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プロフィール
コメント数 2534
性別
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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721.  ジョーカー・ゲーム(2015) 《ネタバレ》  予告編を見た限りでは、もっとシリアスな映画だと思っていたのですが、タイトルバックがバカ臭さ丸出しだったので(カッコつけまくった映像もバカっぽかったのですが、そもそも日本映画なのに英語で役者名やスタッフ名を出す映画は大抵バカ臭い映画ですね)、これは「そういう映画」なんだと早々に頭を切り替える必要がありました。  でも結局最後までそのバカ臭さを受け入れる事ができず。  スパイものとして致命的なのは主人公がヘボいんです。情に弱いスパイだと語られておりますが、それ以前に公私の区別が付けられず、任務をマトモに遂行する能力が無いお馬鹿さん。で、脚本がそのお馬鹿っぷりに合わせるようにヌルく作られているので、大変に腑抜けた映画で。  クライマックスなんて「偶然」や「運」に助けられまくる状態で、そんなモノに一体なんのサスペンスが生まれるっていうんでしょ? 馬鹿がテキトーにやっても補正かかって生き延びられる世界ではサスペンスなんてものは無効ですからねぇ。  で、そんな弛緩した世界で音楽だけが大仰にサスペンスを盛り上げようと必死なものだから可笑しくて。画面と音楽とがまるで調和してないの。  基本的には大変にヌルい娯楽映画でした。後々カルトな人気が出そうなニオイを漂わせつつも、そこにちっとも手が届かなかったのはバカ臭いなりの尖った個性を持たせる事ができなかったからでしょうか。アクションにしろ衣装にしろガジェットにしろ「この時代設定にこの題材ならばこの程度」という枠の中でしか物を作れなかったような感じが漂っています。どこかしら突き抜けていれば、まだ面白くなったと思うのですが。  それにしても政治的に危ない題材がポロポロと出てくるあたりは誰かを刺激したいのか、それとも無自覚にやっているのか。大戦当時を舞台にしたフィクションだけれども、今に直結している事柄が色々あって「娯楽映画だから」って逃げられるレベルのモノかなぁ?って。「完全に日本国内のみで完結させる映画」として作ってるのかしら?[映画館(邦画)] 4点(2015-02-01 22:18:39)《改行有》

722.  海月姫 《ネタバレ》  マンガが原作ならばこういう描き方でいいでしょ?っていうのがハッキリ見て取れてツラいです。  リアリズムを廃したギャグ映像が生身の人間によって演じられる事で上滑りし続け、それはドラマを織り成してゆく事を阻害して。最終的にはとっ散らかったエピソードの羅列で終わる映画。  まず、デフォルメされたオタクの生態を笑うばかりで、その才能をあまりプラスとして描いてない、みんなで協力して、なんてところも各人の個性を活かしておらず、単なるオタクからの脱却こそを是としているばかりな点で、それでいいのかな?と。  ファッションショーの成功をクライマックスに据えた事で、結局「キレイに着飾った渋谷系のお嬢さんこそが正義」になってるんですよね。メガネ取ったら美人っていうアレをここでも繰り返していてセンスがとても古いです。  で、オタク状態では地味で、ドレスアップするとキレイって落差を話で見せていても実際のビジュアルで見せきれてない、その差を劇的に感じさせる事がちっともできていないのがまたダサくて。能年ちゃんをキレイに見せてるつもりのビジュアルは、本当にそれでいいのか?というカット多数。どう見てもホラーっぽいライティングまであるし。  説得力なんてモノは皆無で(ファッションショーのせいで政治家のパーティに誰も集まらないという理屈が一体どうしたら成立するのか、論理的に説明して貰いたいもので)、ならばせめてエピソードやキャラクターで楽しませて貰いたいものなのですが、類型的で(相手を酩酊させてベッドの写真を撮るって、つい最近他のマンガ原作映画で見ましたが)空虚な世界が広がるばかり。せめてせめて『三国志』や鉄道や和物やじじいの魅力を少しでも見せようよ・・・  それでもクラゲの魅力だけは幾分醸し出されていた感じで、クラゲがモチーフになった部分はなんとか楽しめたような、そして、キャラの多さでなんとか退屈さだけは免れたような。女装男子の蔵之介に救われてたかな。どう見ても男でしたが。  クレジット見るまで気付かんかったわ!って池脇千鶴や篠原ともえはおろか、能年玲奈の個性までも殺し気味なコスプレ映画ではありました。[映画館(邦画)] 4点(2014-12-28 22:43:20)(良:1票) 《改行有》

