抱く感じではあるのですが、僅か1か月後には続編公開という事で、次を待つ時間もストレスよりは期待の方が勝る程度の長さ。 内容そのものよりも、娯楽映画を老若男女が集まった満席の劇場の熱気を感じながら見る愉しさを味わえました。それはそれで貴重。[映画館(邦画)] 6点(2014-08-14 21:44:43)(良:1票) 《改行有》 291. GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》 ひと言で言うと「半勃ち映画」。ピッタリくる言葉がそれだったので失礼。 いつになったら面白くなるんだろ?って思いながら見てたら終わっちゃった。面白くなりそうな瞬間っていうのは何度も訪れたのですが、そのたびにブッツリ終わって次に移るって状態。 ブツ切れ感がハンパなくて、悉く「点」。物語の「線」が形成されてないんですよね。それじゃノレません。やっとゴジラが出てきた!と思っても、カメラはさっさとゴジラの前からどっか行っちゃうし。ゴジラ出てる間はゴジラ見せてよ。 その代りに見せられる話もドラマとして成立してなくて。妻を失った父ちゃんのこだわりが成就する瞬間がありましたか? 主人公の行動は「家族に会いたい」という点では一貫してましたが、いちいち怪獣騒ぎに巻き込まれ続け。「人間ドラマと怪獣とは水と油」ってレビューで何度か指摘していますが、無理に絡めようとするとこうなるという見本のような映画で、主人公が度々怪獣の目の前まで飛び出しちゃう無理矢理さ加減はエメリッヒ版を凌ぐ苦笑を生みます。 この映画の登場人物は総じて受動的。状況に追われて仕方なく動いてます。それはゴジラですら。怪獣出たから地球環境ヤバいし退治しないと、みたいな(むしろギャオス退治に出かけるガメラ)。 核の扱いもハンパで困ったもので。ゴジラを反核の象徴とする訳にはいかない事情からか、ゴジラを倒すための水爆実験だったとか、芹沢博士の被曝二世エピソードがただの設定だけで終わってたりとか、核も怪獣も脅威として成立していないんですよね。 日常の中に大きな脅威が紛れ込む事で非日常となる、それが怪獣映画の面白味なんじゃないかと思うのですが、その点、今作は薄味。主人公は怪獣よりも核ミサイルとの追っかけっこに忙しい有様ですし。 あれこれと他の映画を思い出すのはサービスとでも捉えればいいのかな? 金門橋の戦闘は『モンスターVSエイリアン』、音楽はむしろ『クローバーフィールド』、ゴジラ的には『2000ミレニアム』みたい。 元々ゴジラにはそんなに思い入れが無いので、ゴジラはこうでなくちゃ!みたいなのは無いんですが、今回のゴジラ「も」あまりカッコ良くはなかったなぁ。そのフォルムからゴジラと言うよりタッコング思い出しちゃった。 なんか微妙に体温低めな感じの映画、もっと熱い怪獣バトルでひいひい言わせて欲しかったわ。[映画館(字幕)] 4点(2014-08-01 20:26:33)(良:1票) 《改行有》 292. 思い出のマーニー 《ネタバレ》 前半は全くノレなくて困りました。『アリエッティ』同様、またギスギスしたキャラが楽し気な姿を見せる事もなく鬱々とした物語を展開させてゆくのかと。記号的な性格の悪いキャラを登場させるあたりも含めて、作品に根の暗さを落としてしまうのはこの監督の性格なんでしょうかね。 杏奈がリアクションの薄い、表情の無いキャラであるとは言え、何らかの魅力は与えておかないと(この場合、絵ですかね。もっと彼女が描いた絵に杏奈という人格を映すとか)。どうも掴みが上手くないように思います。 中盤になって杏奈とマーニーのコミュニケーションの形が見えてくると映画への興味も膨らんできますが、それにしても構成はかなり雑だと思います。 マーニーはシンプルに杏奈のイマジナリーフレンドだと思わせつつミステリアスな要素がそれ以外の何かも想起させますが、そのミステリアスを生むためにとにかくエピソードのお尻を曖昧に切りまくるので破綻寸前。 サイロから発熱までをクライマックスに仕立て損なっている感じで、その後、真相話に至る部分があまりに唐突に感じられます。 それを救うのは細やかな作画や美術や音楽。 