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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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61.  紀子の食卓 《ネタバレ》 この映画が嫌いだ。逆光を使った小奇麗な風景、幸せそうに流れるオルゴール、登場人物たちのポエム、言い換えると独り言。それらは虚構の幸せを映す鏡なのだろう。私にはかったるかった。クシャミが出た。こんな「クシャミ」なんていらないのだ。『自殺サークル』の飛び降り自殺の場面もうんざりした。意図は解る、けど何度も映されるとウンザリだ。 でもとっても感動した。何故だかはハッキリと分からない。"家族の血"というモチーフに固執し続ける園子温監督の意識が一番強く感じられたからかも。始まりの家族はどこか変だ。イビツで嘘だ。だから紀子は逃げ出した。紀子は自殺サークルでレンタル家族になった。みんな自分の役割を演じるのだ。みんな幸せそうだ。とっても。でもこんなに幸せそうなのもやっぱり変だ。まるで判を押したような幸福な光景の気味の悪さ。家族は痛みを伴って存在するものなのだ。 「一からやり直そう――」徹三の言葉が心を打った。とっても平凡な言葉。クミコの母親も同じことを言っていた。でもその言葉の重みには数万光年もの差があるのだ。紀子は紀子として生きていく。ユカは真っ新な、白いキャンパスみたいに新たな家族を求めて生きていく。どっちが良いのかは分からない。分かるのは本当の家族であるには痛みを伴うということだけだ。クシャミが出た。この映画は大好きだけど、こんな文章は大嫌いだ。[DVD(邦画)] 8点(2013-10-16 00:00:39)(良:1票) 《改行有》

62.  地獄でなぜ悪い 《ネタバレ》 園子温監督は自伝の中で、如何に現在の日本映画界で「泣ける」「感動できる」映画が持て囃されていて、観客に「泣かせること」を至上命令とするような映画が溢れていることに憤りを顕にしていました。そして黒澤明や深作欣二など日本を代表する名匠の映画には、唯々泣ける映画は殆ど無く、自分はそういう映画を作りたいと熱い思いを吐露していました。 そして完成した映画が『地獄でなぜ悪い』です。いや、園監督は実質的デビュー作『自転車吐息』から基本的に常に同じ路線で突っ走っていると思います。「どうしたら観客にショックを与えられるか?」「自分が作りたい映画とはどういうものなのか?」、という問を追求されてきた監督です。しかも下手をすると単なる自慰行為とも呼べる映画になる所を、園監督は観客を満足させるサービスも忘れずふんだんに盛り込んで映画を作り上げる。これは別の芸術家の言葉ですが、芸術作品は畢竟「混沌(コンフュージョン)」と「秩序(オーダー)」のバランスが大事なのだ。園監督はそのバランスの取り方が実に上手いと思います。 本作も正にそういう作りで、クライマックスではヤクザ同士の殺し合いが只管に続き、血が其処此処にビュービュー飛び出て、首がポンポンすっ飛び、銃声がガンガン鳴り響き、怒号が飛び交う。これは観客に向けたサービスと取るべきでしょう。オープニングから『仁義なき戦い』のテーマが流れる通り、この映画は深作欣二監督のタッチに非常に近いと思います。迫力のある残虐描写と気の抜けたギャグが連続する。正に深作欣二の世界。観客は地獄の乱痴気騒ぎに身を委ねるのみです。そこに園監督の映画への熱い思い、一生に一本の映画を取れるなら命なんて要らない!いい暮らしをして平凡な映画を作り続ける位なら死んだ方がマシ。そんな話が展開していく。 ある種の観客や映画の作り手にとってはこれ程のサービスは無いでしょう。そのサービスを全く有難がらない方がいらっしゃるのも当然です。私には最高のサービスでした。[映画館(邦画)] 9点(2013-10-11 22:51:43)(良:1票) 《改行有》

