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プロフィール
コメント数 2260
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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161.  淵に立つ 《ネタバレ》 この家族に起きた悲劇について「どこかで引き返せたか?」を考えたとき、思い当たるポイントは無数にあります。何時でも最悪を回避できたと思う反面、決して逃れられぬ結末であったとも感じます。それは「姿勢」に所以する問題だからです。「何を(誰を)守りたかったのか?」の問いに対する答え。妻は「隣人」であり、夫は「自分」であったと考えます。そこに「家族」の視点は感じられず、犠牲者が出たのは道理でありました。 さて、ここで注目したいのは、夫の人間性です。過去に犯した罪の告白により、その劣悪な人間性が明るみとなりました。実質的にこの時、家族は崩壊したと考えますが、なぜ夫は秘密を墓場まで持っていかなかったのでしょう。苦難を共有することで夫婦の絆を感じていたから赦してもらえる気がした?いや、彼は自身に対して“嘘を付き過ぎた”のだと思います。「自分は悪くない」そう自身に言い聞かせてきた結果、夫の中で嘘は真実に変わったのだと思います。罪の重さを強く感じていたが故の刷り込みならば、彼は極悪人でもありません。誰の身の上にも起こり得ること。罪に対して適正な罰を受けるのは、加害者の為でもあることがよく分かります。 夫はもとより、妻も不貞という罪を犯しました。すなわち夫婦にとって八坂は“罪”又は“罪悪感”の象徴と見て取れます。罪悪感は自身に内在するものですから、何処か外で見つけようとするのは無理な話。罪が昇華されない以上、最後は罪悪感と共に心中するしかなかったと考えます。 最後に古舘寛治氏について。正直、役者としての魅力が今まで分からなかったのですが、本作で初めてその本領をみた気がします。存在感を出さないことの凄みとでもいいますか。観客が自身を登場人物に置き換えようとしたとき、これほど都合のよい器もありません。ほんと、お見逸れしました。[インターネット(邦画)] 7点(2021-04-10 11:25:08)(良:1票) 《改行有》

162.  きみと、波にのれたら 《ネタバレ》 例えば『世にも奇妙な物語』の一篇だと言われても何ら違和感はありません。よくあるタイプのファンタジーラブストーリーです。ただし、俳優を使って映像化しても本作の魅力は再現できないと思われます。アニメの『特性』に、実写が太刀打ちできない要素があるからです。それは『リアリティの消去』。ちなみに、リアリティ放棄を良しとする漫画・アニメ作品の実写化がことごとく失敗するのは、生身の人間が発する『リアリティ』が邪魔をするからです。 本作を語る上でも『リアリティの消去』はキーワードになると考えます。例えば水溜まりを走行する大型車。毎度毎度、主人公は大波を受けてずぶ濡れです。でも実際は、水溜まりを徐行しない運転手などいません。港くんのキャラクターにしてもそう。イケメン公務員で料理が上手くて努力家でバリスタスキルバリバリで、将来の夢や希望も持っていて、欠点などありゃしない。あんな完璧な男が居てたまるもんですか。本作ではアニメの特性を活かして、意図的にリアリティを排除している気がします。その結果、普通ならお医者さんかお祓い案件となる『幽霊になって彼女を見守る彼氏』がラブストーリーとして機能するという寸法。とかく重要視されがちな『リアリティ』ですが、無いほうが好都合というケースもあります。整合性等を気にしなくて済む分、モノゴトの本質に目を向ける余裕が出ます。その最たる例が、クライマックスとなる高層ビルサーフィン。荒唐無稽過ぎて興ざめしても可笑しくないはずなのに、素直に目の前の出来事と向き合えました。ダイナミックなアングル、躍動感ある波。現実と非現実の境目を行く主人公のライドには、『人生を、世界を、楽しめ』という強いメッセージがありました。これが湯浅監督のアニメーション。台詞に勝る『映像力』で訴えかけてきます。こんな一撃必殺みたいなシーンを見せられては、心が震えぬはずがありません。 アニメの特性を最大限活かした作品づくりがアニメーション作家に求められる仕事であり、湯浅監督が支持されている所以と考えます。これは処女作『マインドゲーム』から一貫しており『夜は短し歩けよ乙女』や『夜明け告げるルーのうた』にも引き継がれています。私は未見ですが『日本沈没』が賛否を呼んでいるのは、こんなアニメーション作家の性が裏目に出ているのかもしれません(観てもいないのに憶測で余計なことを言いました。すみません。と謝っても削除しないのは、私の意見など全て憶測以外の何物でもないからです)。[インターネット(邦画)] 8点(2021-01-15 19:24:35)《改行有》

