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プロフィール
コメント数 86
性別 男性
自己紹介 日本人なので邦画好き!
淀川先生のように、いつまでも「きれいですね~」「すごいですね~」と映画を楽しみ続けます。
不幸にしてつまらん映画を見た後も、シネマレビュー見ると爆笑ネタになって、HAPPYになります。「いや~、シネマレビューって本当にいいもんですね」あ、コレは水野御大・・・

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 例えば初代の「ゴジラ」、84年の「ゴジラ」、そして「シン・ゴジラ」など、 過去のゴジラが単体で登場する作品では、ゴジラが街に散歩に来たら人間から理不尽に攻撃され、 怒って反撃するという流れであったことが多いと思います。 ところが今作では、ゴジラが明確に人間に対して敵意むき出しである点は、実は斬新ではないかと思います。 また、人間ドラマがこれだけ濃いゴジラ映画というのも、初であろうと思います。 多くの方が称賛する特撮も素晴らしいですが、今作で印象に残ったのは、音響、音楽。 IMAXで観たのですが、鳴き声、足音などの音響は凄まじかったです。 そしてゴジラファンなら誰もが気にする、あのテーマ曲が使われているか、 まさにドンピシャのタイミングで鳴り響き、ファンにとっては至福のシーンとなっていました。 過去の音源を使用した「シン・ゴジラ」と違って、今回は新録音ですが素晴らしい編曲と演奏です。 非常にマニアックな話ですが、1983年、「SF交響ファンタジー」初演の熱い演奏を多分に意識していると思われます。 熱い音楽で定評のある佐藤直樹ならではの編曲だろうと思います。 以下ネタバレです。 過去の戦争における非常にデリケートな問題ですが、 当時の航空服を着て敵に突っ込んでゆく主人公が勇ましく見えてしまうのは、 少々、自分にとって違和感がありました。 また、ラストシーンは過去の某作品そのまんまであるし、続編を意識した怪物映画の定番であるが、これは蛇足だったと思います。 今回は人間ドラマが濃いだけに、それまで描かれていた人間の努力の尊さがひっくり返されて興ざめです。 素直にハッピーエンドで良かったのではないかと思います。 こういう多少の不満点はあるにしても、 ゴジラ映画史上、かなりの上位に入る出来栄えで、特撮についてはベストと言って良いでしょう。 もはや着ぐるみというのは過去の遺産となってしまい、 等身大の着ぐるみをいかに本物に見せようとするかという面白さがなくなってしまったのは寂しいですが、 昭和の時代からの特撮映画の歴史を鑑みると、日本の特撮もハリウッドに全く劣らず、ここまで来たかという感慨があります。[映画館(邦画)] 8点(2023-12-20 08:18:47)(良:1票) 《改行有》

