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プロフィール
コメント数 2260
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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21.  宇宙人のあいつ 《ネタバレ》 ネタバレあります。ご注意ください。 主要登場人物それぞれに「課題」が設定されていました。長男・夢二は「結婚」、長女・想乃は「未婚の妊娠」、三男・詩文は「元級友からの復讐」、そして次男・日出男こと土星人トロピカルは「故郷に誰を連れて帰るか」。長男の件は兎も角も、残り3人の課題はかなりシリアスな部類。どう決着をつけるのかと固唾を呑んで見守っておりましたが肩透かしを食らいました。三男は何故和解できたのか謎ですし、長女の案件についても対応が的外れ。戦っているようで、実は全然戦っていません。極めつけはメインストーリーである次男の課題。物語冒頭で「結果」が開示されていました。『コロンボ』『古畑』スタイルのミステリーならいざ知らず、いきなりネタバレとはこれ如何に。このケースで考えられるのは「意外な真相」パターン。てっきりビッグ鰻を家族として連れて帰るものと予想していましたが大外れでした(そういう伏線ありましたよね)。つまり日出男ことトロピカルの課題は何も解決していません。振り返れば長女だって本当にそれでいいの?という決着。そう、本作の課題解決スタイルは「問題に正面から向き合わない」でした。細かいエピソードなら「サイドミラー破壊事件」、大きな括りなら「家族のかたち」にもこの法則が当てはまります。大人4人が食卓を囲み、何かあれば家族会議。微笑ましいと感じる一方、どうにも心がざわつきます。日出男が抜け、想乃の子が加入する未来。この「家族のかたち」を維持していくのが本当に幸せなのでしょうか。家族に縛られていたら自分の人生を生きられないのでは。特に心配なのが長男・夢二です。両親を亡くしてからは家業を継ぎ、大黒柱として一家を支えてきました。それが彼のアイデンティティ。「家族のかたち」は「幸せのかたち」でもあります。でも20年、30年先を見据えたらどうでしょう。いつかリセットボタンを押す日が来るかもしれない。その時、夢二は何歳ですか。勉学、恋愛、就職、結婚、出産、育児。かつては半ば「義務」であったこれら人生の課題には「適齢期」があり「家族」の形式維持に必要でした。その点、現代日本で必修課題は無くなりました。何をして、何をしないか「自由」です。ただしその結果は引き受けなくてはいけません。まさにトロピカルには自身の選択に対する清算が待っている訳ですが。私は当初夢二の課題を軽視しましたが、本当は一番真剣に取り組まなければならない、切羽詰まった課題なのかもしれません。 役者の皆さん芸達者揃い。キャラクター造形も素敵ですしファミリードラマ&SFコメディとして上質だったと思います。構造は「古き良き日本の家族、その愛と絆に笑いを添えて」が包皮、「日本人の価値観変化と社会が抱える課題」が中身と判断します。外側は口触りが良く楽しいので、そこだけ食して気分よく終わるもよし、丸ごと噛み砕いて芯に隠された苦みまで味わい尽くすもよし。公式HPをみると前者推奨のような気もしますが、監督としては当然後者を望んでいるはず。違いますかね?伏線未回収や問題解決のポイントずらしは故意としか思えず、私は監督を「一筋縄ではいかない曲者」とお見受けしました。でも「考えすぎ」も否定できません。いずれにせよ私の力量では本作のみで監督の正体を見極めるのは困難であり、予想外に「難しい映画」だったという評価です。[インターネット(邦画)] 7点(2023-10-04 18:55:56)《改行有》

22.  岸辺露伴 ルーヴルへ行く 《ネタバレ》 『デビルマン』や『北斗の拳』を引き合いに出すまでもなく、ファンタジー漫画やアニメの実写化が難しいのは衆知の事実です。爆死必至の禁断のジャンルにあって、TVドラマ版『岸部露伴は動かない』は稀有な成功例のひとつと言えましょう。成功の要因は、ひとえに実写作品に必要な「リアリティ」を担保した事と考えます。奇しくも岸部露伴が好きな言葉。パッケージの再現に気を取られることなく「作品の本質=魅力の源泉」に注目した制作姿勢が功を奏しました。一度かみ砕いてからエッセンス・旨味成分を抽出し現実にフィットさせる手法は、原作、いや荒木飛呂彦ワールドに対する深い理解と敬意が成せる業でありました。本作はそんなTVドラマ版のキャスト・スタッフが再集結した映画だそう。TVドラマ版のファンであれば違和感なく楽しめる作品であったと感じます。 以下ネタバレを含みます。ご注意ください。気になった点を2か所ほど記載します(ちなみにジョジョは6部までコミックを所有、岸部露伴シリーズは本作を含め未読多数)。まずキーパーソン「奈々瀬」について。彼女の正体は絵師・山村仁左衛門の妻でありました。つまり青年露伴が出会ったのも、ルーブルで助けてくれたのも幽霊ということ。ここで疑問。何故彼女は和服ではないのでしょう。理由の一つは観客に死者であることを悟らせないため。いわゆるミスリードです。だとすればアンフェアな表現では。いえ、これはセーフ。露伴が見たのは「奈々瀬」の魂。有形ではありません。露伴の固定観念や先入観、あるいは理想等が反映されていたとしても不思議ではありません。もっともこれは考察から辿り着く仮説であり、和服であればより納得感はあったと思いますが。次に物語の構成について。サスペンスとしてはルーブル地下決戦で終了しています。そこにエピローグ「実はこんな裏話がありました」が20分。重要な種明かしであり蛇足ではないものの、流石に長い。ジョジョ5部の最終エピソードもこんな感じでしたし原作どおりかもしれませんが、仁左衛門との戦いの中に組み込んだ方がすっきりした気がします。いや、それだと間延びしてしまうのかな。巨人の星と比べれば可愛いものだという気もしますけども。 相変わらず高橋一生さんの露伴は素晴らしい。キャラクターを自分のモノにしています。だからコスプレ感がありません。飯豊まりえさん映じる泉京香も実に愛らしい。黒い絵の呪いにかからないのは鈍感なのか、あるいは無垢なる魂ゆえでしょうか。2人のコンビネーションは鉄板の面白さでした。映画でもTVでも構いませんが続編を強く希望します。[インターネット(邦画)] 7点(2023-09-26 19:30:01)(良:1票) 《改行有》