163.  夜明け告げるルーのうた 《ネタバレ》 巨大な御陰岩は、「既成概念」や「古い価値観」あるいは「主人公の内なる心の壁」の象徴と見て取れます。つまり御陰岩の崩壊という結末には“変化を恐れるな”というメッセージが込められていると考えます。カイ父も“結果を恐れるな”と。自ら人型に変態し、かつ他者に人魚化を促すルーは、変化のシンボルです。今回の一件を通じ、まさに人生の分岐点にあった主人公は勿論のこと、貝類採取の激減が見込まれる漁港の人々の生活、そしてルーを含めた人魚族の行く末も、否応も無く変化が訪れるでしょう。そう、変化には痛みが伴います。それでもなお、環境や状況に適応し、変化し続けなければ生きていけないのが人間です。というより、全ての生物に架せられた宿命。歩みを止めたものは消え去るのみです。都会で成功しかなった伊佐木先輩が、故郷で新しい夢を見つけたこと。老若男女で力を合わせて開けた水門。途切れ途切れ、ゆっくりでないと伝わらない屋外放送。そして人間と人魚族のチームプレー。己が人生に立ちはだかる“壁”を打ち破るためのヒントは、ふんだんに出されています。覚悟なく、安易に変化を望んだ『人魚ランド』なる目論見が失敗したことも見逃せません。チャレンジの先に未来があります。日本アニメーション界の巨匠であり、神とも言える宮崎駿監督の代表作のひとつ『崖の上のポニョ』に真正面から対抗した本作にも、先述のチャレンジ精神が隠されている気がしてなりません。躍動感と疾走感あふれるアクション、デフォルメと記号化で印象強化、そして豊かな想像力。観客の心を突き刺す湯浅政明スタイルは、宮崎監督とは違う新たな価値観を呈示しています。日本アニメーションの新たな“夜明けを告げる”本作の心意気に対し、私は『ポニョ』と同じ10点満点というかたちで応えたいと思います。[DVD(邦画)] 10点(2021-01-14 00:43:34)

164.  ヲタクに恋は難しい 《ネタバレ》 福田組俳優の皆さんは、注文どおりのコメディアン(コメディエンヌ)ぶりを発揮していましたし、ラブコメとミュージカルの相性も良いはずです。しかしながら、大好物な福田作品なのに乗れませんでした。はて?私自身がドルオタが故に、モチーフに拒否反応を示したのか?いや、多分違います。違うはず。もっと根本的な部分の気がします。それは、ラブコメディとしての面白さの部分。素直になれない2人にやきもき。ライバル出現!障害発生!一体どうなるの?なラブコメ本来の醍醐味はまるでありませんでした。本作のセールスポイントは、オタの生態やその特異なキャラクター。ラブコメのメインストリームではなく装飾部分にスポットが当たっていました。もっとも人形は顔が命いや“コメディはキャラが命”ですから、愛されキャラが居ればそれでも満足できたと思います。でも、特Aクラスな美男美女が自身のオタ性を卑下したところで、富豪が生活苦を嘆いているようにしか見えません。これはやっかみというか、言い掛かりでしょうが、爽やかオタの些細な悩みを聞かされたところで申し訳ないですが響かないです。我々下々の者とは、悩みの次元が違います。物語の着地点も「趣味は不可侵と尊重が基本」という至極当たり前なもの。そりゃキモオタのディープな人生に踏み込んだところで、誰も得しませんけども。あれ、やっぱり私、モチーフに拒否反応を示しているかも。この映画を笑って肯定出来るか否かで、観客自身のオタ度が測れそうです。というかヲタって何だ。オタじゃないのか。この微妙なオサレ感も何だかなあ。[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-01-10 20:25:03)

165.  MANRIKI 《ネタバレ》 芸人『永野』の笑いを物語に変え映画化したもの。永野の笑いが好きならどうぞ、興味がないなら観る必要はありません。以上 でも構わないのですが、流石にあんまりなので少し掘り下げます。永野氏の笑いは、傍若無人でノンデリカシーが持ち味です。著名人をおちょくり、コンプレックス・差別・偏見・暗黙の了解等『それは触れない約束』をフォーカスします。憎めない毒舌などという生易しいものではなく、純然たる悪意を感じます。また、一般的には『滑り笑い』カテゴリーと思われがちですが(失礼)、実際はストロングスタイルの一人コント師です(褒めました)。大衆受けするはずのない(失礼)独特なセンス(褒めました)。ニッチな笑いなのに(失礼)一応メジャー芸人に分類されるあたり(褒めました)、ほとんど奇跡というか(褒めました)何かの冗談と言わざるを得ません(失礼)。最近では、アイドル・高城れにさんとコントユニットを結成しライブ活動を行っており、ももクロファンの私としては永野氏を批判する立場にないものの、いつ見ても犯罪者の目だなと思います(失礼)。とはいえ笑いのセンスは結構好みだったりもします(最大限褒めました)。そんな永野(どんな永野?)のファンを公言する俳優・斎藤工氏とタッグを組んで本作が制作されたとお聞きしました。斎藤氏もなかなかの変態ですので(実は褒めています)、なるほど納得の『アブノーマルなサスペンス風コメディ』に仕上がっております。不条理で押し通しても良かったはずなのに、整合性あるオチを付けるあたり、根は真面目なのでしょう(実は褒めていません)。繰り返しますが、永野に興味がないなら観ても得はありません。[DVD(邦画)] 6点(2020-12-20 00:51:19)《改行有》