2.  沈黙の艦隊(2023) 《ネタバレ》 トータルでは予想以上の出来栄えでした。 特にVFXが素晴らしく、20年近く前に「ローレライ」という潜水艦映画がありましたが、 その頃と比べて、もはやハリウッドに引けをとっていない映像であり、邦画の技術の進歩を感じました。 艦内の美術セットも良く出来ており、自衛隊が協力して実際の潜水艦を使っているであろうカットもリアルで良いです。 全体的に役者の演技も緊迫感が有り、それぞれの役職のプロらしさがよく出ています。 例えば、やまとのソナーマンの冷静沈着な演技は実に説得力があると思います。 大沢演じる海江田は一抹の不安を感じていましたが、予想以上にカリスマ性を感じさせてくれました。 こういった個々人の演技が、「尋常ではない事態である空気」を醸し出していることは、素晴らしいと思います。 一方で総理があまりにも木偶の坊であったり、 最大級の貫禄を持ち合わせているべき合衆国大統領の印象が薄いのも不満といえば不満です。 ストーリーに関しては、冒頭10分で、これは終わるはずが無いと思っていたら、その通りの結末でした。 原作を知らない人は「沈黙の艦隊」というタイトルの意味するところがさっぱりわからないでしょう。 ストーリーを端折ってしまったら、アクションシーンもじっくり見せられないと思うので、これは仕方ないと思います。 原作と比較してしまうと、どうしても不満点が出てしまいますが、 やはり緊迫感のある演出と、撮影、編集、特撮といった映像の技術は見事であり、 1本の潜水艦アクション映画としては予想以上に楽しめました。 20世紀、ミニチュア特撮でがんばっていた日本特撮映画の歴史を思い起こすと、 隔世の感があります。 時間はかかると思いますが、続編に期待します。 --------------------------------------------- 以上のようなコメントをしていたのですが、12月14日、続編の配信が発表されました!! もともと制作されていたはずで、劇場版はあえて中途半端なラストにしたのだろうと思いますが、 これで終わることはなく一安心です。楽しみにしています。 --------------------------------------------- 以上のようなコメントをしていたのですが、2月8日、ついに配信が開始されました!! 現在、全8話中、6話まで配信されてますが、改めてこれがホントに日本制作のドラマかというほど、VFXはがんばっていると思います。 劇場版の後の展開では政治ドラマも濃くなっており、木偶の坊だった総理や閣僚たちも、顔つきが見違えて本気になってます。 女性陣が演じる防衛大臣、ニュースキャスター、潜水艦の副長は、劇場版では弱々しい印象でしたが、 この女性陣も見違えて力強い演技になってきています。 大統領の佇まいもサマになってきました。 艦内の細かい描写や原作との差異などで批判も多い作品ですが、 圧倒的な映像を見て、もはや原作とは別物だと思うに至ったし、 そもそもフィクションのアクションドラマで、細かいつっこみをする気も起こりません。 自分はこれだけの映像を実現してくれたことを、全面的に肯定します。 今後、是非とも「やまと」をニューヨークまで行かせて欲しいです。 ....................................................................... 以上のようなコメントをしていたのですが、2月20日、続編の制作が決定しました!! 全てが完結するまで、何年かかるかわかりませんが、 日本映画の常識を破る本気のプロジェクトであったのだと改めて認識しました。 国内の映画会社、制作会社、テレビ局だけでは到底無理だったでしょう。 Amazonという日本にとっての黒船がいるからこそ実現できるのだろうと思います。 日本人がアメリカに喧嘩を売る内容の作品にアメリカ資本が協力するということは、映画史上、歴史的なことではないかと思います。 芸術芸能作品の表現に寛容であるという点についてはアメリカという国を尊敬します。 本当に楽しみにしています。[映画館(邦画)] 7点(2023-10-19 23:35:58)《改行有》

3.  ゲド戦記 原作は未読なので、どこまで忠実なのかはわからないが、全編通して気になったのは、主人公たち以外の世界に暮らしている人たちの存在が希薄であるということ。 街の人々や近所のおばさんたちも出てくるが、後半はほぼゲドとアレン、テルーとテナーの4人だけの関係だけに終止し、敵方も5,6人しか出てこなくて、壮大で美しい舞台の割にすごくスケールが小さく感じた。世界にはこの10人程度しかいないかのような描かれ方である。 何より生気のないアレンに感情移入できず、気が重くなるばかりでした。 そして重要なことですが、どんな重いテーマの作品であれ、アニメはユーモアのあるシーンが必要だと思います。 正直、自分がこれまで見たジブリ作品では、最も厳しい点数です。[地上波(邦画)] 4点(2021-06-08 16:45:05)(良:1票) 《改行有》