23.  母性 《ネタバレ》 ①女性には2種類の人間がいる。一つは母親で、一つは娘である。子どもができたら娘は自動的に母親に移行するのではなく、娘で居続けようとする者もいる。②母性は最初から備わっている、あるいは子どもができると自然に湧き上がる感情ではなく、学習し習得するものである。清佳(永野芽郁)の持論は、彼女から見た母ルミ子(戸田恵梨香)に対する人物評でもありました。この見解に異議はありません。そういう人もいるでしょうし、勿論そうではない人もいるでしょう。いずれにせよ親には子を産んだ責任があります。子が親に求める責任とは「愛して欲しい」それだけです。「無償の愛」なんて言いません。愛する分だけ愛して欲しい。ですから母の言葉「子どもはまた産めばいい」はどんなに残酷なことか。清佳の記憶から消去されたのも無理からぬ話です。こんな呪いを抱えたまま生きていけるはずなどありません。一方、華恵(大地真央)にとってもルミ子の発言は衝撃だったでしょう。愛する娘に母性が備わっていないとは痛恨の極み。彼女は自らの命を賭して「親の愛とは何か」を娘に伝えようとしたのだと思います。 幼少期~思春期にかけ、清佳は本当に苦しんだことでしょう。親の機嫌を察知できないのも困りものですが、親の顔色ばかり窺っているのは不幸です。「愛情」という「心の栄養」を満足に受け取れなかった影響は如何ばかりか。よくぞまっすぐに育ったと感心します。いや「曲がる事さえ許されなかった」でしょうか。その結果「遊びのない」娘が出来上がりました。真面目と言えば聞こえは良いですが「受け流せない」は危険です。いつかポッキリ折れるかもしれない。事実彼女は一度自死しかけました。強い風には適度に曲がり、時には流され、逆風への耐性を付ける事が肝要であります。 物語のラストは、清佳自身が娘から母へ立場を変え、両親へのわだかまり解消を口にする大変前向きなもの。この心境変化は彼女の中に芽生えた「母性」による効果でしょうか、あるいは結婚や出産時に発現する「はっちゃけ」の類でしょうか。私が清佳なら絶縁以外の選択肢はありませんけども。ここで注意が必要なのは、彼女が抱えるリスク「遊びがない」が解消されていないこと。居酒屋での言動をみると大変不安になります。子育ては思い通りに行かない事だらけ。そんな時重要になるのがサポート体制であります。義理の父母そして夫。いや夫はサポートする側ではなく、育児の当事者ですね。そもそも父親がきちんと機能していれば、清佳がこんなに苦しむ事もなかった訳ですが。ちなみに華恵(大地真央)-ルミ子(戸田)-清佳(永野)の母娘関係がメインであったうちは「母性のありか」「愛情の行方」に物語の焦点が合っていた気がしますが、華恵退場後は「嫁いじめ」が強烈過ぎてそちらに気を取られてしまいました。父の浮気やその浮気相手の言い分も胸糞でしたし、後半はややメインテーマと物語の軸がブレたかもしれません。 最後にミステリーパート「母と娘、それぞれの真実」について。これは『ミステリと言う勿かれ』で整くんが述べているように、事実はひとつ。でも真実は人の数だけあるが正解だと思います。「弁当が落ちた」という事実に対して、母は「ショックのあまり手が滑った」娘は「腹立ち紛れに叩きつけた」と認識していていますが、この程度の解釈の違いはあって当然です。ただ自殺未遂直前の行為についてはどうでしょう。「抱きしめた」と「首に手をかけた」では違い過ぎます。これはどちらかが(あるいはどちらとも)事実を改変している事を意味しました。ここからは完全に推測ですが「首に手をかけた」が事実と思われます。現実に耐えられなかった娘は自ら首にロープを巻くことで「事実を上書きしようとした」が真相ではないかと。何と不憫な自殺理由でしょうか。本当に娘を殺す気があったとは思えませんが、ルミ子が錯乱していたのは間違いありません。精神的に極めて追い込まれた状態であり、すぐに入院治療が必要なレベルかと。ですからその後ルミ子が適切な治療を受けていないとすれば、状況は悪化こそすれ好転などしていないはずです。娘の妊娠報告をうける場面。ルミ子がそっと閉めた扉の向こうには要介護の姑がいたはず。何やら寒気がするのは、気のせいであって欲しいのですが。[インターネット(邦画)] 6点(2023-09-19 18:54:50)(良:1票) 《改行有》