166.  架空OL日記 《ネタバレ》 『大切なのは真実ではなく矛先』『厄介な人を“基”と呼ぶ』など、相変わらずバカリズムのお笑いセンスは抜群で、バカリ本人が素でOLになりきる不条理さも相まって、まさにバカリズムワールドの極致ともいえる世界観を体感いたしました。基本的には『バカリズムTHE MOVIE』と同じネタ映画なのでしょうが、架空のOL『私』が過ごす“特別な事は何も起きない日常”が得も言われず心地よく、コントの域を越えたコメディドラマとしてすこぶる優良であったと思います。結末はいわゆる『夢オチ』。一般的には禁じ手に分類される悪手ですが、こと本作に限っては“このギミックゆえに映画として成立した”と思えるほど見事な切れ味でありました。長く楽しい夢から覚めた時に感じる“寂しさ”や“虚しさ”は、映画ならではの余韻であったと思います。私など『あのメンツが同僚だったら、さぞかし職場は楽しいだろうなあ』と呑気に思うのですが、一緒に観ていた中3の娘は『随分仲がいいな』、妻は『面倒くせえ』と吐き捨てておりました。まあ、それが女性の現実なんでしょう。だからこそ虚構の『架空』や理想の『夢』に価値がある訳ですが。[DVD(邦画)] 8点(2020-12-15 17:55:36)

167.  二ノ国 《ネタバレ》 ネタバレあります。未見の方はご注意ください。 設定について。私たちが住む世界が『一ノ国』で、“命が繋がる者たちが住む”アナザーワールド『ニノ国』が存在するそう。気になったのは『ニノ国』の住人自からが自分たちの世界を『ニノ国』と呼んでいること。どうして『一の国』じゃないのでしょう。どちらが表とか裏とか無いでしょうに。この違和感に対する答えは次のいずれかと考えます。①すごく謙虚な人たちなので、自分たちの世界を『二ノ国』と呼ぶ。②『一ノ国』ありきで『二ノ国』が存在できるから。もし②だとすると“ファンタジー冒険譚”とする本作の一般的な受け止めが揺らぎます。『二ノ国』ってハルの頭の中にだけ存在する架空世界では?それなら様々な“ご都合主義的展開”も説明がつきますし、ユウが二ノ国に残りこの世から存在自体が抹消された結末とも整合します。でもそうなると、ハルは結構深刻な心の病を抱えている事になりそうです。アン・シャーリーやアメリのような楽しい空想とは質が異なる心の闇。たとえば、幼少期にユウは野良犬に襲われて死亡。ハルはユウの死を認められず、空想の人格を作り出し一緒に学校生活を送った。今回『二ノ国』を創作し、ようやくユウを開放することが出来た、とか。典型的な子供向けファンタジーでドン引きするような裏設定が必要なはずもなく、これは私の勝手な妄想ということでお願いします。[CS・衛星(邦画)] 5点(2020-12-15 17:53:10)《改行有》

168.  シライサン 《ネタバレ》 ネタバレしています。未見の方はご注意ください。 シライサン呪殺システムについて整理してみましょう。”シライサン“の名前を覚えている者の元へ、眼が異様に大きな女が現れてその者の命を奪う。頻度は3日に一度。襲う相手は呪殺候補名簿搭載者からランダムに選んでいるようで、該当者が多ければ多いほど、殺される心配は少なくなります。主人公の試算によれば、1万人対象者がいれば一生のうち一度女がやって来るかどうかの低確率だそう。確かに計算上はそうでしょうが、意識的に覚える気のない与太話など、右から左に抜けるでしょう。本作のような『広報映画』を一本作った程度ではとてもとても。つまり危機管理的には、名簿搭載者を増やす継続的な努力が欠かせない訳です。要するに、ネットを利用した生け贄確保が必須だと。これは、昨今社会問題となっているSNSを通じた誹謗中傷と何ら変わらない気がします。生け贄を探す者は、自身もまた生け贄となる宿命から逃れる術はありません。あな恐ろしや。観客はこの映画を観てシライサンに呪われたのではなく、映画を観る前から既にシライサンの呪いは社会に蔓延していたことに気付き慄く仕立てです。シライサンは、まさにSNS時代の貞子でありました。なお劇中では、女から眼を逸らさない事が死から逃れる有効な方法と紹介されていますが、SNSで誹謗中傷を受けた場合はむしろ逆という気がします。眼を瞑るが正解。SNSなど辞めてしまいましょう。自身が認知しない悪口など、無いのと同じですから。とかく馬鹿にされがちな情報弱者ですが、不要な情報を遮断することもまた情報過多社会を生き抜く上で必要なスキルと考えます(エゴサーチ厳禁です!)。最後にシライサン本体について。特異なビジュアルといい、登場方法や佇まいといい、なかなかイカしてます。ホラー映画界にミスコンテストがあれば優勝じゃないかと思うほど。ホラークイーンとしてのポテンシャルはあの『口裂け女』に負けず劣らず素晴らしいと思いました。(以下余談)名前を忘れることがシライサンに殺されなくて済む最強の防御法ですが、彼女に名簿抹消通知でも行くのでしょうか。あるいは現れた時「どちら様?」感を出されたら、すごすごと帰るのでしょうか。その姿を想像すると、ちょっと不憫な気もします。[DVD(邦画)] 5点(2020-12-10 19:51:44)《改行有》