723.  薔薇色のブー子 《ネタバレ》  ただのネタ集映画なので、もう少しちゃんとまとめて欲しいなぁ、と。  一応、物語的なものはありますが、発展的なものというわけではなくて、動機と結論だけがあるのみ、みたいな。もちろん、その間に挟まっているのはただのネタ。  さっしーのキャラが統一されてません。どういうコなのかが見えてこないの。天然系なのか、受動的なのか、巻き込まれやすいタイプなのか、行動力あるのかないのか、とにかくネタの内容によって性格が変わります。最終的にどことなく魅力的に見えてくる、とかいう事がなくて、結局さっしーの演じたネタキャラです、で終わってます。なのでスタイル的には一応成長物語のように見えなくもないのですが、一人の人間としての個性が存在していないために成長もへったくれもなく、ただの動機と結論でしかないのです。  ネタもデパートの来店記念ネタの繰り返しなどはクドいばかり。繰り返しならば最終的なオチがあって然るべきだと思うのですが、ちゃんとオチてました? ただただネタをタレ流せばそれで成立する、って程度の考え方なんですよねぇ。  その上、ネタとしてすら成立してない、そこはキチンとしておこうよ、ってものもあったり。さっしーが無理心中に巻き込まれてボートから池に転落するエピソード、先に金づちだと言わせておきながら普通に自力で池から上がってます。金づちである設定の意味は一切ありませんし無理心中のオチも存在していません。  投げっぱなし、散らかしっぱなしでちゃんとオチ、サゲを付けないのは福田監督作品の悪いクセ。  物語的に父ユースケの存在がアレなので、ごくごく狭いところで閉じてしまうわけですが、それもなんか浅い映画という感じです。そんな取って付けたようなメッセージが必要なんでしょうかねぇ?  ネタをいかに笑えるか、というのがポイントの映画で、でも笑えないネタが多数を占める状態ではさっしーファン以外にはちょっとキツいなぁ、って感じ。いや、さっしーファンもこんなんで楽しめるのでしょうかねぇ? もう少しさっしーの魅力を引き出してあげた方が良かったんじゃない?とも思うのですが、元々コレこそがさっしーの魅力なんだ!って事だったら、すいません。[映画館(邦画)] 4点(2014-12-16 23:24:56)《改行有》

724.  ルパン三世(2014) 《ネタバレ》  『ルパン三世』のイメージって言ったって、原作、テレビシリーズ、映画、テレビスペシャル、それぞれ作品ごとにかなり異なる訳で(つーか同じシリーズの中だって前期と後期、一部エピソードで全然違うとかあって)、ルパンはこうでなくちゃ!なんてのは結局それぞれの好みのルパンでしかないですよね。私だって世間的には評価の高い『カリオストロの城』の優しいお顔のベタベタとしたロリコンな正義の味方のルパンじゃ困っちゃうわけです。  で、主要キャストは良かったと思います。それって単なるコスプレだろ、みたいな状態ではなくて、それぞれにその人なりのキャラクター像を作り上げていた感じで。浅野忠信のたどたどしい喋り方は厳しかったですが。  問題は物語がちっとも面白くないって事と、アクションシーンがダメダメだって事。いや北村龍平からアクション取ったら何も残らないんじゃないの?って感じですが、細かく切りすぎでバカ臭くなってたり、アクションの起きている位置関係が不明だったり、繋ぎ方がおかしかったりで酷いです。  カーチェイスにしても単発のディティールばかりで繋いでる感じで全く流れになっておらず、それをカーチェイスシーンと呼べるのかどうかすら怪しいレベル。  で、物語は余計なキャラを絡ませ過ぎで。ルパン一味と銭形と悪役、それだけではダメなんですかねぇ。『スニーカーズ』みたいなグループものになっていて、そのオリジナルなキャラがつまんないです。  あと、黒木メイサの不二子は悪くないんですが、まるでお色気不足。これは彼女のせいでなくて、演出とかカメラとかコスチュームとかのせい。なんでそういうところにはフェティッシュなこだわりを見せられないんですかねぇ。  全編にアジアンテイストを盛り込んで国際色豊か、みたいな映画にしたかったようにも思えるのですが、なんか恥ずかしいノリになっちゃってるんですよね。結構ダサめ。  せっかくメインキャストの面々は頑張っているのですから、もっと彼らを中心にカッコよく見せてあげられなかったのかなぁ。残念。[映画館(邦画)] 4点(2014-09-01 21:06:26)《改行有》

725.  GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》  ひと言で言うと「半勃ち映画」。ピッタリくる言葉がそれだったので失礼。  いつになったら面白くなるんだろ?って思いながら見てたら終わっちゃった。面白くなりそうな瞬間っていうのは何度も訪れたのですが、そのたびにブッツリ終わって次に移るって状態。  ブツ切れ感がハンパなくて、悉く「点」。物語の「線」が形成されてないんですよね。それじゃノレません。やっとゴジラが出てきた!と思っても、カメラはさっさとゴジラの前からどっか行っちゃうし。ゴジラ出てる間はゴジラ見せてよ。  その代りに見せられる話もドラマとして成立してなくて。妻を失った父ちゃんのこだわりが成就する瞬間がありましたか? 主人公の行動は「家族に会いたい」という点では一貫してましたが、いちいち怪獣騒ぎに巻き込まれ続け。「人間ドラマと怪獣とは水と油」ってレビューで何度か指摘していますが、無理に絡めようとするとこうなるという見本のような映画で、主人公が度々怪獣の目の前まで飛び出しちゃう無理矢理さ加減はエメリッヒ版を凌ぐ苦笑を生みます。  この映画の登場人物は総じて受動的。状況に追われて仕方なく動いてます。それはゴジラですら。怪獣出たから地球環境ヤバいし退治しないと、みたいな(むしろギャオス退治に出かけるガメラ)。  核の扱いもハンパで困ったもので。ゴジラを反核の象徴とする訳にはいかない事情からか、ゴジラを倒すための水爆実験だったとか、芹沢博士の被曝二世エピソードがただの設定だけで終わってたりとか、核も怪獣も脅威として成立していないんですよね。  日常の中に大きな脅威が紛れ込む事で非日常となる、それが怪獣映画の面白味なんじゃないかと思うのですが、その点、今作は薄味。主人公は怪獣よりも核ミサイルとの追っかけっこに忙しい有様ですし。  あれこれと他の映画を思い出すのはサービスとでも捉えればいいのかな? 金門橋の戦闘は『モンスターVSエイリアン』、音楽はむしろ『クローバーフィールド』、ゴジラ的には『2000ミレニアム』みたい。  元々ゴジラにはそんなに思い入れが無いので、ゴジラはこうでなくちゃ!みたいなのは無いんですが、今回のゴジラ「も」あまりカッコ良くはなかったなぁ。そのフォルムからゴジラと言うよりタッコング思い出しちゃった。  なんか微妙に体温低めな感じの映画、もっと熱い怪獣バトルでひいひい言わせて欲しかったわ。[映画館(字幕)] 4点(2014-07-25 22:12:50)(良:1票) 《改行有》