24.  コンビニエンス・ストーリー 《ネタバレ》 三木聡監督待望のファンタジーコメディ。いや「ホラー」ですよね。さらに「ミステリー」でもある。複雑怪奇な味わいですが、これが三木聡節です。万人に勧められる映画ではありませんが「好きな人にはたまらない」のも間違いありません。それでは私なりの解釈を。誤読、思い込み、頓珍漢、ご容赦ください。 大筋は以下のとおり。主人公は自動車事故がキッカケで、あの世の手前にあるコンビニ(リソーマート)に辿り着きました。刺青がある店主の南雲(六角精児)は物の怪の類。閻魔大王の配下でしょうか。その妻である恵子(前田敦子)は、大量殺人事件・通称「江場土事件」の生き残りとのこと。しかしこれは南雲の作り話。あの世へ行くはずだった恵子を南雲が見初め引き止めたのです。立場的には「捕獲されたムカデ」と同じ。ちなみに彼女はガソリンを使って殺されたのかもしれません。囚われの恵子は、迷い込んできた脚本家・加藤(成田凌)を利用して南雲の元から逃れようと画策しました。一方そのころ加藤の恋人ジグザグ(片山友希)は、彼があの世の手前で彷徨っていると看破します。彼女には霊感あり。メガネ男(おそらく裏社会の霊能力者)に冥界への出張捜索を依頼しますが、南雲の手にかかり殺されます。恵子の手助けもあり再び現世に戻ってきた加藤ですが、そこは自動車事故に遭う直前の世界。運命は変えられませんでしたとさ。ちなみに自動車事故以降の出来事は、全て加藤が執筆していた幻の「コンビニ物語」との見立ても可能と考えますが、やや解釈としてはつまらない。コンビニを題材とした物語を執筆中にコンビニで事故死したからコンビニへの執着が強く、その結果♪あの世のコンビニ・リソーマート(ファミマっぽく歌おう)に迷い込んだとの見立てが適切ではないでしょうか。以上です。 最大の謎(関心事)は、結局加藤はどうなったのかということ。自動車事故の直前、レジで恵子は何やら囁きます。唇の動きをみるに『ふりかえらないで』。あの世から加藤を送り出す際にも口にしていた台詞。“起きてしまった事は悔いても仕方がない”という意味ならば、今度はすんなりあの世へ行って欲しいということでしょう。それは恵子自身に向けられた言葉でもあった気がします。 三木聡監督のファンである私でさえ、ほぼ毎回「なんだこりゃ」と戸惑うのがお約束。今回も観終えた直後の満足度は高くありませんでした。コメディとして分かりやすく笑える箇所もありませんし。しかし、1時間、半日、3日と時間が経つごとに自分の中で熟成されました。これは本サイトに「感想を書く」ための脳内反芻の効果でもあります。考えれば考えるほど「良く出来ている」事に気づかされました。例えば劇中最大の嘘「自動車に撥ねられても無傷」を何の違和感もなく差し込む手際の良さ。加藤の不思議体験を「太陽光の喩え」を用いて補足説明する抜かりなさ。只事ではないでしょう。「面白い」とも少し違う「よくわからないけど好き」という感情で溢れています。ちなみに「好き」には、キャスティングが大きく影響していました。これは毎度の話ですけども。常連の芸達者さんたちが「旨い」のは言うまでもありませんが、主要キャストの皆さんが素晴らしい。成田さんの力みない佇まいは霊体にピッタリでしたし、六角さんは説明不要で物の怪でした。片山さんの「エロス」は「生」の象徴であり死者の世界を際立たせます。そして何より前田敦子さん。醸し出される「憂い」が絶品!演技の良し悪しはわかりませんが純粋に凄いと思いました。「旅のおわり世界のはじまり」も良かったですが、また一皮剥けたのではないでしょうか。残念だったのは、松重豊さんが不在であったこと。やはり三木映画では、岩松了さん、ふせえりさん、松重豊さんの3人が揃わないと寂しいです。[インターネット(邦画)] 8点(2023-09-14 18:22:24)(良:1票) 《改行有》

25.  カラダ探し 《ネタバレ》 ジュブナイルホラー+ループもの。こんなの絶対に面白い組み合わせじゃないですか。個人的には砂糖醤油か味噌バタークラスの鉄板ミックスと考えます。当代きってのアイドル女優・橋本環奈さんの美しいお顔をあんな感じに歪めてしまう「忖度の無さ」をみて、こりゃひょっとすると大当たりじゃないの?と色めき立ちましたが、結果的には「壁ドン系ラブロマンス」でしたと。いや「壁ドン」じゃなくて「お口ズボッ」ですか。いずれにしても見事に騙されました。正直言って「なんだそりゃ」であります。でもこれは私が悪い。カラダ探しの最後のパーツにしても、絶対に参加者の誰かを生贄にしないと駄目なヤツだろとか、ループが切れたとき結局生き残り一人とかだと切ないなあと、勝手に思い悩んでいたくらいですから。ここまで予断を持って臨むようでは、そりゃ観る方が悪いです。ごめんなさい。で、それを承知の上での相談ですが、やっぱりあれくらい全方位型ハッピーエンドにしないといけないものですか。「ループが終われば記憶は消えてしまう」この上ない「切なさ要素」をいとも簡単に反故にしますか。内村航平が鉄棒大車輪から回転もひねりもなく、すっと着地したような肩透かし感。同じハッピーエンドでも、もっとほろ苦くも、むしろキュンキュンにも出来たと思うのですが。個人的には、銭婆の名セリフ「一度あったことは忘れないものさ。思い出せないだけで」を踏襲しつつ、ちょっぴり切なく、でも極めて未来志向の爽やかエンドが良かったのですが。無理な相談ですか。そうですか。グラニュー糖のハチミツ掛けは、私には甘すぎました。[インターネット(邦画)] 5点(2023-08-31 20:26:40)