63.  そして父になる 《ネタバレ》 オープニングは私立小学校の面接から始まる。ある一家が面接を受け、可愛らしい子どもが行儀良く質問に答えている。面接後、父親である主人公が「キャンプになんて行ってないよな?」と聞くと、子どもは「塾でそう答えるって教えられたから……」。父親は「お受験塾もよく考えるよなぁ」と単に感心している。この映画はそんな嘘の家族像から始まる。 そんなオープニングとは対照的に、映画のラストで主人公は何もかもをさらけ出して我が子の前に立つ。やっと本音を伝え本当の家族となった父子を観て自然と涙が出てきた。結局映画の始まりと何ら家族構成は変わらなかったのに、これだけ感動させられると言うのは矢張り主人公の描き方が優れているからだろう。 この主人公の嫌な感じの描写がとにかく素晴らしい。単に嫌味なヤツ、最低野郎などではなく、ギュッと絞ると自然に滲み出る様なヤな感じなのだ。例えば、樹木希林演じる義母に「(同じく子どもを取り違えられた夫婦が)どんな人だった?」と聞かれ、主人公は一言「電気屋だった」と答える。相手の人となりを見ず、相手を社会的地位や経済力で判断する主人公の感じの悪さが上手く現れている。また『ガリレオ』シリーズと同じく完璧人間を演じる福山雅治が実に良くその役柄に合っている。 「本当に父親らしいとはどういう事なのか?」というありきたりなテーマで、結論も「しっかりと子ども触れ合い、真剣に愛する」というありきたりな物なのですが、監督の手腕の高さで一級の人間ドラマに昇華されている。名監督に題材の平凡さは関係無いという好例だと思います。[映画館(邦画)] 8点(2013-10-10 23:04:18)(良:3票) 《改行有》

64.  ゆきゆきて、神軍 《ネタバレ》 アナーキストである山崎謙三を追ったドキュメンタリー。ぶっちゃけ山崎謙三その人は疑いようも無くアレな人である。"神軍"と大きく書かれている車を乗り回し、天意を受けていると思い込み、暴力を礼賛する。彼がまともであると主張する人は少ないでしょう。 しかしドキュメンタリーが事実を映すエンターテイメントとするならば、これほど観ていて面白い対象も中々無い。とにかく氏の行動が極端で次のアクションが読めないことがサスペンスとなっている。暴力をふるう前に画面が溜めのスローモーションとなるのも上手い演出だと思います。 またこれには人それぞれに許容できるラインがあると思いますが、個人的に"絶対に妥協はしない"氏の生き様には少し憧れを感じた。別に氏のように振る舞いたいという意味では無く、その姿勢や存在感に圧倒されたと言う意味で。『時計じかけのオレンジ』のアレックスや、『ダークナイト』のジョーカー、『ウォッチメン』のロールシャッハに魅力を感じてしまう感覚と同じ。 つまり彼は現実に存在しているにも関わらず、どこかフィクショナルな存在感を持つ稀有な人間であるのだと思います。またそういう人間が私たちの住む世界に実際にいると如何に困った存在であるかと言う事実も、この映画は克明に炙り出している。[DVD(邦画)] 9点(2013-10-07 22:55:35)《改行有》

65.  仁義なき戦い 完結篇 《ネタバレ》 シリーズ5作目にして一応の完結作。最終作としての見ごたえはそれほど無く、どちらかと言うと追補版の様な印象。1~4作目までの様にストーリーを貫く軸が無く、天政会の世代交代とそれに伴う流血が延々と続く。広能も終盤まで登場しないので主人公不在で盛り上がりに欠ける感も否めない。但し終了した筈のシリーズを静かに締めくくる作品と考えれば消して悪い出来ではなく、これまでに数々の名演を見せてくれた菅原文太、小林旭、松方弘樹、伊吹吾郎、田中邦衛、北大路欣也、そして金子信雄に感謝しつつ最後まで楽しく観ることが出来ました。[DVD(邦画)] 7点(2013-09-28 08:49:32)