726.  渇き。(2014) 《ネタバレ》  今回もまた中島監督らしい映像の洪水っぷりなんですけど、でもこれまでと違ってちっとも面白くありません。  暴力とか悪とか、そこに魅力を感じないの。「そういうのが嫌いです!」とかっていうんでなくて、この映画のソレが類型的で表面的な感じ。暴力団絡みとか警察も含めた陰謀とか大物とかいう話になると、ああ、そっちね、って。そのウンザリする感じを決して越えてはゆきません。  加奈子って魅力的じゃなきゃダメなワケですよね。それで初めて成立する話で。ところが、そんなに魅力的なキャラに見えないんです。周囲がみんな魅了されちゃう、振り回されちゃう、そして破滅してゆく、その流れに説得力を与えるのは、少なくともあの異様にダサいダンスシーンではないハズで。  「彼女は幻影のような存在でもある」という事か、揺れ動くフレームの中、光の中、逆光の中に存在してたりする画が多いのですが、その曖昧さは決して魅力を醸すのに効果を生んではいないと思います。  シネスコ画面いっぱいに顔のアップの連続だったり情報で埋め尽くしたり、だけどなんかそれが空疎。中身が無いのにゴテゴテ飾ってるようで、それはこの映画のテーマにも繋がっているようにも思えますが、でも、その平板化した状態はシネスコの使い方が下手なんじゃない?って。  原作からしてつまんないのかもしれませんが(少なくともこの物語ではねぇ)、にしても独自の魅力でガーン!ってクるもののない、既成のイメージの寄せ集めコラージュに終始した感じで、これまでの中島作品が好きだった私としては今回、失望が大きかったです。[映画館(邦画)] 4点(2014-06-29 00:26:48)(良:3票) 《改行有》

727.  春を背負って 《ネタバレ》  居心地の悪い映画。大自然がモチーフになっているのに中身は不自然のオンパレードっていう。その不自然な「感動作ですよ」って作りに、なんかいたたまれなくなってしまう感じ。  全編に漂う古臭いセンスは、それはそれでいいというか、この作品のあり方なのでしょう。問題は風景以外の何もかもが作り物めいていてどうにも冷めてしまう点。  映像とセリフと音楽とでこれでもかと説明しまくってきます。登場人物全員が説明のためのセリフと演技を繰り出してくる状態で、特に本来セリフにすべきでない、それこそ映像で語るべき心情、心象がクサいセリフとなってどんどんこぼれ出してくるのが本当にいたたまれないです。  更に、映像に明らかに不要なものと足りていないものがあって、それがおかしな印象を与えています。  安藤サクラが意味ありげに旦那の仕事姿を見つめるシーンは必要ありませんし(旦那が真剣に仕事に打ち込んでいます、という表現であるならば、彼女の曖昧な表情は物語に不要な不安を与えてしまいます)、逆に蒼井優の作る「おいしいご飯」や「母が大事にしていた写真」、更に「小屋の近くで見つけた絶景」はその画が必要なんじゃないかと思います。映画なのだからセリフだけでなく映像でおいしさを見せて欲しいですし、写真や絶景は流れからして当然見えるモノだと思っているとスカされちゃうんですよね。松ケンやトヨエツが眺めてる姿でなくて、カメラが更にその二人の前に出て実際に二人が見ている風景が欲しいんですけど。  映像には見るべきところもあります。雄大な景色はもちろん、通夜のシーンで部屋を埋め尽くしていた人々がさーっとはけて主要人物のみが残るカットなど、さっと静へ転じる巧さが際立ちます。  でも、表情を強調するための寄りや、アクセントとなるスローの多用はそれってどうなんだろう?果たして必要だろうか?って感じてしまって。  善き人々ばかりの物語ならば感動は容易に紡げるハズ、という感じで作られているように思えるのですが、なにか全てが現実からちょっと浮いているように見えて、印象としては「面映ゆい」とか「気恥ずかしい」とか「きまりの悪い」とかいう表現が浮かんできてしまうような映画なのでした。[映画館(邦画)] 4点(2014-06-15 00:45:05)(良:1票) 《改行有》