26.  ゴーストマスター 《ネタバレ》 映画愛を詠った映画には違いありませんが、その愛情表現は歪です。恨み辛み不満込々。映画をこんなに愛しているのに、映画は自分を愛してくれないのか。主人公の昇華されぬ映画への愛憎が、彼の分身ともいえる脚本に命を吹き込み、異世界の扉を開けたのでしょうか。その不満の源は映画業界を覆う富や機会分配の不均衡に由来するものかと。万年助監督の主人公だけでなく、30年生のベテランカメラマンが家賃7万6千円のアパート住まいという現実が痛いです。遣り甲斐搾取?でもそうしないと廻らない業界事情も理解できてしまうのが恐ろしい。もし隅々にまで適正なギャラが払われたら、制作される映画の本数は激減するでしょう。チャレンジングな企画は通るはずもなく、実績ある監督にしか仕事はまわって来ないのでは。そんな閉じた業界が繁栄するはずもなく。でも、だから、現状を容認するしかないの?いや、それは違うだろう。愛しているが、恨んでもいる。そんな光あたらぬ制作現場の人々の遣る瀬無さが、物語を通じて伝わってきます。きっとこの心情を表現するために「特撮」(SFX)が必須だったと思われます。かつて隆盛を極めた特撮も今は昔。CGに取って替わられ、映画業界において失われていく技術なのは間違いありません。アナログからデジタルへ、いやコストパフォーマンス至上主義の潮流に逆らう事など何人もできません。でも、不遇な人、切り捨てられる者にだって矜持があります。「特殊メイクも結構やるじゃん」「CGには無い味がある」そう思わせたら報われる。本作は映画を愛する全ての「勝てなかった者」に捧げられた鎮魂歌だと思います。[インターネット(邦画)] 7点(2023-08-28 21:29:28)

27.  ウェディング・ハイ 《ネタバレ》 大賞受賞、全国制覇など偉業を成し遂げなくとも、人はいとも簡単に浮かれます。最も手頃で強制力と即効性があるのが飲酒。そして高い罹患率を誇りかつ重症なのが結婚・出産であります。人生のターニングポイントで発症しがちな流行り病と言えます。消える理性、変わる常識。「つける薬なし」の「浮かれ病」はコメディのモチーフとして格好です。この奇病にかかった人たちを憐れむでも蔑むでもなく、生暖かな気持ちで見守れるのは、みんなこの病の罹患経験者だからかもしれません。 脚本は今やドラマ畑でも大活躍の芸人バカリズム。バカリらしい人間観察眼は本作でも健在で、「あるある」から重箱の隅をつつく嫌らしい指摘まで、思わずニヤリとさせられる緻密な人物造形に感心しました。ブライダル業界への批判(ツッコミ)もチクリ。でもそんなマイナス面も含めて、滑稽で愛おしいのが人間という主張でしょう。 浮かれ病の異常さを際立たせるのが、健常者=沈着冷静なウエディングプランナーという構図でした。彼女が大いに困り、奮闘するのを応援するのが物語の中心線と考えます。しかし感情移入できません。私が「愛しさと切なさと心強さ」を知らぬ薄情者だからなのか、あるいは篠原涼子よりDAYO姐こと市井由理派だったからなのか。いいえ、中越も違う病を発症していたからです。お客様は神様病。正常な判断ができない点では浮かれ病と同じです。「NOと言わないウエディングプランナー」一見聞こえは良いですが、「絶対に手術を失敗しない外科医」や「警報が出ても祭りを中止しない主催者」に置き換えれば、ヤバさの本質が分かるというもの。無理難題に困りもせず見事に対応してしまうあたり「ハケンの品格」の大前春子のようでもありました。いずれにせよ、感情移入するに足る魅力が主人公には無かったという判断です。そういう意味では個の力で不足するキャラクターの魅力を補える俳優(バカリ組の中なら、安藤サクラや永野芽郁が該当)であれば、また違った印象になった可能性はあります。 オチについては、センスのある人ほど陥りやすい「逆に、あえての、王道の下ネタ」だと思いますが、完全にすべっていました。ちゃんと気の利いた面白いオチを付けられる人なので、ちゃんとしてください。猛省を促します。[インターネット(邦画)] 6点(2023-08-17 18:29:43)《改行有》