169.  クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし 誰向けか分からないシュールギャグ。絶妙(ときに微妙)な人選のゲストキャラ(芸能人声優)。何気に質が良いアクション。そして家族愛を軸とした感動ストーリー。近年の映画版クレヨンしんちゃんのフォーマットは以上のとおり。本作も当てはまります。悪く言えば『マンネリ』、良く言えば『定番』ですが、他の国民的な長寿アニメをみればわかるように、これは『定番』と捉えるのが適切と考えます。マンネリは飽きられますが、『定番』は愛されるものであります。というより『定番』を創り出すことが至難の業であり、優れた様式に辿り着いた先人の努力を称える案件と思慮します。実際、本作も手堅く楽しめ、満足しました。 さて、本作で語るのが適切ではないかもしれませんが、長寿アニメの宿命・声優交代について。劇場版クレしんは本作からしんのすけ役の声優さんが交代しました。 オリジナルのイメージを損なわないように(できれば気づかれないように)交代するパターンと、イメージを一新する思い切ったキャスティングをする場合と、主に2通りあるように思います。前者の代表が『ルパン3世』、後者は『ドラえもん』です。何となく前者の方が無難な印象がありますが、実際は逆という気がします。些細な違和感はかえって『偽物感』に通じるからです。一時的には大きな代償を払っても、新たなオリジナルを目指す『ドラえもん』方式の声優交代が個人的には好みです。 クレしんの声優交代の変遷を紐解くと、オリジナル声優死去に伴い人気キャラ『ぶりぶりざえもん』は10年近く発声を封印しました(今ではオリジナルに勝るとも劣らない素晴らしい声優さんが着任しております)。この判断自体は賛否あろうかと思いますが、私はキャラクターに対する限りない愛を感じました。そんな声優に拘った作品ですから、てっきり『ドラえもん』パターンの声優交代を選択するものとばかり思っていたのです。しかし、ひろしやしんのすけの声優交代は、イメージ継続パターンでした。実はちょっとガッカリしたのです。交代当初は。 ところが、本作を観て認識を改めました。確かにしんのすけに対しては、まだ違和感があります。でも、ひろしに対してはオリジナルと全く遜色ないのです。何故か。理由は簡単。新しい声に慣れたからです。TVレギュラーシリーズを持っている効果は絶大でした。ルパンのように不定期制作だと『耳慣れ』が進まないため、長く違和感が残るんですね。もちろん声優交代に正解などなく、あえて言うなら『定番』を守るか『マンネリ』を打破するかの選択なのだと思います。そういう意味で『ドラえもん』は大英断でしたし、『ルパン3世』は中途半端な選択をしてしまっている気がします。すみません。横道にそれました。愛すべき『定番』を守った『クレヨンしんちゃん』が末永く続きますように。[インターネット(邦画)] 7点(2020-12-05 19:04:40)(良:2票) 《改行有》

170.  わたしに××しなさい! 《ネタバレ》 少女漫画原作のラブコメとは知らず、“うっかり”鑑賞しました。そもそも50近いおっさんなど相手にしていないでしょうし、私が劇場鑑賞する可能性もほぼありません。つまり私は本作を語る資格を有していません。しかし観た映画の感想を書きたくなるのがレビュワーの性。『戯言』扱いでお願いできればと思います(いつもの感想だって同じですけども)。 主人公は女子高生作家です。作品にリアリティを持たせる為に疑似恋愛体験をしたいそう。この設定を聞いただけで、あらすじが容易に推測できてしまう王道のラブコメであります。結末は『瓢箪から駒』ではなく、潜在的な欲求を『言い訳』を使って叶えたパターンと思慮します。真正面から挑戦するのは失敗が怖いけど、何かひとつ『言い訳』が付くと案外チャレンジできてしまうもの。恋愛に限りません。誰だって身に覚えありますよね。これは主人公だけでなく彼氏役にも当てはまることで、2人はある種の『恋愛プレイ』を楽しんだと考えます。羨ましい限り。やや不満が残るのは、彼氏の自立(家族のしがらみからの解放)が漠然と処理されてしまったこと。主人公が彼氏の鎖を引きちぎったポイントをきちんと描いて欲しかった気がします。点数は冒頭に述べた理由により放棄の意味で5点です。(以下余談)××の読み方について。「チョメチョメ」「ペケペケ」「ホニャララ」あるいは「キス」なんてパターンもあるなと思い悩んだのですが、まんま「バツバツ」とは。劇場窓口でチケットを買っていたら大恥をかくところでした。人生には至る所にトラップが仕掛けられています。[インターネット(邦画)] 5点(2020-12-05 00:56:23)(笑:1票) 《改行有》