4.  i 新聞記者ドキュメント 《ネタバレ》 まず映画として面白かった。 メディアに興味のある方なら記者がどういう仕事をしているか、新聞記事がどのように提供されているか、 単純にそのドキュメンタリーとして面白い。 今の政権がメディアを巧妙に利用していることは数年前から如実に感じていたが、 先日、「桜を見る会」問題が発覚し、朝のワイドショーをひとしきり賑わせた直後、 突然、緊急事態でもない不自然な速報テロップが連続して流れて驚いた。 「景気判断が上昇」「ハンセン病家族補償法案を提出」といったニュースである。 政権の悪印象を払拭するための、なんというわかりやすい情報の出し方だろうと思った。 先の参議院選挙の某局の特別番組では、この映画で登場する政治家の生い立ち再現ドラマという信じがたいコーナーがあった。 選挙報道番組が堂々と政党の宣伝番組と化している。 政権と関わりが深いと言われる企業が、この番組のスポンサーとして入っていたことと無関係ではあるまい。 (有名なホテルのCMが流れてました) この参議院選挙では、自分の世帯に選挙公報が届かなかった。 広報を配る町会の役員の名前をネットで調べたら、ある政党所属の市議会議員の名前があった。 町会に理由を問い合わせても全く取り合ってもらえない。 確実に今の世の中は、かつてないような、おかしなことが起こっている実感がある。 話をこの映画に戻すと、テレビでは発言を許されない人たちが多々見られるのは興味深い。 実際、この映画で出てくる事件、問題は全く解決しておらず、「終わったこと」「無かったこと」にされているだけである。 辺野古の赤土の問題も初めて知った。 特に印象に残ったのは、先の参議院選挙、秋葉原で某政治家が登場するシーンである。ゴージャスな音楽が流れ、ショーと化している。 たまたま現場に自分がいたら正直、カルチャーショックであろうと思う。 公共の場で一人の政治家がここまで祭り上げられる演出が行われているのは不気味に感じざるを得ない。 編集としては露骨に意図的に感じる部分もあったが、意図的ではないドキュメンタリーなどありえない。 おかしいものはおかしいと言うこと。それは子供の態度ではなくはるかに大人の態度だと感じる。 返す刀のようだが、この記者の行動を見て、いわゆるヒーロー、ヒロインに仕立て上げてはならないようにも感じた。 この人は職務に忠実で、職業上の信念としてあたりまえのことをやっているだけで、この人が表に出てくるような状況こそがおかしいのだと思う。 マスコミも様々な不作法をしてきた歴史があるから自分は全面的にマスコミの仕事を支持するというわけではない。 なので、善対巨悪で割り切るかのようなアニメーションのシーンは余計に感じる。 しかし自分はこの人が注目されたことによって、メディアに多少の希望を感じたことは事実である。 自分は長年、ソーシャルサイトでニュースを見てきたが、罵詈雑言のコメントが目に入るのに辟易し、精神衛生上も良くないこともあり、 最近は新聞をネット契約して雑音のない記事を読むようにしている。どこの新聞とは言わないが。 誠実な仕事をしている人たちには、自分ができる範囲で対価を払って報いるべきだと思ったからだ。 誠実な情報にきちんと対価を払うことで、少なくともメディアが良い方向に行けば良いと思う。 ネット上の得体のしれない人たちが何を言おうと、個として自分はこう考える。 この映画はリアルタイムで改めて今の日本の政治のあり方について考えてさせてくれます。[映画館(邦画)] 8点(2019-11-28 02:19:39)《改行有》

5.  新聞記者 《ネタバレ》 昭和の時代って、実際の政治事件を扱った社会派ものから、荒唐無稽なスパイものやら、パニックものまで政治を扱った映画で面白い作品がたくさんあった。 また、昭和の時代はどんな権力者でも批判されてあたりまえであって、多くの映画の題材にもなり、いかにも悪い権力者、理想的な権力者も描かれた。 また、そういう作品を観て政治の世界、権力者のあり方というものを知ったものだ。 過去の映画でも、新聞記者が特ダネを握りつぶされるという描写はよくあるのだが、最近ではそういう描写すら自粛されているのではないかという危惧がある。 最近では犯罪サスペンス映画で本筋とあまり関係ない政治批判的な描写を入れたり、 全く架空の怪獣映画で官邸を風刺してみたり、 領土問題で全く架空の政権を登場させるといった方法でしか、政治を扱う映画が作れないのだろうかと思っていたら、 まさに直球ストレートな作品が登場したことに賛辞を送りたい。 かなりリアリティを感じる新聞社のオフィスに対して、内調の職場風景はやりすぎなぐらい架空なのだが(まるで秘密基地である)、 扱っている内容は現在進行形で起こっているであろうことである。 そしてあの問題の核心が出た時に、この映画の中の政権がいかに危険な考えを持っているか納得した。 (フィクションの中の政権と一応断っておきます) メディアの報道のされ方、それに対するネットでの反応などで、ここ数年疑問に思ってきたことが、かなりの部分納得させられるものがあった。 最近、自分は政治について発言するのも怖いという感覚があるのだが、極端な話、メディアが統制されていけば隣の北の国のような大本営発表的な報道しかされないようになる。(あくまで極端な仮定です) それは民主主義国家ではないことは、隣の国を見れば明白である。 そんな妄想にまで至りましたが、この「フィクション映画」を観て、多くの人が考えてほしい。[映画館(邦画)] 9点(2019-07-03 02:52:52)(良:4票) 《改行有》