66.  お嬢さん乾杯 《ネタバレ》 全うなロマコメでありつつも後半でしっかりと深刻な主人公の悩みを描くのには、ホントに木下監督は真面目な人なんだなと思えます。生まれの差を乗り越えて愛を達成させようとする主人公の姿はとにかく一直線、猪突猛進で観ていて気持ちがよかった。それだけにもう少し上映時間が伸びてでも脚本にひと捻りあっても良かった気もします。その辺りが同時期に活躍していたビリー・ワイルダーとのコメディ演出の差でしょうか。[DVD(邦画)] 6点(2013-09-25 23:23:48)

67.  男はつらいよ 《ネタバレ》 私は「釣りバカ」シリーズや「男はつらいよ」シリーズ等のプログラムピクチャー映画が苦手です。なぜなら評論家の赤坂憲雄が過去に述べているとおりこれらの映画は"棺桶映画"だから。お馴染みのアレを観たがっている観客にショックを与える映画は必要ないのである。観客にショックを与えることを禁じられた死んだも同然の映画たち……、何て悲しい存在だろう! しかし知り合いから「男はつらいよの一作目と○○作目はホントに面白いよ」と説得されて今回鑑賞。成程、確かに面白かったです。一作目はそもそもプログラムピクチャーとして作る気が(恐らく)無かったのでしょう、その後に同シリーズで量産される只管に湿っぽい少しイイ話というテイストとは異なっている。そもそもこの映画の寅さんはトコトン屑人間と言っていい。作品を重ねるごとにキャラクターが丸くなっていくというのは良くある話ですが、この一作目の寅さんのダメ人間振りは中々類を見ないレベルです。 「妹の縁談の場をぶち壊す」「他人の庭で小便を引っ掛ける」「他人を見た目で判断する」等々、その破天荒というには余りにも非常識なキャラクターがとにかく面白い。 逆に個人的に後半のさくらの縁談話になった途端に同シリーズ独特の湿っぽい人情噺が展開したのには少し残念でした。人生の悲哀なんてどうでも良く、最後までクズ野郎寅さんの下町に現れたゴジラのごとき大破壊を楽しみたかったというのが本音です。 それからどうでもいいことですが、さくらを育てたおいちゃんとおばちゃんに物凄く腹が立った。寅次郎が縁談をぶち壊した時には「人だ家柄だ」と言ってたくせに、中小企業の印刷屋の息子、諏訪の気持ちを下手に伝えた時には「おまえが何もせんなら二人は上手くいってたんだ!」とのたまう。縁談の前日に深酒して寅さんを無理矢理行かせた様な無責任男にだけは言って欲しくないセリフである。[DVD(邦画)] 5点(2013-09-22 06:40:15)《改行有》

68.  晩春 《ネタバレ》 私は初め原節子演じる中々結婚しようとしない娘が主役の映画だと思っていました。実際にそうでもあって、終盤まで笠智衆演じる父親は腹の底が見えない。基本的に周りの人の言葉に「そうだなあ、そうするか」と延々と肯定し、娘と能を鑑賞した時も娘の気持ちに(表面上は)気付けなかったりする。 しかしこの印象が最後の姪っ子との会話で180°変わってしまう。何もかも娘の事を理解した上でのあの行動だったのだと。その後のリンゴの皮を一人で向いている時の茫とした表情は観ていて居た堪れなくなりました。嫁に行く娘を思う父親像というのは結婚を描いた映画ではド定番の一つですが、これほど見事に複雑な父親の心理を描いた作品を私は知らない。[DVD(邦画)] 7点(2013-09-18 23:27:55)《改行有》