28.  シュシュシュの娘 《ネタバレ》 現代版脱力系忍者コメディを必殺仕事人風に~吹き矢を添えて~。小洒落たレストランのメニューみたいですが、コンセプトはこんな感じかと。ただし悪代官や殿様は現代では官公庁に該当するようで、悪事が生々しくていけません。風刺を超えて、体制批判・政治思想すら感じさせます。シュール&ナンセンスコメディの出来は悪くないので、もっと素直に楽しみたかったというのが本音です。雑味がエグいのです。プロパガンダにしても偏り過ぎでしょう。 復讐譚としては因果応報のバランスが悪いと感じました。ヤリチン男への制裁は兎も角も、当局への復讐は明らかにやり過ぎです。司法の裁きや社会的制裁が望めないから裏稼業の出番なわけで、このまま放っておいても彼らは失脚しました。それでもなお彼らを鞭打つ、いや吹き矢を突き刺すのであれば、今流行の(?)『倍返し』でしょう。復讐は等価報復が基本。超過報復が肯定されるのは、理不尽且つ甚大な被害の場合に限定されます。皆殺しって八つ墓村か。まあ実際のところ全員死んではいないでしょうが、脱力系コメディとリベンジものの相性がそもそも良くないのだと思います。 次にタイトルについて。忍者を表す擬音は『ニンニン』と相場が決まっています。ただこれだと著作権の問題が発生するかもしれませんし、不思議なことに伊東四郎氏の顔もチラつきます。となると次点としてサササやヒタヒタ等が忍者っぽい擬音候補として挙げられそうですが、本作ではシュシュシュが採用されていました。これは忍者というより吹き矢の擬音。そう、本作では忍者刀や手裏剣、クナイや撒菱等名だたる人気忍者武器を差し置いて「吹き矢」がフォーカスされていました。これまた通好みな選択。しかしよくよく考えてみれば、自作し易い、携帯し易い、金属探知機に引っ掛からない等、武器としての「吹き矢」の優秀さが際立ちます。殺傷力こそ毒次第でしょうが、自然界に猛毒は溢れていますし。本作を観たらきっとエア吹き矢芸の家元こと、コサキンの2人も泣いて喜ぶんじゃないでしょうか。[インターネット(邦画)] 5点(2023-07-28 19:24:09)《改行有》

29.  MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 《ネタバレ》 ループ現象の代名詞として「オール・ユー・ニード・イズ・キル」と「ハッピー・デス・デイ」を引き合いに出した同僚に対し、そこは「恋はデジャブ」でしょと返した映画オタクと思しき眼鏡くんが微笑ましい(彼は「インディ・ジョーンズ」も「インディアナ」だと正していましたね)。前出の作品だけでなく数々の傑作を輩出している超優良ファンタジー設定。現象そのものが面白いだけでなく、人生の教訓を示唆する作品も多く、本作は特にその傾向が強いと感じました。要するに寓話ですな。 似たような一週間を繰り返すのは割とよくある話であり、ある意味幸せなことです。一般的にルーティンと呼ばれるもの。これは「平穏」に通じる状態であり、決して否定されるものではありません。しかし引き換えに「時間」や「可能性」「機会」を失っているのも事実であり、利益と損失が本当に見合っているか時々検証する必要はあるでしょう。『齢五十にして天命を知る』上司(マキタスポーツ)が、強い後悔の念から超常現象?を誘発したのも、妙に説得力を感じてしまいます。嘘です。 人生に後悔は付きものですが、なるべく少ない方がいいのも間違いないので、自己実現と社会的役割、義務と権利のバランスを保ちながら、程よい頃合いのエンディングを迎えたいものです。そう、劇中漫画の結末なんか最高じゃないですか。[インターネット(邦画)] 7点(2023-07-27 16:26:45)(良:1票) 《改行有》

30.  君たちはどう生きるか(2023) 宮﨑駿監督が全てを捧げた集大成たる「名残し」の映画。やりたい放題でありながら、きちんと大衆性を担保し優れたエンターテイメント作品に仕上げているのが素晴らしい。今の私の稚拙な知識や経験で解釈するのは申し訳ない、というより勿体ない。今後100年は充分に楽しめる映画でした。もっとも私の場合、残された時間は30年くらいのものなので30年かけてこの映画を自分なりに咀嚼して理解したいと思います。ですから点数は現時点での数値とお考えください。死ぬまでに私の中で10点にするのが目標という意味です。大変なお宝を頂戴しました。劇場で観られて幸運です。感謝しかありません。[映画館(邦画)] 7点(2023-07-27 11:18:57)(良:2票)

31.  騙し絵の牙 《ネタバレ》 (ネタバレご注意ください) 組織内で逆境を跳ね返し出世していく「半沢直樹」カテゴリーのドラマではなく、組織に固執することなく独立に希望を見出す「お金がない!」タイプの物語。あれ?これだと主人公は速水(大泉洋)ではなく高野恵(松岡茉優)になっちゃいますか。でも個人的には速水より高野の方にシンパシーを感じましたし、胸のすく結末も好みでした。終身雇用制度が崩れ、6次産業化が推奨される日本。社会構造の変革が成されつつある今、本作のようなイノベーションドラマがこれから主流になっていくのでしょうかね。 どうやら原作小説は大泉洋をイメージして当て書きされたそう。確かにいつもより輝いていたような。ただ彼以上の存在感を示したのが松岡茉優でした。意識高い系というより、信念の人。強い思いが前に進む原動力となる。大変魅力的でした。やっぱり本作の主役は彼女だったと思います。 ちなみにキャッチコピー「騙し合いバトル」はやや盛り過ぎという気がします。[インターネット(邦画)] 7点(2023-07-26 10:28:12)《改行有》