6.  空母いぶき 《ネタバレ》 原作に思い入れがあったわけでもないので、フィクションの娯楽映画として普通に楽しめた。敵国の設定変更はありだと思う。 原作通りの設定だったら、実写では生々しすぎるし、話もややこしすぎてしまうだろう。 公開前になにやら騒ぎもあったが、総理がストレスを抱えて当然ということを表現しているだけで何の疑問も感じなかった。(観てもいない映画のことで騒ぐこと自体くだらないことである) 自分は軍事オタクというわけではないので、戦闘シーンは娯楽映画として素直によく出来ていると思う。ギリギリまで専守防衛に徹する緊迫感はかなり良い。 正直、コンビニのシーンは必要なのか?とは感じた。平和の表現として一般人を描くことは脚色としてありとは思うが、緊迫感を阻害しているだけで、ここは演出として成功していないように思う。 最も印象に残ったのは、強硬な言動をする大臣に対して総理が「戦(いくさ)という言葉を軽々しく使うな」と諌めるシーン。 現実には、領土問題で信じられない暴言を吐く議員も出てきたわけで、そういう意味で絶妙なタイミングでの公開となってしまった。 このフィクションの中の自制心のある政治家、自衛官を見ていると、現実の政治家の方が既にやばくなっているように思う。このような事態にならないことを願うばかりである。[映画館(邦画)] 7点(2019-06-04 01:18:27)《改行有》

7.  ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 《ネタバレ》 出だしからエンドロールまで、前作以上に日本のゴジラへのオマージュたっぷりで楽しめました。 ゴジラという名前だけをパクられた90年代のハリウッドゴジラとは隔世の感があります。 日本のゴジラファンなら、昭和から平成の世代に渡って「あ、このネタは・・・」と思い当たるところが多々あると思います。 ハリウッド映画でこの音楽が聞けようとは、スタッフの怪獣映画愛が尋常ではないです。 正直、何が起こっているのかわからないほど、アクションシーンが激しすぎる感もありますが、 ここまで「特撮映画」に敬意を払って頂いているので、甘々の点数です。[映画館(字幕)] 8点(2019-06-04 00:37:51)(良:3票) 《改行有》

8.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 すごく話題になっているようなので観たが、この映画の多くの評価で決定的に欠けているものがある。 劇中のカメラマン役ではなく、エンディングで登場している実際に撮影しているカメラマンの超絶的なカメラワークである。 このカメラワーク抜きではこの映画はここまで評価を得られなかったであろう。 いわゆるかつてのフィルム映画とは違ったビデオ機材で撮影されていると思われるのだが、 「蘇る金狼」で松田優作のアクションシーンを1カット長回しで撮った伝説カメラマン、仙元誠三を思わせるものがある。 このカメラワークのインパクトが無ければ、後半のドラマは凡庸になっていたに違いない。 アイデアより、役者より、カメラそのものを操るプロの技術に賛辞を送りたい。[インターネット(邦画)] 7点(2019-03-17 23:46:53)(良:1票) 《改行有》

9.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 1984年「ゴジラ」公開当時にこういう「絵」が見たかった、どうしたらもっと本物に見えるのだろうか、と寝ても覚めても考えていた当時中学生の自分にとっては、庵野・樋口両監督が長い年月をかけて経験を積み、その願いを実践してくれたことにまずは感謝したい。 「シン」の意味は様々あろうが、これが真のゴジラかと言えば、良くも悪くも多くのゴジラの一つのバリエーションであろうと思う。 初代を超えるかどうかという問題は、初代が厳然と存在している以上そのインパクトは誰が作っても超えようがない。 しかし間違いなく3.11を逃げないで踏まえた現代の「ゴジラ」であろうと思う。 自分は最近の表現の過剰な自粛を悲しく思いますし、その中でこういうフィクション性が高いジャンルの映画を傘にして、多くの人が語りにくいことを表現していることがこの作品の最大の収穫だと思います。 非常事態に際して、誰が悪いのか、誰が責任を取るのかという短絡的な指摘ではなく、この国の構造的な問題を客観的に極めてわかりやすく指摘していると思います。(情報が多すぎてわかりにくいという点が逆に役所の本質をわかりやすく表現している) 例えば危機に際して首相が「都民を置いて避難はできない」と啖呵を切るが、その直後の側近の提言でいとも簡単に「わかった」と納得するシーンも実に含みを感じる。こういうやりとりがあったというアリバイがあって避難できるという政治家の腹も読めるのだ。これも避難するための役所の手順にすぎないと自分は感じた。(だからほとんどの政治家に感情移入できないような見せ方になっている) 自衛隊の攻撃はまさに膨大な「手順」の連続である。射撃の意思決定までの手順をこれほど正確に描いた邦画は初であろう。 重大な行動のためには膨大なハードルが用意されているという役所の本質がわかりやすく、非常に勉強になった。 若い人たちには風刺という概念すらないかもしれませんが、こういう切り口で風刺のきいた社会派映画を作る余地はあるのだと感心しました。 ヒロインのカヨコの役作りも自分はOKと思います。上手い下手という以前に、仕事で男性と対等に渡り合える女性はもっと邦画で描かれるべきだと思います。 ゴジラ映画としては多くの方と同じように細かいツッコミはいくらでもしたくなりますが、今回は明らかに怪獣映画という範疇には収まらない内容で、映画のセリフと同じように「日本のクリエーターはまだまだやれる」ことを少し誇りに思います。[映画館(邦画)] 9点(2016-08-02 02:15:10)(良:4票) 《改行有》