171.  怪談(1964) 《ネタバレ》 映画のジャンル分けで一般的に使用される『ホラー』とは異なる『怪異の物語』。不可思議ではあっても、不合理でも不条理でもなく、人間の業を味わうドラマとして楽しむことが出来ます。『物語=読み聞かせ相手に想像させるもの』とすれば、本作を象徴する特徴的な書割も観客のイマジネーションを掻き立てる意味で有効だったと思います。3時間は流石に長尺でしたが、オムニバスで目先が変わるため、体感はそれほどではありません。豪華キャストはお得感満載。たまにはゆったりと日本の詫び錆びを堪能するのも一興かと思います。[インターネット(邦画)] 7点(2020-11-30 18:57:34)(良:1票)

172.  カイジ ファイナルゲーム 《ネタバレ》 人気エピソードは既に映画化済み。未映画化エピソードは正直イマイチなので(福本先生ごめんなさい)オリジナルストーリーでの続編は理解(容認)できます。舞台は近未来の日本、『もしも』の世界。アナザーストーリーというよりパラレルワールド。これは地雷臭プンプンです。一縷の望みは福本先生が脚本に名を連ねていることでしたが、残念な仕上がりでした。でもよく考えたら当たり前の話。良いアイデアなら連載の方で使いたいでしょうから。 不満箇所を挙げたらキリがないため、私からは1点だけ。人間秤ゲームはカイジチームの勝ちで大丈夫ですか?張り主の伊武さんがリタイアした時点で不戦敗の気がしますが。それに勝敗を分けたコインは完全に「運」ですよね。弾かれたコインが偶然カイジ側の秤に入っただけ。『運否天賦ではなく戦略で勝つ』を旨としてきたカイジにそぐわない決着と感じます。主人公に晴れ舞台を用意するために伊武さんが退場し、欠けたコイン1枚分僅差の勝利で『一円を笑う者は一円に泣く』を再現。ドラマチックでキレイな幕切れですが、ファンが『カイジ』に望むのは、そういう事ではないのでは。『相手の不正を逆手に取れ』『裏のルールを見破れ』『死中に活を求めろ』。原作の『カイジ』が支持されたのは、持たざる者があらん限りの知恵を絞って強者の足元をすくう様。運よく当たりの宝くじを拾うのではなく、ハズレくじを是が非でも当たりくじに変える姿に心打たれるのです。カイジの魅力が映画で表現されていない以上、原作ファンとしては本作を『カイジ』と認める訳にはいきません。1作目の感想でも同じ事言ってますね。 基本的に福本先生の漫画は実写化向きと考えます。近年ドラマ化された『アカギ』や『銀と金』も上々の仕上がりでした(注:『天』は未見。『零』は何だこりゃ)。個人的には1作目カイジで軽い扱いを受けた『限定じゃんけん』をキッチリ描いていただくか、まだ手付かずの『涯』や『黒沢』の映画化を望みます。特に『黒沢』は絶対面白いと思うんですよね。黒沢役本命:高橋克実、対抗:宇梶剛士、大穴:くっきーで如何ですか。また同じこと言ってる。[CS・衛星(邦画)] 1点(2020-11-30 18:33:45)《改行有》