32.  貞子DX 《ネタバレ》 そもそも「DX」といえば、デラックスと読むのが当たり前。社会認知が浸透している略称「DX」に、後発なのに我が物顔で「デジタルトランスフォーメーション」が今や常識ですって言われても、おじさん的には拒否反応を示してしまう訳です。遠慮しろ。せめて「DT」にしろやと毒づきたくなるのが本心ですが、残念ながらこれが世の趨勢。長いものとタオルケットには巻かれる主義の私は、ただ黙って受け入れるだけでございます。失礼。前置きというより愚痴が長くなりました。そう本タイトルのDXとはダウンタウンの冠バラエティじゃない方の用法です。最新型にデジタルアップデートされた「貞子の呪い」。コロナ禍ともリンクさせた何処までも今風なシリーズホラーでありました。いや、もはやホラーでもありません。マジで微塵も怖くないですもの。ホラー風味の本質コメディなんだろうなという仕立て。シリーズ番外編と考えればこういうアプローチもありかもしれませんが、ブランドイメージを損ねたのは間違いなく、悪ふざけみたいなのはあまり感心しません(どの口がいう)。でもアルプスの少女も家庭教師のCMに出る時代ですし、売れりゃ何でもアリなんでしょうな。でも売れたんですか? 「貞子の呪い」のメカニズムを科学的に考察する部分に焦点をあてた製作方針自体は全然悪くない、いや完全ウェルカムですが、味付けは間違ったと考えます。でもホラージャンルでオリジナルの味を超えるのは至難の業なので、これも致し方ないのでしょうか。だとするなら、もう貞子ブランドに頼るのは無理がありますし、何より恥ずべきことなんだと思います。[インターネット(邦画)] 4点(2023-06-25 10:53:01)《改行有》

33.  ケイコ 目を澄ませて 《ネタバレ》 主人公の台詞はほぼ無し。BGMもありません。無表情、あるいは不機嫌そうな顔ばかり。化粧っ気なし。腫れた瞼。それが主人公の日常です。そんな彼女の表情に感情が現れるのがボクシングでした。嬉しそうにミット打ちをする姿に何だか救われました。多分彼女はボクシングを通じて会話を交わしていた気がします。普段はままならぬ他者とのコミュニケーション。「打てば響く」心地よい時間は「生きている実感」そのものだったことでしょう。会長がくれた宝物のような時間。「チャンピオンになりたい」ではなく「会長や仲間と練習したい」が本心だったのでは。ですから「会話」にならぬ「怒鳴り合い」はそこまで楽しくありませんし、話し相手を失うジム移籍は論外でした。 会長との2人シャドーのシーンがたまりません。至福の時間。でもこれが最後。恋人を、いや父を失う感覚でしょうか。大切な時間が消えて無くなる寂しさや辛さは察するに余りあります。しかし誰もが通る道でもあります。人生に永遠などありません。彼女にも人生の岐路が訪れたということ。主人公と何ら変わらない、顔を腫らした対戦相手とリングを下りて対峙した時、彼女の胸に去来したのは何だったのでしょう。もし彼女がボクシングを続けるのであれば、その目的は今までとは全く違うものになるはずです。誰よりもよく観察して、彼女は自分の進むべき道を走って行く。 岸井ゆきのさんは各種映画賞受賞も納得の熱演。三浦友和さんの演技は個人的に好き過ぎました。あの声、あの佇まい。憧れます。刺激的な描写や展開はありませんが、シーンの切り取り方に独特な間合いがあり惹きつける力がありました。後からしみじみ感じ入ることが出来る良い映画だと思います。[インターネット(邦画)] 8点(2023-06-24 17:21:36)《改行有》

34.  BLUE GIANT 《ネタバレ》 原作既読。というより大ファンです。大好きな故に、期待より不安の方が大きかったのですが・・・杞憂でした。大変素晴らしかったです。特にライブシーンの映像表現、そして何より音楽が。身体を震わせるジャズの音圧は自宅では味わえぬご馳走。これは劇場で観て正解でした。ずっと観ていたい(聴いていたい)と思える120分。あっと言う間でした。物語についても原作の魅力を理解しており好印象。やはり「一生懸命」は胸を打ちます。ずっと半泣き状態でした。玉田はもっと評価されていい男です。原作エピソードの取捨選択については概ね納得出来ました。問題はクライマックスの変更部分。これはファンなら賛否両論出るだろうなと。あれはある意味ファンタジー処理だったと考えます。救いがあり感動もありますが甘口に味変しているため、苦味を知る(原作の結末を自分なりに昇華した)ファンからすると「それは違うんじゃないの」と感じるかもしれません。「観客の望みを汲み取り区切りを付けた」変更の意図は理解できるものの、JASSのドラマは続編できっちりフォローしているため、余計なことしたな感は拭えません。熟成する前に出来立てワインを開けてしまったような「勿体なさ」を感じる訳です。まあ、好みの問題でありファンならではの拘りの範疇の話でありますが。 それにしても本当に音楽が想像以上でした。ジャズっていいなと思わせた時点で映画化した意味は十二分にあったと思います。[映画館(邦画)] 8点(2023-05-13 17:16:40)《改行有》