10.  日本のいちばん長い日(2015) 《ネタバレ》 この監督は多くの登場人物を実に手際よく捌き、細かいカットの積み重ねからモザイクのように核心が見えてくるテクニックが以前から素晴らしいと思っていた。 この作品においてもその腕前は、現在の日本映画で稀有な存在だと思う。 それゆえに、社会派監督というイメージもついてしまったのかもしれないが、この監督の作品の登場人物は表層的で単純化された「キャラクター」ではなく、人間の多面性を感じさせる。 他の作品でも感じたことだが、この監督は「事件」に対してイデオロギーを語らず、あくまで、その渦中にいる人間のドラマを描いていると思う。監督自身が戦後世代なのだから今回も当然のことだと思う。 今回は天皇さえも他の登場人物と対等な描写(登場人物の中で浮いていない)で、一人の人間として描いていることは、この国の映画で初の快挙だと思う。 海外での経験に長けているこの監督独特の客観的視点があり、海外にも理解されやすいと思うし、自分を含めた戦争を知らない世代にも理解しやすい。 映画で描かれるのは緊迫感のある部分だけではなく、生活をしている人間ならば誰しもあるささいなやりとりや、外から見れば滑稽なやりとりなど、建前だけでは生きていられない人間の描写に注目する。 阿南陸相が自決前に飲酒している姿など、どんな立場の人間でも、伝聞で作られた「キャラクター」ではなく、「人間」として描かれていることに注目したい。 実際に被害を受けている民衆の描写が少ないことは、この映画の主旨では無いと思われるので自分はあまり気にならず(そういう映画は山ほどあるのでそれを見ればよい)、むしろそういう描写が少ないことで、大本営の密室性が出ていると思うし、現代に通じるこの密室性こそ危険なのだと思う。危急存亡の事態に延々議論を重ね、互いのメンツに配慮しつついちいち手順を踏んでいる描写は滑稽に感じる。 これは原発事故の際も電力会社の中で同じだったように想像できる。 また、この映画で初めて認識したのだが、時期を外せば国家が分断され朝鮮半島のようになっていたかもしれないというのは衝撃であった。(事実、北方の島は分断されている)終戦が数日遅れれば今現在の日本とは全く違った社会になっていたかもしれない。 こういう客観的視点が、過去のいわゆる戦争映画と一線を画しているように思う。[映画館(邦画)] 7点(2015-08-18 00:41:14)《改行有》

11.  THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 《ネタバレ》 「パト2」のオマージュらしいということは分かっていたが、今、それをやる意味があるのか、今の時代を舞台にして娯楽として楽しめるのかという疑問があったが、あまり嫌悪感を感じる表現になっておらず、アクション映画として楽しめた。 誤解を招くような言い方だが「状況」を娯楽として楽しむ映画で、その部分は「2」同様よく出来ている。 アクションについてはパトレイバーというより、昔のヘリアクション「ブルーサンダー」を思い出してしまった あの街中のヘリアクションをCGとはいえ東京で再現出来る時代になったのだという感慨があり、自分としてはそれだけで劇場で見た価値はあったと思う。 策を弄す前隊長に対して、弄されている感じの現隊長は現実的ではあるが「状況」を前にした主役として悩みすぎなのが少々つらい。悪い意味で隊長の本性が見えてしまった感じで観客としてはやや幻滅してしまった。せっかく実写でいい役者さんを出しているのだから、娯楽映画として官僚に啖呵を切るぐらいの芝居はして欲しかったのが惜しい。 また、実写シリーズを通してカーシャの存在感が非常に強いが(カーシャがアクションをすると他の役者が何をやっても印象が消し飛んでしまう)監督がどんなに演出で計算をしているにしても、生身の役者が演じる予測しきれない、制御しきれないものが滲み出てくるのがアニメと違った実写の面白さであると改めて思うし、アクション監督などのスタッフもここぞとばかりに腕を振るったに違いない。 これは実写で作った収穫のひとつであろう。 若い人には理解できない感想かもしれませんが、久々にこの監督の作品としては劇場で見た価値はありました。[映画館(邦画)] 7点(2015-05-15 01:55:40)《改行有》