ジブリお得意のこれ見よがし系の丁寧ですよ作画からもうちょっと進んで、動画から質感や感触を表現する細やかさ。 匂いを感じさせる景色。 そしてキーとなる『アルハンブラの思い出』のメロディ。 物語ではなく、映画を構成する映像や音が杏奈とマーニーの世界を美しく彩り、魅了されてゆく感じ。作品空間の存在を感じさせる表現力。 終わってみれば、杏奈の内的成長を表現するに相応しい世界を共有し、心に沁みる時間を体験できたと思いました。[映画館(邦画)] 7点(2014-07-22 06:19:21)(良:2票) 《改行有》 293. 渇き。(2014) 《ネタバレ》 今回もまた中島監督らしい映像の洪水っぷりなんですけど、でもこれまでと違ってちっとも面白くありません。 暴力とか悪とか、そこに魅力を感じないの。「そういうのが嫌いです!」とかっていうんでなくて、この映画のソレが類型的で表面的な感じ。暴力団絡みとか警察も含めた陰謀とか大物とかいう話になると、ああ、そっちね、って。そのウンザリする感じを決して越えてはゆきません。 加奈子って魅力的じゃなきゃダメなワケですよね。それで初めて成立する話で。ところが、そんなに魅力的なキャラに見えないんです。周囲がみんな魅了されちゃう、振り回されちゃう、そして破滅してゆく、その流れに説得力を与えるのは、少なくともあの異様にダサいダンスシーンではないハズで。 「彼女は幻影のような存在でもある」という事か、揺れ動くフレームの中、光の中、逆光の中に存在してたりする画が多いのですが、その曖昧さは決して魅力を醸すのに効果を生んではいないと思います。 シネスコ画面いっぱいに顔のアップの連続だったり情報で埋め尽くしたり、だけどなんかそれが空疎。中身が無いのにゴテゴテ飾ってるようで、それはこの映画のテーマにも繋がっているようにも思えますが、でも、その平板化した状態はシネスコの使い方が下手なんじゃない?って。 原作からしてつまんないのかもしれませんが(少なくともこの物語ではねぇ)、にしても独自の魅力でガーン!ってクるもののない、既成のイメージの寄せ集めコラージュに終始した感じで、これまでの中島作品が好きだった私としては今回、失望が大きかったです。[映画館(邦画)] 4点(2014-06-29 00:28:56)(良:3票) 《改行有》 294. 春を背負って 《ネタバレ》 居心地の悪い映画。大自然がモチーフになっているのに中身は不自然のオンパレードっていう。その不自然な「感動作ですよ」って作りに、なんかいたたまれなくなってしまう感じ。 全編に漂う古臭いセンスは、それはそれでいいというか、この作品のあり方なのでしょう。問題は風景以外の何もかもが作り物めいていてどうにも冷めてしまう点。 映像とセリフと音楽とでこれでもかと説明しまくってきます。登場人物全員が説明のためのセリフと演技を繰り出してくる状態で、特に本来セリフにすべきでない、それこそ映像で語るべき心情、心象がクサいセリフとなってどんどんこぼれ出してくるのが本当にいたたまれないです。 更に、映像に明らかに不要なものと足りていないものがあって、それがおかしな印象を与えています。 安藤サクラが意味ありげに旦那の仕事姿を見つめるシーンは必要ありませんし(旦那が真剣に仕事に打ち込んでいます、という表現であるならば、彼女の曖昧な表情は物語に不要な不安を与えてしまいます)、逆に蒼井優の作る「おいしいご飯」や「母が大事にしていた写真」、更に「小屋の近くで見つけた絶景」はその画が必要なんじゃないかと思います。映画なのだからセリフだけでなく映像でおいしさを見せて欲しいですし、写真や絶景は流れからして当然見えるモノだと思っているとスカされちゃうんですよね。松ケンやトヨエツが眺めてる姿でなくて、カメラが更にその二人の前に出て実際に二人が見ている風景が欲しいんですけど。 映像には見るべきところもあります。雄大な景色はもちろん、通夜のシーンで部屋を埋め尽くしていた人々がさーっとはけて主要人物のみが残るカットなど、さっと静へ転じる巧さが際立ちます。 でも、表情を強調するための寄りや、アクセントとなるスローの多用はそれってどうなんだろう?