69.  劇場版 ATARU‐THE FIRST LOVE & THE LAST KILL‐ 《ネタバレ》 ドラマ版は未見です。辻褄が合わない脚本と、浅薄な演出、笑いを取るための出演者の変顔&ダジャレ、画面に合わないCG、何度も繰り返されるスローモーション&無音、等々……私が嫌いな映画の要素が悉く入っていて、遣りきれない気分でした。 それなら単に出来の悪い映画だなで終わるのですが、許せなかったのは主人公アタルの描き方です。犯人のマドカはアタルに「汚い大人にバツを与えよう」とアタルを誘いますが、これは彼ら知能に障がいがある人を純粋で天使のような者と扱っていることに他なりません。それはアタルが容疑者と断定された時に舞子が「アタル君は犯罪なんて犯しません!」と言っていることでも明らかです。つまり彼ら知的障がい者を一人前の人間としてこの映画は扱っていない。非常に差別的なシナリオだったと思います。倫理的に許容しかねます。同じように知能が健常者に比べ低い人を天使として扱った作品としては『フォレスト・ガンプ』がありますが、それに通じる不快なモノがありました。[映画館(邦画)] 1点(2013-09-16 09:20:17)(良:3票) 《改行有》

70.  仁義なき戦い 《ネタバレ》 実録ヤクザ映画の代表シリーズの第一作。かつての任侠映画では考えられない程に薄汚いヤクザばかりの中で仁義を貫く広能が輝く。一作目は他作とは違い抗争劇のテイストが薄めですが、ヤクザ達が共謀し相手をだまくらかして兄弟だろうと容赦なく裏切る展開が続き、ことテーマ性に関しては随一と思われます。ラストの葬式での広能の啖呵が心に迫ります。 そしてこの映画シリーズの成功した要因はドキュメンタリックな撮影方法、リアリティ路線のストーリー、実力派ぞろいの役者陣の名演等、多々あるのでしょうが、個人的に一番好きな要因は広島弁で繰り広げられるヤクザ達の舌戦です。「バカタレ!」「おどりゃア!」「うぬら、調子に乗りよって!」「おどれクソ!舐めよってから!」「なにを言うとるんなら、このクソ!」「ナンとしやがるンな、おどれらは!」……etc。まるで凶暴な歌のよう。[DVD(邦画)] 8点(2013-09-16 00:55:01)(良:2票) 《改行有》

71.  仁義なき戦い 広島死闘篇 《ネタバレ》 他作の誰が死ぬか分からない様なヒリヒリとした雰囲気とは少し異なり、湿っぽい印象を持つ本作。それは誰もが裏切り裏切られ権謀術数が交差する他作とは違い、主人公格の山中正治にスポットを当てたからかも知れません。結構ストレートな恋愛もその印象を強めている。 但し本作には余りに魅力的な奴がいる!千葉真一演じる大友勝利です。彼の演技が特に素晴らしくもう最高。人間的にはクソ以下の様な振る舞いなんですけど、その広島弁の罵倒のリズムの良さ、迸る生命力(お前は何回撃たれたら死ぬんだ)、リアリストとしての人生哲学に惚れ惚れします。勿論、北大路欣也演じる山中正治の寡黙だが仁義を通し続けた生き様にもしびれましたが。 終盤で拳銃の残り一発の弾丸を確認する山中。彼はその一発を自分を裏切った組長に向けるのではなく、自死を選んだ。ある意味一作目と鏡合わせの様な作品であると思います。[DVD(邦画)] 8点(2013-09-15 19:05:11)《改行有》

72.  喜びも悲しみも幾歳月 《ネタバレ》 2時間40分という比較的長尺な上映時間の中で延々と山場が連続する、個人的にはNHKの朝の連続ドラマを映画用につなげた様な印象を受けました。なので各エピソードに纏まりがなく、「はい次はい次」と兎に角忙しなかった印象です。各灯台毎に泣きのエピソードが挟まれるのですが、これも正直泣けないシーンが多かった。特に東京に行った息子を亡くす場面では、今夜が山と言われているにも関わらずこの息子が喋る喋る。どう見たって今際の様子じゃありません。観客を泣かせようとする余り、色んな物を犠牲にしている気がしました。 ラストの灯台と客船の汽笛でのやりとり、耳に残る主題歌など、素晴らしかった点もあったのが心残りです。[DVD(邦画)] 4点(2013-09-15 11:09:38)《改行有》

