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プロフィール
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性別 男性
年齢 53歳

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601.  人間の証明 ニューヨークから、鄙びた秘境のような温泉地まで、一本の映画にどれだけの光景を盛り込みうるか。さらには時代も過去と現在を行き来したりして、このハチャメチャな構成こそ、角川映画らしさ。え、物語の中にあまりに偶然が多いって? いいんです、そうでもしなきゃ、こんな物語、まとまる訳ないじゃないですか。さらには、まがりなりにもニューヨークでカーチェイスらしきものを撮ってしまう、この心意気。いやぁまさに、角川映画、ですねえ(時代は、「ニューヨークへ行きたいか~」のアメリカ横断ウルトラクイズが始まった頃ですから…)。もっとも、全般的に、アメリカのシーンはあまりうまく撮れていないといいますか、なーんか変なのですけれども。そしてこんなエキセントリックな映画は、やっぱり松田優作でないと、つとまりません(普通の演技では、最後まで持ちません)。ところで、麦わら帽子が飛ぶシーン、あまりに見事に飛びまくってるもんで、これはもしや帽子ではなくアダムスキー型のUFOではないか、と……。[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-04 22:55:14)

602.  南極物語(1983) 昔むかし、その昔、TV番組「題名のない音楽会」で司会のマユズミ御大が、本作の音楽を評し、こんな単調な音楽でヴァンゲリスは莫大な報酬を得たんだ、ってな事をおっしゃっていて、確かこの時のオチは、“それに比べ自分が薄謝で作曲した日テレスポーツのテーマ曲は未だに使われている”ってな事だったかと(ちょっと記憶あやふや)。お怒りごっとも、でもこんな雄大な映像がつけられちゃ、大抵の音楽は感動的に聴こえるってなもんです(?)。と言う訳で、とにもかくにも、雄大な自然。『八甲田山』まではいかないにしても、それに次ぐような、ド根性ロケ映画です。南極に置いて行かれた犬たちのサバイバル物語で、犬たちは次々に命を落として行っちゃうけれど、決して暗い内容ではなく、むしろ目を引くのは、大雪原を走る活き活きとした犬の姿、その生命力。それに比べると、日本に帰った人間たちのドラマ部分の、何とも不自由なことよ。[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-07-24 23:17:31)

603.  ポケモン・ザ・ムービーXY 破壊の繭とディアンシー さてポケモンの何たるかをさっぱりわかっていない私なのですが、要するに、モンスターボールとやらにポケモンを入れておいて、いざと言う時には呼びだして敵と戦う、という、設定としてはハクション大魔王方式らしい。ハクション大魔王にはどこかサラリーマンの悲哀のようなものが感じられたけれど、ポケモンにはそういうものは無くって(実際、ポケモンがサラリーマンの悲哀を背負ってたらヤだなあ、とも思うけれど)、ポケモントレーナーのサトシ君の命令を受けて喜び勇んで戦うのですね。それにしてもサトシ君、どうしてここまで前向きなのか、すべての発言がとにかく前向き。危機が迫れば「ここはオレに任せろ!」と飛び出し、いや戦うのはあくまでポケモンなんですが、その自信、どこから来るのか。「ピカチュウ、10万ボルトだ!」って、そばにいるキミが一番危ないと思うんだが。で、コキ使われるポケモンたち、その中で、モンスターボールに入れられることなくなぜか優遇されているピカチュウ。体制迎合許すまじ、被支配階層よ立ち上がれ。とか何とかいうことには勿論私は興味ないんですけれどもね、ただまあ、サトシ君のあまりの調子良さには、なかなかついていけなかったりもするのです。で、本作なのですが(前置き長過ぎ)、内容的には、アンパンマン映画によく出てくるタイプの能天気お姫様ポケモン“ディアンシー”が登場し(着飾ったディアンシーが「本当にお姫様みたい」とチヤホヤされるシーンがあるけれど、もともと本当にお姫様であるディアンシーに対しこういう言い方するのは、「所詮ポケモンのくせに」という差別の表れであろう)、彼女は色んな連中に狙われることに。しかしクライマックスには何故か、誰がどう見てもシシガミ様に見える“ゼルネアス”が登場した上に、“イベルタル”による破壊が始まる、という、突然「もののけ姫」路線。とは言っても、もののけ姫ほどブッ飛んでいないので、いかにも「ほどほど」な印象、わかり易くって安心感はあるけれど物足りない。全編にわたって、何かとCGを駆使し、映画版らしい豪華さを出そうという狙いかも知れないけれど、どこか機械的。と、ケチつけてばかりも何ですので、良かったと思うところを挙げておくと、登場人物たちがそれぞれ日常に帰っていくラスト、これは何となく良かったですねえ。[映画館(邦画)] 5点(2014-07-23 22:27:42)