35.  ロバマン 《ネタバレ》 一体どうしたことでしょう。わりと観易い。まあまあ面白い。あの河崎実監督の映画なのに。『アウターマン』が会心のホームランとするなら、本作『ロバマン』はポテンヒットか内野安打くらいの満足度かと。それでも十分凄いこと。監督が進化・覚醒したのか、はたまた観ているこちらが洗脳・調教されたのか。よく分かりませんが、今までの「安っぽくてくだらない」から「しょーもないけどそこそこ面白い」にランクアップした気がしないでもありません。もちろん錯覚かもしれません。映画館で正規の料金を払う覚悟はまだ持てませんけども。修行が足らずすみません。「悪い奴らは少しやり過ぎなくらい懲らしめるべきなんだ」は蓋し名言ですが、政治家批判は筋悪なだけでなく単純に下手くそです。今となっては、な部分もありますし。AMラジオ的価値観だと文化放送・吉田照美さんとマッチアップするのがニッポン放送・鶴光さんなんですか?伊東タフマンは希少価値もありますし、ご利益ありそう。唐橋女史も含めてラジオ繋がりのキャスティング多し。ラジオリスナー向け(要するにオッサン向け)ですが、果たして商業映画として成立しているのか謎です。もっとも、マーケティングなんて気にしていたら、こんな攻めた映画はつくれませんか。吉田照美さんの佇まいは流石です。長年ラジオ畑で活躍してこられただけあって大変台詞が聞き取り易い。演技云々とはまた別の話ですが一流のエンターテナーだと思います。歌声も素敵でした。点数はもちろん68点でお願いします。[インターネット(邦画)] 6点(2023-05-07 21:51:01)

36.  映画 おそ松さん 《ネタバレ》 新潟万代シティの立ち食い蕎麦屋に評判のカレーライスがあります。芸能人のファンも多く、ご当地B級グルメとしてテレビ等でも度々取り上げられ今や全国区の知名度となった通称『バスセンターのカレー』。昔懐かしの黄色いカレーで、とんこつスープが隠し味となっており昼時には行列が出来るという、おっと映画の感想から大分逸れてしまい失礼しました。私が言いたいのは、このバスセンターのカレーにはレトルト商品があるという点です。一箱1.5人前で590円也。最近少し値上がりしたのかな。このレトルトも美味しいのですが、本物と比べると大体60〜70%くらいの美味しさなのです。で、何が言いたいのかというと、本作も本物と比べると大体同じくらいの面白さということ。ここで言う本物とは元ネタのアニメ『おそ松さん』ではなく、脚本を担当された土屋亮一さんが代表を務める演劇『シベリア少女鉄道』の公演と比べてという意味であります。シベリア少女鉄道、シベ超ならぬシベ少。計算し尽くされた緻密な脚本で展開されるパロディや時事ネタ、悪ふざけを旨とする混沌と狂気の舞台。初めて観劇した2017の作品『残雪の轍/キャンディポップベリージャム!』で衝撃を受けて以来虜となり、何度も劇場へ足を運んでいます。何時も思うのは、舞台ならではの発想と表現だなということ。限られた空間と演劇暗黙のルールを逆手に取り、かつ観客の想像力をフル活用した茶番劇。もとい、知的で高度なエンタメであります。本作の脚本はシベ少舞台にフィットする仕様であり、映画向きではない気がしました。何が不都合か?舞台では想像力で補完する部分が映画であるが故に映像化されており、想像する楽しさが奪われていたような。模範解答が自分なりの正解を上回るのは困難です。やるなら圧倒的な映像力で、個々人の想像力を捻じ伏せるくらいでないと。本作の表現では物足りないと感じます。これが「60〜70%の面白さ」の真意です。このスタイルのコメディが映画技法のひとつとして浸透していないハンデもあるでしょう。ただし、元が120点なので60%でも72点。及第点超えです。生モノの舞台公演と違い、何時でも好きな時に観られる映画はファンにとっては有難い話。そういう意味でもレトルトカレーみたいな作品だと思いました。もしこのクレイジーな世界を気に入った方がおられましたら、シベ少の舞台を体験してみて下さい。口を付くのは「一体何をみせられているんだ?」極上の困惑を味わうことが出来るはずです。ちなみに私立恵比寿中学主演の舞台も円盤化されておりオススメです。今なら『エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート』が某サブスクで観られますよ。なお今回は、アニメの実写化作品として、あるいはアイドル映画としての評価視点は放棄しておりますので何卒ご了承下さい。[インターネット(邦画)] 7点(2023-05-07 09:21:13)

37.  ヴィレッジ(2023) 《ネタバレ》 しんどい。兎に角しんどいです。オチも物語の構成的には綺麗ですが、偏見や差別を助長しかねない結末なので滅入ります。本作では袋小路・視野狭窄の象徴として「村」が選ばれていました。しかし、田舎が悪い訳でも、廃棄物処理施設が悪い訳でもありません。問題は器ではなく中身の方。お間違いなきようお願いします。 主人公は能面を付けて心を落ち着けました。彼女の魔法の言葉付きですから効果もてきめん。応急措置的に有効だと思いますが、外界から遮断され内に籠もる副作用もありそうなので注意が必要です。個人的には空を見上げるのがオススメ。飛行機から地上を眺めるのもいいでしょう。自分の悩みがちっぽけだと錯覚させられればしめたもの。解決策が見つからなければ、一番後悔しなさそうな手を打って後は運任せです。もっともそれが出来たら苦労はないんですけど。 それにしても何でもっと深く掘らなかったのでしょうか。あるいは燃やすとか。本当は見つけて欲しかった?でもそれなら発覚後は潔いはずです。隠蔽に慣れ過ぎたのか、あるいはゴミは埋めるのが常識だからでしょうか。いずれにしても不条理も慣れれば条理に変わるということ。理不尽に囲まれながら正気を保つのは困難を極めます。簡単に腐る。だから環境って大事。本当に大事です。変えられぬのならば、逃げるより他ありません。それがエンドクレジット後に示された「解決策」であり「希望」です。遣りきれませんが。[映画館(邦画)] 7点(2023-05-07 08:27:57)(良:1票) 《改行有》