果たして必要だろうか?って感じてしまって。 善き人々ばかりの物語ならば感動は容易に紡げるハズ、という感じで作られているように思えるのですが、なにか全てが現実からちょっと浮いているように見えて、印象としては「面映ゆい」とか「気恥ずかしい」とか「きまりの悪い」とかいう表現が浮かんできてしまうような映画なのでした。[映画館(邦画)] 4点(2014-06-15 00:50:38)(良:1票) 《改行有》 295. 女子ーズ 《ネタバレ》 同時期に上映している同じ福田監督の『薔薇色のブー子』よりも、もう少しだけ面白かった、かな?みたいな。 「怪人を前にガールズトークしちゃう女の子だけの戦隊の話」 そこだけだったらとても面白くできた映画なのですが、それ以外の部分はそんなに褒められるものでもなくて。 まず背景となるストーリーはありきたりです。成果を優先するあまり、仲間と仕事との間で摩擦が生じて、って。恋愛部分はケリをつけていない、というかどっか行っちゃうのでエッセンス程度にしかなっていませんし。 それから幾らなんでもそれはバランスが悪過ぎるだろう、っていうのが佐藤二朗の喋りの長さと歩道橋のシーンでの長回し。『HK/変態仮面』での偽変態仮面の独演のクドさ、アレと一緒で福田監督作品としてのマーキングみたいなモンでワザとやってるんでしょうけれど、そういうクドさは要らないなぁ、みたいな。その時間をもっと女子ーズに割いてよ、っていうのが正直なところ。 女子ーズの面々はとても魅力的だったので、個人的にはそこだけで描いて欲しかったです。はい。[映画館(邦画)] 6点(2014-06-12 22:51:18)(良:1票) 《改行有》 296. 青天の霹靂 《ネタバレ》 手品をする手元から役者の顔までをワンカットで捉えるとか、長台詞長回しの間に天候が変わって雨降りから陽の光に包まれてゆくとか、そういう技巧的な表現はともかくとして、それ以前の基本のところで「なんだかなぁ・・・」って思ってしまって。そもそもその画はどういう理由でその画なの?というのがとても多くて。 なんでそのカメラは動くの? なんでイマジナリーライン越えてるの? なんで頭が切れた極端なアップと引きの画の反復状態なの? なんでいきなり部屋の外からのショットなの? それは一体誰の目線なの? って。基礎無しでいきなり技巧に走ったみたいな映像がいっぱい。手持ちショットが多くて全編ガタガタと動いてますが、もう少し全体の表現自体に縛りを入れた方が良かったんじゃないかなぁ。 話自体は大して面白くないです。よくある話。特にヒネリは無し(あ、ラストは卑怯なヒネリ方してるかな)。 タイムスリップものとしてひっかかる点が幾つか。未来ならともかく過去に戻ったのならば実際に行動し始める以前に新聞の日付だけでいきなり飛んだ事を認識しちゃうのは短絡的過ぎますし、昭和48年時点で十分物心ついてた身としては、あの風景はせいぜい昭和40年代初頭くらいだろ、と。 歴史改変ものではないので時系列を利用した凝ったトリックなんかは無いのですが、せめて時代や人のギャップで笑わせる程度の事はしても良かったと思うんですけどねぇ。 で、柴咲コウが倒れるところとクライマックスとで「ここが見せ場!」とばかりにクロスカッティングで盛り上げっていうのをやっていてクドいです。この2回のクロスカッティングのせいで映画のテンポが悪く、短い上映時間のクセにダラけた映画になっています。なんつーか、野暮。 大泉洋が全編ぶすーっとした状態でキャラとして面白味がないんですよね。劇団ひとりとセットになる舞台のシーンだけ面白いって感じで。肝心のクライマックスの舞台にしても華がないですし。 古臭くて野暮ったい感動的なお話が見たいなぁ、って思うならば(思うか?)ピッタリ来る、そんな映画。カメラと画の繋ぎに落ち着きが無いのが難点ですけど。[映画館(邦画)] 4点(2014-06-12 22:35:38)《改行有》 297. WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~ 《ネタバレ》 見る前は、どうせこの監督の「極端にデフォルメされたダメなヤツが笑わせつつ頑張って最後には感動的な展開」っていつものパターンなんでしょ?