604.  日本海大海戦 日露戦争の開戦から、旅順港封鎖作戦、黄海開戦、旅順攻略を経て、東郷大将率いる連合艦隊とロシア第二・第三太平洋艦隊(いわゆるバルチック艦隊)とが激突した日本海海戦までを、まあ言って見れば再現ドラマを交えたドキュメンタリー番組みたいに語っていきます。日本海海戦を描いた記録文学としては吉村昭「海の史劇」などが圧倒的な描写でその戦況を描き切ってますけれども、この小説が書かれたのよりも、本作の製作の方が先。精巧なミニチュア撮影を駆使しての迫力ある映像に、矢島正明さんの説得力ありまくりのナレーション、そりゃ盛り上がろうってもんです。表向きは、明るく勇ましくいささか素朴な音楽にも見られるように「我らが日本海軍!」というイケイケムードですが、一方で、未曾有の大航海を成し遂げた末に敗れ去ったロジェストベンスキー中将の悲劇なども描いていたり。とまあ、ドキュメンタリー番組を観る気持ちで見たら、確かに面白いのですけれども、経緯を語る、ということに力点を置いている分、焦点が定まらないというか、淡々と先へ進め過ぎるというか。例えば「船が沈んでいくこと」そのものの持つドラマを、もうちょっと描けなかったものか、とも思います。あと、海戦はミニチュアを交えてダイナミックに描く半面、陸戦はどうも迫力が出しにくい。ある程度エキストラを集めて撮影してるんですけれども、広大な荒野を舞台にしては、どうしても、こじんまりした印象になってしまいますが、極力、遠方にも人を配置して撮影しているのは、限られた人数でスケール感を出す工夫なのでしょう。でももう少し頭数が欲しい…。[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-07-17 23:02:54)

605.  網走番外地 望郷篇 《ネタバレ》 健さん演じる主人公・橘真一が、長崎に帰ってきた。そこでは、安井組が幅を利かせ、旭組を圧迫しているが、安井組組長は、かつて橘がヒットマンとして襲撃しケガをさせた、因縁の相手。で、旭組を取りまとめることになった橘と、いやがらせを繰り返す安井組との対決、と相成る訳ですが。旭組の元に舞い込んだ、港での荷降ろしのビッグプロジェクト、この仕事をやり遂げるためには何とか人手を集めたいが、安井組の脅迫のため、なかなか人が集まらない。荷降ろしの日は近づいてくる、さてどうするか。→→→ここでまさかの展開、何と、邦衛さんを先頭に、網走仲間のポンコツ軍団アバシリーズ(仮称)が、健さんのために一肌脱ごうと、ここに集結。え~~~、そういう「トホホだけどちょっとエエ話」系の作品だったのか、これは。トホホホホ。な~んか、「大草原の小さな家」あたりで登場しそうなほのぼのとしたエピソードですよねえ、これでポンコツ軍団でさえ無ければ。しかしここで登場する、お祭りを背景にした臨場感たっぷりのシーンが見事で、ヤケに盛り上がったり。で、無事、荷降ろしの仕事をやり遂げるも、安井組の怒りも頂点に達し、その怒りたるや、任侠モノへと映画の路線をさらに変更させてしまう。もう何でもあり。だけど、冒頭から引っ張ってきたハーフの少女(途中まで少年だと思ってたぞ)との関係をここで絡めたり、クライマックスの殴り込みも、斬りまくりの大殺戮ではなく、ライバルの殺し屋(変です)との関係に絞って行ったり、映画は意外な纏まりを見せて、やっぱりコレ、なかなかよく出来た作品だったりしちゃうのでした。 なお、あの変な殺し屋の末裔が、カウリスマキの『コントラクト・キラー』なのではないかと。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-06-09 23:22:10)