38.  “それ”がいる森 《ネタバレ》 ジャンル的にはホラーだそうですが、コメディと捉えて問題ありません。殺害者数ランキングがあれば歴代邦画史上トップテン入りしても可笑しくないくらい沢山の人が殺されますが、何故か悲壮感はありません。そこそこ上手いはずの役者さんも含め全員が棒演技に見える謎の現象もあります。要するに"あれ"な映画ってことです。[DVD(邦画)] 2点(2023-04-30 06:59:52)(良:1票)

39.  こちらあみ子 《ネタバレ》 『風変わりな女の子・あみ子が純真過ぎる言動で周囲を翻弄してしまう様を優しく見つめた』これは某サブスクのイントロダクション。このスタイルに則すなら『オーメン』は次のように訳せるでしょう。『外交官夫婦は孤児を譲り受け大切に育てる。夫が駐英大使に任命され息子が5才になったころ、その子の廻りで不思議な出来事が起こりはじめる。周囲を巻き込むてんやわんやに皆んな大興奮!さて息子ダミアンに隠された意外な秘密とは?』この説明を鵜呑みにしたら痛い目を見ますよね。本作もまさにそんな感じ。ハートウォーミングなホームドラマを想像していた為、シリアス過ぎる展開に面食らいました。いや、だから駄目って訳ではありません。ただ覚悟なく観始めると大変ですよと。心身共に万全の体制でご覧くださいという意味で警鐘を鳴らしてみました。 (以下ネタバレしています。ご注意ください。) 実はちょっとしたミステリー仕立て。言い回し、仕草や態度にみる親子の些細な距離や違和感は見事な伏線となっており、後半家族の秘密が明かされて膝を打つ仕組み。そして想像以上に状況は深刻であることに気付かされます。「自分の気持ち悪いところをイチから教えて欲しい」と級友に尋ねるあみ子。生気のない少女の顔に胸が潰れます。ネグレクトは大罪に違いありません。しかし両親を責めてもどうにもなりません。壊れた家族の行き着く先はもれなく絶望です。ただ僅かでも希望があるとすれば、あみ子は最後に「だいじょうぶじゃ」と言ったこと。もちろん大丈夫なはずありません。でも諦めなければ道は続きます。そこが諦めてしまった両親と違うところ。応答先のないトランシーバーだとしても、粘り強く語りかければいつか何処かに繋がるかもしれない。 凛々しい眉、大きな鼻。芯の強さを感じさせる瞳。あみ子はまるでライオンのようでした。どうかライオンのように強く生きてください。そしてライオンのように仲間を、家族をつくってください。自分の居場所を確保することは人生をかけて挑む価値がある最重要課題です。[インターネット(邦画)] 7点(2023-04-05 00:26:27)《改行有》

40.  弟とアンドロイドと僕 《ネタバレ》 (以下私なりの解釈です。誤読の場合ご容赦ください) 主人公が片足を満足に動かせないのは脳が身体を認知していないからだそう。また彼は自身の姿が鏡に映らないとも言いました。この症状はアイデンティティの喪失を意味すると考えます。母は焼身自殺。その原因をつくった父は自分を捨てた。自我を獲得すべき思春期に親のサポートを受けられなかったことが、主人公のアイデンティティ獲得を阻害したと思われます。 子の成長を見届けることなくこの世を去った母の遺言「もうひとりの自分を見つけなさい」。これが指すのもまさしく「自我の確立」でしょう。この言葉の真意を汲み取ることなく額面通りに受け取った、というよりある種の呪いにかけられた主人公は、自分そっくりのアンドロイドを自作したと推測します。もうひとりの自分=自分型アンドロイドを通じて遅れ馳せながら自我を見つけようとしたのではないかと。そんな矢先に出鼻をくじいたのが弟でした。腹違いの弟。彼もまた遺伝子的には「もうひとりの自分」に違いありません。分身が分身を、自分が分身を殺し合う地獄絵図。でもこれがこの世の理かもと思ったり。いずれにせよ主人公はアイデンティティを獲得することなくこの世を去りました。 「僕(私)はいますか」そう口にしたのは主人公のほかにもう一人居ました。おそらく身重の、アンドロイドと同じ瞳を持つ少女。彼女もまた主人公同様アイデンティティを喪失していたと思われます。そんな彼女を優しく抱きしめる主人公型アンドロイド。自分を自分たらしめる存在は、もうひとりの自分ではなく、むしろ他者なのかもしれません。 多分に哲学的でどこか禅問答のよう。出来ればハッピーエンドが見たかったですが、希望が無いわけでもありません。これもまた一興。止まぬ雨、アンドロイドの謎テクノロジーなど、現代日本に似て非なる世界。別次元と解釈してよい気がしますがどうなんでしょう。こんな面倒くさい映画ばかりは勘弁ですが、たまには小難しいテーマで頭を悩ませるのもいいのでは。[インターネット(邦画)] 7点(2023-03-28 19:18:52)《改行有》

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