12.  蜩ノ記 《ネタバレ》 カメラが無駄な移動をしたり、奇をてらったアングルや小細工をしない(ように見せるために相当な細工と苦労をしているのであろう)1カット1カットの緊張感が素晴らしい。 合成など一切しないと思われる風景も、今の時代には相当難しいことであると思う。 観客にカメラの存在を意識させず、時代劇で描かれるその時代にはありえない視点や動きを排除した黒澤演出を見事に受け継いでいると言っていい。 黒澤監督と比較ばかりしてはもはや失礼であろう小泉監督の演出スタイルは今の時代には貴重である。 自分はこれを見た後、黒澤監督より、ふとキューブリック監督の「バリー・リンドン」を思い出した。 ストーリーと関係なく、例えば踊りの動きや、殺陣の動き、立ち居振る舞い、家の間取り、食べるもの等に見入ってしまうことがあり、おそらく過去の時代にはこのような生活と時間の流れ方があったのだろうと思わせる、ドキュメンタリーのような雰囲気が楽しめました。 映画館で様々な予告編を見ていると、めまぐるしい映像に目が痛くなってくる年頃になってきましたが、「正攻法」とは何かということを改めて示してくれたと思います。[映画館(邦画)] 8点(2014-10-09 22:43:04)《改行有》

13.  GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》 第1作目を意識したゴジラというから、当然、そのようなゴジラ中心のお話かと思っていたら、日本の誇るもう一つの怪獣シリーズを意識したようなストーリーになっていて、別のGのリメイクではないかと思ったが、これはこれで面白かった。 敵の怪獣も、もうひとつのシリーズのあの怪獣とあの怪獣をくっつけたような習性だ。 しかし、ゴジラの姿形は日本人の自分が見てもゴジラと思えるように配慮されていて、かっこよかった。ゴジラも敵怪獣もCGなのに、なんとなく着ぐるみにも見えるユルい雰囲気が親しみが持てる。 この辺りは監督のオリジナルへの敬意が感じられて嬉しかった。 ドキュメンタリー的なチラ見せ演出は、こういう映画には欠かせないと思うが、ちょっと狙いすぎというか外しすぎというか、要所要所の見せ場は外さずにきちんと見せてもらいたかった。 「核」に関しては理屈をこねくり回しているわりに、核爆発というものをハリウッド映画では大きな爆弾ぐらいの認識しか無いのが相変わらずであるし、フィクションであれ、日本の大都市のそばに原発があるというのは日本人としてはかなり複雑な気分である。 この映画に限らないのだが、今のハリウッド映画って全く音楽が印象に残らない。明快に耳に残るメロディを作れる才能の作曲家が枯渇しているのではないかと思う。 これはかなり以前から日本映画も含めて問題だと思っている。 「ゴジラ」であるだけに誰が見てもいろいろ考えてしまうであろうが、今回はイグアナではないので、このゴジラが暴れる様を見れただけでも良かったと思います。 これだけ日本のキャラクターを研究して、そのテイストを活かしてくれたのだからそこは素直に監督に拍手です。次回作も期待してます。 [映画館(字幕)] 7点(2014-07-30 19:36:13)《改行有》

14.  009 RE:CYBORG 《ネタバレ》 戦闘機のドッグファイトのシーンで、ふと気づいたのが、CGで描いた戦闘機の動きがリミテッドアニメのようにややカクカクしていること。CGなのにセルアニメの動きの「味」を出そうとしている。 最近の別の名作アニメのリメイク作品では戦艦の動きがいかにもCG特有のスルーっとした動きなのが違和感があった。 CGと従来のセルアニメの違和感を払しょくするために、CGのコマを落とすということは理屈としては難しいことではないと思っていたのだが、何故誰もやらないのかと思っていたら、見事にこの作品が試みていたことが実に嬉しかった。 キャラクターも全てCGで描かれているらしいが、この動きの考え方ひとつとっても、CGの使い方の可能性を感じた。 肝心の内容だが、あまり過去の作品に思い入れがないので、この作品単体で考えれば楽しめました。 しかし、神や天使と、テロや武器商人を結びつける構図は、監督が頭の中で構築した理論が空回りしている感じがして説得力に欠ける。 セリフ以上に、この理屈を絵が物語っていない感じがするのが残念だ。これは絵が緻密であるといった技術論と別の問題である。 やはり娯楽アニメとしてシリアスであっても爽快感やユーモアは欲しかった。 そう、今の映画って視覚的な刺激は強いが、特にユーモアの感覚がものすごく欠けていると思う。(単純にギャグっぽいセリフを言うという意味ではありません) 全ては表現のための技術であるが、この技術の志は高く評価したいです。 [インターネット(字幕)] 6点(2014-07-12 22:47:50)(良:2票) 《改行有》