728.  青天の霹靂 《ネタバレ》  手品をする手元から役者の顔までをワンカットで捉えるとか、長台詞長回しの間に天候が変わって雨降りから陽の光に包まれてゆくとか、そういう技巧的な表現はともかくとして、それ以前の基本のところで「なんだかなぁ・・・」って思ってしまって。そもそもその画はどういう理由でその画なの?というのがとても多くて。  なんでそのカメラは動くの? なんでイマジナリーライン越えてるの? なんで頭が切れた極端なアップと引きの画の反復状態なの? なんでいきなり部屋の外からのショットなの? それは一体誰の目線なの? って。基礎無しでいきなり技巧に走ったみたいな映像がいっぱい。手持ちショットが多くて全編ガタガタと動いてますが、もう少し全体の表現自体に縛りを入れた方が良かったんじゃないかなぁ。  話自体は大して面白くないです。よくある話。特にヒネリは無し(あ、ラストは卑怯なヒネリ方してるかな)。  タイムスリップものとしてひっかかる点が幾つか。未来ならともかく過去に戻ったのならば実際に行動し始める以前に新聞の日付だけでいきなり飛んだ事を認識しちゃうのは短絡的過ぎますし、昭和48年時点で十分物心ついてた身としては、あの風景はせいぜい昭和40年代初頭くらいだろ、と。  歴史改変ものではないので時系列を利用した凝ったトリックなんかは無いのですが、せめて時代や人のギャップで笑わせる程度の事はしても良かったと思うんですけどねぇ。  で、柴咲コウが倒れるところとクライマックスとで「ここが見せ場!」とばかりにクロスカッティングで盛り上げっていうのをやっていてクドいです。この2回のクロスカッティングのせいで映画のテンポが悪く、短い上映時間のクセにダラけた映画になっています。なんつーか、野暮。  大泉洋が全編ぶすーっとした状態でキャラとして面白味がないんですよね。劇団ひとりとセットになる舞台のシーンだけ面白いって感じで。肝心のクライマックスの舞台にしても華がないですし。  古臭くて野暮ったい感動的なお話が見たいなぁ、って思うならば(思うか?)ピッタリ来る、そんな映画。カメラと画の繋ぎに落ち着きが無いのが難点ですけど。[映画館(邦画)] 4点(2014-06-12 22:35:38)《改行有》

729.  サカサマのパテマ 《ネタバレ》  思いきりの『アップサイド・ダウン』とのネタカブリで(いや、ここまで発想が似ちゃうっていうのはなかなか無いっすよ?)、でも私としてはアチラの方がずっと面白かった、って感じで。  最先端なVFXを使った圧倒的ビジュアルで魅せるアチラに対してこちらは手描きアニメゆえに視覚的にはどうしても制限がある訳ですが、この作品はこの作品なりの魅力がもっと出せたと思うんですよ。  手を放すと落ちていってしまうっていう恐怖感、この映画はそこばっかり。二人が繋がってる状態(暗喩的にはモロなんですが)、その気持ち良さっていうか、繋がっているがゆえのステキな時間の共有、それが全くちっとも表現できてないの。そここそが大切なんじゃないの?  その二人の大切な時間の描写はあまりに淡白で、話の大半は二人で逃げた、彼女が連れ去られた、囚われた、彼女を助けに行かなくちゃ、っていうありふれたソレ。あとはこのテの作品にありがちな世界の設定のクドクドとした説明と。  で、後半になると「上下のイマジナリーライン」がメタクタになってしまって、もうどっちがどっちで結局その世界の土台はどういう状態なのよ?とワケ判らなくなってしまって。  一応、イマジナリーライン越えのために世界をぐるりと180度回転させる描写が出てくるわけですが、それが更にややこしい状態を生み出しているばかりで。  設定上、当然2つの重力世界をハッキリ描き分ける事が必要なのですが、それがもう全く無自覚なレベルで欠落しちゃってて、大変に残念な事になっちゃってると思いました。  『ラピュタ』からの引用もワリと露骨で、意欲だけはあるのだけれども未熟で安直で空回りし続ける作品としての印象が残りました。  っていうかこの映画はキャラクターが設定や物語に縛られまくっている感じですが、アニメって、もっと気持ちのイイものなんじゃないかなぁ・・・[映画館(邦画)] 4点(2014-05-08 19:45:52)(良:1票) 《改行有》

730.  THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ! 《ネタバレ》  ゲームは『1』『L4U』『2』と持ってますが、何しろ360信者なので『アイマス』はとうの昔にオワコン化してるわけです。バンナムがそれまで支えたユーザーを裏切った後の『アイマス』なんてどうなろうが知ったこっちゃありません。  なのでこの映画にもお金を払う気は一切ありませんでしたが、特典フィルムに釣られてつい。  で、感想ですが360信者にとってだけでなく『アイマス』自体マジでオワコン化してるんだなぁ、と思わせるような作品で。amazonでフィギュアが特価ばっかになってきてるとかいう現実もありますけどね、そもそも作品を送る側がもう終わらせちゃってる状態。  何しろレギュラーメンバーが春香以外、全員枯れちゃってるんですよ。茶飲み友達かってくらいになーんの葛藤もドラマも無く悟りきって仲良くまったり過ごしてるだけ。成長っていうか、もう全員黄昏迎えてるやん。  で、その代わりに馴染みの無い新規キャラのダンスチームにドラマを置いてるのですが、これがもうありきたりのドラマを延々と引っ張り続ける訳ですね。  「春香、さっさと会いに行け」と心の中でツッコミ入れてから45分、春香ウダウダ。ドラマ的にさっさと解決できるレベルのものを物語の核にしちゃってるんでとっても退屈な話。あくまで『アイマス』なので春香視点で描かなくちゃならないからダンスチーム側のドラマを大きくしきれませんし。  で、これが凡庸な解決を経て「よく動く」と評判のラストのライブシーンへと繋がるわけですが、よく動くのはカメラワークで、キャラのアニメートなんて結構雑。動かし過ぎでちゃんと表情が認識できませんし。  このライブシーンでキッチリ全員の表情見せないでどうすんだか。しかも一曲で終了。何やってんだか。  『アイマス』ってお気に入りのキャラを選んで育成するゲームじゃないですか。ファンの贔屓キャラを画面上で生かしてあげてこそでしょ。それがちゃんとできないような作品じゃ失格かな。これまでのキャラ全員をキチンと立たせてあげられる事ができなかったって点で、映画化は成功したとは思えません。  つーか『Wake Up,Girls!』の方がデキはダメダメだけどよっぽど面白くない?[映画館(邦画)] 4点(2014-02-15 21:16:13)《改行有》

