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21. 崖の上のポニョ 『人魚姫』に『クトゥルフ神話』を足して『ワルキューレ』を掛け『いやいやえん』で割るという、老境に入った宮崎駿御大の狂気っぷりがスパークを起こした作品。日常性と神話性の交錯を童話的に表現したアンバランス感は明らかに確信犯であり、大人の常識的観点からあれこれ細かい点を詮索するのは野暮というものだろう。ディティールが崩壊していようがストーリーが破綻していようがタレント声優が棒読みだろうが、全国のお子様方をタケモトピアノのCMばりに理屈抜きで夢中にさせてしまった時点でパヤオの大勝利なのである。ポニョの家族関係にクトルーちゃん(『栞と紙魚子』)へのオマージュを匂わせるあたりにニヤリ。本当に諸星先生の事が大好きなんですね。[地上波(邦画)] 7点(2013-01-01 16:56:09)(良:1票) 22. 告白(2010) 《ネタバレ》 この監督の映画は背景がやたらとゴチャゴチャしてたり、わざとらしい演技が多かったりしてかなり苦手だったのだが、本作はいつもの調子を抑えてかなりシリアスなトーンになっていて、こういうテンションの映画も撮れる人なんだと感心した。ただし、内容の方はパク・チャヌクの復讐三部作あたりの良さげな部分だけサンプリングして上手くまとめました、という感じ。松たか子の演じるキャラクターなんてほとんどクムジャさんそのまんまだったりする。でも分かり易くてタイトにまとまってるので、ラストの展開とかも含めて非常に完成度は高いと思う。人物の描き方が表層的(記号的)とか必要以上に露悪的とかいった批判も、そもそもこの映画自体がガキをガキ扱いし続ける社会に対するネガキャンCMなのだと考えれば大して気にならない。敢えてひとつケチをつければ、終盤に出てくる爆破の(イメージ)シーンが無駄に長くて仰々しい点。あそこはもっと淡々としていた方がより突き放した感じになって良かったと思う。あんなクソガキに自己憐憫めいたカタルシスなど与えてやる必要はまったく無い。何が「復讐なんかしたって被害者は浮かばれない」だ?復讐と銘打つからには本作のラストの様にすべからく加害者をフルボッコにして終わるべきなのだ。今後はおちゃらけ映画は止めてずっとこの路線でやって欲しい。[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-12-27 18:33:23) 23. 乱暴と待機 全く期待せずに観たら予想外に面白かったので、良い拾い物をしたという感じ。端的に言えば、うだつのあがらない2組のカップルが繰り広げる長編コントの様な映画である。浅野忠信と美波と山田孝之がボケまくり、小池栄子がそこにひたすらつっこむという構成。小池栄子が美波の顔に妊娠した腹を突き付けて脅すシーンや、浅野忠信が天井裏から「破水してるぞ」「救急車を呼べ」と畳み掛けるシーンには腹を抱えて笑ってしまった。ただし、これといったテーマが読み取れなかったので、そこまでの高得点をあげられないのが残念。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-12-15 18:50:44) 24. ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 恋愛ものは途中で眠くなることが多いのだが、これは最後まで飽きずに観られた。妻夫木君はいつも通りといった感じだが、池脇さん演じるジョゼのキャラクターには引き込まれる。ただし、身も蓋もない言い方をすれば、イケメンリア充の男が身障者の女をヤリ捨てるだけの話。最後まで誰にも感情移入はできなかった。綺麗事で終わらない部分は評価するべきなのだろうが、かと言って手放しで称賛する気にもなれない。昔、女癖の悪い友人がやたらとこの映画を絶賛してたのを覚えているが、これを甘酸っぱい青春ラブストーリーとして脳天気に受け取れる人達は、たぶん自由恋愛とやらを簡単に謳歌できるタイプなんでしょうねぇ。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-12-08 12:05:42)(良:1票)
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