606.  直撃!地獄拳 千葉真一、佐藤允、郷鍈治という、DNA的にはヒトよりサルに近いと言われている3匹、じゃなかった3人が、国際麻薬組織に戦いを挑むオハナシ。3人を指揮する池部良の真面目な表情と、3人のデタラメ過ぎるやり取りの落差が、たまりません。しかし、先立って公開されている「“○○!○○拳”シリーズ」シリーズである『激突!殺人拳』が、ストーリーそっちのけでひたすらアクション路線であったのに比べると、本作の方が、よりデタラメそうに見えて、実は結構、しっかりした冒険映画スピリットがあるようにも思えるのですが、どうでしょうか。なにしろ敵は国際的な組織ですから、いかにも腕力自慢といった大男の外国人が勢ぞろい(そこには何故か安岡力也の姿も)。そこに、現代に生きるジャパニーズ忍者たる千葉チャンが殴り込み、逆に敵にとっつかまって危機一髪。この辺りでは、敵の首領である津川雅彦が変態ぶりを存分に発揮します(このシーンに限らず、無意味にガイジン女性のハダカが登場する映画です)。千葉チャンの空手アクション映画、ではありますが、もっとスピーディでもっと本格的なアクションも観たいという皆さまのご要望にお応えしまして、倉田保昭兄さんも登場。千葉チャンが少し気の毒になるくらい(笑)見事なアクションを見せてくれます。少年時代の千葉チャンを演じる真田サンも素晴らしい身のこなし。と、見どころの多いバカ映画ですが、中でも、クライマックスの崖での死闘。崖の上のシーンは明らかにどこか山の中で撮影しているのに、崖の下は荒波渦巻く海、という、強引極まりない編集マジック。いやアッパレ。[DVD(邦画)] 8点(2014-06-08 08:39:44)

607.  網走番外地(1965) これぞまさしく男泣き。破れかぶれになりそうな健さんを、丹波が、そしてアラカンが、何とか食い止める。しかしその歯止めをついに突破してしまった時、男はどこまでも破れかぶれになる。そうならざるを、得ない。その破れかぶれ具合が、暴走するトロッコとして、あるいは迫りくる機関車として、執拗に描かれる。そしてその先のどうしようもなくなった最後の最後に、自暴自棄になりかけた男を食い止める、究極の一言。いやあ、みんな、孤独なんだ。寂しいんだあ。[CS・衛星(邦画)] 10点(2014-06-04 22:43:52)

608.  飢餓海峡 《ネタバレ》 この作品では、タイトルとは裏腹に、「飢餓」というものはあまり描かれていません。というのはつまり、三國連太郎演じる主人公・樽見の過去については必ずしも深く描かれてはいない、ということでして。もうひとりの主人公、左幸子演じる八重との出会いから、彼女を中心に描かれる戦後の描写は、貧しさはあるけれど、一種の自由さもあり(無論、犬飼から渡された大金のお陰ではあるものの)、その自由さは例えば東京の光景をどこまでもクレーン移動するカメラで拡がりをもって描く場面などからも感じられます。それに比べると、戦後10年以上たち、過去から決別し封印したはずの樽見が描かれる後半の、不自由さと圧迫感。貧しさイコール悪、とかいう単純な図式ではなく、暗い過去に閉じ込められた人間の姿そのものを、刑事との対決の中で描き(過去に閉じ込められた人間は樽見ばかりではない、伴淳三郎演じる弓坂刑事もその一人であり、その事実がまた樽見を過去に閉じ込める)、また北海道行きの船上という、開放感の光景の中で、「死」という最後の逃避を選ぶ姿を描く。もう、これ以上に追いつめられた三國連太郎を見ようと思ったら、『真剣勝負』の宍戸梅軒を見るしかないでしょうなあ。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-06-02 23:33:17)