731.  劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning- 《ネタバレ》  『タイバニ』の面白さっていうのがどうも判りません。ずっと触れてきていながら(まるで片目で見るかのように、ですが)何が面白いのか掴み兼ねてる状態なんですよね。  アメコミもののパロディみたいな作品なのですが、同じくパロディとして先に登場した『ミステリーメン』(スポンサーロゴ背負ってるってのはコレが元ネタ?)や『Mr.インクレディブル』に似つつ、それらを越えてゆくモノが感じられません。  そこに盛り込まれた雑多なイメージはひたすらとっ散らかった印象で統一感に欠け、そられの中からとっかかりを見つけようにもどうも掴みどころが無い、美味しそうに思えながら延々とハズし続けているような、そんな感じ。  アメコミとアニメ、大人向けと子供向け、シリアスとコメディ、一般向けとマニア向け、それらの間にあってそれぞれを両立させようとしているような感じがなんとも歯痒いハンパさを生んでいる作品、というイメージ。  さて、この映画版はテレビシリーズの出だしの部分+それ以降の物語との間に入る追加エピソードという構成なのですが、この作品を見る事で『タイバニ』の世界観を理解する事はできても、映画という舞台で何らかの新しいモノに触れられるのかというと、これがあんまり。  追加エピソードは一人の犯罪者との戦いを描く「この程度で映画を作っちゃったのか」ってレベルの話。以降に続く部分との齟齬をきたしてはいけない訳ですから、どうしても決められた狭い枠の中に納められてしまうのは当然ではあるのでしょうが。  虎徹とバーナビーのキャラの個性やスタンスの違いとコンビ成立の足掛かりという意味で組まれたエピソードであるものの、その敵の小物っぷりや展開する舞台の狭さ、テレビシリーズを見てきた人間にも、映画を期待した人間にも微妙な感じが否めません。  どこかで見たような事があるエピソードやキャラクター、そこから先のオリジナルな魅力が感じられないのがどうにもこうにも。ペラく見える表面の、本当は存在して当然な筈の奥行きのある裏側、それがちっとも見えてこないのが『タイバニ』なんですよね。[映画館(邦画)] 4点(2014-02-11 21:53:00)《改行有》

732.  清須会議 《ネタバレ》  多分、歴史上の人物にそれなりの知識があれば楽しめるのだと思います。大して知識のない、そして登場する人物に全く自分なりのイメージを持っていない浅学な私にとってこれはテンポの悪い間延びした退屈な会話劇。  役者に頼り過ぎなのではないかなぁ、とは思います。三谷作品お馴染みのメンバーが醸す(ハズの)独特の「味」に期待し過ぎちゃいませんか、って。  タイトル以前の、戦についてはひたすら絵巻で見せる部分以外は特に魅せる映像があるわけではありませんし、軽妙にも重厚にも寄らずになんだか中途半端な状態が続くような感じ。  大体、それぞれの役者さん達の面白味は、それぞれいつもの人物というかキャラが出たところで醸されるような気がして、映画上の人物像を創造しているというよりは、その人が演じている事による面白味を味わう、つまりかくし芸大会みたいな印象があります。  場内が最もウケたところはゲスト的に他映画のキャラが登場したところなわけで、つまりはそういうオールスターかくし芸大会ノリを期待してたり、それを狙ってたりもするのかなぁ、って。まるで「コレ面白いでしょ?」ってノリで作ってるみたい。  私としてはここに登場する人物の誰にも心を寄せる事ができず、手前勝手な人々の混乱劇(まあ、三谷作品がいつもそうであるように)として最後まで流れに乗る事はできませんでした。  ただでさえヘボい映写のTOHOシネマズ渋谷で更に室内の暗い画面が多いために平板で見辛い映像の連続する状態で、たまに屋外の明るいシーンになると目と脳が安心するという、視覚的ストレスの多い映画でもあって。  人がいっぱい出てきてわーっと騒いで、っていつものパターンを、でもキレイにまとめてる感じは毎回しないんですよね。この人の作品って物語よりも細かい断片にこそ命があって、それを大量に網羅してこそ、って感じなのかな。それも今回は間延びした対話によってスポイルされているように思いましたが。  とにかくこの人の映画、毎度長過ぎ。映画ってお芝居みたいに舞台と客席とが同じ時間を共有して緊張感を保ってる状態とは違いますからねぇ。今日、上映中に30人くらいトイレに立ってましたよ・・・[映画館(邦画)] 4点(2013-11-12 20:35:14)(良:1票) 《改行有》