15.  ゴジラ(1954) 《ネタバレ》 何度も劇場やDVDで見ている傑作だが、この度デジタルリマスター上映で鑑賞。 作品の評価は揺ぎないが、このリマスターは映像も音声も少々「やりすぎ」に感じた。 巨大に見えていたゴジラのディティールが鮮明になることで2メートルの着ぐるみの質感やギニョールの仕掛けなどが、生々しく感じられ演出の意図を崩してしまったようにも思う。 ビルの壊れ方、ピアノ線、重そうなゴジラの動き、所々の無理なカットつなぎ、合成の揺れなど、常に絵の外側にいるスタッフを意識してしまう。 しかしその反面、日本で初めて怪獣映画を作るにあたって当時のスタッフがどれほど試行錯誤して汗を流して苦労したか、スタッフが写っていないメイキング映像のようにも感じられるという、穿った見方ではありますが、そういう面白さを感じました。 作品そのものの感想ですが、若い頃見ていた時より、今のほうがよりドラマに説得力を感じました。「戦争」「核」「科学の誤った使い方」この映画の製作当時から半世紀以上を経ても解決されない問題だからだと思います。[映画館(邦画)] 10点(2014-07-01 16:06:35)《改行有》

16.  春を背負って 《ネタバレ》 どんな映画も見終わった後、時間が経つとあれこれ考えてしまうものだが、やはり見終わった後のこの清々しさは大事にしたい。 原作を先に読んでいたのでキャスティングが明らかに自分のイメージとは違っていたのが不安であったが、映像になってみると、このキャスティングはあざとくも感じるがアリであると思いました。 厳しい自然の風景と対比するような「前向きな顔」というのは映画的に必要だったのだと思います。原作のエピソードを大幅に構成し直して「何が映画的であるか」を抽出したような作りになっていると思います。 原作で描かれていた山小屋経営の事情や、登山客のエピソードにはあまりつっこまず、挫折を味わった人々の回復というものがあまり描かれていないように感じるが、そこは文学の仕事であると言わんばかりに、圧倒的な風景と登山の過程、山小屋の描写は原作から持っていた自分の曖昧なイメージを遥かに凌駕してくれた。 ドラマの背景に山があるのではなく、風景がドラマを内包しているようなカメラマン兼監督の独特の視点は「剣岳」に続いて健在に思います。 この映画を見て、安直に素人が高山に登ろうとするのは危険に思うが、やはり「登ってみたい」と思える清々しさは確かに感じました。 [映画館(邦画)] 8点(2014-06-19 22:10:05)《改行有》

17.  天国と地獄 《ネタバレ》 もはや文句のつけようがない映画史上に残る名作であるが、今見ると、ひとつだけ文句をつけたい。 警察の捜査によって無関係な麻薬中毒患者を一人犠牲にしていることだ。 当時は誘拐犯の罪が軽かったとはいえ、その非道性を表現するために社会の底辺の人間を警察が殺している点だけは納得出来ない。 犯人の罪は問われても、警察の過失は問われないのだろうか。 麻薬中毒患者を殺すような犯人を殺人犯として逮捕するという展開の中で、麻薬中毒患者など死んでも良いという矛盾した思想が垣間見える。 私利私欲のために人を殺すのは非道であるのは当然だが、公のために良かれと思って人を殺すのは許されるものではない。 人の死に何の差があろうかと思うのだ。 この映画は犯人が確定した時点で逮捕されるべきだったと今は思う。 特急「こだま」のシーンは本当に今見ても素晴らしい。撮影現場で役者の迫真の演技を引き出す状況を作り出す監督は今や絶滅している。 今のテレビドラマで同じようなことをやってもこの迫力は不可能であろう。 このシーンだけでも歴史上に残る映画である。だからこそ、捜査のために犠牲者を出しても仕方がないという矛盾には納得できない。 [DVD(邦画)] 9点(2013-08-13 23:51:14)《改行有》