173.  犬鳴村 《ネタバレ》 清水崇監督の代表作と言えば『呪怨』。呪われた家に棲み付く白塗り幽霊がトレードマークの典型的な『お化け屋敷』ホラーです。本作もフォーマットは同じ。『家』から『村』へ舞台が変わっただけです。ただし、幽霊の描き方には進歩?がみられるようで、より『幽霊らしくなった』印象を受けます(これはファンだと賛否あるかも)。個人的には『恐怖回避ばーじょん』とやらの方気になりますが、探して観るほど興味はありません。ごめんなさい。さて、私は存じ上げませんが『犬鳴村』は有名な都市伝説だそう。例えば『口裂け女』のように地域性が薄い題材ならいざ知らず、場所が特定される都市伝説でこのような荒唐無稽かつ胸糞なエピソードの広報周知が許されるのかという疑問が湧きます。最近だと北原里英さん主演の『としまえん』も同類ホラーですが、かの作品はデメリットより宣伝効果の方が大きでしょう。何せお化け屋敷があるテーマパークですし。ところが犬鳴は、現存する地名です(犬鳴峠、犬鳴トンネル)。いくら『フィクションでござる』のアナウンスがあったところで、イメージ悪化は免れず、地元民は良い気がしないはずです。ですから、くるきまきさんもご指摘のとおり、この作品が地元自治体の協力を受けていることに衝撃を受けています。きっと首長の度量が途方も無くデカいのでしょう。(以下余談)映画化による『犬鳴』の名称のイメージダウンは必至でしょうが、『悪名は無名に勝る』とも聞きます。興味を持った人たちを上手く取り込めれば『禍を転じて福と為す』も可能。最も一般的なパターンはお菓子化でしょうかね。手っ取り早い。『犬鳴饅頭』『犬鳴最中』『犬鳴サブレ―』。犬の毛を模した糸状の黒糖飴で包んだりしてね。うげー。『聖地巡礼』も狙えますが、輩ばかり押し寄せそうでイマイチ。日本一大きなドッグランでも作って、愛犬家でも呼び込みますか(無責任発言)。[CS・衛星(邦画)] 3点(2020-11-20 20:30:11)(良:3票)

174.  決算!忠臣蔵 《ネタバレ》 舞台が赤穂(兵庫県)ということで関西芸人が多数キャスティングされています(バリバリ関東芸人イメージの上島竜兵さんが兵庫出身とは知りませんでしたが)。彼らに期待されているのは、ネームバリューとネイティブな関西弁を操ること。コメディリリーフとしての役目は課されていません。芸人が大挙出演しているのに彼らが全然笑わせようとしないため、妙な違和感を覚えました。そうでなくとも、大笑いするタイプのコメディではなく、現代社会と対比させた風刺がメイン。言うならば苦笑い系喜劇です。純然な笑える喜劇を期待してみると肩透かしを食うかもしれません。勿論これはコメディとして不出来なのではなく、仕様の問題。カカオ80%チョコが大して甘くないのと同じです。討ち入りシーンも無ければ、吉良上野介に至ってはキャスティングもされていない異色の忠臣蔵でした。かつて『わんわん忠臣蔵』なんて映画もありましたが、手を変え品を変え、様々なアレンジが施されるのは、原作が長年日本人に愛されてきた証であります。もはや擦られ過ぎて原形が分からない気もしますが、これも『歴史に名を刻む』事の副作用のひとつでしょう。中村義洋監督のお金時代劇は『殿、利息でござる!』に次いで本作で2作目。これはもう3部作行きますね。[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-11-20 20:27:37)(良:2票)

175.  バースデー・ワンダーランド 《ネタバレ》 小学5年生の二女と一緒に鑑賞しました。娘は大層面白かったそうですが、お父さんは物足りませんでした。そこで物語の捉え方が違うことに気づきました。娘は『旅行』として、私は『冒険』のつもりで物語と向き合っていたのです。おそらくこれは娘が正解。添乗員付き、保護者同伴なら、そりゃ『旅行』ですよね。異世界でロールプレイイングする凝った趣向のツアーであります。主人公の母親も経験者のようですし、“危険は無い”と判断し年頃の娘に夢旅行をプレゼントしたのかもしれません。ですから『千と千尋の神隠し』や『オズの魔法使い』『不思議の国のアリス』等と比較して“生ぬるい”と判断するのはお門違い。どちらかと言えば、マイケル・ダグラス主演の某作や、シュワちゃんお目々ビックリの某SFと同カテゴリー作品と考えます(こちらは完全大人向け。生半可な冒険より余程ハードですけど)。『冒険』の方が『旅行』より偉いワケでもありませんし、『〇ィズニーランドに行ってリフレッシュしたら嫌な出来事も気にならなくなりました』な結末も悪くありません。ただし、オリジナリティに欠ける点は少々気になります。他の冒険ファンタジーと似通った設定や描写が目に付くが故に、『冒険』と勘違いするのです。あるいは、かつての『冒険』を現代風にアレンジしたら『旅行』になりましたって事かもしれませんが。[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-11-10 19:23:16)(良:1票)