733.  すーちゃん まいちゃん さわ子さん 《ネタバレ》  この映画で私が最も注目したのはロケが地元周辺だった事。すーちゃんが住むのは地元の学芸大学駅周辺、すーちゃんの勤め先は多分、故郷の中目黒あたり。そしてそれ以外にあまり注目すべきところは無く・・・  日常のあるあるネタをコラージュしていて、それは男でも共感できる点があって。職場での人間関係とか、介護の問題とか。  でも、それだけで終わっちゃってる感じの映画。その日常的なエピソードが生むストレスとか行きづまり感とか焦燥感とか、そこからじゃあ何をどう紡いで作品として仕上げてゆこうとするのか、そこがあまり見えてきません。  一応まとめたように思える(状況が変化してゆく、転がってゆく)部分もあるけれど、多くは散らかった印象のままに終わってしまう感じ。  イヤなヤツをイヤなヤツとして描いて不快感を煽り、相対的に3人はいい人なんですよ、みたいな描き方はどうかと思うんですよね。人には人の事情があって、そこで摩擦やすれ違いが生じて、みたいな描き方でないと、結局は上っ面だけの映画になっちゃう。  すーちゃんの家にマネージャーが訪ねてくるシーン、すーちゃんは料理をしていたのですが、映画はマネージャーとすーちゃんの行動は追っても、その料理がどうなったかは描かれません。料理途中でフライパンの火を止めるというのがどれだけ厄介な事なのか、この映画はそこをスルーしてしまいます。  夜、泣きながら自転車を二人乗りするシーン、さっきのカットと同じ場所を走ってる、って。雑です。  そういう、繊細なフリして実は無神経って感じが全編に漂っていて映画にノレませんでした。コラージュするならばするなりにもっと細やかに優しく(あのスーツ姿の男の面接シーンなんて暴力的でしょ)できたんじゃないかな。[映画館(邦画)] 4点(2013-09-26 22:23:35)(良:2票) 《改行有》

734.  劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語 《ネタバレ》 【マミる】頭が無くなる事。首が取れた状態。残酷な死に方をする事。『まどか☆マギカ』の登場人物、巴マミの最期に由来。 ・ ・ ・  このテの「メタもの」って私にとって大抵イラつくシロモノになってます。テレビ放映時には5話目まで見て「コレ嫌い」って挫折しました。  決して新しくはないです。つまりは『ウォッチメン』『ダークナイト』『キック・アス』『スーパー!』などの同類。アレの魔法少女バージョン。そしてそれらを私がそんなに~全く楽しめないのと同様、これもまたあまり楽しめるモノではありません。  空疎で生気を失った無機的な世界でドロドロとした感情がうねっている、そんな話。  現実感のない魔法少女ものの設定の中に生々しい感情や暴力や死を持ち込みジャンルを現実的視点から解体・再構築しているわけですが、メタものの多くが批判的視点を持つがゆえか、暗い、陰鬱な色になりがちで、この作品も終始陰鬱です。  でも「リアル」はもっと楽しいものでもあるわけで、このトゲトゲした、あるいはおどおどした少女達の極端な「リアル」はメッセージのための生という息苦しい枠にパッケージングされているような感じで。  そんな中で輝きを放つのが魔女の作り出す結界。作品内で最も魅力的な空間。美術的に独特のセンスを持って大変に面白く、ここだけで見る価値が十分あったりします。が、それもメタ化のための道具だと思うと(むしろ現実よりも悪である側の世界の方が明るく生き生きとしているという皮肉)なんとももったいない話で。  マミさんが早々に退場するのももったいないですが(笑)  このビミョーなデザインの世界で個人的に魅力を感じたのは彼女だけでしたからねぇ。  ダークなアニメに魅力を感じられるほど、おっさん心と時間に余裕がないのかな。[映画館(邦画)] 4点(2013-09-25 20:22:13)《改行有》

735.  キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK- 《ネタバレ》  脚本が駄目です。  ハーロックが『逆襲のシャア』の「地球にアクシズ落としちゃうけど地球は大切にね」ってシャアの二番煎じみたいな訳の判らないキャラ。それに『火の鳥2772』をブレンドしたような、何をゴチャゴチャぬかしてんねん!と言いたくなるような話。  主人公の青年は行動に一貫性が無くコロコロと自分の立場を変えて物語をひたすら引っ掻き回すばかりの存在だし。  登場人物の言動に全く同感できる部分がないままに映画が進んでゆくっていうのはつらいです。  だけど元々の原作マンガやらテレビシリーズ版やら『わが青春のアルカディア』やらからして、マトモに完結してなくて結局ハーロックってなんだったんだ?っていうとよく判らん、っていういい加減な状態なんで、ある意味忠実なのかもしれませんが。  トチローとコンピュータの件なんてこの映画じゃよく判らないわけですが、原作やアニメあたりでも「友よ~!」って言ってるばかりでよく判らなくて、答えは劇場版『銀河鉄道999』にあるあたり、まあ、この原作者の作る物語は元から断片を繋ぎ合わせて理解するしかないわけです。この映画は殆ど別物なのでそれでも理解できませんけど。  で、ビジュアルは思ってたよりはいいです。  モクモクと黒い雲からズドーンと髑髏の艦首を突き出してくるアルカディア号の迫力とか、未来世界の美術やガジェットのデザインとか。  ミーメはそのビジュアルと蒼井優の実力ある声とが相まってステキですわぁ。  全体的にキャラはゲームのムービーみたいな感じでしたが。  国産CGモノによくある白人コンプレックスっぷり、有紀螢まで白人顔っていうのはどうなのよ?日本映画なのにそこまで東洋人顔が嫌いか!とも思いましたが、これも原作者の描く女性がそもそも、ねぇ。  なんかカッコつけてるわりには情けなかったりバカっぽかったり、脚本の人の中にあるハーロック像ってこんなモンで良かったの?とは思う映画ではありました。[映画館(邦画)] 4点(2013-09-20 21:22:44)《改行有》