って印象だったんですが、実際も全くその通りで、それでもまだ今回はおふざけっぷりは控えめ、林業ってモノに対しては真面目に向き合ってる感じがします。でも、この題材に矢口監督がふさわしかったのかどうかは疑問で。 主人公がいかにも矢口監督のキャラらしいウザいレベルのダメさで、そこから感動まで持って行こうとするあざとさっていうか、無理矢理さがシンドいなぁ、って。あそこまでダメなヤツって普通じゃないですし、そこに共感が無いまま、努力の積み重ねみたいな描写も欠如して流れて、タナボタ的展開によって良き方向に転じてゆく感じなのがどうもノレなくて。 森に消えた子供を見つけて周囲の信頼を得るよりは、林業の部分で実績を示してこそなんじゃないでしょうかねぇ。 大体、主人公の1年間を追った物語なのに、最後の半月の時点で主人公、体ダルダルで色白のまま、冒頭から全く見た目変わらないっていう。 あと、ちゃんと画として撮りきれてない、繋がりきってない部分が多い気がしました。背中の中村林業の社名から中村林業に行くまでの流れは途中が飛んでる感じですし、水辺のお地蔵さんはそれがお地蔵さんであるとハッキリ認識できるだけのディティールが出てなかったり。高い杉の上の二人を捉えた画も、なかなか安定せずにいい画に収まりきるまでが大変、って状態でしたしねぇ。 最も気になったのは林業の大切さや良さは描けているのですが、じゃあ、それが都会生活とどう繋がって、どう未来への可能性を拓く事ができるのか?って点についてはちっともなところ。 結局、都会生活と山暮らしとで断絶しちゃってるんですよ。類型的な、排除すべき悪役として都会の若者を登場させる事によって「山暮らし最高!」ってところに閉じちゃってます。排他的、閉鎖的な状態こそを是としちゃってたら、そもそもこの映画を作る意味があるんでしょうか? しかし伊藤英明は良いですなぁ。あの性格、あの体格。この映画の中で最も生きたキャラになってて素晴らしいです。 クライマックスの騎乗状態もアレな感じで、もっと真面目な作りで良かったんじゃないかなと思いますが、矢口監督だとこんなところなんでしょうね。[映画館(邦画)] 6点(2014-05-15 21:41:53)《改行有》 298. サカサマのパテマ 《ネタバレ》 思いきりの『アップサイド・ダウン』とのネタカブリで(いや、ここまで発想が似ちゃうっていうのはなかなか無いっすよ?)、でも私としてはアチラの方がずっと面白かった、って感じで。 最先端なVFXを使った圧倒的ビジュアルで魅せるアチラに対してこちらは手描きアニメゆえに視覚的にはどうしても制限がある訳ですが、この作品はこの作品なりの魅力がもっと出せたと思うんですよ。 手を放すと落ちていってしまうっていう恐怖感、この映画はそこばっかり。二人が繋がってる状態(暗喩的にはモロなんですが)、その気持ち良さっていうか、繋がっているがゆえのステキな時間の共有、それが全くちっとも表現できてないの。そここそが大切なんじゃないの? その二人の大切な時間の描写はあまりに淡白で、話の大半は二人で逃げた、彼女が連れ去られた、囚われた、彼女を助けに行かなくちゃ、っていうありふれたソレ。あとはこのテの作品にありがちな世界の設定のクドクドとした説明と。 で、後半になると「上下のイマジナリーライン」がメタクタになってしまって、もうどっちがどっちで結局その世界の土台はどういう状態なのよ?とワケ判らなくなってしまって。 一応、イマジナリーライン越えのために世界をぐるりと180度回転させる描写が出てくるわけですが、それが更にややこしい状態を生み出しているばかりで。 設定上、当然2つの重力世界をハッキリ描き分ける事が必要なのですが、それがもう全く無自覚なレベルで欠落しちゃってて、大変に残念な事になっちゃってると思いました。 『ラピュタ』からの引用もワリと露骨で、意欲だけはあるのだけれども未熟で安直で空回りし続ける作品としての印象が残りました。 