176.  鬼灯さん家のアネキ 《ネタバレ》 血の繋がらない兄妹のラブストーリーは、ドラマや漫画でみられる定番シチュエーション。シリアス系から軽いものまで様々な仕立てがありますが、本作はちょっとエッチなラブコメディであります。主に、色仕掛けでチョッカイを出してくる姉に振り回される弟君をニヤニヤしながら見守ります。注目したいのはキャスティング。まず弟くんを演じた前野朋哉氏について。どうみても設定と実年齢が合っていません。まるでAVのよう。ただ、この違和感ある配役が、物語の全容が明かされるにつれて効果を発揮します。彼のオッサンめいた風貌は(失礼)、『貴重な若さを引きこもり期間に失った』意味と受け取れました。幼なじみの女子役が佐藤かよさんだった事も意味がありそう。本作が一般的なラブストーリーではなく、性別を越えた愛がテーマであったことの伏線では。ちなみに名字の『ホオズキ』。江戸時代には堕胎薬として使われたとか。姉との恋愛成就も暗に否定されていたのかもしれません。考え抜かれた、手の込んだキャスティングだったと思います。最後に谷桃子さん。『ゴッドタン』での破天荒キャラのイメージが強い彼女ですが、本作ではヒロインを熱演していました。演技が上手いとは思いませんが、”勘の良さ“を感じさせる表情や仕草を見せます。もともと頭の良い方なので女優としても成功した気がしますが、もう引退されているのですね。残念。エロチックコメディからスタートして、最後は心温まるヒューマンドラマへ落とし込む手際はお見事。いい映画だったと思います。[インターネット(邦画)] 7点(2020-11-05 13:24:00)

177.  野良犬はダンスを踊る 《ネタバレ》 『殺し屋』と聞くと真っ先に『ゴルゴ13』が思い浮かびますが、あんな“如何にも”な風貌は逆にリアルとは思えず、『必殺仕事人』の中村主水タイプの方が現実的な気がします(もちろん本当のところなど知りませんが)。その点、近藤芳正氏のキャスティングは的を射たものであり、何ら違和感はありません。あるのは、名脇役が主役を張るミスマッチ感。ただ、これは明らかに本作品の“セールスポイント”であり、洒落たタイトルも含めて“ウケを狙った”感が強く感じられます。だから鼻に付くとか、気にくわないとは思いませんけど。社会のルールに縛られないという意味で『野良犬』なのでしょうが、長年クライアントから信頼を得てきた着実な仕事ぶりは、むしろ『優秀な飼い犬』に思えます。また裏稼業を『ダンス』に見立てるのも、そんなに垢ぬけた言い方をする話でも無い気がします。個人的には『走れぬ老犬も牙を剥く』くらいで丁度いい気がしました。先に挙げたセールスポイント以外に特段見どころはありませんが、殺し屋に必要なのは、殺しの技術ではなく、『腹を括る事』とする描き方には賛同します。[インターネット(邦画)] 5点(2020-11-05 13:20:15)

178.  最高の人生の見つけ方(2019) 《ネタバレ》 偶然手にした今は亡き少女の『やりたいことリスト』。余命僅かな2人の女性が、少女に成り代わって、彼女の夢を叶えていきます。ただし、原則セレブがお金の力で豪快に夢を実現していくため、庶民からすれば単純に羨ましい限り。ちょっと意地悪な言い方をするなら、『最高の人生の見つけ方』とは、金持ちとお友達になるることですか?と。また、事情も知らぬ赤の他人が本人の承諾も無しに『親子の仲を取り持つ』など善意の押し付けもいいところ。結果オーライだから許されるものではありません。イマイチ乗れぬ(感動できぬ)展開の連続にフラストレーションが溜まりました。唯一良かったのは、手帳の少女の顛末でしょうか。こういう裏切りなら大歓迎ですけども。さて、キャスティングについて。何故吉永小百合さんだったのでしょう。生活感なく、人生経験豊富とも思えぬ、何処からどうみてもお姫様。切ない系人情ドラマに耐えぬ人選です。しかし、『最高の人生の見つけ方=自身の人生の肯定』とするならば、どんな人でも当てはまらなくてはいけません。一見ミスキャストに思える吉永さんの器用も、見方を変えれば深い意味があると思えてきます。(以下義務的余談)モノノフ(ももクロファン)として、ライブシーンについて捕捉をします。収録が行われたのは、ニッポン放送主催の恒例ライブイベント、通称『バレイベ』でした。2019年2月の横浜アリーナ。いつものガッツリライブとは異なり、ラジオドラマやコントなど企画色が強い演目が特徴。とはいえ映画収録について事前告知など無し。当日のお客には箝口令が敷かれたとか。ちなみに、収録が行われたのは2デイズの初日。私は2日目参戦でした。残念。なお、劇中ムロさんがオタ芸を披露しておりましたが、ももクロにオタ芸文化はありません。特定の曲でメンバーと同じ動き(フリコピ)をすることはあっても、基本はペンライトを振って『ウリャ』だの『オイ』だの叫ぶ程度です。ですからももクロのライブは、予習なしでも余裕で楽しめますので、少しでも興味を持った方がおられましたら、(コロナが落ち着いたら)是非お越しくださいな。全身唐辛子っぽい人とか、人形をぶら下げた人とか、見た目はキテレツで驚くかもしれませんが、基本的には圧倒的に常識人揃いですのでご安心を。[CS・衛星(邦画)] 5点(2020-10-30 21:42:36)