18.  遺体 明日への十日間 冷徹なる事実を前に「映画」としての評価は出来ない。 この映画の登場人物たち、いや、あの日あの場所で働いていた人たちの思いと同じように、この映画のスタッフ、役者たちは、映画の職人として役者として、「自分にできることは何なのか」と自問しながらこの映画を作ったであろうと思います。 娯楽的なサービスを提供している職業人は、こういう時に全く無力な存在であると、自分もこの震災で思い知らされました。 この、もどかしい思いが、この映画になったのだと思います。 なぜか感情移入して泣ける映画ではないというのは、「泣かせる」映画ではないからだと思います。 この映画を見て自分に出来ることは、ただ、手を合わせることだけです。[インターネット(字幕)] 8点(2013-08-07 00:36:09)(良:1票) 《改行有》

19.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 宮崎監督としては、今までと違う手法の作品であることは間違いないです。 子供を意識していないためか、客が見たいものを見せるより想像させる描写が多く、夢のシーンを除いたらすごく普通の大人向け映画です。 情感あるシーン、盛り上がるであろうシーンも過剰にならず、ひっぱらずに早いテンポで物語は進みます。 言葉でメッセージらしきものを語ることもありません。 主人公の行動を見ていると、監督自身の自伝でもあるような感じがします。 途中で始まり、途中で終わるかのように余韻は感じませんが、すなわちそれが「生きること」でまだ先があるというメッセージのように思います。 2度3度見て味わい深く、子供にはよくわからんけど印象に残るような作品に思います。 宮崎監督が初めて大人の視点で映画を作ったということは、逆に子供向けの映画では主人公の2,3日の行動にベッタリつかないと子供はついていけないという手法の違いを見せてくれたことで勉強になりました。 声優、音響など宮崎監督ならではの試みもありますが、成功しているかは別として自分はこの考えは肯定します。 しかしヒロインの端正な顔はもう飽き飽きです。美人って人の数だけ細い美人やふっくらした美人やタレ目の美人もいるのに、ジブリ作品の美人は同じ役者が衣装を変えているだけのように見えてしまいます。 子供の描写はおそらく世界一なのに、絶世の美女となるとどの作品も同じ顔になってしまうのが、不満ではあります。 しかし単純に泣けたいうことでは語れない密度を持った作品であると思います。 何が起こっても状況を受け止めて行動している主人公の描写、悲惨な震災や戦争に対して不平不満を言わず(そういう描写は省かれている)一歩引いた目で「状況」として捉えて行動している描写自体がメッセージのように思います。 紙ヒコーキのシーンは実に映画的な名シーンだと思います。 [映画館(邦画)] 8点(2013-07-24 02:21:03)(良:1票) 《改行有》

20.  じゃりン子チエ 《ネタバレ》 ガンダム全盛の小学生の頃は全く見向きもせず、30年以上を経て初めて拝見。 演出も作画も、恐ろしいほど優れたテクニックで良い意味で全く子供向けではない。 例えば猫の動きの表現にも、ごまかしがなく、本当に当時のアニメーターのレベルの高さを感じます。 高畑勲監督の特徴だと思うのですが、ストーリー上はもっとテンポがあった方が見やすいと思えるものを、微妙に「間」を入れることで、人間の営みを一歩引いた感じで考えさせてくれます。 例えばテツの行動は、まともな演出ならギャグそのものですが、何を考えどんな人生を生きてきたんだろうかとふと考えさせられます。 この作品が海外で評価が高いのも納得します。人物に感情移入しすぎて日本人ならわかると省略する部分を丁寧に描いているから、海外の人にも理解しやすいのだと思います。 こんなレベルの高い作品でも、ペコちゃんやゴジラが堂々と出てくるのは、おおらかな時代だったと思います。 こういう遊び、今の時代では見られません。 これを今まで見ていなかった自分も恥ずかしいですが、全く今の時代でも古さを感じないので、老若男女見てほしい作品です。 特に遊園地のシーンは素晴らしい情感で、名シーンだと思います。 遊具のひとつひとつを詳細に研究しているのが想像できて、この監督のこだわりの凄まじさを感じます。 これだけの労力を費やしているからこそ、古さを感じないのでしょう。 ようやく見られるであろう次回作が楽しみです。 [DVD(邦画)] 9点(2013-06-06 01:52:12)(良:1票) 《改行有》

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