っていうかこの映画はキャラクターが設定や物語に縛られまくっている感じですが、アニメって、もっと気持ちのイイものなんじゃないかなぁ・・・[映画館(邦画)] 4点(2014-05-08 19:50:56)(良:1票) 《改行有》 299. テルマエ・ロマエⅡ 《ネタバレ》 前作と同じ。焼き直しみたいなもの。 後半のダラダラっぷりが多少は改善されたかな?くらいのモノで(前作がダメ過ぎた感じですけど)。なので前作を楽しめれば今作も楽しく、前作をこんなモンか、って思ったら今作もまたそんなモンで。 水の中に吸い込まれる映像も挿入されるオペラもそのまま、ネタ的にもあまり代わり映えはせず、登場人物もそのまま引っ張り。 よくぞこれだけの画を作れた、ってスケールの大きな映像は今回も健在。コロシアムのモブなんか見事な物量っぷりで。でもまあ、中身そのものは前作と一緒です。 後半はまた大規模な施設作りと立場危うしって話ですしね。つーか、温泉を掘り当てる事が映画の最終的な目的って、それがちゃんと設定された描写が足らなかった気がするんですが。 気になったのは安易にナショナリズムを刺激してる感じ。日本人、外国人から褒められるのが大好きですからねぇ。実際にそういうテレビ番組も色々と存在しておりますし。 で、この映画はそんな平たい顔族の文化を無条件に肯定してみせるワケですけれども、じゃあたとえば混浴とかって、その解釈は理想論に過ぎるんじゃないか?って。これって日本人の本音と建前の、その建前部分のみを濾過してるようなシロモノなわけですよね。そこで安易に日本文化、日本人サイコーって持ち上げると、それは盲目的なナショナリズムを煽る行為に繋がるんでないの?とか思っちゃう訳で。 古代ローマ人を日本人が演じる、この国の中だけで閉じた映画、それが単なるお笑いで済ませられればいいのですけれども、その奥に偏った閉塞性があるとしたら、ちょっとイヤかな。[映画館(邦画)] 5点(2014-04-29 22:09:28)(笑:1票) 《改行有》 300. クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん 《ネタバレ》 展開読めまくりの古臭いSF設定をどう『クレしん』に編み込んでゆくのか?というのがポイントだったのですが、かなりスベり気味なプロット、ギャグの数々で隙間の多い作品になっちゃったなぁ、って感じで。 冒頭からしばしは快調。ひろしがロボとーちゃんになってしまう、それを家族が受け入れてゆくっていう、極端な非日常が日常との調和を取ろうとする流れは面白く。 でも、具体的な陰謀の姿が見え始めると、ここから設定の説明です、みたいな描写になってしまって「あーまたこのパターンか」と。敵キャラも毎度のスベり系で長々と寒い見せ場を取ってしまってますし。 っていうか、五木ひろしの『契り』の真似をするコロッケのロボがラスボスです、って、そんな古くてサブいもん延々引っ張られたらヒくわ。 また、段々原ちゃんは『暗黒タマタマ』のよねさん的ポジションですが、よねさんはいらないコに見えつつ物語に推進力を与えてたのに対して、段々原ちゃんは本当にいらなかったんじゃ?みたいな存在で残念。 評価ポイントとしては真の父権とは?という問いをロボットからの視点で描いてみせた点。だけど、そこに女性専用車両とか映画館のレディスデーとかいった生々しいモノを出してしまうと、素直に楽しめなくなってしまいます。 みさえが事あるごとにペソペソ泣き出して感動方向に持ってゆこうとしているのが見え見えだったり、『がきデカ』とか「コマネチ!」とか古いネタがやたら多かったり、ああ、やっぱり『オトナ帝国』の呪縛がいまだにベットリと染みついてるんだなぁ、ってところにイラっときてしまったのが正直なところ。 幾つかのSF作品から引用された物語と、後期『クレしん』映画にありがちな寒い敵キャラ設定部分を除くと意外と残るものは少ない映画って気がしました。[映画館(邦画)] 5点(2014-04-24 21:07:11)《改行有》
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