736.  劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 《ネタバレ》  また志が低めのアニメ映画を見てしまった感じで。  テレビ版を見ていない、その知識が全く無い人間にとってこれは「極端に構成力の欠如した独りよがりの作品」でしかありません。  とにかく時系列が判りづらいです。あちこちのエピソードを拾っては散りばめているばかりで、二度目以降の鑑賞ならばその並び順を理解できるのでしょうが、初見では「それは一体いつの話よ?」と。子供時代と現在という大雑把な2つでしか分類できないような不親切な構造。  その上、突然回想状態でセリフ無しで口パクパクしてるような映像が登場する事で「ああここはテレビ版の映像を並べてるんだなぁ」って冷めた目で見るような箇所多数。  一方で登場人物がひたすら心の声でホンネを語りまくる、その人称のブレっぷり、心情を理解しようという思いを挟む余地の無さっぷりには呆れるばかり。  この人はこういう気持ちなのでこういう言動をしているのです、という説明を延々と続けるばかりで全くドラマを作ろうとしていません。全員の心の声がこぼれまくりで、だけどその説明過剰っぷりに誰にも心が向いてゆかないという。  「幼い少女が死んでしまった事に対する仲間の悲しみや後悔」、それが感動を生むのは当たり前で、それをずーっと悲しい悲しい言ってるだけの話で、だから映画見て泣きたいなぁ、感動したいなぁ、ってそれだけを求めるのならばいいんじゃないかとは思います。そこもあまりにクドいけど。  で、それ以上のものが少なくともこの映画からは感じられませんでした。投げ槍とも思える未来がチラチラと提示されるばかり。テレビ版にはそれ以上があったのかもしれませんが。  「めんまがかわいくて可哀想で、ってところにこそ価値があるんだ」っていうのならば、まあ、なんの異論もないですけど。[映画館(邦画)] 4点(2013-09-20 20:45:47)《改行有》

737.  爆心 長崎の空 《ネタバレ》  久しぶりにシュールにコワレてる映画を見たという感じで。  明らかに原爆の事と判るタイトルと、母を亡くした娘と娘を亡くした母の邂逅という設定から思い浮かぶ映画の姿、それを中途半端に(徹底的にではなく)破壊してみせるという。  過去の悲劇とそこからの再生、そして未来への生、そこら辺がキーワードになってゆくのだろうな、と思うとその通りではあるのですが、そこに至る道が尋常じゃありません。  宗教映画的に十字架やキリスト像、隠れキリシタンなどのキーワードを散りばめ、題材的には浮きまくってるとしか思えない唐突な濡れ場(とコトを連想させる描写)が配置され、更に電波を受信したかのようにノアの方舟を作り始める幼なじみ(いや、単に壁に釘打ってるだけですが)等々、じゃあこれは原罪についての映画なのか?って感じもしますが、あくまで半端です。  『夕凪の街 桜の国』(原作の方)と同様、原爆で死んでいった者に対する、生き残った者の心にいつまでも残る「自分は生きていて良かったのだろうか?」という自責の念が語られはしますが、それも機能不全を起こしているかのように映画の流れに有効に作用しておらず。  みんな過去を背負って色々精神的に病んだりもして大変だけどとりあえず命があるんだからなんとなく生きてりゃいいんじゃね?みたいな話を、なんか無理に長崎=隠れキリシタン=原爆って三題話みたいに結び付けて、しかもとっても凡庸な、つまんない演出っぷりで描くものだから、更なるカオスを呼んでいる状態で、ヘンなもの見たなぁ!って点では刺激的ではありました。  ラストなんて、火を点けて燃えちゃったコンテナハウスから生還してドリフのコントみたいに黒くなってる二人が目の前で「やっぱり産むわうふふあはは」ってハッピーエンド状態になってる家族を呆然と見守るという大変にシュールな世界で、これマジメにやってるとしたら相当ヤバくね?って感じがしないでもなく、しかも文化庁コレにお金出しちゃったんだ・・・みたいな。  原爆を題材にしたものが「ネタとしては楽しめる映画」状態っていうのはどうかと思うのですが。[映画館(邦画)] 4点(2013-07-28 14:29:35)《改行有》