609.  殺人拳・2 前作のラストでみんな死んじゃったから、第2作とは言ってもきっと関係ないオハナシだろう、と思ったら大間違い。死んでなかったんですね。前作の続きです。しかし、たかだか80分少々しかない作品なのに、前作の回想シーン(というか前作のアクションシーンの再利用)やら、格闘技のデモンストレーションやらが盛りだくさん。これでは中身が殆ど無くなってしまうではないですか。まあ、安っぽいアクション映画ではよく、ストーリーなんてあんまり無くって“アクションとアクションの繋ぎに申し訳程度のストーリーが挿入される程度”ってコトも珍しくないですからね。そういう意味では本作はさらに洗練されていて、そういう糊シロとしてのストーリーすらもなく、アクションシーンがただ羅列され、ひたすら散らかりまくってます。何故か唐突に雪山行ったかと思うと、刺客たちの襲撃を受け、サウナで山城新伍とじゃれあったかと思うとコワモテ連中の襲撃を受け、外人女性と知り合ったかと思うと即ベッドインし、そして即、襲撃される。ああ、慌ただしい。一応、最初はストーリー上の見せ場を作ろうとしたのか、主人公の好敵手のような位置づけで、武術に秀でた警察官・山上というキャラを登場させたのはよいけれど、まあ単なる思いつきだったんでしょう、主人公と大して絡むこともなく姿を消してしまいます(このヒトと、空手師範との、棒読み感あふれる会話シーン)。あと、主人公のマネージャーみたいな女性が出てきて、主人公との関係が気になるところですが、まあ、ほどほどに予想通りの展開ですね。あと、敵のボスの外国人、どうみてもヒッピー風情で、全く貫禄がないのですが、役立たずの部下をあっさり抹殺してしまう冷酷さ。その際の「オマエハ モウ イラナイ!」という、たどたどしい捨てゼリフとのミスマッチが、見所です。そう、見所は、多いんです。一応。[DVD(邦画)] 6点(2014-05-28 23:19:02)

610.  激突!殺人拳 『トゥルー・ロマンス』における本作の登場、というのは、千葉チャンがプレスリー並みに神格化された瞬間であった訳ですが。それはともかく、千葉チャン主演のカラテ映画。なかなかエグい。眼つぶし攻撃は当たり前、キメ手は相手の肉体の一部をエグリ取る。なるほどこれは“殺人拳”。千葉チャン演じる剣琢磨、カネのためならどんな悪事も厭わないが、それ以上に、強いものにはガムシャラに向っていく、反骨の男。そんなワケで、物語はホンコンの五竜会とのまさに血で血を洗う抗争となっていくのですが、例によって例のごとく、敵役にはアヤシゲな怪人の数々が登場してバラエティに富んだ死闘が展開されます。しかしこの剣琢磨、日頃の不埒な行いが祟って何かと恨みも買っているもんで、演じられる死闘もだんだんワケがわからなくなってきて、最後はもう丸投げみたいに唐突に終わってしまう。このカタストロフ感が、最高です(笑)。しっかし、千葉チャンの披露する格闘アクション、さすがと言えばさすが、なのですが、本格感を出そうとするあまり、隙の無さを演出するあまり、脇を締めすぎた体勢でやや動きが小さくなっちゃってる感じもします。ここは今後の課題でしょう(今後って?)。でもその分、しっかりと「顔芸」でカバーしております。千葉チャンの気合いが溢れ過ぎるひたすらアヤシゲな表情に、ご注目。[DVD(邦画)] 7点(2014-05-19 21:35:11)

611.  午後の曳航 《ネタバレ》 「午後の曳航」といいますとあの、刑法41条にて処罰対象外とされる13歳の少年たちが、よってたかって大人を殺しちゃう、三島由紀夫の小説ですね。三島作品なので、ある程度、解析的な図式によって構成されてます。未亡人である母と船乗りの男との凡庸な恋愛ドラマを描く心理小説の面がある一方で、主人公の少年が属するグループの「首領」少年の存在は、極めてドライで観念的。前者の面は大人の側で閉ざされていて、主人公の少年はそれを外部から眺め、大人の世界に憧れなり畏怖なりを感じている。それは子供らしいと言えるとともに、やはり観念的なものであり、それが「日常」によって実は汚染されていたことを知った時の憎悪が、衝撃の結末に結びついて行く。この観念(論理)と憎悪(感情)の結びつきが、物語小説としての肉付けの上手さ、他の三島作品と比べた完成度の高い低いはともかく、例えば「金閣寺」で主人公が放火に踏み切る過程よりも、この作品の方が、何となく「腑に落ちる」感じがするのです。で、この映画。なかなかよく出来てます。原作が良いんでしょう(笑)、では身も蓋も無いですが。原題は「午後の曳航」の英訳版と同じですから、「小説を映画化しました」であることは間違いなく、実際、細かいところで意外に原作に忠実です。一方で、大人側のドラマの比率を原作よりも下げて、少年の視点を中心にしているのは、これは映画化にあたり妥当なアプローチでしょう(母と船乗りのラブシーンで流れるバッハの有名なへ短調協奏曲が、ベタなメロドラマを演出)。「首領」の美少年ぶり、彼のカリスマ性がよく出ていて、そこがコワさでもあります。あるいは情景の美しさ。心理や感情を書き込む小説に対し、「美」を描き込むことで、古典悲劇みたいな論理性を映画らしく演出しており、ラストシーンのロングショットなんか、いかにも「ばっちりキメてやったぜ」という感じです。ただし「美」でキメ過ぎれば、鼻についたりもする訳で、そこに限界もあるのかも知れませんが。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-11 08:53:01)