73.  永遠の人 《ネタバレ》 何十年に渡る夫婦を描いた作品ですが、もう直視できない程に地獄の様な作品。生娘を強姦し無理矢理嫁にした地主の息子、夫への復讐の為に図らずも長男を殺す原因を作ってしまった嫁、長男を失った時の悲しみが消えず嫁を恨むその次男。一人が一人を憎み、一つの村を舞台に数珠つなぎの様に憎しみが巻き起こります。 そんな話の中で、相手を"許す"ことができるのか?を仮初の夫婦をモデルに描く。木下監督の深い人物描写が白眉です。哀愁を漂わせるフラメンコギターも良い。[DVD(邦画)] 7点(2013-08-26 10:40:37)《改行有》

74.  ガッチャマン 《ネタバレ》 観終わった感想は「ひっでぇな、コレ」という感じでした。完全にブッ壊れてる映画ならネタにもなりますが、変に真面目振ってる所があるから、余計に救い様がない。 まあ監督がブッチャケ親の七光りの佐藤東弥、脚本が『二十世紀少年』三部作の渡辺雄介ですから(どちらもテレビドラマご出身の方です……)、碌な映画では無いだろうと思ってはいたのですが、想像以上でした。 私はガッチャマンに関しては何の思い入れも知識もなくて、珠に朝の「おはよう忍者隊ガッチャマン」を見てキャラの名前を知っている位のモンですが、映画が作られたコンセプトは分かります。スーツのデザインからして「ああ、日本版ダークナイトをやりたいのね」というのは丸分かりで、主人公が何が正義なのか悩む点も似ています。でも最後の結論が真逆なのでチャンチャラ可笑しいですが。最後に「俺たちは助けたいから助ける、やりたい様に(自由に)やる」って、それベルク・カッツェの主張と同じやん! 個人的には全編を支配しているご都合主義的展開、ディテールの甘さ、演出力の欠如、お世辞にも上手いとは言えない役者の演技等、笑える点が多かったので、バカ映画としては結構楽しめました。期待値が元からゼロだったのが良かったのかも知れません。 特に酷かったのが下らないテレビ屋的な、音楽が盛り上がれば観客の感情も上がるだろうと思っているであろう浅薄な演出で、物語の序盤でパーティー会場に潜入する(そもそも国際的な機関なんだからパスくらいあるだろ)場面で、指紋と人相が一致するかどうかでサスペンスを盛り上げようと思っているのでしょうが、音楽のボリュームを上げて緊張感を出そうとしているだけでコントみたいです。私は笑いました。その後にパーティーの参加者が全員マスクを着けてる衣装の理由も無いよなぁ。『ダークナイト ライジング』オマージュ?衣装と言えば適合者の子供たちが無駄にダボダボの服着せられてましたけど、何ですかコレ?『スター・ウォーズ』のパダワンのつもり?だっせえセンス。ちょっと考えるとこんなツッコミどころが無限に出てきそうなので止めときます。 それから剛力彩芽演じるジュンのキャラがマジで怖かったです。健に対して好き好きオーラ全開の上、甚平と竜もそれを囃し立てる。完全に外堀埋められてるし!こんなに働きにくい職場ってないぞ![映画館(邦画)] 3点(2013-08-26 01:25:13)(笑:2票) (良:1票) 《改行有》