738.  奇跡のリンゴ 《ネタバレ》  近所のベンガル一家が「何か」を発見して呆然とする訳ですよ。そこで「リンゴの花が咲いたんだな」と判るのですね。そこにやってきた池内がさらに「何か」(花だろ)を見て呆然として夫婦の元へ駆けつけます。池内は「何か」(花ですね)について一切語らずに夫婦を急き立て、夫婦はバイクに乗って延々と山道を「何か」(花ね)に向かって移動してゆきます。やっと辿り着いたかと思うと二人は「何か」(花だって)を見るのが怖くて小屋の陰に隠れます。先に「何か」(花だ)をやっと見た菅野が驚いてみせて、そして阿部の番になってネットリと阿部の驚いた顔を見せた後にやっとやっと「花」が画面に登場。  馬鹿? 失笑と言うより腹立たしいくらいで。そこまで引っ張ってタメて「ほーら」ってやってみせなければダメなの?  まあ全編こんな調子。勿体付けてタメてゆくカットとベターっと表情を捉えた映像、久石譲のベタベタと甘いメロディに乗せて、家族の貧乏で大変な苦労話が展開する、カビの生えた邦画の見本みたい。  冒頭でバイクが爆走したりアンプ爆発ですっ飛んだりってバカ映画タッチが登場するものの、本編は全くタッチが異なり、かなりの部分が陰鬱な苦労話。その繋がりの悪さが全体の印象をおかしなものにしているような気がして。  阿部の人間性を面白おかしく描いた事が、結果的に特異な、異常な人間として映り、多くを犠牲にしてまで無農薬リンゴの栽培に執着してゆく姿に感動すると言うよりも「こいつおかしいだろ」と感じてしまい。  家庭を犠牲にし、自分だけではなく義父の身をも削り、様々な事が破綻し、その上で自殺という自己完結の道を辿ろうとする、それを「イイ話」として受け止めるのは、私には無理。だけど映画はあくまで「これは感動的なイイ話なんですよ」ってスタンスを崩そうとはしません。  村八分だとか出稼ぎに出て都会の若者に金を取られたりとかいう類型的な「イヤな事」も含めて、苦労から感動に至る道筋をギュウギュウと押し付けてくるような作り方は普遍的ではなくて単に古臭いだけだと思います。  離婚話を持ち出された菅野美穂が泣きながらご飯を食べるシーンなどいい味が出ているのですから、そういう素の人間臭さで占められていれば良かったのですが、常識外れのヘンな人間を韓流映画みたいなベタベタな感動タッチで彩った、実話を元にしながら作り物めいた一編という印象でした。[映画館(邦画)] 4点(2013-06-20 16:16:06)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》

739.  ロボジー 《ネタバレ》  笑いとしては程度の低いナンセンスギャグばかりで大して面白くないのですが(嘔吐、放尿、放屁なんて小学生レベルのネタだわね)、それより何より『ハッピーフライト』に続いてなんかイライラさせる映画で。それって一体なんのせい?と思ったのですが、コレとは全く別の映画についてのフォロワーさんの感想を読んで、ああ、そうそう、それのせいだ、って。  「いいからお前ら、ちゃんと働けよ」  いや、お笑い映画なのだからちゃんと働かない人々だからこそ笑える、って事なんでしょうけども。  この映画、いかに仕事をせずに人を騙すか、っていうのが物語の基本。  矢口監督の映画はいつもまず最初に思いっきりダメなところから始めるんです。引き算しまくった人間を描いて、そこに幾らか足していく事で結果的に良かったね、っていう。  『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』みたいに高校生ならば引き算しまくったおバカでもいいんです。でも、社会人はそうはいかないでしょう。『ハッピーフライト』もこれも、社会的な責任を背負った大人がなんてバカなんだろ?って、もうその時点でひっかかっちゃう。  そんなダメなキャラでも愛する事ができればそれはそれでいいのですが、吉高嬢も含めて、この映画のキャラには魅力がありません。ギャグのためのキャラクター造形という作為が丸見えになってしまっているからなんですね。  大体、思いきり低いところから始めてちょっと上げてみせる事で(今作で言えばそれまでインチキばかりしていた3人がマジメにロボット工学を学んでゆくところね)なんとなくいい感じに見せるっていうのは作劇法としてわりとラクな手な訳で、この監督の作品はそれをちょっと繰り返し過ぎかなぁ。  植木等のスチャラカ社員はあのモーレツな高度成長時代なればこそアンチテーゼとして機能していた訳で、じゃあ今の時代にあるべき勤め人の姿とはどういうモノ?って考えた時に、ちょっと矢口キャラって違うんでないの?と思うのでした。[映画館(邦画)] 4点(2013-05-23 22:58:08)《改行有》

740.  映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館 《ネタバレ》  去年の『クレしん』と同じ状況になってます。ひたすら状況説明が続くばかりで物語が全く動いてゆかない状態。  ほぼ博物館だけを舞台に展開する内容で、『ドラえもん』世界でお馴染みの道具については色々と語られてゆきます。エンドクレジット部分を含め、カタログ的な価値としてはとても大きいと言えます。  でも、物語はクライマックスでの展開を除くと殆ど台詞によって説明されてゆくばかり。博物館という閉鎖空間で動的な展開をさっさと諦めひたすら点による情報の羅列に終始している感じ。  大体、のび太とドラえもんが物語を殆ど動かしていないのですよね。ゲストキャラクター達の暴走と自己完結を見守る狂言回し的な存在でしかなく、ただ盗まれた鈴にまつわるエピソードのみが辛うじて脆弱な芯として存在しているようで。  キャラクターの個性を生かす事もなく、明確な教訓を残す訳でもなく(またやらかすぞという繰り返しの日常へと戻ります)、ひみつ道具の存在に依存した一編、『クレしん』と共に原作者亡き今、シンエイ動画はドラマを構成する力に問題を抱えてはいませんか?[映画館(邦画)] 4点(2013-03-14 19:51:23)《改行有》

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