612.  吼えろ鉄拳 真田サンがここでも体張ってます、命賭けてます。ビル登ったり、爆薬の中を走り回ったり、二階建てバスの上でアクションしたり。中でも圧巻は、あ、何と東尋坊に頭から飛び込んじゃってます。良い子も悪い子もマネしないように。レイダースよろしく、おサルさんを連れてるな、と思ってたら、やっぱりレイダースのように馬から車に飛び乗ってみせる、ココも勿論、真田サン自らスタントをこなす(ン?レイダースって同じ81年の作品、当時まだ日本では公開されてませんね? レイダースのパクリではなくって、偶然にも似てしまっただけなのか?)。さて、真田サンの熱演に応えるように、キャストも豪華(と言ってよいのか?)。冒頭のクレジットで、アブドーラ・ザ・ブッチャーと成田三樹夫の名前が並んでるの見るだけで、壮観ですな。悪役の道を極めた二人がここに集結。いや、ブッチャーはここでは悪役ではなく、真田サンとじゃれあっているだけですが。オネーチャンたちに“スパルタカス~”なんぞと呼ばれて(←役名のようです)大張り切り、たどたどし過ぎる日本語で見得を切り(多分、「結構毛だらけ猫灰だらけ」と言ったんだと思うのですが)、巨体でプールに飛び込んで上がる水しぶきは、もうそれだけでスペクタクルシーン。さてそれでは悪役側の布陣はと言いますと、安岡力也が睨みをきかせたかと思えば、サイレントサムライ福本清三氏も謎の刺客として殺陣を披露。さらにはグレート小鹿会長も登場、あ、小鹿さん先日ベルトを獲ったそうで、おめでとうございます(すみません、何のベルトか知りませんけども、えへへ。しかし未だ現役。さすがです)。まあそれなりにキワモノ系の映画なもんで、明け方に一人でこっそり観てたら、こういう時に限ってウチの子供は早起きしてくる(笑)。しかし、激しいアクションとコミカルなシーンの連続、早朝から親子で大いに楽しみました(自転車のくだりがもう可笑しくって……)。こういう映画こそ、愛情を持って「バカ映画」と呼べる作品ですね。[DVD(邦画)] 7点(2014-05-03 21:09:23)

613.  蒲田行進曲 ウチの子供たち(小学生と幼稚園児)が、この作品、やたら好きなんですけどね。一体、何考えてんですかね。本作、いかにも“舞台”なんです、と言わんばかりに、オーバーな演技が目立ってしまうのですが、これはきっと、舞台ならではの役者の熱っぽさを、映画にそのまま、取り入れようとしたものでしょう。“役者バカ”を描いた作品なのだから。これに呼応して、映画の描写もまた負けじとコミカルでオーバーな演出となっていて、滑稽でどこか哀しいバカ騒ぎ。何よりも魅力なのはやはり、登場人物たちの愚かしいまでの一途さ、ひたむきさ、ですね。物語の中心にいる3人もさることながら、蟹江敬三監督や清川虹子ママの存在も、負けず劣らず忘れ難い。みな一途、素敵なまでにバカ。それにしても、蒲田行進曲、なのに東映京都。なのにやっぱり松竹。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-04-23 23:05:32)

614.  野獣都市(1970) 三國連太郎演じる社長と、黒沢年雄演じる学生が意気投合。要するに釣りバカ日誌な訳ですが、釣りが取り持つ縁ではなく、こちらは銃つながり。過激派学生が幅を利かせる大学に嫌気が差し、主人公の青年は、射撃が縁で知りあった社長の片腕となって働く決心をするが、こちらのスーさんは、あくどい事も辞さずに成り上がった、かなりの曲者。って、アチラの釣り好きスーさんも実は陰で悪どいコトしまくってるのかもしれないけれど。それはともかく、それを機に、青年は、社長と敵対する者たちとの抗争に身をおくこととなり、場合によっては殺人にすらも手を染める。というハードボイルドな作品ではあるのですが、監督が福田純。ゴジラ映画の監督さんですねえ。さすがに本作ではあんなオチャラケはやってませんけれども、ノワールでアンチモラルな物語の割りには、過激さはまったくといっていいほど感じさせない、比較的控えめな印象の作品になってます。むしろ、スーさんも含めた“わるいやつら”が闊歩する社会の中で、スーさんに賭け、時には悪事にも手を染めながら、スーさんと一緒に成り上がることを夢見た青年の一途さを描いた、青春映画とも言えるでしょうか。[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-04-16 21:14:37)