75.  仁義の墓場 《ネタバレ》 「仁義なき戦い」と同じく深作欣二監督による実録ヤクザ映画と聞いて、なんとなく手にとったのですがとんでもない作品ですね。カルト映画とされている訳も良く分かります。序盤は「ああ、スカーフェイスと同じく跳ねっ返りヤクザの一代記か」と思っていたのですが、中盤で酔った勢いで親分を殺した辺りから「単なるツッパリを超えちゃってるだろ」と思い、兄弟分の今井を殺した時点で「なんだこの怪物は……」とどんどんと主人公の印象が変わっていきました。とにかく主人公の意味不明な凶暴性が目に付き、余りにも言動が不愉快で不可解なのですが何故か目が離せませんでした。全く好きにはなれませんでしたがね。 主人公を演じた渡哲也の鬼気迫る演技と、その凶暴な演技を際立たせている深作監督のコンビネーションが素晴らしくも恐ろしい、良作ヤクザ映画だったと思います。[DVD(邦画)] 7点(2013-08-03 12:34:14)《改行有》

76.  真夏の方程式 《ネタバレ》 前作の『容疑者Xの献身』は二時間ドラマをそのまま映画館で流したような印象でしたが、本作はキチンと映画として完成されていたと思います。元々東野圭吾のガリレオシリーズの長編は短編に比べるとトリックも派手なモノは少なく、キャラクターの人間関係に絡み合う因縁に重きを置いた作品が多いだけに、本作の様に終始落ち着いた画作りは良かったと思います(前作は矢鱈に奇をてらった演出が多いのが終始不満だった)。それでいて東野圭吾自身が理系出身であることも影響しているであろう、少年に科学の面白さを伝えるペットボトルロケットの場面だけは非常にカタルシスを感じるように演出されており、他の場面との対比が素晴らしい。また物語のキーにもなる"美しい海"の映像を見せる意味でも機能している。 また邦画でありがちなロケ地の風景を是れ見よがしに見せつける様な映像が無かったことも良かった。海の風景は度々繰り返されますが、これは前述の通り物語の重要なファクターなので必然性のある画でした。 忘れてはいけないのが脚本・編集の上手さ。長編小説を、特にミステリーを映画化するときはどうしても説明的な場面が多くなり、間延びしがちですが、一つのシーンにいくつかの要素を入れ同時に説明している場面が多々あり、全体的にタイトに間延びせずに仕上がっていると思いました。 最も惜しいなと思ったのが、個人的な好みもあるかも知れませんが、種明かしが始まってからが長いことでしょうか。流石に愁嘆場を含めて30分はかけ過ぎかも。[映画館(邦画)] 7点(2013-07-28 11:11:24)《改行有》

77.  野良犬(1949) 《ネタバレ》 前半は単純に面白いサスペンスが続き、この刑事サスペンスの手際の良さからして驚愕の出来なのですが、後半に進むに従って「人間は何故悪に染まるのか?悪とはなにか?」という人間にとって根源的なテーマに突き進んでいく展開が素晴らしいです。そしてベテラン刑事、佐藤の家で呑んだ帰りがけ、「どんな人間でも悪に染まる恐れはある」と議論した後に映る、無垢な子どもたちの寝姿のカットの良さよ。数々のカットが物語のテーマを象徴し、観客に「君はどう思う?」と質問を突きつけて来る。実に映画的な魅力に溢れた作品だったと思います。 近年の映画は恐らく『ダークナイト』の影響でしょうが、絶対悪との戦いを通して善と悪を描いた作品が多くなっていますが(勿論、それも描くに値するテーマです)、本作の様に一義的な善悪の話に収まらない話も素晴らしいと思います。その象徴として段々と狂犬じみた相貌に変わっていく正義感・責任感溢れる村上刑事と、最後に子どもの歌を聞いて泣き崩れる遊佐の関係がある。最後の佐藤刑事の物語の締め方も実に良かった。 またホテルで佐藤刑事が遊佐に撃たれる場面ではバックにラジオから流麗な音楽が流れますが、こういうバイオレンス描写と美しいBGMを合わせるという手法も恐らくその後の映画に多大な影響を与えているんだと思います。私がパッと思い出すのは『時計じかけのオレンジ』『フェイス・オフ』『ドラゴンタトゥーの女』等ですが、そういう点でも大変映画史にとって重要な作品だと思います。[DVD(邦画)] 9点(2013-07-27 11:10:08)《改行有》