179.  グレイトフルデッド 《ネタバレ》 何かを検証する場合、多角的な視点を持つことは必須です。本件についても、ナミの生い立ちを知る事で、事件の原因や全体像を探ることが出来ますし、ナミの立場に立つならば、一連の狂行にも確実に合理性が存在します。しかし、被害者にとっては加害者の事情など知ったこっちゃありません。突然拘束され、辱しめを受け、息子を殺された事実が全て。今は殺すか殺されるかの修羅場ど真ん中。「これは戦争だ」この異常事態にパニクらず、的確に状況を把握した笹野じいさんは流石だと思いました。狂気には狂気をもって抗うのが道理ですから。果たして2人の全面戦争は、じいさんの勝利で終結しました。しかしながら、これはナミが望んだ結末でもあります。愛する者の手にかかり、孤独な生から解放される幸せ。しかも神様の御許しありのオマケ付き。笹野じいさんにとっては、死合に勝って勝負に負けたようなもの。無力感は想像を絶するものでしょう。さて、この後じいさんは立ち直れるでしょうか。きっと神様はじいさんに、これまでと同様に救いの手を差し伸べてくれるはずです。それが神様の仕事。しかし、元を正せば、一体誰のせいでこんな事態になったのかという話。人は苦しみから逃れる為に神様をつくり、その神様に苦しめられる。何の事はない、要するにマッチポンプです。確かに万人にとって、死だけが救いかもしれません。(以下余談)主人公ナミの子供時代を演じたのは、アイドルグループ『アメフラっシ』の愛来さん。ももクロのご縁で存じあげております。子供時代の愛来さんと、成人したナミのビジュアルマッチングが実にお見事でした。にも関わらず、お姉ちゃんの方はお前誰だレベルの違和感で不思議マックス。これは単にキャスティングの不手際か、あるいはお姉ちゃんだけは運命から脱出できた事実を端的に表すための変化と捉えればよいのでしょうか。さて、どっちなんでしょう。[インターネット(邦画)] 6点(2020-10-30 21:21:32)

180.  アストラル・アブノーマル鈴木さん 《ネタバレ》 肩書ユーチューバー、過激な言動やお花の眼帯からは地雷臭が漂います。番組制作会社からは『テレビに出しちゃいけない人』認定される主人公ですが、果たして本当にヤバイ人でしょうか。ユーチューバーは芸能界への憧れが投影された活動ですし、眼帯はタモリさんをリスペクトしたもの(嘘)。TPOで眼帯を使い分ける良識も持っています。きちんとバイトし、健康的にジョギングまでしちゃってます。確かに彼女は『拗らせ』てはいますが、常識的な方向への捻じ曲がり。そりゃ大して努力もしていない(と感じる)双子の妹(ポテンシャルは同じはず)だけが評価されたら、腐りたくもなりますよ。それに拗らせているのは何も主人公だけではありません。引き籠りの弟、将来を棒に振った妹も似たようなものでしょう。『アストラルアブノーマル』なるパワーワードはいわば誇大広告で、後に続く『鈴木さん』は主人公だけを差したものでなく、『よくある苗字』=『あなた』を意味していると考えます。誰だって、多かれ少なかれ拗らせながら生きています(と思いたい)。 『拗らせ』に特効薬はありませんが、環境変化や体験が治療効果を発揮する場合があります。主人公は『見下し対象』の才能に触れ己が無力さを思い知りましたし、弟くんは細ネクタイとの“映画史に残る”泥試合を経て外の世界へ踏み出せました。人生、何が契機になるか分かりません。芸能界という特殊空間から解放された妹が、早々に目を覚ましたのも道理でしょう。もっとも、拗らせが解消されたところで、現状は改善しません。今までより“公平に”状況を把握できるだけ。そこにある希望は『最悪に比べればマシ』程度のもの。意識高い系の人なら鼻で笑うでしょう。しかし小さくとも自身を肯定するのは大切な作業です。そこを土台として、自分なりの『正解探し』が始まります。主人公が拗らせて苦しんだのは、全てを否定したからに他なりません。 当初は『拗らせ系女子』の生態を生暖かく観察しよう位の意識でしたが、次第に物語へ引き込まれました。恥ずかしながら、主人公の気持ちは大変よく理解できるもので、私も彼女と同じように拗らせる素養を持ち合わせていることになります。双子の妹との差しの勝負(withピストルライター)、鈴木家全員集合(with逆ギレ男)の空気感は絶品で、修羅場コメディとしても秀逸でした。主にララ氏のワードセンスにやられました。エンドクレジットで彼女が踊る『コンテンポラリー風出鱈目ダンス』は、本作で提示された人生観を体現したものであり、清く正しく美しい『推奨されるき生き方』とは真逆に位置するものです。だからこそ鋭く突き刺さったのでしょうが、私の心が弱っていたことも否定できません。私にとって、大いに愛せる映画。人生に行き詰まっている人には『観ると楽になるかもよ』と無責任に勧めてみたくなる映画でもあります。[インターネット(邦画)] 9点(2020-10-25 08:31:09)(良:1票) 《改行有》

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