615.  悪魔の手毬唄(1977) 《ネタバレ》 横溝正史と言いますと、何と言っても「獄門島」。俳句の通りに見立てられた3つの殺人、そこには様々なトリックが凝らされていて、まあ実に見事ですね。それから10年ほどして発表された「悪魔の手毬歌」で、歌詞通りの殺人というテーマがまた取り上げられますが、さすがにそこまでトリック三昧な内容ではなく、どうしても二番煎じの印象が拭えません。それでも「なぜそんなところにサンショウウオがいたのか?」といった魅力的な謎を提供しているのは、さすが、ですが。それに、3つの殺人というところまで「獄門島」と同じなのは、いわば作品自体が「獄門島」に対する見立て、とでも言いますか、一種の目くらましなのかも知れません。で、それを映画化した本作、市川&石坂シリーズでは犬神家に続く、第2作です。一にもニにも、古民家のもつ侘び寂びの雰囲気が、懐かしいようなコワイような感じがして、いいんですね。ですが、被害者でもあり容疑者でもある登場人物たちを、犬神家ほどうまくは描き切れていない気もします。登場人物の印象が薄いせいで、発生する殺人事件のインパクトも薄くなる(極端に言えば、「今回殺されたオマエ、誰だっけ?」とツッコミたくなる)。その分、若山富三郎演じる磯川警部に映画の力点が置かれることにもなるのですが…。あるいはこの、オドロオドロしい「悪魔の手毬唄」というタイトルをミスディレクションに使って、それとは正反対のロマンスを描こうとしたのがこの作品、なのかもしれません。[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-04-13 10:07:35)

616.  真剣勝負 クサリ鎌の宍戸梅軒との戦いを描いた宮本武蔵映画、主演も監督も東映5部作と同じですが、こちらは東宝、だもんで、冒頭に登場する過去の戦いのダイジェストは、5部作から引用したかのように同じ雰囲気を湛えてはおりますが、当然ながら撮り直したもの。吉岡伝七郎との戦いの場面など、背景の三十三間堂は完全に書割りだったりして、ちと残念なんですね。しかし本編は、5部作とは完全に異なる独自の世界。チャンバラ映画というより、怪談というか妖怪譚というか。不気味なんです。前半、武蔵が梅軒の家を訪れる。その夜の不穏な空気。梅軒は部下の八人衆とともに武蔵を闇討ちしようとする。それを察知した武蔵。後半は、夜が明け、彼らと武蔵とのいつ果てるとも知れぬ戦いが描かれます。これがもう、まるで、賽の河原で鬼を斬る、といった感じの、現実離れした虚無的な世界。三國連太郎演じる梅軒の、完全にイッちゃってる鬼気迫る表情と、ニヒルに彼を追いつめる武蔵、本当の「鬼」は一体、どちらなのか。[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-03-31 23:17:51)

617.  GANTZ:PERFECT ANSWER 前作は、「設定」というものに引きずられて硬直化してしまった、という印象。敵の奇抜さで何とか魅力を保ったものの、映画全体を通じて「本作の設定はこうなんです」と念を押され続けた挙句、そのまま終わっちゃった、という感じ。それに比べると、このPERFFECT ANSWER(なんだそうです)、話が変則的に広がり出して、その点では確かに楽しいのです。ま、敵キャラの魅力という点では前作の方に軍配が上がるかも知れませんけれども。電車の中や商店街といった日常に非日常的戦闘を持ち込む面白さは、前作以上でしょう。ただ。オチをつけようとした本作でより鮮明になってしまったのが、やはり、「死んでも生き返る」という“可逆性”の、つまならさ、です。まあ、神話性の体現として映画のクライマックスに一人くらい生き返る作品にまでケチはつけませんけれども、さすがにこのGANTZという作品、ここまで図式的にやっちゃうとマズいでしょう。盛り上がるものも盛り上がらない。映画の魅力って、基本的に、“変化”とか“非可逆性”とかの方にあって(引き返せない、取り返しがつかない)、それと対立しそれを強めるためにこそ“不変””可逆”が映画の中に配置されるのではないですかね(その逆も、ありうるかも知れませんが)。と言う訳で、このGANTZというオハナシ自体、どうも、映画というものと相性が悪いように感じてしまった次第。[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-03-30 17:41:51)(良:1票)