78.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 堀越二郎は少年時代から海外の飛行機雑誌を読むほどの飛行機マニア。彼は夢で何度もイタリアの飛行機設計者カプローニ伯爵と邂逅する。この夢の内容ですが、恐らくカプローニ伯爵は主人公の憧れであり理想の男だったのだと思います。夢の中でカプローニ伯爵は「発明設計は戦争の道具を作るのではない、夢にかたちを与えるのだ!」と言い、彼の飛行機には爆弾の代わりに客間が乗っている。夢の中でカプローニ伯爵の飛行機に乗っている人は皆にっこり幸せそうに笑っている。彼は本当に純粋に飛行機という乗り物が好きなだけだった。 でもその技術は戦争に使用され、彼の設計した零戦は一機たりとも戻っては来なかった。戦争は根こそぎあらゆるものを奪い去った。それでもなお夢の中で菜穂子に「生きて……!」と言われ生きていく。この世が生き辛いのはどの時代でも当然のこと。それでも私達は生きなければいけないという強いメッセージを感じました。 基本的に零戦の誕生にまつわる話がメインで、菜穂子とのロマンスは短いですが、短い時を懸命に生きた二人はしっかりと描写されていたと思います。何より宮崎駿が主人公と菜穂子の初夜をちゃんと描写したことには驚きつつ感心しました。刹那的に生きた二人を描くには絶対に必要なシーンだったと思うので。 最も心配だった庵野秀明の演技も、まあハッキリ言って周りの役者さんに比べると下手なのですが、劇中の堀越二郎が"好青年だけど変人"と描写されているため、それほど気にはなりませんでした。[映画館(邦画)] 8点(2013-07-24 20:19:29)(良:1票) 《改行有》

79.  座頭市血煙り街道 《ネタバレ》 三隅研次監督の座頭市はとにかく殺陣のシーンが格好良いのですが、この作品もご多分に漏れず素晴らしい。特に終盤の雪が降りしきる中での座頭市と赤塚多十郎の一騎打ちには画面の美しさも相まって惚れ惚れします。約5分間という長い斬り合いの末、赤塚が仕込み刀を投げ飛ばした座頭市を見つめ負けを宣言するラストも良いです。 しかし子役の男の子の演技が個人的にキツかったです。まあそういう演技指導なのかもしれませんが、甲高い声でセリフ棒読みが繰り返されるので、結構ストレスでした。もうちょっとナチュラル演技は出来なかったのかな。[DVD(邦画)] 7点(2013-07-18 23:44:01)《改行有》

80.  座頭市千両首 《ネタバレ》 座頭市シリーズを構成する要素と言えば「アクション(殺陣)」「ユーモア」「ロマンス」ですが、本作はロマンスが限りなく薄めとなっており、その代わりにアクションのテンポが他作品に比べて抜群に良いです。 序盤の千両箱を巡る攻防、中盤の忠治親分の逃走劇、クライマックスの仙場十四郎との決闘まで、実にバランスよく配置されていると思いました。残酷描写として拷問部屋が描かれていたり、仙場十四郎のドスの利いた声の脅し文句「俺はミミズを見るとズタズタに引きちぎりたくなっちまう。奴ら中々死なねえが、それを見るのも面白い」といった台詞も実に良い。 ユーモアのセンスも個人的には良かったです。特にオバちゃんの商売女にまんまと金をせびられゲンナリする市の姿には爆笑。普段美人といい仲になるのが基本の市にしては考えられない間抜け振り。[DVD(邦画)] 8点(2013-07-18 23:43:33)《改行有》

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