618.  忍者武芸帖 百地三太夫 とにもかくにも、「若いって、エエのう」と、半ば呆れつつも半ば感心する、うれし恥ずかしな作品。何がって? 真田サンが若いんです。もう魅力全開。伊賀忍者の親玉ともいうべき百地三太夫の名をタイトルに持つ本作、映画開始からまもなく、肝心の百地三太夫は死亡(笑)。そこにふらりと現れるのが、真田サン演じる鷹丸なのですが、これがもう、ムキムキにしてサワヤカ、そして男前。まあ要するにコレ、アイドル映画です。しかしJAC風味のアイドル映画、ですから、アイドルにもそれなりの事はやってもらわないといけない。体脂肪率ゼロ%かというような肉体美を披露しつつ、見事な武術アクションを展開。彼が登場したとたん、忍者映画ではなくカンフー映画と化してしまい、これぞ和製ジャッキー・チェンです。時には(なぜか)ダンスも披露するし、また時には危険なスタントにも挑戦。真田サン、お城の天守閣からホントに飛び降りちゃってます。すべてにおいて、ここまでやるか、という、まさにJACならではのアイドル映画。志穂美悦ちゃんも負けじと、うれし恥ずかしなアイドルぶりとアクションを見せつけてくれます。脇を固めるのが、丹波哲郎とか千葉真一とか、要するに妖怪系の面々(笑)で、ノリノリかつワケのわからん言動が映画を大いに盛り上げます。と言う訳で、どうにもこうにも浮世離れの甚だしい作品ではありますが、何かイイモン観たな、という気にさせてくれる映画です。あと、真田サンって、スゴイな、と。ほんと、若いってイイです(笑)。[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-03-17 23:12:25)

619.  のぼうの城 多勢に無勢、2万人対5百人の戦い。ってのが何だか、この作品における「豪快過ぎるスペクタクルシーン」対「野村萬斎のひとり踊り芸」と重なるような気がして。実際、この作品では(とくに前半)、主人公であるはずの野村萬斎の扱いがあまりよろしく無くって、あまり光も当たらない。むしろ彼を取り巻く人々の表情の方が、描かれてます。それに、この主人公、奇行が目立つとは言え、「天才」ならではの裏のある奇行なんぞではなく、むしろ裏が無く計算もあまり無く、場の空気や常識にそぐわぬ闇雲な率直さが結果的に奇行奇策に繋がっていく、という具合。映像は派手な合戦シーン、派手な水責めシーンと、どんどん視野を広げスケールを大きくしていき、主人公の魅力と野村萬斎の芸が、それに対抗する。ってのが、何だか愉快ではありませんか。[地上波(邦画)] 7点(2014-03-16 20:44:14)(良:1票)

620.  縄張はもらった まあ何とガラの悪い映画。一応は日活のスター映画なんでしょうけれど、長谷部安春監督がやりたい放題、女優の皆さんはやられたい邦題で、刺激的なシーンの数々でございます。街を闊歩するチンピラどもを見てると、ここは無法国家かと。主演の小林旭もここではコワモテの役柄。彼が刑務所を出所した時、彼のいた一文字組に昔の面影は無く、ハザマ組に呑まれかかっている。そのハザマ組の密命を受け、小林旭は、街で幅をきかせている別の2つの組の対立をあおって殲滅を図る。この計画のために集められた精鋭(?)たちが、役に立ちそうな立たなそうなユニークなメンバーで、なかなかに魅力的なのですが、危険な作戦の中で、ひとりまたひとりと犠牲になっていきます。非情に徹する小林旭。しかしやがて彼は、ハザマ組にも反旗を翻す。という訳で、抗争に次ぐ抗争。またそこにはライバル同士の友情なんかもあったりして。こだわりのカメラにトンがった演出、エロあり暴力あり、そして男の哀しさ、女の哀しさがある。この映画、カッコ良い。[CS・衛星(邦画)] 9点(2014-03-13 23:30:25)(良:1票)

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